トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成20年度情報公開審査会答申 > 答申第142号 「相談記録(実地確認・指導)(平成16年8月9日分)」の部分開示決定(平成21年3月19日)

ページ番号:14968

掲載日:2024年4月2日

ここから本文です。

答申第142号 「相談記録(実地確認・指導)(平成16年8月9日分)」の部分開示決定(平成21年3月19日)

答申第142号(諮問第176号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成20年10月7日付けで行った、「相談記録(実地確認・指導)(平成16年8月9日分)」(以下「本件対象文書」という。)を部分開示とした決定(以下「本件処分」という。)のうち、施設長の氏名は開示すべきであるが、その余の決定は妥当である。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成20年9月24日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「平成16年8月9日 北足立福祉保健総合センターによる特定の特別養護老人ホームの実地確認指導の記録」についての開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。

(2) これに対し、実施機関は、本件開示請求に係る公文書について、本件対象文書を特定し、当該文書のうち、「施設長からの状況説明に係る部分」については条例第10条第1号及び同条第5号に該当し、また、「個人の氏名」、「預金先金融機関名」及び「預金残高」については、条例第10条第1号に該当することを理由に、平成20年10月7日付けで公文書部分開示決定を行い、申立人に通知した。

(3) 申立人は、平成20年11月9日付けで、実施機関に対し、本件処分について、不開示とされた部分の開示を求める異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、当該異議申立てについて、平成20年11月28日に実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、実施機関から、平成20年12月19日に「開示決定等理由説明書」の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成21年1月19日に、実施機関の職員から意見聴取を行った。

(7) 当審査会は、平成21年3月12日に、申立人から意見書の提出を受けた。

3 申立人の主張の要旨

申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 不開示部分のうち、「施設長からの状況説明に係る部分」は、○○○○○○に関する内容であり、条例第10条第1号に該当しない。また、条例第10条第5号に該当すると実施機関は主張するが、○○○○○○は既に死亡しており、当時の施設長からの状況説明を知ることは、故人の晩年の様子を知るという点で、公益上特に必要があり、条例第12条の裁量的開示に該当する。
また、相談記録の全開示は、県の条例があって、その理由によりできない、との回答をいただいたが、特別な事情があるため是非ともご考慮いただきたい。

(2) 不開示部分のうち、個人の氏名、預金先金融機関名、預金残高等もすべてに○○○○○○関する内容であり、○○○○○である申立人に開示することは、条例第10条第1号に該当しない。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1)本件対象文書について

特別養護老人ホーム入所者の処遇、通帳の管理等について、○○から調査の要望があり、実地確認・指導(以下「確認・指導」という。)を行った。
本件対象文書は、この確認・指導の結果をまとめた文書である。本件対象文書には、確認・指導を実施した日時及び場所、特別養護老人ホーム職員の職・氏名、入所者及び○○○○の氏名、入所者の預金先金融機関名・預金残高、確認・指導を行った県職員の氏名、確認・指導の内容が記載されている。

(2)部分開示とした理由について

本件対象文書のうち「施設長からの状況説明に係る部分」については、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものが含まれており、この部分については、条例第10条第1号に該当するため、不開示とした。また、開示することにより施設側の説明が行われなくなり、今後行われる同種の施設指導事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある部分が含まれているため、この部分については条例第10条第5号に該当するため不開示とした。
本件対象文書のうち、「個人の氏名」、「預金先金融機関名」、「預金残高」については、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであるため、条例第10条第1号により不開示とした。

(3)申立人の主張について

申立人は「施設長からの状況説明に係る部分は、○○に関する内容であり、条例第10条第1号に該当しない。」「不開示部分のうち、個人の氏名、預金先金融機関名、預金残高等も、すべて○○に関する内容であり、○○○○○である申立人に開示することは、条例第10条第1号に該当しない。」と主張しているが、条例は、何人に対しても等しく開示請求権を認めるものであり、開示請求者が誰であるか、又は開示請求者が開示請求に係る公文書に記載されている情報について利害関係を有しているか、などの個別的な事情は、当該公文書の開示、不開示の判断に何ら影響を及ぼすものではない。よって、条例第10条第1号に該当するとして行った本件処分は妥当であると考える。
また、申立人は、「施設長からの状況説明に係る部分は、条例第10条第5号に該当すると書かれているが、入所者本人(○○)は既に死亡しており、当時の施設長からの状況説明を知ることは、故人の晩年の様子を知るという点で、公益上特に必要があり、条例第12条の裁量的開示に該当する。」と主張している。
条例第12条でいう公益上特に必要がある場合とは、不開示情報の規定により保護される利益に優越する公益上の理由があると認められる場合をいうものである。
本件処分は、施設長は状況説明に際しその内容が公開されることを予定しておらず、こうした情報が公開されれば信頼関係が損なわれ、説明者が詳細な説明をすることができなくなり、今後行われる同種の施設指導事務の適正な遂行に支障を及ぼすため、条例第10条第5号に該当するとして不開示としたものである。一方、申立人の条例第12条の裁量的開示に該当するとする主張は、入所者(特定の個人)に関する情報を求めているにすぎず、特段の公益上の理由があるものとは認められない。よって、不開示情報の規定により保護される理由に優越する公益上の理由があるとはいえず、条例第10条第5号に該当するとして行った本件処分は妥当であると考える。

5 審査会の判断

(1)本件対象文書について

本件対象文書は、特別養護老人ホーム入所者の処遇、通帳の管理等について、○○から調査の要望があり、確認・指導を行った結果をまとめた文書である。
本件対象文書には、確認・指導を実施した日時及び場所、相手方である特別養護老人ホーム職員の職・氏名(姓)、入所者及びその○○の氏名、確認・指導を行った県職員の氏名(姓)、<概要>(指導内容の要旨)として、施設長からの状況説明、話し合いの内容及び当日の経過などが記載されている。

(2)本件処分について

実施機関は、本件処分において、本件対象文書のうち「施設長からの状況説明に係る部分」について、全体として条例第10条第1号及び第5号に該当するとし、また、「個人の氏名」、「預金先金融機関名」及び「預金残高」について、条例第10条第1号に該当するとして不開示とした。

(3)「施設長からの状況説明に係る部分」について

当該情報は、特定個人の生活状況や処遇及び施設とのやりとりが記載されている。これは全体として個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であり、条例第10条第1号本文に該当し、同号ただし書イには該当せず、同号ただし書ロ又はハに該当する事情も認められない。
また、施設長は状況説明に際し、その内容が公にされることを予定しておらず、こうした情報が公にされれば、県と社会福祉施設との間の信頼関係が損なわれ、社会福祉施設の職員が、県の施設指導において詳細な説明をすることができなくなり、今後行われる同種の施設指導事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められ、条例第10条第5号の不開示情報に該当すると認められる。
さらに、申立人は、当該情報について、「○○は死亡しており、当時の施設長からの状況説明を知ることは、故人の晩年の様子を知るという点で、公益上特に必要があり、条例第12条の裁量的開示に該当する」とも主張するが、申立人が主張しているのは申立人個人の利益であり、公益上特に必要があるとは認められず、申立人の主張は採用できない。

(4)「個人の氏名」について

当該情報は、「施設長の氏名」、「入所者の氏名」、「○○○○○の氏名」及び「施設職員の氏名」である。
以下、それぞれについて、条例第10条第1号該当性について検討する。

  • ア 「施設長の氏名」について
    実施機関は、施設長の氏名を条例第10条第1号に該当するとし、不開示としている。
    しかし、社会福祉法人の施設長の氏名について、実施機関は「社会福祉法人現況報告書」等で既に公にしている。このことから、条例第10条第1号ただし書イの「慣行として公にされ」ている情報に該当するため、開示すべきである。
  • イ 「入所者の氏名」、「○○○○○の氏名」及び「施設職員の氏名」について
    当該情報は、条例第10条第1号本文に規定する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であり、また、同号ただし書イ、ロ又はハに該当する事情も認められないことから、当該情報について実施機関が不開示としたことは妥当である。

(5)「預金先金融機関名」及び「預金残高」について

当該情報は、入所者である特定個人が施設側に預けていた預金通帳の預金先金融機関名及び預金残高であり、特定の個人の取引及び資産に関する情報であって、条例第10条第1号本文の個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報に該当する。
また、同号ただし書イには該当せず、同号ただし書ロ又はハに該当する事情も認められないことから、不開示としたことは妥当である。

(6)申立人の主張について

申立人は、「個人の氏名、預金先金融機関名、預金残高等すべて、○○○○○の情報であり、条例第10条第1号に該当しない」と主張するが、条例は、条例第7条に定める請求権者であれば、請求の目的の如何を問わず開示請求を認める制度を定めており、そこに含まれる個人情報については、条例第10条第1号ただし書イからハまでの除外条項に該当するもの以外は、同号本文に該当する場合は開示しないことを定めており、それは請求者が当該個人本人であるか、○○○○○であるか否かにかかわらず、何人に対しても等しく同様に判断する趣旨のものであることから、申立人の主張を認めることはできない。
その他申立人は縷々主張するが、審査会の判断を左右するものではない。
なお、申立人の主張は、公文書開示制度に対する誤解に基づくものとも見られるので、実施機関においては開示請求者に対し、より適切な説明等に配慮するよう望まれる。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
加々美光子、城口美恵子、山口道昭

審議の経過

年月日

内容

平成20年11月28日

諮問を受ける(諮問第176号)

平成20年12月19日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成21年1月19日

実施機関から意見聴取及び審議(第三部会第46回審査会)

平成21年2月19日

審議(第三部会第47回審査会)

平成21年3月12日

申立人から意見書を受理

平成21年3月16日

審議(第三部会第48回審査会)

平成21年3月19日

答申(答申第142号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?