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掲載日:2024年4月2日

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答申第132号 「用地交渉日誌○○線地方特定道路(改築)整備工事」の部分開示決定(平成20年10月24日)

答申第132号(諮問第158号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成20年1月22日付けで行った、「用地交渉日誌 ○○○○線地方特定道路(改築)整備工事」(以下「本件対象文書」という。)を部分開示とした決定(以下「本件処分」という。)について、別表に掲げる部分を開示すべきである。

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人は、平成19年12月21日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「平成15年作成されました、地元住民の機能補償求めた要望が記述された文書存在しました。との回答12月19日付けで頂きました。この文書開示請求致します。」との内容の公文書の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2) 実施機関は、本件請求に対して用地交渉日誌を本件対象文書と特定した上で、条例第10条第1号及び同条第5号に該当するとして部分開示決定を行い、平成20年1月22日付けで、公文書部分開示決定を行った。

(3) 異議申立人は、平成20年2月16日付けで、実施機関に対し、本件処分の取消しを求める趣旨の異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて平成20年4月11日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、実施機関から平成20年5月15日付けの開示決定等理由説明書の提出を受け、また、同年6月16日及び同年8月18日に実施機関から意見を聴取した。

(6) 当審査会は、異議申立人から平成20年7月9日に反論書の提出を受け、同年8月18日に異議申立人から口頭意見陳述を聴取した。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 川越県土整備事務所は、○○○○線の建設により分断される市道の付替道路(以下「側道」という。)は、地元住民の要望により決定した道路であると繰り返し説明してきた。そこで、側道を要望した周辺住民の氏名等について開示請求したところ、平成19年12月5日付けで該当する文書はないとの不開示決定がなされた。しかし、同年12月19日付けで埼玉県川越県土整備事務所長から「平成15年度に作成した文書に、側道について、地元の方から、機能補償するよう要望する内容の記述があります。」との文書が送付された。
わずか14日で記述されている内容が著しく異なっていることに不審を持ち、地元の方から機能補償するよう要望する内容の記述があるとされた本件対象文書の開示を求めた。
しかし、開示された書面は、99.9%黒く塗りつぶされており、しかも「平成15年」というところも消されている。このような開示の仕方は、「地元の方から、機能補償するよう要望する内容の記述があ」るとされた文書の存在そのものに疑念を抱かせることになる。

(2) 平成11年8月に道路用地を県に売却した際に、側道の建設についての説明は一切なされなかった。
平成14年10月に側道部分の用地買収が行われているのに、公文書として「平成15年に作成した文書に、側道について、地元の方から機能補償するよう要望する内容の記述があり、このことから要望があったものとみなす」というのはおかしい。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである。

(1) 用地交渉日誌は、「埼玉県県土整備部・都市整備部用地事務取扱要綱」(昭和45年土木部長制定)に規定されており、用地交渉の経過及び内容の記録を行うこととなっている。
用地交渉日誌には相手方自身や近隣住民等関係者に関する情報が詳細に記述されており、この内容を公にするようなことがあると、関係者との信頼関係、協力関係が損なわれ、情報収集や相手方の理解・協力を得ることが非常に困難になることが予想される。
用地交渉日誌の中の、「相手方の氏名」「電話番号」「場所」については、用地交渉の相手方である特定の個人を識別できる情報である。また「交渉日」「時間」は、職員の旅行命令簿の記載と照合することにより、交渉の相手方の氏名を特定できる情報である。
「交渉内容」については、相手方自身や近隣住民等関係者に関する情報が詳細に記載されており、一体として個人に関する情報である。

(2) 本件対象文書について、具体的な内容を開示することにより特定の個人を識別できるため大部分を不開示としたが、再検討を行った結果、次の部分は開示すべきと判断する。

  • ア 「交渉日」欄の年の部分
  • イ 「交渉内容」欄中の「説明(説得)条件その他」欄の2行目の10文字目から19文字目まで以外の部分
    「交渉内容」欄中の「特記事項」欄の次の部分
    • (ア)1行目のすべて
    • (イ)2行目の1文字目及び10文字目以降
    • (ウ)3行目の1文字目から3文字目まで及び20文字目以降
    • (エ)6行目の1文字目から3文字目まで及び14文字目以降
    • (オ)7行目のすべて
    • (カ)12行目のすべて
    • (キ)18行目のすべて
    • (ク)19行目のすべて
    • (ケ)26行目のすべて
    • (コ)34行目のすべて

(3) ○○○○線に関する地権者は少数であり、個人が識別できる可能性が高いため、上記(2)以外の部分は不開示とすべきである。

5 審査会の判断

(1) 本件対象文書について

本件対象文書は、埼玉県県土整備部・都市整備部用地事務取扱要綱(昭和45年土木部長制定)第42条に定められた用地交渉日誌である。同要綱第42条では、「所長は、土地等の権利者等、その他の利害関係人又はこれらの代表者と用地交渉を行ったときは、その経過及び内容を用地交渉日誌(様式第39号)その他適切な方法により記録しなければならない。」と定めている。
本件対象文書は、埼玉県川越県土整備事務所長が異議申立人に対し「平成15年に作成した文書に、側道について、地元の方から、機能補償するよう要望する内容の記述があります。」と説明した文書である。

(2) 本件処分について

実施機関は、本件処分において、本件対象文書のうち、「事業名」欄の交渉の相手方の住所、「交渉日」欄の日付、「時間・場所」欄の時間、交渉場所、土地及び物件の所有関係、「出席者」欄中の「相手方」欄の交渉相手及び電話番号を、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができる情報であり、条例第10条第1号に該当するとして不開示とした。
また「交渉内容」欄はさらに「説明(説得)条件その他」欄及び「特記事項」欄に分かれているが、相手方自身や近隣住民等関係者に関する情報が詳細に記載されており、全体として条例第10条第1号に該当するとし、さらに、交渉の内容を公にすると、用地交渉事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとして、条例第10条第5号に該当するとして不開示とした。
これに対し、異議申立人は、これら情報を不開示とした処分は妥当でなく、さらなる開示を求めている。以下、本件処分の妥当性について判断する。

(3) 「事業名」欄について

「事業名」欄で不開示とした部分は交渉の相手方の住所であり、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるもので、条例第10条第1号に該当するとして不開示としたことは妥当である。

(4) 「交渉日」欄及び「時間・場所」欄について

「交渉日」欄には、交渉の相手方と県の職員との交渉を行った日付が記載されており、「時間・場所」欄には交渉を行った時間が記載されている。実施機関は、交渉に当たった県の職員の旅行命令簿に記載されている当該日時の旅行先と照合することにより、交渉の相手方の氏名を特定することができ、したがって、特定の個人を識別することができると主張する。しかし、これらのうち、「交渉日」欄の年及び月については、これを開示しても、どの土地に関する交渉であるかを特定することはできず、交渉の相手方を特定することはできないので、条例第10条第1号に該当するとして不開示としたことは妥当でなく、開示すべきである。
「時間・場所」欄の交渉場所並びに土地及び物件の所有関係の記載については、交渉を行った具体的場所並びに交渉に係る土地及び物件の所有関係についての記載であり、交渉の相手方を特定することができることとなる情報であるため、条例第10条第1号に該当するとして不開示としたことは妥当である。

(5) 「出席者」欄中の「相手方」欄で不開示とした部分は、交渉の相手方及びその電話番号であり、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであるため、条例第10条第1号に該当するとして不開示としたことは妥当である。

(6) 「交渉内容」欄について

  • ア 「交渉内容」欄については、実施機関は、全体として個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第10条第1号の不開示情報に該当するため、欄全体を不開示としたと説明している。
    当審査会において見分したところ、交渉の相手方の氏名や発言内容、具体的な交渉状況が記載されており、全体として、交渉の相手方の条例第10条第1号本文に規定する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であると認められる。
  • イ また、同号ただし書きイ、ロ及びハについては、それらに該当する特段の事情は認められない。
  • ウ 次に、当該欄の部分開示の適否について検討する。
    • (ア) 「説明(説得)条件その他」欄については、要綱の様式6で、あらかじめ定まっている文言に加筆する形で記入する欄となっている。また、内容を見分すると加筆されている内容は、交渉では通常話し合われる内容であり、個人の特定に結びつく情報ではないので、開示すべきである。
    • (イ) 「特記事項」欄について
      • a  1行目から3行目までは、県と相手方との交渉内容を分かりやすく記載するため、項目立てをしたものであり、個人の特定に結びつく具体的な情報は含まれておらず、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるので、開示すべきである。
      • b  4行目及び5行目については、具体的な交渉内容であり、公にした場合個人の権利利益が害されるおそれがないとは言えないため、不開示としたのは妥当である。
      • c  6行目については、aと同様に県と相手方との交渉内容を分かりやすく記載するため、項目立てをしたものであるが、4文字目から13文字目までについては、交渉の相手方の記述であり、特定の個人を識別することができることとなる記述であるので、不開示としたのは妥当である。しかし、それ以外の部分は、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるので、開示すべきである。
      • d  7行目については、aと同様であり、開示すべきである。
      • e  8行目から11行目までについては、交渉の相手方の発言内容であり、公にした場合個人の権利利益が害されるおそれがないとは言えないため、不開示としたのは妥当である。
      • f  12行目については、aと同様であり、開示すべきである。
      • g  13行目から17行目までについては、eと同様であり、不開示としたのは妥当である。
      • h  18行目及び19行目については、aと同様であり、開示すべきである。
      • i  20行目及び21行目の1文字目から23文字目までは、側道に関する県側の一般的な説明に過ぎず、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるので、開示すべきである。
      • j  21行目の24文字目から行末まで、22行目及び23行目については、個人の氏名やその人の発言内容が記載されており、公にした場合個人の権利利益が害されるおそれがないとは言えないため、不開示としたのは妥当である。
      • k  24行目については、1文字目から4文字目までは、個人の氏名であり、特定の個人を識別することができることとなる記述であるので、不開示としたのは妥当であるが、同行のその他の部分については、県側の一般的な発言であり、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるので、開示すべきである。
      • l 25行目については、県側の一般的な発言であり、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるので、開示すべきである。
      • m 26行目については、aと同様であり、開示すべきである。
      • n 27行目については、lと同様であり、開示すべきである。
      • o 28行目の1文字目から4文字目までについては、個人の氏名であり、特定の個人を識別することができることとなる記述であるので、不開示としたのは妥当であるが、同行の5文字目から行末まで及び29行目は、県側の一般的な説明に過ぎず、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるので、開示すべきである。
      • p 30行目から33行目までについては、交渉の相手方との具体的な交渉の内容であり、公にした場合個人の権利利益が害されるおそれがないとは言えないため、不開示としたのは妥当である。
      • q 34行目については、aと同様であり、開示すべきである。
      • r 35行目及び36行目については、直接交渉内容に関わるものではなく、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるので、開示すべきである。
      • s 37行目及び38行目については、pと同様であり、不開示としたのは妥当である。

(7)条例第10条第5号該当性について

「交渉内容」欄について、さらに条例第10条第5号の該当性について検討する。
実施機関は「交渉内容」欄について、これを公にするようなことがあると、関係当事者との間で築き上げてきた信頼関係や協力関係が損なわれ、それ以降においては情報収集や相手方の理解、協力を得ることが非常に困難になることが予想され、用地交渉事務の支障になるので、この点からも開示することはできないとする。
しかし、本件対象文書の「交渉内容」欄については、上記(6)で開示すべきとした部分を開示したとしても、県側の発言や用地交渉において通常話し合われる内容であり、また交渉の相手方が特定されないことから、開示することによって事業者と関係当事者との間で築き上げられてきた信頼関係や協力関係が損なわれ、今後、用地交渉自体等を拒む地権者が出てくる等用地交渉に係る事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとはいえないので、開示すべきである。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
加々美光子、城口美恵子、山口道昭

別表

 

開示すべき部分

交渉日の欄

  • 1文字目から4文字目まで
  • 6文字目

交渉内容欄の説明(説得)条件その他の欄

すべて

交渉内容欄の特記事項の欄

  • 1行目から3行目までのすべて
  • 6行目の1文字目から3文字目まで及び14文字目から22文字目まで
  • 7行目のすべて
  • 12行目のすべて
  • 18行目から20行目までのすべて
  • 21行目の1文字目から23文字目まで
  • 24行目の5文字目から24文字目まで
  • 25行目から27行目までのすべて
  • 28行目の5文字目から37文字目まで
  • 29行目のすべて
  • 34行目から36行目までのすべて

(注)上記の文字数には、「・」を含み、空欄を含まない。

審議の経過

年月日

内容

平成20年4月11日

諮問を受ける(諮問第158号)

平成20年5月15日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成20年5月19日

審議(第三部会第38回審査会)

平成20年6月16日

実施機関からの意見聴取及び審議(第三部会第39回審査会)

平成20年7月9日

異議申立人から反論書を受理

平成20年7月16日

審議(第三部会第40回審査会)

平成20年8月18日

実施機関からの意見聴取、異議申立人の口頭意見陳述及び審議(第三部会第41回審査会)

平成20年9月19日

審議(第三部会第42回審査会)

平成20年10月20日

審議(第三部会第43回審査会)

平成20年10月24日

答申(答申第132号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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