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掲載日:2024年3月26日

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答申第130号 「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)作成のための資料」の開示決定(平成20年6月27日)

答申第130号(諮問第147号)

答申

1 審査会の結論

「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)(平成16年作成?)を作るために用した資料の全ておよび、その後啓蒙宣伝配布した経緯を示す全資料」の開示請求につき、埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が次の3文書(以下「本件対象文書」という。)を開示とした決定について、本件対象文書を特定したことは、妥当である。

(1) 土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)に係る地区について(照会)(以下「文書1」という。)

(2) 土地区画整理事業未着手施行区域に係る個別相談会について(通知)(以下「文書2」という。)

(3) 土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)運用方針を定めることについて(以下「文書3」という。)

2 異議申立て及び審議の経緯

(1) 異議申立人は、平成19年6月15日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。

(2) 実施機関は、本件開示請求の対象となる公文書を特定し、平成19年6月28日付けで公文書開示決定(以下「本件開示決定」という。)を行った。

(3) 異議申立人は、本件開示決定を不服として、平成19年8月30日付けで、実施機関に対して「公文書開示決定の齟齬を補足修正するとの決定を求める。」との異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、当該異議申立てについて、平成19年9月21日付けで実施機関から条例第22条に規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会は、実施機関から平成19年11月2日付けで開示決定等理由説明書(以下「理由説明書」という。)を、平成20年1月25日付け及び3月5日付けで補充理由説明書の提出を受けた。
また、当審査会は、平成19年11月26日及び平成20年2月8日に実施機関から意見聴取を行った。

(6) 当審査会は、異議申立人から平成19年11月28日付けで、理由説明書に対する反論書の提出を受けた。
また、当審査会は、平成20年1月8日に異議申立人から口頭意見陳述を聴取した。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人の主な主張は概ね次のとおりである。

(1) 請求者が求めているものは、「『指針(案)』を作るために用いた資料のすべて」であり、即ち、プロセスを明示することである。実施機関が特定した公文書は、『指針(案)』そのものであり、開示請求の内容と齟齬をきたしている。したがって、平成16年7月23日以前に準備された公文書が隠蔽されている。
「『指針(案)』以外に、他に存在する公文書はない」というのは、「公文書を破棄した」のか、それとも「公文書不存在」なのか、立証責任が実施機関にある。説明責任を果たせなくては公文書隠蔽と解されても仕方ないのである。

(2) 請求者が求めているのは、「その後、啓蒙宣伝配布した経緯を示す全資料」であり、文書3の回議・合議書(起案用紙)の要旨に、「平成16年7月に、…「指針(案)」を定め、未着手地区を抱える関係市町に通知した」と記載されているが、開示請求の内容に対応していない。資料配布対象が不明である。
文書1の添付資料の「資料2」で記されている関係市町以外にも土地区画整理事業に関係する市町に『指針(案)』を啓蒙宣伝配布した経緯がある。現に、○○市は同『指針(案)』を適応運用することにより、○○市が施行する各土地区画整理事業の計画変更について、上位行政である埼玉県の「お墨付き」を得たと自認している。従って、「その後、啓蒙宣伝配布した経緯」をつぶさに開示することを要求する。

(3) 別に実施機関より取得した平成18年度市街地整備担当者会議と文書1の起案日:平成16年7月23日との時間差はという齟齬は何を説明するのか不明である。
そもそも、○○市という自治体に対する『指針(案)』の宣伝配布は何時の時点か。

(4) 開示請求の内容に対して、実施機関は公文書の特定を示唆する関連公文書の閲覧を請求者に開示し、請求者のアクセス権を保証すべきである。
請求者が開示請求する案件について、実施機関は個別具体的にアクセスできる手段を案内教示すべきである。「資料の全て」及び「全資料」に対応する公文書を請求者に対して、時系列に伴い検索開示しなければならない。
開示公文書が、「資料の全て」および「全資料」に相当するのであれば、最低限として公文書管理上の必要条件を明示するアカウンタビリティが必要である。

(5) 「開示する公文書の名称」欄は請求者の請求内容文書そのものを記述し、「備考」欄に実施機関が対応する公文書名を特定すべきである。しかも「教示」は明記すべきだ。
「請求者が要求する公文書の名称又は内容」が「実施機関が回答した公文書の名称」に帰結する理由説明を実施機関に求める次第である。実施機関が行った行為は裁量権の逸脱である。

(6) 情報公開担当窓口が情報公開請求を受理斡旋することが本旨であって、請求者と実施機関が直接対峙するシステムは芳しくない。現行埼玉県情報公開の仕組みは請求者が当該実施機関に直訴しなければ異議申立書が受理されない。
また、情報公開条例に則る夫々の処理要素は原則的なタイムスケジュールを具備しておくべきである。

(7) ○○市には文書ファイリング基準表が存在した。開示請求する公文書を特定するための仕組みが欠如している埼玉県情報公開制度はシステムとして欠陥がある。同時に、特定された公文書がリアルタイムに所在を立証する公文書在庫管理が保証されないと必要十分条件を充たすことができない。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関の主張の内容は、次のとおりである。

(1) 本件開示請求の対象となる公文書の検索は、市街地整備課のファイル基準表及び文書管理台帳で行った。
特定した文書1及び文書2は、ともに保存年限1年で保存年限を経過しているが、業務上、必要な書類であるため当課の共用ロッカーに保存していた。
文書1及び文書2は、指針(案)策定事務及び指針(案)の運用等の検討の参考にするために、区画整理事業に着手していない長期未着手の地区を抱える該当市町に対して通知したものであり、「指針(案)を作るために用いた資料」について他に存在する公文書はない。

(2) 異議申立人は、「「指針(案)」を平成16年7月に関係市町に通知したとあるが、通知先が不明である」と主張するが、通知先については、文書1である「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)に係る地区について(照会)」中の資料2に記載された18市2町33地区である。
異議申立人は、「その後、啓蒙宣伝配布した経緯」について開示請求したものであるが、関係市町との会合等で配布しただけであって、それ以外に特別な啓蒙宣伝を行ったことはない。

(3) 指針(案)の運用方針は、より具体的な運用指針として市街地整備に対する県の考え方を定めたものである。
異議申立人のいう平成18年度市街地整備事業担当者会議は、平成18年5月30日に全市町村に対して行った会議であり、その会議の中で、指針(案)の運用方針について説明を行ったものであり、平成16年7月23日付けの文書1は、区画整理事業に着手していない長期未着手の地区を抱える該当市町に対して、指針(案)策定事務の参考にするために照会したものであって、異議申立人にいうその時間差に特別な意図的なものがあるわけではない。
開示請求書の内容は、○○市に対して「指針(案)」を通知した日とはなっていないが、「指針(案)」は、「土地区画整理事業の都市計画決定後、事業化に至らない地区を抱える市町村」での市街地整備の推進を目的に示したものである。飯能市には該当地区は存在しないことから、市が認識したのは、平成18年5月30日に開催の平成18年度市街地整備事業担当者会議と考える。

(4) 埼玉県では「公文書検索・閲覧システム」により、公文書の検索が自由に行える。また、文書管理台帳を閲覧希望する場合は、情報公開請求により閲覧ができるものであり、請求者に開示するシステムが構築されている。
公文書開示請求書の「開示請求する公文書の名称又は内容」欄は、包括的な記載のため、現に保存している公文書名を記載したものである。

(5) 今回の公文書開示決定等通知書は、公文書全面開示の決定通知であるため、異議申立て等の教示はしないのが通例である。

5 審査会の判断

(1) 異議申立ての趣旨について

異議申立ての趣旨である「公文書開示決定の齟齬を補足修正するとの決定を求める」について、当審査会で異議申立人に確認したところ、本件開示決定は、特定すべき指針(案)の作成プロセスを示す文書が漏れているので、改めて公文書を特定して開示せよ、とのことであったので、当審査会は、実施機関が本件開示決定で特定した3文書以外に特定されるべき公文書を実施機関が保有しているかどうかについて検討する。

(2) 「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)」(以下「指針(案)」という。)について

  • ア 背景
    実施機関からの説明によると、都市計画関係の事務については平成12年のいわゆる地方分権一括法により、従来、国からの機関委任事務であったものが、地方公共団体の自治事務に分類され、これを契機に旧建設省が「都市計画運用指針」を作成した。この運用指針策定の趣旨は、「もとより都市計画制度の運用は、自治事務として各地方公共団体自らの責任と判断によって行われるべきものであるが……当該指針は、国として、今後、都市政策を進めていくうえで都市計画制度をどのように運用していくことが望ましいと考えているか、また、その具体の運用が、各制度の趣旨からして、どのような考え方の下でなされることを想定しているか等についての原則的な考え方を示し、これを各地方公共団体が必要な時期に必要な内容の都市計画を実際に決め得るよう、活用してもらいたいとの考えによるものである。」としている。
    この運用指針の中に「市街地開発事業の都市計画の見直し」の項目があり、都市計画決定されてから長期にわたり事業が行われていない市街地開発事業の計画の見直しについての考え方が示され、「当該地区における市街化の動向等から一体的に整備すべきとまで判断されない区域が含まれる場合には当該区域を除外する等の見直しも有り得るとし、これまでの運用において、市街地開発事業の都市計画の見直しについてあまりにも慎重すぎたきらいもある」として、見直しについての観点が示されている。
  • イ 指針(案)を作成した趣旨について
    実施機関の説明によると、指針(案)は平成14年頃から埼玉県において検討されてきたものである。
    埼玉県において土地区画整理事業を施行すべき区域として都市計画決定されたが、事業化に至っていない地区(18市2町33地区(平成16年7月23日時点)。以下「未着手地区」という。)について、都市計画決定から30年以上経過しており、都市計画決定後、急激な市街化の進行による宅地の細分化などにより土地区画整理事業が難しくなっている地区や、民間の宅地開発等により一定の整備水準に達したと認められる地区もある。このことから、土地区画整理事業については、各市町の判断で行っていくべき自治事務であるが、各市町が事業をより進めやすくするため、指針(案)を作成して示した。指針(案)は、例えば、土地区画整理事業を施行すべき区域の中に民間開発等が行われて区画整理を行ったと同様の水準の区域が既にあった場合、その区域を都市計画区域から除外し、土地区画整理事業を施行すべき区域から除外した土地区画整理事業を行う考え方を示したものである。各市町の個々の土地区画整理事業について、県は土地区画整理事業の認可をする立場ではあるが、あくまで認可の基準を満たしているかどうかについての審査に限られるものであって、どのように土地区画整理を進めていくかは、あくまで各市町で自主的に決めるものである。
  • ウ 指針(案)を作成した経緯について
    実施機関の説明によると、指針(案)を作成した当時の担当者の話では、東京都が作成した指針を参考にしたとのことであり、指針(案)で示している基準の数値等は、建築確認、開発許可、区画整理事業認可等で許認可等の基準となっている数値等である。したがって、指針(案)の内容は、東京都の指針を参考にしたものの、それ以外に参考とした具体的な資料データがあるわけではない。指針(案)の作成に関して、会議等で関係する市町に意見を募ったり、状況の調査を行ったりしたが、特に指針(案)の内容を改訂するような意見はなく、指針(案)はほぼ改定されずに今日に至っている。県としては、さらに指針(案)で規定された内容について、各市町で活用しやすいようにするために、土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)運用方針を作成し、各市町に通知した。
    なお、東京都が作成した指針については、当時の担当者が入手したはずであるが、共用文書としてファイリングされておらず、その後の担当者にも引き継がれていないので廃棄されたものと思われ、現在保有していない。
    以上のとおり、実施機関からの説明を受け、当審査会で「都市計画運用指針」、東京都の指針である「周辺区部における土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のためのガイドライン 平成14年3月 東京都都市計画局」を取り寄せて内容を確認したが、実施機関の説明に特に不合理な点は見当たらなかった。

(3) 対象文書の特定について

ア 実施機関の説明
当審査会から実施機関(市街地整備課)に対象文書をどのように検索し、特定したのかについて説明を求めたところ、以下のとおりであった。
平成14年度から平成19年6月までの文書管理台帳を確認したところ次の文書の件名が確認された。

  • (1) 「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)に係る会議の開催について」(平成14年度 保存年限3年)
  • (2) 「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)に係る会議(第3回)の開催について」(平成14年度 保存年限3年)
  • (3) 「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)に係る地区について(照会)」(平成16年度 保存年限1年)
  • (4) 「土地区画整理事業未着手施行区域に係る個別相談会について(通知)」(平成16年度 保存年限1年)

確認された4件の文書については、いずれも保存年限を経過しており、文書がファイリングされていた個別フォルダーはすでに廃棄していた。
次に、市街地整備課企画・調整担当(平成17年度までは事業調整担当)の職員が前任者から引き継いでいるドッチファイルの中を確認したところ、上記(3)及び(4)の文書と文書管理台帳に記載のない「土地区画整理事業を施行すべき区域の市街地整備のための指針(案)の運用方針を定めることについて」が綴られているのを発見し、これら3文書を特定し、開示決定を行った。

イ 当審査会での確認

上記実施機関の説明に関して、実施機関に対して平成14年度以降の文書管理台帳及びファイル基準表を提出させるとともに、現在の担当者が前任者から引き継いでいるドッチファイルを提示させ、その内容を確認した。
文書管理台帳に上記の4文書の件名が確認され、それ以外に本件開示請求に関係する可能性があると認められる件名の文書は見当たらなかった。
次に、ファイル基準表を確認したところ、指針(案)の担当である企画・調整担当(又は、事業調整担当)が使用する個別フォルダーは、第1ガイド(大分類)の「企画・調整」(又は、「事業調整」)に位置づけられるものであり、そのいずれの個別フォルダーも個別の区画整理の事業名等が入ったものだけであった。実施機関の説明によると、一般的な通知、照会、報告等の文書については主に土地区画整理担当が使用している第1ガイド(大分類)の「区画整理全般(公共区画)」又は「区画整理全般」に位置づけられる個別フォルダーを共用しているとのことであった。
実施機関の説明については、当審査会で文書管理台帳、ファイル基準表及び対象文書を確認したところ特に不自然な点は見当たらなかった。なお、対象文書については、「区画整理全般(公共区画)」及び「区画整理全般」中の個別フォルダーにファイリングされていたことが回議・合議書(起案用紙)の記載から確認された。

(4) 結論

以上のことから、実施機関が特定した対象文書以外に文書を実施機関が保有していないことについて、特に不自然な点は見当たらず、本件開示決定で実施機関が3文書を対象文書として特定したことについて不合理な点は認められない。
なお、異議申立人は、本件開示決定から離れて異議申立人が関与している土地区画整理事業に関して説明を要求するほか、情報公開制度や異議申立制度に対する主張を行っているが、これらの主張は、当審査会の判断に影響を与えるものではない。

(5) 公文書の管理について

公文書の管理については、条例第30条で「実施機関は、この条例の適正かつ円滑な運用に資するため、公文書を適正に管理する」ものとし、また、埼玉県文書管理規則は、文書等の管理の原則として「文書等は、正確かつ迅速丁寧に取り扱い、常にその処理の経過を明らかにしておき、適正に管理しなければならない。」(同規則第3条)としている。
しかし、実施機関の公文書の管理については、(1)保存年限を経過した文書について廃棄したか引き続き保存しているか明らかでない、また、(2)指針(案)は長期間保存されるべきものであり、現に平成16年度に関係市町村に通知して以来保存しているものであるが、実施機関は1年保存文書として整理していたなど、適正に文書管理が行われているとは言い難い状況にある。当審査会としては、実施機関に対して、今後、適正な公文書の管理が徹底されることを強く望むものである。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
飯塚英明、野口貴公美、松村雅生

審議の経過

年月日

内容

平成19年9月21日

諮問を受ける(諮問第147号)

平成19年11月2日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成19年11月26日

実施機関説明及び審議(第一部会第28回審査会)

平成19年11月28日

異議申立人から書面を受理

平成20年1月8日

異議申立人の口頭意見陳述及び審議(第一部会第29回審査会)

平成20年2月8日

実施機関説明及び審議(第一部会第30回審査会)

平成20年3月7日

審議(第一部会第31回審査会)

平成20年4月23日

審議(第一部会第32回審査会)

平成20年5月23日

審議(第一部会第33回審査会)

平成20年6月27日

答申(答申第130号)

お問い合わせ

総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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