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掲載日:2024年4月2日
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答申第136号(諮問第159号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成20年3月31日付けで行った、「平成18年度公衆衛生事業功労者知事表彰について」(平成18年10月5日決裁 保政第669号)(以下「対象文書1」という。)及び「公衆衛生事業功労者調書(個人用)」(以下「対象文書2」という。)を部分開示とした決定(以下「本件処分」という。)のうち、特定個人の「推薦事項」、「主な公衆衛生上の貢献事項」、「従事年月」及び「職業」は開示すべきである。
2 異議申立て及び審議の経過
(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成20年3月19日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「2006年埼玉県知事表彰・公衆衛生事業功労者のうち、特定個人の表彰に関する一切の文書」についての開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。
(2) これに対し、実施機関は、本件開示請求に係る公文書について3文書を特定し、うち1文書を開示決定とし、残りの2文書(「対象文書1」及び「対象文書2」)のうち、「職業」「従事年月」「年齢」「推薦事項」「主な公衆衛生上の貢献事項」等について、条例第10条第1号に該当することを理由に、平成20年3月31日付けで公文書部分開示決定を行い、申立人に通知した。
(3) 申立人は、平成20年5月30日付けで、実施機関に対し、本件処分について、不開示とされた部分の開示を求める異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成20年7月1日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会は、実施機関から、平成20年7月28日に「開示決定等理由説明書」(以下「理由説明書」という。)の提出を受けた。また、平成20年9月19日に、実施機関から意見聴取を行った。
(6) 当審査会は、申立人から、平成20年10月31日付けで反論書及び陳述書を、平成20年11月19日付けで反論補充書の提出を受けた。また、平成20年11月21日に申立人の口頭意見陳述を聴取した。
3 申立人の主張の要旨
申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。
(1) 対象文書2の特定個人の「職業」は既に開示されている。これは、当該情報が「公衆衛生事業功労者」という性質を有することから、もはや、プライバシーを保護する理由がないからである。つまり、「公衆衛生」とは「集団の健康の分析に基づく地域全体への脅威を扱う」ものであるところ、「医師」を不可欠とするからである。
不開示となっている対象文書1の特定個人の職業の欄についても確認の意味で開示を求める。
(2) 「医師」として「従事」した「年月」は、医師としての経験・実績に直接関連することであり、「公衆衛生」の「功労」そのものの判断に関連する。
実施機関は、対象文書1の中で、被表彰者の推薦基準として「従事年数」及び「年齢」の要件を明らかにし、特定個人の場合、医師として、従事年数が「10年以上」必要で「50歳以上」であることが要件となっているが、当該表彰が適切に行われているかどうかを知るためにも、特定個人の「従事年月」「年齢」について開示を求める。
(3) 「推薦事項」は条例第10条第1号イの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に含まれる、と考える。
まず、埼玉県は、「情報公開事務の手引」で「知事表彰等被表彰者名簿、受賞者名簿」を公開することをあげているが(12ページ)、「推薦事項」はその表彰者の表彰が適正かどうかの、つまりは公務の適正さを担保する資料になり得るので、慣行として公にされるべきものに含まれる。
また、「公にすることが予定されている情報」、つまりは、公開の場所での表彰である。そうである以上、「推薦事項」及び「主な公衆衛生上の貢献事項」は開示すべき事項にあたる。
対象文書2の「推薦事項」は、条例第10条第1号ロに該当する。仮に「推薦事項」が「個人識別情報」に該当する場合であっても、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当する。
「公衆衛生事業功労者に対する知事表彰」における特定個人の「推薦事項」は、「プライバシー」が有する「いわゆる私事性」、つまり、一般人の普通の考え方(感受性)を基準として、人には知られたくない性質のものではない。むしろ、「公衆衛生事業功労者に対する知事表彰」に関する「推薦事項」であることから、社会(不特定多数の人々)に対して、広く広報され、褒められこそすれ、決して、非難されるべきものではない。むしろ、ことがらの性質上、「公表」は予定されていると言ってもいいものである。
つまり、「推薦事項」は、「極めて個人的な性格が強いもの」ではなく、「社会的性格が強い」ものということになるので、当然開示しなければならない。
特に、「公衆衛生事業功労者に対する知事表彰」が適正に実施されているかどうかのチェックを考えた場合、「推薦事項」は、その適正のチェックの確信をなす事項である。
(4) 「主な公衆衛生上の貢献事項」については、ここでも「推薦事項」で主張したことがそのままあてはまる。
すなわち、「個人識別性」においても、「優越的公益」についても、埼玉県の主張は、誤っている。特に、ここでいう特定個人の「主な公衆衛生上の貢献事項」が、「公衆衛生事業功労者に対する知事表彰」に関する「推薦事項」の実質的根拠となる事項であることから、「極めて個人的な性格が強いもの」ではなく、「社会的性格が強い」ものであるということ、また、「公衆衛生事業功労者に対する知事表彰」が、適正に実施されているかどうかのチェックを考えた場合、「推薦事項」と同様に、その適正のチェックの確信をなす事項であることから、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当する、というべきである。
(5) 申立人は、本件において、いわゆる「全面開示」を求めているものではない。すなわち、申立人は、本件において、「公衆衛生事業功労者に対する知事表彰」が公正に実施されたかどうかの範囲において開示を求めているわけであり、税金を払っている県民として当然の権利である。
4 実施機関の主張の要旨
実施機関が主張している内容は、おおむね次のとおりである。
(1)「従事年月」「性別」「生年月日」「年齢」「住所」「職業」について
これらの情報は、いずれも被表彰者に関する情報であって、「従事年月」とは、被表彰者が公衆衛生事業に従事した年月数であり、特定の個人に関する情報であって、個人を識別することができる情報であることから、条例第10条第1号本文に該当する。
また、同号ただし書については、いずれの情報も法令又は慣行で公になっているものではなく、公にすることが予定されている情報でもないため、同号ただし書イに該当せず、人の生命、健康、生活又は財産を保護するために開示することが必要であるという事情も存在しないことから、同号ただし書ロにも該当せず、さらに、これらの情報は公務員等の職及び当該職務遂行の内容にも該当しないので、同号ただし書ハにも該当しない。
(2)「推薦事項」について
当該情報は、特定個人の所属する団体より提出された特定個人の「公衆衛生事業功労者調書(個人用)」の記載欄に書かれた特定個人の「推薦事項」であって、記載内容は特定個人の功績及び経歴が記載されていることから、特定の個人に関する情報であって、個人を識別することができる情報であり、条例第10条第1号本文に該当する。また、(1)と同様に同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しない。
(3)「主な公衆衛生上の貢献事項」について
当該情報は、特定個人の所属する団体より提出された特定個人の「公衆衛生事業功労者調書(個人用)」の記載欄に書かれた特定個人の「主な公衆衛生上の貢献事項」であって、記載内容は(2)と同様に個人の功績及び経歴が記載されていることから、特定の個人に関する情報であって、個人を識別することができる情報であり、条例第10条第1号本文に該当する。また、(2)と同様に同号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しない。
5 審査会の判断
(1)本件対象文書について
公衆衛生事業功労者知事表彰とは、公衆衛生事業のために献身的活動を続け、その功績が顕著である者を規定に基づき知事表彰するものであり、関係各団体・市町村等が県に候補者を推薦し(推薦調書を提出)、県が候補者要件を審査し、被表彰者の決定を行っている。
(2)本件異議申立ての趣旨について
申立人は、異議申立書において「本件処分の不開示部分の開示を求めます」としているが、当審査会が口頭意見聴取の際、申立ての趣旨について確認したところ、不開示部分全てを開示することを求めているのではなく、対象文書1の「公衆衛生事業功労者(個人)」と題する一覧表の特定個人の「年齢」「職業」「従事年月」の部分、及び対象文書2の「従事年月」「年齢」「推薦事項」「主な公衆衛生上の貢献事項」の部分についての開示を求めるものであるとのことであった。
このため、当審査会では、申立人が開示を求めているこれらの部分について、以下検討することとする。
(3)条例第10条第1号の該当性について
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
加々美光子、城口美恵子、山口道昭
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成20年7月1日 |
諮問を受ける(諮問第159号) |
平成20年7月28日 |
実施機関より開示決定等理由説明書を受理 |
平成20年8月18日 |
審議(第三部会第41回審査会) |
平成20年9月19日 |
実施機関から意見聴取及び審議(第三部会第42回審査会) |
平成20年10月20日 |
審議(第三部会第43回審査会) |
平成20年10月31日 |
異議申立人から反論書及び陳述書を受理 |
平成20年11月19日 |
異議申立人から反論補充書を受理 |
平成20年11月21日 |
異議申立人の口頭意見陳述及び審議(第三部会第44回審査会) |
平成20年12月15日 |
審議(第三部会第45回審査会) |
平成20年12月24日 |
答申(答申第136号) |
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