埼玉県四半期経営動向調査(令和7年4~6月期)
埼玉県では、県内中小企業2,200社を対象に四半期ごとに経営動向調査を実施しています。このほど、令和7年4~6月期(調査日:令和7年6月1日時点)の調査結果を取りまとめました。
今回は、景況感等に関する定例の調査に加えて、「雇用者数の過不足感」、「サーキュラーエコノミーの認知度や取組状況等」及び「DXに向けた取組状況」についても調査しました。
調査結果のポイント
県内中小企業の景況感
県内中小企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏み感がみられる。
先行きについては、改善の動きがみられる。
アンケート結果
- 景況感DI*は、▲44.7と、前期比で3.9ポイント減少し、2期連続悪化した。
*調査対象企業に自社が属する業界の景況感を調査し、「好況である」と回答した企業割合から「不況である」と回答した企業割合を差し引いた指数。
- 業種別では、製造業、非製造業ともに2期連続悪化した。
- 製造業では「食料品製造」「鉄鋼業・非鉄金属」の2業種が改善し、「化学工業」「プラスチック製品」等の10業種は悪化した。
非非製造業では「飲食店」「運輸業」の2業種が改善し、「建設業」「不動産業」等の5業種は悪化した。
- 売上げDI及び採算DIは2期ぶりに改善し、資金繰りDIは3期ぶりに悪化した。また、設備投資実施率は2期ぶりに増加した。
- 来期(7~9月期)の先行きDIは、▲24.7と、前期比で7.3ポイント減少し、2期ぶりに悪化した。
景況感DIの推移
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当期DI
(R7.4-6)
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前期比
(R7.1-3)
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前年同期比
(R6.4-6)
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来期見通しDI
(R7.7-9の見通し)
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前期比
(R7.4-6の見通し)
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全体 |
-44.7 |
-3.9 |
-1.6 |
-24.7 |
-7.3 |
製造業 |
-49.8 |
-2.9
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+1.0 |
-27.3 |
-8.5 |
非製造業 |
-40.7 |
-4.6 |
-3.3 |
-22.7 |
-6.4 |
ヒアリング企業の声
- 業界の景気について、企業からは、「米国関税政策の影響により、受注案件が保留となっており、不況である。」(一般機械器具)、「コストが上昇している一方で、荷主からの条件も厳しく不況である。」(運輸業)、「大手ゼネコンは好調と発表しているが、下請けには実感がない。」(建設業)などの声が聞かれた。
- 先行きについては、「米国関税政策の影響で、生産予定が見えてこないため、先行きは不透明である。」(金属製品)、「物価の上昇は消費マインドの低下につながるため、販売量が落ち込むのではないかと懸念している。」(小売業)などの声が聞かれた。
特別調査結果
雇用者数の過不足感について
- 雇用者数の過不足感について聞いたところ、「適正」の回答割合が60.0%と最も高かった。また、5年連続で「不足」が「過剰」を上回った。
- 前回調査(令和6年4~6月期)と比べ、「不足」は0.1ポイント減少し、「過剰」は0.1ポイント増加した。
- 今後の雇用者数の見込みは、「ほぼ増減なし」が73.0%、「増加見込み」が15.4%、「減少見込み」が11.6%であった。
サーキュラーエコノミーの認知度や取組状況等について
- サーキュラーエコノミーについて、「取り組んでいる」と回答した企業の割合は9.2%、「関心はあるが取組に至っていない」が17.0%、「聞いたことはあるが、関心はない」が13.7%、「聞いたことがなく、関心がない」が30.1%、「分からない」が30.0%であった。
- 取り組んだ又は関心を持ったきっかけについては、「社会貢献活動の一環として」(55.3%)が最も多く、次いで「企業価値の向上のため」(48.6%)、「コスト削減や効率化」(43.8%)の順となった。
- 県に期待する支援については、「先進事例の紹介」(44.5%)が最も多く、次いで「施設整備や販路拡大等に係る資金繰りや助成等」(26.3%)、「最新情報の提供やセミナーの開催」(24.0%)の順となった。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取組状況について
- DXへの取組状況については、「取り組んでいる」と「ある程度は取り組んでいる」を合わせると53.7%となった。
- DXに取り組んでいる項目については、「ペーパーレス化」(66.0%)が最も多く、次いで「「受発注管理」「販売管理」「在庫管理」「会計」など基幹システムの構築・導入」(50.3%)、「WEB会議システム(ZOOMなど)の活用による情報共有・コミュニケーションの効率化」(50.1%)の順となった。
- DXに取り組む上での課題については、「資金の余裕がない」(37.1%)が最も多く、次いで「DXを担う人材がいない」(36.6%)、「何をどう進めていいか分からない」(23.7%)の順となった。
- 県に期待する支援については、「資金繰り・助成」(38.2%)が最も多く、次いで「先進事例の紹介」(27.1%)、「人材の育成・供給」(17.7%)の順となった。
報告書
アンケート調査集計表(Excel形式)
時系列データ(Excel形式)