埼玉県四半期経営動向調査(令和4年4~6月期)
埼玉県は、県内中小企業2,200社を対象に四半期ごとに経営動向調査を実施しています。このほど、令和4年4~6月期(調査日:令和4年6月1日時点)の調査結果を取りまとめました。
今回は、景況感等に関する定例の調査に加えて、「新型コロナウイルス感染症の影響」「雇用者数の過不足感」、「原油・原材料価格高騰の影響」、「債務の過剰感」、「DXへの取組状況」についても調査しました。
調査結果のポイント
県内中小企業の景況感
県内中小企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏み感がみられる
先行きについては、慎重さがみられる
アンケート結果
- 景況感DI*は、▲48.1と、前期比で6.4ポイント増加し、2期ぶりに改善した。
* 調査対象企業に自社が属する業界の景況感を調査。「好況である」-「不況である」の企業割合。
- 製造業、非製造業ともに2期ぶりに改善した。
- 製造業では「家具・装備品」「化学工業」「鉄鋼業・非鉄金属」「電気機械器具」の4業種が悪化し、それ以外の8業種は改善した。非製造業では「建設業」が悪化し、それ以外の6業種は改善した。特に、「飲食店」は前期比で33.2ポイント増加した。
- 売上げDI、資金繰りDI及び採算DIは2期ぶりに改善し、設備投資実施率は2期ぶりに増加した。
- 7~9月期の先行きDIは、▲20.4で、前回調査比で0.8ポイント増加し、2期ぶりに改善した。
景況感DIの推移
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当期DI
(R4.4-6)
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前期比
(R4.1-3)
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前年同期比
(R3.4-6)
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来期見通しDI
(R4.7-9の見通し)
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前期比(前回調査)
(R4.4-6の見通し)
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全体 |
▲48.1 |
+6.4 |
+9.7 |
▲20.4 |
+0.8 |
製造業 |
▲49.6 |
+2.0 |
+5.3 |
▲22.1 |
▲4.0 |
非製造業 |
▲47.1 |
+9.6 |
+13.0 |
▲19.2 |
+4.3 |
ヒアリング企業の声
- 業界の景気について、企業からは「半導体製造装置向けの需要が継続しており、好況である。」(一般機械器具)、「自動車メーカーの減産が続いており、不況である。」(輸送用機械器具)、「昨年に比べれば回復の兆しはあるものの、コロナ禍前ほどではない。」(百貨店)などの声が聞かれた。
- 先行きについては、「感染症の収束次第だが、良い方向に向かうとみられる。」(旅行業)、「受注は安定しているが、小麦やエネルギー価格高騰の影響が大きく、どちらともいえない。」(食料品製造)、「鋼材価格高騰が続いており、悪い方向に向かうとみている。」(銑鉄鋳物)などの声が聞かれた。
特別調査結果
新型コロナウイルス感染症の影響について
- 新型コロナウイルス感染症の経営への影響について、「マイナスの影響が続いている」の回答割合が53.8%で、前回調査(令和4年1~3月期)から4.8ポイント減少した。
- 「影響はあったが、既にコロナ前の水準に回復」の回答割合は11.6%で、前回調査から3.0ポイント増加した。
雇用者数の過不足感
- 雇用者数の過不足感について聞いたところ、「適正」の回答割合が61.2%と最も高かった。また、2年連続で「不足」が「過剰」を上回った。
- 前回調査(令和3年4~6月期)と比べ、「不足」は9.7ポイント増加し、「過剰」は4.2ポイント減少した。
- 今後の雇用者数の見込みは、「ほぼ増減なし」が72.0%、「増加見込み」が17.8%、「減少見込み」が10.2%であった。
原油・原材料価格高騰の影響
- エネルギーコストがコロナ前と比べて増加したと答えた企業の割合は88.7%、原材料価格がコロナ前と比べて増加したと答えた企業の割合は86.3%であった。
- 原油・原材料価格高騰の業績への影響について、既にマイナスの影響が出ている企業の割合は70.0%であった。
- 原油・原材料価格高騰への対応(実施又は実施予定)について聞いたところ、「販売価格への転嫁」(54.1%)が最も多かったが、このうち、「ほぼすべて転嫁できている」は16.2%、「一部転嫁できている」は68.6%、「全く転嫁できない」は13.9%であった。
債務の過剰感
- 債務の過剰感について聞いたところ、「コロナ後に過剰となった」の回答割合は26.8%、「コロナ前から過剰感があった」の回答割合は13.0%であった。
- 「コロナ後に過剰となった」、「コロナ前から過剰感があった」と回答した企業に、今後の返済の見通しについて聞いたところ、「条件通り、返済できる(している)」は58.5%、「借換えや追加融資を検討している」は23.8%、「返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」は16.1%であった。
DXへの取組状況
- DXへの取組状況は、「取り組んでいる」が19.1%で、前回調査(令和3年4~6月期)から6.7ポイント増加した。
- DXに取り組んでいる項目は、「ホームページ・SNSなど情報発信」(74.3%)、「WEB会議システム(ZOOMなど)の活用による情報共有・コミュニケーションの効率化」(68.9%)、「テレワーク、クラウドサービスなど業務効率化」(56.4%)の順に多かった。
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