トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成16年度情報公開審査会答申 > 答申第42号 「捜査関係事項照会書及び回答書(所沢警察署(刑事第一課・刑事第二課)平成14年8月分)」の不開示決定(平成17年3月15日)
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掲載日:2018年1月29日
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答申第42号(諮問第41号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県警察本部長が、平成14年10月18日付けで、「捜査関係事項照会書及び回答書(所沢警察署(刑事第一課・刑事第二課)平成14年8月分)」(以下「本件文書」という。)は埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)の規定が適用されないとして不開示とした決定は妥当である。
2 審査請求及び審査の経緯
(1) 本件審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成14年10月4日、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)に対し、「捜査事項関係書(刑訴197条2項)を所沢市役所に請求した文書。自治体の回答書 所沢警察署(刑事一課、刑事二課)平成14年8月分」と公文書開示請求書に記載して請求を行った。(以下「本件請求」という。)
(2) 実施機関は、本件請求に対し、平成14年10月18日付けで、「開示請求された公文書については、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第53条の2に規定する訴訟に関する書類に該当することから、条例第34条によりこの条例の規定は適用されない。」という理由を付して、不開示決定を行い、請求人に通知した。
(3) 請求人は、平成14年10月25日付けの審査請求書により、実施機関の上級庁である埼玉県公安委員会(以下「審査庁」という。)に対し、不開示決定を取消し、部分開示とすべきであるとして審査請求を行った。
(4) 当審査会は、本件審査請求について平成15年1月29日付けで審査庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会の本件審査に際し、審査庁から平成16年7月28日付けの開示決定等理由説明書の提出を受けた。
(6) 当審査会は、平成16年11月24日に、実施機関の職員から意見聴取を行った。
3 審査請求人の主張の要旨
審査請求人が主張している要旨は、おおむね次のとおりである。
(1) 捜査関係事項照会書は刑訴法第197条第2項により、自治体に請求できる権利によって、自治体の所有する情報に対する任意の照会である。この文書は国籍、氏名、住所、生年月日等の個人の識別される部分のみが不開示であって、他の部分、例えば事件の内容の概略(逮捕、監禁、恐喝事件)等を明らかにすることが可能な文書である。
(2) 捜査機関がどのような内容で照会しているかは知る権利の対象であり、部分開示を求める。
4 実施機関の主張の要旨
審査請求に対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
(1)捜査関係事項照会書について
捜査関係事項照会書は、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第197条第2項「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」との規定に基づき、司法警察職員が犯罪の捜査にあたって照会が必要な場合に作成する文書であり、当該照会書により公務所等へ照会した結果、送付を受けたものが回答書である。
(2)訴訟に関する書類について
(3)本件文書が条例の適用除外とされることについて
埼玉県情報公開条例においても、「この条例の規定は、刑事訴訟法第53条の2に規定する訴訟に関する書類及び押収物については、適用しない。」(第34条)と情報公開法と同様に規定されているところであり、捜査関係事項照会書及び回答書も刑事訴訟法の規定する「訴訟に関する書類」として、条例の適用を受けないものとする。
5 審査会の判断
(1)条例第34条(適用除外)について
本条は、刑事訴訟法第53条の2に規定する訴訟に関する書類及び押収物については、公文書の開示とは別の制度にゆだねることが適当であることから、この条例の適用除外としたものである。
刑事訴訟法では、訴訟に関する書類は、原則として、公判の開廷前には公にしないこと(47条)、訴訟関係人に対する公判開始前後の訴訟関係書類及び押収物を含む証拠物の閲覧等が規定(第40条、第53条、第180条)され、訴訟終結後の訴訟記録の閲覧についても、刑事確定訴訟記録法(昭和62年法律第64号)により規定されており、その取扱い、開示・不開示の要件、刑事手続等が自己完結的に定められていると解されるためである。
(2)本件文書の条例第34条該当性について
本件請求内容の対象となる文書は、刑事訴訟法第197条第2項の規定に基づく文書であり、司法警察職員が犯罪の捜査にあたって公務所又は公私の団体に照会が必要な場合に作成する「捜査関係事項照会書」と、その照会に対する「回答書」である。したがって、本件文書は、類型として刑事訴訟法に基づく刑事訴訟手続における捜査活動の一環で作成・取得される文書であると認められる。このように、本件文書が刑事訴訟法に基づく捜査活動上の書類であることからすると、条例第34条の、刑事訴訟手続上の書類は公文書の開示制度とは別の、刑事訴訟法等における制度にゆだねるべきであるとする趣旨に照らし、実施機関が、本件文書は刑事訴訟法上に規定されている「訴訟に関する書類」に該当するとした判断は妥当であると認めるのが相当である。
よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(3)現行制度の課題について
刑事訴訟法第53条では、被告事件の終結後は何人も訴訟記録を閲覧することができるとし、この規定を受けて、刑事確定訴訟記録法は、訴訟記録の閲覧請求権等を定めている。しかしながら、刑事訴訟手続上の書類を個々に捉えてみた場合、単なる捜査資料にとどまり訴訟記録に編てつされないものがあるなど、必ずしも全ての書類について閲覧請求権等が認められているものとは言えず、刑事訴訟法第53条の2に規定されている「訴訟に関する書類」の範囲の判断に当たっては、厳格に運用される必要がある。
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成15年1月29日 |
諮問を受ける(諮問第41号) |
平成16年7月28日 |
審査庁より開示決定等理由説明書を受理 |
平成16年11月10日(第43回審査会) |
実施機関より意見聴取及び審議 |
平成16年11月24日(第44回審査会) |
審議 |
平成16年12月15日(第45回審査会) |
審議 |
平成17年1月24日(第47回審査会) |
審議 |
平成17年2月15日(第48回審査会) |
審議 |
平成17年3月15日 |
答申 |
氏名 |
現職 |
備考 |
---|---|---|
礒野 弥生 |
東京経済大学教授 |
|
遠藤 順子 |
弁護士 |
会長職務代理者 |
大橋 豊彦 |
尚美学園大学教授 |
会長 |
田村 泰俊 |
明治学院大学教授 |
|
野村 武司 |
獨協大学教授 |
|
馬橋 隆紀 |
弁護士 |
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