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掲載日:2023年12月8日

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答申第37号 「○○(株)の産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可申請書(平成15年度)」の部分開示決定(平成16年11月10日)

答申第37号(諮問第62号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成15年10月23日付けで行った、「○○(株)の産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可申請書(平成15年9月16日申請)」(以下「本件文書」という。)の部分開示決定は妥当である。

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成15年9月26日に埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づいて開示請求のあった本件文書を実施機関に提出した者である。

(2) 実施機関は、本件文書の開示請求について、別表1の情報を除いて部分開示決定を行うのが適当であると判断し、条例第17条第1項の規定に基づき、申立人に対し、平成15年10月6日付けの公文書開示決定等に係る意見照会書により意見書提出の機会を与えたところ、平成15年10月10日付けで申立人から開示に反対する旨の「公文書開示決定等に係る意見書」(以下「反対意見書」という。)が提出された。

(3) 実施機関は、申立人から反対意見書の提出を受けてもなお開示が適当と判断し、平成15年10月23日付けで、申立人に公文書開示決定に係る通知書を送付した。

(4) 申立人は、平成15年10月31日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件文書を開示すべきではないとして異議申立てを行った。

(5) 当審査会は、本件異議申立てについて平成15年11月4日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(6) 当審査会の本件審査に対し、実施機関から平成16年5月10日付けの「開示決定等理由説明書」の提出を、申立人から同年5月20日付けの「反論書」の提出を受けた。

3 申立人の主張の要旨

申立人は、本件文書を不開示とするよう求め、反対意見書において、その主な理由として以下の点をあげている。

  • ア 顧客との取引関係が妨害を受け悪化する。
  • イ 当社の計画ノウハウが社外に流出する。
  • ウ 個人情報が流出する。
  • エ 正当な理由なく不許可とする動きがある。

また、異議申立書においておおむね以下の主張をしている。

本件文書に係る事実関係において、不許可とするための反対運動が行われていることなど、今回の公文書開示について不安がある。また、住民の不安を取り除く事については丁寧に説明を行うとの姿勢は変わっていない。

さらに、反論書において以下の主張をしている。

本件文書について、処分庁の行った処分について、現在環境大臣に対して審査請求を行っている。また、本件文書に対して処分庁が現在も書類の差し替えを行っており、この様な不安定な状態での開示に反対である。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関の主たる開示理由は以下のとおりである。

(1) 申立人の主張する理由アについて
顧客との取引情報については、法人の事業に関する情報であり、この情報が同業者に明らかとなった場合、同業者との競争上不利な立場にたたされることは想定されるが、産業廃棄物処理業は、事業の性質上、事業運営方法の如何によっては周辺住民の生活環境や自然環境に悪影響を与えるおそれがある事業であり、その事業に係る情報は、周辺住民はもとより社会的関心が高い情報であること、また、取引情報を開示することにより、廃棄物処分業者及び排出事業者の責任を明確にし、処理過程の透明性を高め、産業廃棄物の適正処理の推進に資することが期待できることから、一般的な企業の取引先情報とは異なるものであると考えられる。
これらのことから、開示することで申立人に不利益が生じることがあったとしても、それは産業廃棄物処理事業者として受忍すべきものであり、条例第10条第2号に規定する「法人の正当な利益」を害するとまではいえない。

(2) 申立人の主張する理由イについて
本件文書は、産業廃棄物処理業に焼却業を追加したいという産業廃棄物処理業の変更許可申請書であることから、焼却業を行うための施設の内容が中心のものである。焼却施設の設置許可については、生活環境保全上の利害関係人(利害関係人の範囲に制限はない)に対して申請内容の周知を行うという趣旨から、平成10年6月17日以降、廃棄物処理法第15条第4項で公衆に申請内容の告示・縦覧が義務づけられている。
今回、開示決定を行った産業廃棄物処理業許可申請書は、焼却処理を行うための変更許可に係るものであり、告示・縦覧が義務づけられていないものの、一般的には、廃棄物処理法施行細則で定められている申請様式の添付書類一覧のとおり、縦覧に付される産業廃棄物処理施設設置許可申請書と同様の内容が記載されることから、開示することが相当との判断を行ったものである。したがって、条例第10条第2号に該当するものとは認められない。また、これまでも同様な請求があった場合は開示の決定を行っている。
なお、申請書に盛り込まれている焼却施設の内容(技術情報)が情報公開条例第10条第2号に当たるか否かを判断する必要があると考えられるが、申請書にある焼却施設はメーカーの市販品であり、特に変わったものではない。
このため、「計画ノウハウ」についても情報公開条例第10条第2号に該当するものはない。

(3) 申立人の主張する理由ウについて
個人情報は条例第10条第1号に該当するものとして非開示情報としていることから、事業者の反対には理由がない。

(4) 申立人の主張する理由エについて
そのような事実はない。また、そもそも不開示とすることには関係がない。

5 審査会の判断

(1) 本件文書について
本件文書は、事業者が産業廃棄物処分業の事業範囲を変更するために、廃棄物処理法第14条第2項の規定により実施機関に提出された文書である。本件文書は、申請書並びに申請書に添付された関係書類及び図面から構成されている。申請書には、申請者の住所、氏名、電話番号、印影、許可年月日及び許可番号、変更の内容、変更理由等が記載されている。また、関係書類として、事業概要、事業場の概要、処理施設、保管施設、経理的要件に関する書類、技術的能力を説明する書類が添付されている。
事業概要には、業種区分、取扱う産業廃棄物の種類、産業廃棄物処分業許可証(写)、産業廃棄物処理施設設置許可証(写)、産業廃棄物収集運搬業許可証(写)、取引内容、定款、申請者の登記簿謄本、役員等の身分を証明する書類、株主又は出資者の身分を証明する書類、申出書、従業員名簿が添付されている。処理施設には、処理工程フロー図、施設等一覧表、配置図、施設の概要、施設の図面、計算書等が記載されている。経理的要件に関する書類には、決算報告書、事業の開始に要する資金の総額及びその資金調達方法、経営診断報告書等が添付されている。技術的能力を説明する書類には焼却施設の技術的処理能力についての計算書や産業廃棄物処理業計画書審査結果における協議事項についての協議結果等が添付されている。

(2) 本件文書の条例第10条第2号該当性について
申立人の反対意見書の主旨は、本件文書が条例第10条第2号に該当するものであるというところにあると考えられるため、以下その点について検討する。

  • ア 条例第10条第2号は、「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより当該法人等又は個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」については、原則として開示しないと規定している。
    ここでいう「正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、法人等の生産技術、営業、販売上のノウハウ、経営方針、経理、人事等の情報で、公にすることにより、法人等の事業活動等が損なわれると認められるもの及び公にすることにより法人等の名誉が侵害され、又は社会的信用若しくは社会的評価が低下するものを広く含むものと解される。
    そして、「正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか否かの具体的な判断については、当該法人等の営む事業の性質や社会的影響、当該事業を規律する関係法令の規定等により総合的に判断すべきであると考える。
  • イ 申立人は、本件文書が開示されることで、顧客との取引関係が妨害を受け悪化すると主張しているため、本件文書に記載されている申請処分業者の取引内容に関する情報が、条例第10条第2号に該当するか否かを検討する。
    本件文書には、申請処分業者の取引内容として、引受先予定事業者(排出事業者)の名称、住所等、廃棄物の種類及び取扱量が記載されている。また、中間処理後の産業廃棄物の処分方法として、産業廃棄物の種類、処分の方法及び処分業者又は売却先の名称、住所、許可番号が記載されており、当該処分業者の産業廃棄物処分業許可証(写)が添付されている。
    一般には、法人等の営業にかかる情報及び取引先に係る情報は、これが同業者に明らかとなった場合、同業者との競争上不利な立場にたたされることが想定されることから、事業活動が害されるおそれがある情報であるといえる。
    しかしながら、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)は、廃棄物の処理及び取引に関わる処理の委託に関し、事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない(廃棄物処理法第3条第1項)と規定し、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、知事の許可を受けた収集運搬業者や処分業者に委託しなければならない(廃棄物処理法第12条第3項)と定めている。さらに、同法は、産業廃棄物の収集運搬業者及び処分業者について、産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない(同法第12条第3項)と定めている。さらに、同法は、産業廃棄物の収集運搬業者及び処分業者について、産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない(同法第14条第12項)と規定し、委託産業廃棄物について、排出事業者、産業廃棄物の収集運搬業者及び処分業者に対しても適正処理の義務及び責任を定めている。
    また、排出事業者、収集運搬業者、処分業者間の取引に伴う産業廃棄物の不適正な処理による社会的影響は大きく、産業廃棄物の処理に係る各事業者の責任を明確にし、適正処理を推進するためにも産業廃棄物処理に係る情報公開が求められているという事実を看過することはできない。産業廃棄物処理業は、事業の性質上、事業運営方法の如何によっては周辺住民の生活環境や自然環境に悪影響を与えるおそれがある事業であり、その分、周辺住民はもとより社会的な関心も高く、その事業に係る情報には強い透明性が求められる。県もまた、こうした事情をふまえ、産業廃棄物処理に係る情報の公開を積極的に進めていることは既知の事実である。
    上記のような産業廃棄物処理業の性質や廃棄物処理法の規定、当該業種をとりまく現在の社会状況、また、県の事業者情報に対する考え方等から総合的に判断すると、事業者情報は一般的な企業の取引先の情報とは異なるものであると考えられる。
    したがって、事業者情報を開示することにより申立人に不利益が生ずることがあったとしても、それは産業廃棄物処理事業者として受忍すべきものであり、条例第10条第2号本文に規定する「正当な利益」を害するとまでは言えないものと判断する。
  • ウ 次に、本件文書が開示されることで計画ノウハウが流出するとの申立人の主張について、条例第10条第2号に該当するか否かを検討する。
    本件文書には、焼却施設の処理工程フロー図や施設の図面、処理施設の説明書等が添付されているが、申立人には、本件文書に記載されている情報のどの部分が具体的に計画ノウハウに該当するかについての主張はない。
    さらに、産業廃棄物処理業の事業変更許可は、廃棄物処理法施行細則様式第10号に基づく申請書によりなされるが、同申請書に添付される処理施設についての書類は、処理工程、施設等一覧表及び施設の概要により構成されており、これらは、産業廃棄物処理施設設置許可申請書(廃棄物処理法施行細則様式第18号)に添付される処理施設についての書類と同様若しくは同等のものであることが認められる。
    産業廃棄物処理施設の設置許可については、平成10年6月17日以降、廃棄物処理法第15条第4項でその申請内容の公衆への告示・縦覧が義務づけられており、この規定の主旨を類推すると、処理施設の設置許可申請書に記載されている情報と内容的に同一の本件文書を開示することが適当であるとの実施機関の判断は、不合理であるとは言えない。
    以上のことから、本件文書が開示されることにより事業者の計画ノウハウが流出し、条例第10条第2号本文に規定する「正当な利益」を害するとまでは言えないものと判断する。
  • エ 申立人は、本件申請について正当な理由なく不許可とする動きがあることや反対運動が行われていることを反対意見や異議申立ての理由としてあげている。
    また、本件文書について処分庁の行った処分について、現在環境大臣に対して審査請求を行っており、本件文書に対して処分庁が現在も書類の差し替えを行っていることから、この様な不安定な状態での開示に反対であるとの主張をしている。
    しかしながら、これらの理由により、開示・不開示の判断が左右されるべきものとは言えず、条例第10条第2号本文に規定する「正当な利益」を害するとは認められない。

(3) 本件文書の個人情報該当性について
申立人は、本件文書が開示されることにより個人情報が流出すると主張しているが、個人の氏名等の個人情報については、条例第10条第1号に該当するため不開示としていることから、申立人の主張には理由がない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

別紙1

開示しない情報

その理由

  1. 法人等の代表者印影
  2. 役員の本籍地、住所、生年月日及び代表取締役の住所、生年月日
  3. 株主の氏名、住所、本籍地及び生年月日
  4. 役員等の身分を証明する書類
  5. 株主又は出資者の身分を証明する書類
  6. 従業員名簿
  7. 農地転用届出書における譲渡人の印影、土地賃借契約書における賃料職員及び賃借人の印影
  8. 経理的要件のうち、次の部分
    1. (1)施設の設置及び維持管理に要する資金の総額及びその資金の調達方法
    2. (2)決算報告書(貸借対照表を除く部分)、経理的基礎診断報告書及び法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類

印影は、法人の対外活動において重要な意義を有するものであって、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがある情報であり、埼玉県情報公開条例第10条第2号に該当するため。
個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、埼玉県情報公開条例第10条第1号に該当する。
同上
同上
同上
同上
同上
特定の法人の財務計画及び取引内容に関する事項であって、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがある情報であり、埼玉県情報公開条例第10条第2号に該当するため。 同上

審議の経過

年月日

内容

平成15年11月4日

諮問を受ける(諮問第62号)

平成16年5月10日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成16年5月20日

異議申立人より反論書を受理

平成16年8月6日(第39回審査会)

審議

平成16年8月20日(第40回審査会)

審議

平成16年10月1日(第41回審査会)

審議

平成16年10月15日(第42回審査会)

審議

平成16年11月10日

実施機関に答申

埼玉県情報公開審査会委員名簿(平成16年11月10日現在)

氏名

現職

備考

礒野 弥生

東京経済大学教授

 

遠藤 順子

弁護士

会長職務代理者

大橋 豊彦

尚美学園大学教授

会長

田村 泰俊

明治学院大学教授

 

野村 武司

獨協大学教授

 

馬橋 隆紀

弁護士

 

(五十音順)

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