トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成16年度情報公開審査会答申 > 答申第32号 「教育職員に係る係争中の争訟事件等の調査についてのうちの「様式9 懲戒処分一覧(3)(体罰に係るもの)」の部分公開決定(平成16年8月6日)
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掲載日:2024年3月26日
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答申第32号(諮問第26号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県教育委員会が平成10年10月5日付けで行った、教育職員に係る係争中の争訟事件等の調査について(平成10年9月18日決裁)のうちの「様式9 懲戒処分等一覧3(体罰に係るもの)」(以下「本件文書」という。)を部分公開とした決定は妥当である。
2 審査請求及び審査の経緯
(1) 本件不服申立人(以下「申立人」という。)は、平成10年9月21日、埼玉県行政情報公開条例(昭和57年埼玉県条例第67号。以下「旧条例」という。)第5条第1項の規定に基づき、埼玉県教育委員会委員長に対し「1997年度の『教育職員に係る係争中の争訟事件等の調査について』文部省への回答報告書のうち様式9(懲戒処分等一覧3体罰)」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2) 埼玉県教育委員会は、本件請求に対する行政情報を本件文書と特定した上で、平成10年10月5日付けで部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、申立人に通知した。
なお、公開しない行政情報及びその理由は、次のとおりである。
(3)申立人は、平成10年10月19日付けの異議申立書により、埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)に対し、部分公開決定により公開しない行政情報とされた部分について公開すべきであるとして、異議申立を行った。
(4)当審査会は、本件不服申立てについて平成14年3月26日付けで実施機関から埼玉県情報公開条例(平成12年埼玉県条例第77号。以下「新条例」という。)第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5)当審査会の本件審査に対し、実施機関から平成15年2月5日付けの開示決定等理由説明書の提出を受けたが、申立人から実施機関の当該説明書に対する反論書の提出は受けていない。
(6)当審査会は、平成16年2月16日に、実施機関の事務局である教育局の職員から事情聴取を行った。
なお、申立人は、当審査会に対する口頭による意見の陳述を求めていない。
3 申立人の主張の要旨
申立人は、公開しない行政情報とされた「教職経験年数」は、旧条例第6条第1項第1号に該当せず、教育委員会がなした本件決定は旧条例の理念と解釈を誤った違法・不当なものであり、本件決定は取り消されるべきであると主張している。
4 実施機関の主張の要旨
本件不服申立てに対する実施機関の主張の要旨は、次のとおりである。
(1) 旧条例第6条第1項第1号の該当性について
5 審査会の判断
(1) 答申するに当たっての適用条例について
新条例は平成13年4月1日に施行されたが、本件は旧条例に基づきなされた処分に対する不服申立てであるため、当審査会は、旧条例の規定に基づき本件不服申立ての検討を行う。
(2) 本件文書について
本件文書は、実施機関が教職員に係る係争中の争訟事件等の調査について旧文部省へ報告するための文書であり、体罰に係る教職員の懲戒処分等が記載されたものである。
(3) 旧条例第6条第1項第1号の該当性について
申立人は、本件決定で公開しない行政情報について、旧条例第6条第1項第1号本文に該当しないと主張しているので、この点について検討する。本号は、個人のプライバシーを最大限に保護するため、個人に関する情報の内容のいかんを問わず、特定の個人が識別され又識別され得る限りにおいて、当該情報を原則公開しないことができるとするものであるが、ここでいう「特定の個人が識別され、又は識別され得る」とは、当該情報から直接識別できる場合のほか、当該情報のみでは識別できないが、他の情報と組み合わせることにより特定の個人が識別され、又は識別され得る場合も含むものと解せられる。実施機関は、「教職経験年数」を公開すると、当該体罰事故の発生した学校の生徒や教師など一定の者は、記入要領を併せ用いることによって、当該教師を識別することができるので、本号本文に該当すると主張している。記入要領には、本件文書の記号の意味が記載されており、併せ用いることによって、体罰が行われた「場面」及び「場所」、「体罰の態様」、「被害の状況」が類これに加えて職員事故報告書においては、「発生時刻」、「事故発生場所」、「事故の概要」、「教師の職名」、「学校の対応」などが既に公開されているため、体罰事故を特定することが可能といえる。本件文書のうち、「懲戒処分の種類」、「担当教科」は、既に申立人に公開されており、これらの情報に加え、「教職経験年数」を公開すると、加害教諭の氏名を識別することができると考えられ、さらにその処分内容が明らかになると考えられる。したがって、かかる「教職経験年数」は、公開することによって、特定の教員の氏名が識別され、その職及び職務遂行内容が明らかとなることから、他の情報と組み合わせることにより特定の個人を識別され得る情報であり、旧条例第6条第1項第1号に該当する。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成14年3月26日 |
諮問を受ける(諮問第26号) |
平成15年2月5日 |
実施機関より開示決定等理由説明書を受理 |
平成16年1月27日 |
審議 |
平成16年2月16日(第32回審査会) |
実施機関より意見聴取及び審議 |
平成16年3月1日(第33回審査会) |
審議 |
平成16年4月21日(第35回審査会) |
審議 |
平成16年5月24日(第36回審査会) |
審議 |
平成16年6月14日(第37回審査会) |
審議 |
平成16年7月14日(第38回審査会) |
審議 |
平成16年8月6日 |
実施機関に答申 |
氏名 |
現職 |
備考 |
---|---|---|
礒野 弥生 |
東京経済大学教授 |
|
遠藤 順子 |
弁護士 |
会長職務代理者 |
大橋 豊彦 |
尚美学園大学教授 |
会長 |
田村 泰俊 |
明治学院大学教授 |
|
野村 武司 |
獨協大学教授 |
|
馬橋 隆紀 |
弁護士 |
|
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