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掲載日:2024年4月2日

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答申第34号 「報告事項等連絡票(平成14年12月16日付け)」外2件の部分開示決定(平成16年8月20日)

答申第34号(諮問第44号)

答申

1 審査会の結論
埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成15年1月10日付けで行った, 下記(1)及び(2)の公文書部分開示決定について、次のように答申する。

(1) 報告事項等連絡票(平成14年12月16日付け)(以下「本件文書1」という。)及び報告事項等連絡票(平成14年12月24日付け)(以下「本件文書2」という。)についての決定は妥当である。

(2) 相談事項等報告書(平成14年12月17日付け)(以下「本件文書3」という。)についての決定のうち、「追加説明内容」について、任意提供情報の記録であることを理由として、当該部分の全体を開示しない情報とした決定は妥当でない。
当該部分の開示については、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第10条各号に照らし、適切な判断を行うべきである。
なお、その余の部分を不開示とした決定は妥当である。

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成14年12月25日、条例第7条の規定に基づき、実施機関に対し、次の公文書の開示請求を行った。

  • ア ○○病院の問題について、県健康福祉部医療整備課担当者が同課長あて提出した報告書
  • イ 本庄保健所長が県に提出した○○病院に関する問題の報告書
  • ウ ○○病院に関するその他一切の問題資料

(2) 実施機関は、上記(1)アについては本件文書1及び2、同イについては本件文書3と特定し、ウについては該当する文書がないとした上で、平成15年1月10日付けで部分開示決定を行い、申立人に通知した。

(3) 実施機関は、開示しない情報及びその理由について、本件文書1について、開示しない情報を「相談等相手方、准看護師及び看護師の氏名及びその他個人を特定し得る部分」とし、その理由を「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当するため」とした。
また、本件文書2については、開示しない情報を「相談等相手方の氏その他個人を特定し得る部分」とし、その理由を「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当するため」とした。
なお、本件文書3については、開示しない情報を「調査相手方の氏名及びその他個人を特定し得る部分」として、その理由を「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当するため」とした部分と、開示しない情報を「追加説明内容」とし、その理由を「医療機関から公にしないとの条件で任意に取得した情報であって、公にしないとの条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるものであり、条例第10条第6号に該当するため」とした。

(4) 申立人は、平成15年3月13日付け異議申立書により、実施機関に対し、部分開示決定により開示しない情報とされた部分の開示を求め、不服申立を行った。

(5) 当審査会は、本件不服申立について、実施機関から平成15年4月4日付けで、条例第22条に基づき、諮問を受けた。

(6) 当審査会の本件に係る審査に際し、平成15年12月25日付けで実施機関から「開示決定等理由説明書」の提出を受けた。
申立人は、異議申立書では意見書の提出又は意見陳述の機会を求めたが、その後において、反論書の提出を行わず、口頭による意見陳述も行わなかった。

(7) 当審査会は、平成16年3月25日に、実施機関である医療整備課の職員から事情聴取を行った。

(8) 当審査会は、平成16年5月24日に、実施機関から資料の提出を受けるとともに、2回目の事情聴取を行った。

(9) 当審査会は、平成16年6月14日に、実施機関から資料の提出を受けるとともに、3回目の事情聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨
申立人は、本件文書を開示するよう求め、おおむね、次の2点について主張している。

(1) 相談事項等報告書に「決裁印」が全くない文書は、公文書ではありえない。

(2) 「て・に・を・は」等すらスミ消しでの開示は検閲そのものであり、憲法違反である。また、条例第3条 県の責務、第5条 民意の反映、第第10条 開示義務及び第12条 裁量的開示等に真っ向から違反している。

4 実施機関の主張の要旨
実施機関の主張は、次のとおりである。

(1) 本件文書1について、相談等相手方、准看護師及び看護師の氏名及びその他個人を特定し得る部分は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当するため不開示とした。

(2) 本件文書2については、相談等相手方の氏その他個人を特定し得る部分は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当するため不開示とした。 

(3) 本件文書3について、調査相手方の氏その他個人を特定し得る部分(下記(4)の「追加説明内容」の部分を除く。)は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号に該当するため不開示とした。

(4) 本件文書3について、「追加説明内容」の部分は、医療機関から公にしないとの条件で任意に取得した情報であって、公にしないとの条件を付することが当該情報の内容、性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるものであり、条例第10条第6号に該当するため不開示とした。
なお、本件調査は、権限に基づくものではなく、一般的な行政指導の一環としての調査になるものである。

(5) 申立人による、相談事項等報告書に決裁印がないとする主張については、医療整備課長の印影が薄かったため、コピーに写らなかったものである。

5 審査会の判断

(1)本件文書1及び2について

  • ア 本件文書1は、平成14年12月16日に実施機関の医療整備課職員により作成され、同課長まで回覧された文書である。
    紙面には、回覧のための押印欄、日付及・時刻、担当者及び標題(「相談事項等報告書」)があり、以下の表に件名、相談等相手方及び記事(相談等の要旨)の各欄があって、職員が○○病院に関する情報として電話を受け、その内容を整理・記載するとともに、本庄保健所あて対応を依頼する旨回答したこと及び本庄保健所への本件に関する連絡の際に入手した情報が記載されている。
    本件文書1中、実施機関が開示しなかった情報は、表の相談相手方の欄に記載された情報及び記事中の情報であって、これらの情報は、当審査会の審査によっても、明らかに特定の個人を識別することができるものであり、条例第10条第1号の個人に関する情報であると認めることができる。
  • イ 本件文書2は、平成14年12月24日に実施機関の医療整備課職員により作成され、同課長まで回覧された文書である。
    本件文書1と同様の記載型式となっており、職員が電話を受け、その内容を整理記載したものである。
    本件文書2中、実施機関が開示しなかった情報は、表の相談相手方の欄に記載された情報及び記事中の情報であって、これもまた当審査会の審査により、明らかに特定の個人を識別することができ、条例第10条第1号の個人に関する情報であると認めることができる。

(2) 本件文書3について

  • ア 本件文書3は、実施機関の説明では、本庄保健所において作成された文書で二葉からなっており、うち一葉は、平成14年12月17日付けで本庄保健所職員が○○病院に赴き、前日(平成14年12月16日)医療整備課から依頼(本件文書1記載のとおり)があった件について聴取した事項が記載され、他の一葉も同じ標題の同形式の文書であって、同日、本庄保健所職員が○○病院での聴取を終えて帰所後、来所した○○病院の者から追加説明を受けた内容等を記録したものである。
  • イ 両葉ともその形式は標題(「相談事項等報告書」)と表からなっており、表は、件名、調査日時、調査相手方及び対応者並びに記事を記入する欄によって構成されている。
  • ウ これら二葉の「相談事項等報告書」は、本庄保健所から医療整備課あて送付され、一葉目に医療整備課内の回覧のための押印欄が設けられ、「本庄hcより調査結果が提供されましたので回覧します。」と添書されて同課長まで回覧されている。
  • エ 本件文書3について申立人は、「決裁印」が全くない文書は、公文書ではあり得ないと主張している。公文書の意義は別にするとして、これは、二葉目の報告書上に一葉目と同様の回覧のための押印欄がないことをもって行われた主張と考えることができる。
    ところが、実施機関においては、この申立人の主張に対し、「相談事項等報告書に決裁印がないとする主張については、医療整備課長の印影が薄かったため、コピーに写らなかった。」とし、一葉目の押印欄の医療整備課長の印影について述べており、これら主張はかみ合っていない。
  • オ 次に、本件文書3中、実施機関が条例第10条第1号の個人に関する情報であるとして、その一葉目において開示しなかった情報は、表の調査相手方の欄に記載された病院名以外の情報及び記事中の情報である。また、二葉目においても実施機関は一葉目と同様の理由により、表の調査相手方の欄に記載された病院名以外の情報及び記事中の来所したものの情報について開示しなかった。
    これらの情報は、当審査会の審査により、特定の個人を識別することができるものであると認めることができる。

(3) 本件文書3中、追加説明内容について
実施機関は、二葉目の記録のうち追加説明内容とした部分を開示しないこととし、その理由を医療機関から公にしないとの条件で任意に取得した情報であって、公にしないとの条件を付することが当該情報の内容、性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるものであるとし、この情報は、条例第10条第6号の任意提供情報に該当するものであるためとした。
ここで、当該追加説明内容の全体が、条例第10条第6号の任意提供情報に該当するかについて検討する。

  • ア 実施機関は、この情報は、医療整備課からの依頼を受けて本庄保健所職員が○○病院に赴き、当該依頼事項に関して聴取して帰所した後、○○病院が保健所に来所した述べたことを記録したもので、○○病院から本庄保健所に対して任意に提供された情報であるとした。
  • イ 実施機関は、その提供の任意性の裏付けとして、本庄保健所による○○病院からの聴取は、一般的な行政指導の一環としての調査であるとし、当審査会における事情聴取においても、法令等の規定に基づく権限の行使ではなく、加えて、一般に医療機関等からこのような形で情報の提供を受けることも少なくなく、当該情報が公開される場合があることなど、提供者は前提としていないと考えられることもあり、行政との信頼関係の維持のため、任意提供情報として保護する必要があるとした。
    実施機関はこれらにより、当該追加説明内容部分を条例第10条第6号に規定する任意提供情報に該当するとしたものである。
  • ウ 当審査会は、ある情報が条例第10条第6号により保護すべき情報であるとするためには、条文の規定及びその解釈から、その情報が単に提供者から公にしないことを条件として任意に提供されたものであるということだけでは足らず、実施機関が提供者に対して情報の提供を要請し、提供者がそれに応じて公にしないとの条件を提示し、かつ、実施機関がこれを了解した上で提供されたものでなくてはならず、さらに、その情報を公にしないことが通例である場合に該当しなければならないと判断する。
  • エ したがって、実施機関の主張等によっては、これら要件を充足せず、本件追加説明内容を一括して任意提供情報として開示しないことは、条例第10条第6号の規定に照らして妥当とはいえず、その決定は取り消されなければならない。
  • オ なお、実施機関は、当該追加説明内容に記録された情報に、条例第10条各号(第6号を除く。)の不開示情報に当たるものが含まれていないか、その情報はいかなる情報であって、いかなる理由で条例の規定に合致するのかを改めて検証し、的確な開示を行うべきである。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

審議の経過

年月日

内容

平成15年4月4日

諮問を受ける(諮問第44号)

平成15年12月25日

諮問庁より開示決定等理由説明書を受理

平成16年3月25日(第34回審査会)

実施機関より意見聴取及び審議

平成16年5月24日(第36回審査会)

実施機関より意見聴取及び審議

平成16年6月14日(第37回審査会)

実施機関より意見聴取及び審議

平成16年7月14日(第38回審査会)

審議

平成16年8月6日(第39回審査会)

審議

平成16年8月20日

答申

埼玉県情報公開審査会委員名簿平成16年8月20日現在)

氏名

現職

備考

礒野 弥生

東京経済大学教授

 

遠藤 順子

弁護士

会長職務代理者

大橋 豊彦

尚美学園大学教授

会長

田村 泰俊

明治学院大学教授

 

野村 武司

獨協大学教授

 

馬橋 隆紀

弁護士

 

(五十音順)

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