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掲載日:2024年1月23日

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答申第41号 「○○(株)の産業廃棄物処理施設設置許可申請書(平成10年度)及び補足資料(平成15年度)」の部分開示決定(平成17年2月15日)

答申第41号(諮問第83号)

答申

1 審査会の結論

次の文書について、埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が、平成16年5月26日付けで行った部分開示決定は妥当である。

  • ア 産業廃棄物処理施設設置許可申請書(○○株式会社)(平成10年6月16日付)(以下「本件文書1」という。)
  • イ 産業廃棄物処理施設設置許可申請書の補足資料の提出(○○株式会社)(平成16年3月25日収受)(以下「本件文書2」という。)

2異議申立て及び審査の経緯

(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成16年4月12日に埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づいて開示請求のあった本件文書1及び2を実施機関に提出した者である。

(2) 実施機関は、本件文書1及び2の開示請求について、別表1の情報を除いて部分開示決定を行うのが適当であると判断し、条例第17条第1項の規定に基づき、申立人に対し、平成16年5月12日付けの公文書開示決定等に係る意見照会書により意見書提出の機会を与えたところ、平成16年5月20日付けで申立人から開示に反対する旨の「公文書開示決定等に係る意見書」(以下「反対意見書」という。)が提出された。

(3) 実施機関は、申立人から反対意見書の提出を受けてもなお開示が適当と判断し、平成16年5月26日付けで、申立人に公文書開示決定に係る通知書を送付した。

(4) 申立人は、平成16年6月9日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件文書1及び2を開示すべきではないとして異議申立てを行った。

(5) 当審査会は、本件異議申立てについて平成16年6月9日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(6) 当審査会の本件審査に対し、実施機関から平成16年8月10日付けの「開示決定等理由説明書」の提出を、申立人から同年9月2日付けの「反論書」の提出を受けた。

3 申立人の主張の要旨

申立人は、本件文書1及び2を不開示とするよう求め、異議申立書において、その主な理由として以下の点をあげている。

ア 開示決定に係る文書は、取引先業者や関係地主に迷惑をかけるおそれがある。

イ 当社のプライバシーに係る情報も含まれている。

ウ 産業廃棄物処理施設の設置許可取得後5年を経過しているにもかかわらず、当該許可について不許可とするために聴聞が開かれる等の異例な扱いを受けている。また、産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可申請が不許可処分となった件について、環境大臣に審査請求を行っている。この様な不安定な状態での開示に反対する。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関の主たる開示理由は以下のとおりである。

(1)申立人の主張する理由アについて

取引先業者情報は、法人の事業に関する情報であり、同情報が同業者に明らかとなった場合、同業者との競争上不利な立場にたたされることは想定されるが、産業廃棄物処理業は、事業の性質上、事業運営方法の如何によっては、周辺住民の生活環境や自然環境に悪影響を与えるおそれがある事業であり、その事業に係る情報は、周辺住民はもとより社会的関心が高い情報であること、また、取引先情報を開示することにより、廃棄物処分業者及び排出事業者の責任を明確にし、処理過程の透明性を高め、産業廃棄物の適正処理を推進に資することが期待できることから、一般的な企業の取引先情報とは異なるものであると考えられる。
これらのことから、開示することで申立人に不利益が生じることがあったとしても、それは産業廃棄物処理事業者として受忍すべきものであり、条例第10条第2号に規定する「法人の正当な利益」を害するとまでは言えないものと考えられる。また、関係地主については、土地使用承諾書を個人に関する情報とし、条例第10条第1号に該当するものとして非公開としているため、異議申立人の反対には理由がない。

(2)申立人の主張する理由イについて

取引先業者については、(1)のとおり、開示決定が妥当であると考える。
申請に係る行政書士の情報については、法人の取引内容として条例第10条第2号に該当として非開示としている。
さらに、事業者の役員等に係る個人情報についても、条例第10条第1号に該当するものとして非開示としていることから、この点についても事業者の反対には理由がない。

(3)申立人の主張する理由エについて

審査請求については、今回、部分開示を決定した文書に係るものではなく、この主張は今回の異議申立に係るものではない。また、当該文書を不開示とする理由には関係がない。

5 審査会の判断

(1)本件文書1及び2について

本件文書1は、事業者が産業廃棄物処理施設の設置許可申請を受けるために、事前に実施機関に提出した文書である。本件文書は、産業廃棄物処理施設設置等計画書並びに同計画書に添付された関係書類及び図面から構成されている。産業廃棄物処理施設設置等計画書には、施設の設置を計画する者の住所、氏名、施設の種類、処理する産業廃棄物の種類、設置場所、処理能力、処理方式等が記載されている。申請書に添付された関係書類は、施設計画書、維持管理計画書、埋立処分計画書及び災害防止計画書、処理工程図、付近の見取り図その他の書類から構成されており、その他の書類として、処理する産業廃棄物の種類、土地所有者一覧表、焼却装置の説明書、地主の使用承諾書、処分後の産業廃棄物の処理方法、処分業者の産業廃棄物受入承諾書及び産業廃棄物処分業許可証が添付されている。
本件文書2は、本件文書1の補足資料として、実施機関からの要請をうけ、事業者が実施機関に提出した文書であり、本件文書1と同様の関係書類に加え、施設の処理能力についての詳細な計算書や図面等の説明資料が添付されている。

(2) 本件文書1及び2の条例第10条第2号該当性について

申立人の反対意見書の趣旨は、本件文書1及び2が条例第10条第2号に該当するものであるというところにあると考えられるため、以下その点について検討する。

  • ア 条例第10条第2号は、「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより当該法人等又は個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」については、原則として開示しないと規定している。ここでいう「正当な利益を害するおそれがあるもの」とは、法人等の生産技術、営業、販売上のノウハウ、経営方針、経理、人事等の情報で、公にすることにより、法人等の事業活動等が損なわれると認められるもの及び公にすることにより法人等の名誉が侵害され、又は社会的信用若しくは社会的評価が低下するものを広く含むものと解される。
    そして、「正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当するか否かの具体的な判断については、当該法人等の営む事業の性質や社会的影響、当該事業を規律する関係法令の規定等により総合的に判断すべきであると考える。
  • イ 申立人は、本件文書1及び2が開示されることで、取引先業者に迷惑をかけるおそれがあることを反対理由として主張しているので、本件文書1及び2に記載されている事業者の取引先業者内容に関する情報が、条例第10条第2号に該当するか否かを検討する。
    本件文書1及び2には、事業者の取引先業者に関する情報として、中間処理後の産業廃棄物の種類、処分の方法及び処分業者の名称、処分地の所在地、電話番号、許可番号等が記載されており、当該処分業者の産業廃棄物受入承諾書及び産業廃棄物処分業許可証(写)等が添付されている。
    これらの情報は、取引先事業者がどのようなものを受け入れているか等の取引内容を示すものであるが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)」では、処分業者が処分場において上記情報を利害関係人の求めに応じて閲覧が義務づけられている(法15条の二の三)情報であって、事業者の秘密に属する情報ではない。どこから受け入れているかが明らかになることについては、取引先処分業者にとって、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」とはいえない。むしろ、排出業者、収集運搬業者、処分業者間の取引に伴う産業廃棄物の不適正な処理による社会的影響は大きく、処理すべき産業廃棄物の搬入元が明らかになっていることが、周辺住民の健康に悪影響を及ぼすおそれのある許可された廃棄物以外の廃棄物の搬入を排除し、適正処理を推進するために必要である。
    なお、産業廃棄物処理業は、事業の性質上、事業運営方法の如何によっては周辺住民の生活環境や自然環境に悪影響を与えるおそれがある事業であり、その分、周辺住民はもとより社会的な関心も高く、その事業に係る情報には強い透明性が求められる。県もまた、こうした事情をふまえ、産業廃棄物処理に係る情報の公開を積極的に進めていることは既知の事実である。上記のような産業廃棄物処理業の性質や、廃棄物処理法の規定、当該業種をとりまく現在の社会状況、また、県の事業者情報に対する考え方等から総合的に判断すると、事業者情報は一般的な企業の取引先の情報とは異なるものであると考えられる。
    したがって、事業者情報を開示することにより取引先処分事業者に不利益が生じることがあったとしても、それは産業廃棄物処理事業者として受忍すべきものであり、条例第10条第2号本文に規定する「正当な利益」を害するとまでは言えないものと判断する。
  • ウ 申立人は、本件文書1及び2に、当社のプライバシーに係わる事項が含まれていることを反対理由として主張している。それが、具体的に本件文書1及び2のどの部分に該当するかについての主張はなされておらず、また、法人についてプライバシーの主張をすることはできないが、事業者の企業秘密に属する情報を指すものと解することが相当であると考えられる。そこで、本件文書1及び2に記載されている情報が、企業秘密に属する情報として、条例第10条第2号に該当するか否かを検討する。
    本件文書1は、事業者が、廃棄物処理法第15条第1項の規定により、産業廃棄物処理施設の設置許可を受けるために平成10年6月16日付けで実施機関に申請した文書である。
    本件文書2は、本件文書1の補足資料として、実施機関からの要請をうけ、事業者が実施機関に提出した文書であり、本件文書1と同様の関係書類に加え、当該施設の処理能力についての詳細な計算書や図面等の説明資料が添付されている。処理能力の計算書及び図面等の説明資料について、特にノウハウのあるものという申立人による主張もなく、開示することで施設設計者の企業秘密を侵害するものではないと考えられる。
    産業廃棄物処理施設の設置許可については、平成10年6月17日以降、廃棄物処理法第15条第4項でその申請内容の公衆への告示・縦覧が義務づけられている。この規定の主旨を類推すると、本件文書に記載されている情報は、事業者の企業秘密に関する情報とはいえず、処理施設の設置許可申請書に記載されている情報と内容的に同一の本件文書1及び2が開示されることにより、条例第10条第2号本文に規定する「正当な利益」を害するとまでは言えないものと判断する。
  • エ 申立人は、産業廃棄物処理施設の設置許可取得後5年を経過しているにもかかわらず、当該許可を取り消す(申立人の主張では不許可)ために聴聞が開かれる等の異例な扱いを受けており、また、産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可申請が不許可となった件について環境大臣に審査請求を行っていることから、この様な不安定な状態での開示に反対であるとの主張をしている。
    しかしながら、これらの情報の公開が審査請求に影響を与えるとは言えないので、審査請求中であるという理由は、条例第10条第2号本文に規定する「正当な利益」を害する事由とは認められない

(3)関係地主に迷惑をかけるとの申立人の主張について

本件文書1及び2には、当該施設を設置する土地の所有者一覧表及び土地所有者の使用承諾書が添付されている。土地所有者の承諾書は、個人情報に該当するものとして不開示とされているものの、土地の所有者の氏名は開示とされているため、本件文書が開示されることで関係地主に迷惑をかけるとの申立人の主張について検討する。
土地の所有者に関する情報は、個人情報ではあるが、当該土地の所有者の氏名は不動産登記簿に記載されており、不動産登記法第21条の規定により何人でも知り得る状態におかれていて、条例第10条第1号ただし書イにより、不開示の例外となる情報である。
申立人は、関係地主に迷惑がかかることを、本件文書の開示に反対する理由としてあげているが、以上のとおりであるので、申立人の主張には理由がない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

別表1

審議の経過

開示しない情報

その理由

1 法人等の代表者の印影

印影は、法人の対外活動において重要な意義を有するものであって、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがある情報であり、埼玉県情報公開条例第10条第2号に該当するため。

2 申請に係る行政書士の氏名、住所、電話番号及び印影

特定の法人の取引内容に関する事項であって、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、埼玉県情報公開条例第10条第2号に該当するため。

3 個人の氏名及び印影

個人に関する情報であって、特定の個人が識別することができるものであり、埼玉県情報公開条例第10条第1号に該当するため。

4 法人の印鑑証明書

印影は、法人の対外活動において重要な意義を有するものであって、開示することにより当該法人の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがある情報であり、埼玉県情報公開条例第10条第2号に該当するため。

5 土地使用承諾書

個人に関する情報であって、特定の個人が識別することができるものであり、埼玉県情報公開条例第10条第1号に該当するため。

年月日

内容

平成16年6月9日

諮問を受ける(諮問第83号)

平成16年8月10日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成16年9月2日

異議申立人より反論書を受理

平成16年12月17日(第46回審査会)

審議

平成17年1月24日(第47回審査会)

審議

平成17年2月15日

答申

埼玉県情報公開審査会委員名簿(平成17年2月15日現在)

氏名

現職

備考

礒野 弥生

東京経済大学教授

 

遠藤 順子

弁護士

会長職務代理者

大橋 豊彦

尚美学園大学教授

会長

田村 泰俊

明治学院大学教授

 

野村 武司

獨協大学教授

 

馬橋 隆紀

弁護士

 

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