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掲載日:2022年12月27日

令和4年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(飯塚俊彦議員)

誇るべき本県の養蚕業について

Q   飯塚俊彦 議員(自民)

埼玉県北部地域は群馬県南部と境を接し、古くから養蚕業が盛んな地域であります。私の地元本庄市は、富岡製糸場と絹産業を支えた養蚕農家の建物が多くありました。児玉町小平地区では、屋根の上に温度と湿度を調整する小屋根が取り付けられた高窓の家と呼ばれる養蚕住宅が、現在でも数棟残っております。
また、本庄市児玉町には、埼玉県の有形文化財に指定されている競進社模範蚕室があります。これは蚕種の改良、そして養蚕飼育の指導等を行った由緒ある歴史的建物であります。この競進社は、木村九蔵先生が明治10年に児玉郡で周辺の若者たちと結成した養蚕改良競進社を始まりとしており、幾多の変遷を経て、過日統合が決まった県立児玉白楊高校に至っています。
日本国内ではほとんど知られていない話ですが、1990年前後までヨーロッパのファッション業界のシルク製品といえば日本産でした。生糸、絹糸、生地などの様々な形態で輸出され、エルメスのスカーフやネクタイ、英国王室御用達のクレッグのシルク傘、初期のジョルジオアルマーニなどヨーロッパのファッション業界の屋台骨を日本のシルク、養蚕業が支えていたのです。
しかし、皆さん御存じのとおり、養蚕は時代が進むにつれて衰退していきました。ナイロンの普及、輸入絹織物の増加、後継者不足や円高も重なり、絹製品の需要は落ち込みましした。これに伴い養蚕農家は次第に姿を消し、県内では11軒、本庄地域では3軒にまで減りました。
皆さんは、蚕が桑の葉を食べて成長して幼虫のときに繭を作り、その繭から絹糸を作り出しているということは御存じかと思います。その桑の栽培にもいろいろ難しいノウハウがあり、栽培に一番適しているのは小石が混じった土壌なんだそうです。これによって厚い桑の葉が育つとのこと。
また、お蚕の卵から生まれて繭を作り出すまでの飼育が非常に難しいということも御存じでしょうか。この過程、蚕がある程度大きくなるまでの飼育を専門的に行う施設として、稚蚕共同飼育所という施設があります。令和3年まで本庄市児玉町に本県唯一である金屋稚蚕共同飼育所が稼働し、養蚕農家の減少、高齢化の中で、本県の養蚕業を支えていました。
蚕の卵は極めて小さく、僅か1ミリしかないそうです。こんなに小さな生き物を孵化して、孵化を経て順調に生育させていくためには、相当な技術、技能を要するものと伺い、我が地元にこうしたすばらしい養蚕業があったことを改めて誇りに思います。
養蚕業や絹産業が往時の隆盛を取り戻すことは、現代の社会の中にあっては難しいことであると思います。しかし、地域の貴重な農業における財産として本県養蚕業のこうした技術について、いつの日か日本の絹産業が復活するために、有用なアーカイブとして後世にしっかりと残していく必要があるのではないでしょうか。
本県養蚕業の現在の状況及び県が行っている支援と併せて、本県養蚕業のアーカイブ化について、農林部長にお伺いいたします。

A   小畑幹 農林部長

現在、本県の養蚕農家数は11戸、繭の出荷量は3トンであり、出荷先のJA等で構成する埼玉県優良繭生産推進協議会を通じて、長野県の製糸会社に出荷しています。
県では、協議会への助言や、一般財団法人大日本蚕糸会の助成事業の活用の支援、繭の品質鑑定などを通じて養蚕業を支援しており、今後も、養蚕農家の皆様が安心して生産を続けられるよう取り組んでまいります。
また、アーカイブ化については、県が所有する養蚕の貴重な技術資料や用具、記録について、平成12年に、国内有数の製糸業者であった片倉工業株式会社に寄託する覚書を交わしました。
現在、これらの資料は片倉工業の熊谷工場跡地にある片倉シルク記念館で一括して保存・展示され、本県養蚕業と製糸業の歴史とともに、その技術について伝えています。
さらに、既に寄託している資料以外にも、桑の栽培管理や蚕の飼育技術を取りまとめた資料、飼育の映像・写真などを県で収集しています。
今後も、本県養蚕業への支援とともに、その技術を将来に引き継ぐことができるよう、養蚕業のアーカイブ化を進めてまいります。

再Q   飯塚俊彦 議員(自民)

この養蚕業なんですけれども、なぜ衰退してしまったのか、いろいろな時代背景がありました。その中で、先ほど教育長からもお話出ましたけれども、児玉の高校が統合されていくその中で、これからの先、児玉学というふうなものも取り入れていくというふうなお話が出ました。結局、その児玉学ということになると、その競進社であったり、この養蚕業という話にいやでも多分なります。ならざるを得ないと思う、歴史がそうしてきたんですからね。
その中で、やはり例えば新聞にあったんですけれども、NPO川越着物散歩とかというグループが着物の良さを皆さんにお話をする。そうすると、いろいろやっている中で、歴史的建造物の保存ですとか、維持管理ですとか、あとは鉄道とシルクは切り離せない関係だったとか、歴史的ないろんなものが出てくるわけです。
今、熊谷の片倉産業さんのところでシルクの関係を展示しているとはいうんですけれども、でも、さっき私が質問の中で言っていたように、小さいお蚕さんを育てていったりとかするという、その本当の現場での大変さ、そういうものをきちんと保管しておかないと、やはり次やりたいと、若い人たちが養蚕業やりたいといって移住してくる、そういうものも秩父なんかにもあります。
ですので、そういうところも踏まえて、県としてどのようにもっともっとPRをしていくのか。いかないと言われればそれまでですけれども、PRしていくのか。例えば、本庄には大正院に蚕蛹供養奉賛会という会があって、この大正院さんというところにお蚕の供養をする記念碑が百年も前から建っているんです。
そんなふうに我々の地域ではお蚕さんを大切にしながら、供養しながら、現代あるというところが大いにあるもんですから、もう少し県においても養蚕の関係に対してのアピールというか、PRというかをしてほしいと思うんですけれども、その辺、本当は各部局横断的にいろんなところも含めての話なので答えてほしいと思うんですが、その点、農林部長にお伺いさせていただきます。

再A   小畑幹 農林部長

まず、資料の記録ということでありますが、物の資料につきましては、先ほども申し上げました片倉シルク記念館で、年間を通じて無料で公開をされております。
そういった中で、地域の小学生の社会科見学等にも利用されており、養蚕の歴史を伝える場となってございます。
また、形に残らない技術等については、映像化するなどして、資料として収集をしてございます。
そういったものもまとめていきながら、本県養蚕業の歴史をホームページ等で紹介し、資料の貸し出しもしていきたいと考えております。
今後とも、本県養蚕業を広く県民に伝えられるようPRに努めてまいりたいと思います。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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