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掲載日:2022年12月27日

令和4年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(飯塚俊彦議員)

資源循環の取組について - サーキュラーエコノミーの推進について

Q   飯塚俊彦 議員(自民)

今回は、資源を循環させるという切り口から質問を始めたいと思います。
徳川幕府時代の江戸の町は、極めて高度な循環型社会であったといわれております。18世紀の江戸は人口100万人を数え、当時のロンドンやパリをしのぎ、世界一の人口を誇っていました。鎖国政策により資源の出入りがなく、化石燃料へ依存することのできなかった日本において、これだけの人口を支える経済活動を維持できた理由は、衣食住のあらゆる場面にリサイクル、リユースが浸透し、少ない資源を徹底して使い回す循環型社会の知恵と工夫にほかなりません。
近年、気候変動を背景に輸入化石燃料への依存を減らし、太陽光などの再生可能エネルギーの利活用を増やす取組が、私たちの日常に浸透しつつあります。これに加え、コロナ禍を経て危機管理の観点からサプライチェーンの海外依存を見直し、国内で調達できる仕組みの構築が各業界で模索されています。
さらに、ウクライナ侵攻に端を発する燃料、食料価格の上昇は、円安も相まって物価の高騰という形で私たちの暮らしを圧迫し続けております。10月の消費者物価指数上昇率は3.6%となり、実に40年8か月ぶりの伸びだそうです。安価な資源を外国から調達し、国内の消費型経済を維持するという長く続いた我が国の経済モデル自体が、大きな見直しを迫られております。
外国に依存した大量生産・大量消費型のライフスタイルを改め、国内調達、再生可能な原料・製品の割合を増やしていく、埼玉県がこのようなイノベーションの先駆けになってほしいという思いで質問をさせていただきます。
少し耳慣れない言葉かもしれませんが、近年、EUを中心にサーキュラーエコノミー、日本語に訳すと循環経済という概念が広まりを見せています。これは、使い終わった製品に手を加え、新しい製品の素材の一部とするリサイクルや修理、リユースにより長期間製品を活用できるようにすることなど循環利用を促進する経済活動のことで、廃棄物の発生や資源の採掘を抑制することができます。
サーキュラーエコノミーの考えに基づいた製品は、一度使用された後も価値を失うことなく再度使用されたり、回収して別の製品の素材として使用されたりします。このため、資源回収やリサイクルのビジネスを最初から視野に入れた設計で取り組まれていることになります。環境に優しいだけでなく、持続可能な経済成長につながり、新たな事業の創出も期待されるゆえんであります。
例えば、地元本庄市には、食品の包装材やレジ袋などのプラスチックについて、ほかのごみと混ざり合っている状態では焼却するしかなかったものを選別、加工して商売としている事業者があります。サーキュラーエコノミーの循環の一端を担っていくビジネスと言えるでしょう。しかし、このような事業者はまだ少なく、企業や県民にサーキュラーエコノミーが十分に認知されているとは言えません。
折しも資源や原材料価格の高騰による物価高が続き、抜本的な経済的対策が求められているところであります。まずは、我が県から環境問題の対応と経済成長を両立させるサーキュラーエコノミーへの転換を強力に進めていくべきではないでしょうか。
そこで、知事に伺います。こうしたサーキュラーエコノミーを進めることについて、知事の御所見をお聞かせください。

A   大野元裕 知事

大量消費・大量廃棄型の社会は、最終処分場のひっ迫や不法投棄の要因となっているほか、天然資源の枯渇や海洋プラスチックごみ問題など地球環境にも影響を及ぼしております。
資源の供給制約や原材料価格の高騰といった現在のような経済情勢においては、環境政策のみならず、廃棄物を資源に変えて有効利用し、持続可能な経済へ転換させていくという観点が必要だと考えています。
昨年度来、県としてもサーキュラーエコノミーを推進しており、この手法は環境と成長の好循環をもたらす極めて有効なものと考えています。
古来より物を大切にし、「もったいない」の精神を持つ日本人にとって、サーキュラーエコノミーは親和性が高く、新しい資源循環型のビジネスが拡大する可能性は高いと考えております。
県では昨年6月、企業や市町村などで構成する「埼玉県プラスチック資源の持続可能な利用促進プラットフォーム」を設立し、まずは環境面で課題となっているプラスチック資源循環の分野で取組を始めました。
この11月からは、衣装ケースなど家庭の使用済みプラスチックを回収して、再商品化を行い、その過程を消費者に発信する実証実験を実施しております。
来年2月には、再商品化した商品にQRを印刷し、スマートフォンなどで資源循環の過程やそれに伴うCO2排出量削減を見える化する予定であります。
この取組により、消費者の購買意欲の変化を調査し、リサイクル商品の付加価値をどのように生み出すかを検証してまいります。
さらに、プラスチック以外の分野にも幅広く推進していくため、関係部局に指示をし、サーキュラーエコノミーに取り組もうとする企業の支援や、県内中小企業の稼げる力の向上につながるモデルの構築などについて、部局横断で検討をさせているところであります。
資源の有効活用により、持続可能な社会を将来世代に引き継ぐとともに、県内企業の成長にも寄与するサーキュラーエコノミーを引き続き積極的に推進してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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