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掲載日:2022年3月30日
Q 並木正年 議員(県民)
巨大地震のリスクは、2014年に内閣府の中央防災会議において、地震発生後の初動体制等が示されており、また、プレートの沈み込みに伴う活動間隔や発生の可能性が随時公表されています。この報告によると、南海トラフ地震と首都直下地震の発生確率は、2020年1月時点で30年以内に70から80%と予測されていますが、発表から2年経過していることから、年々そのリスクは高まっており、来るべき災害には、いかなるときでも柔軟に対応できる体制を構築していくことが何より重要です。
東日本大震災の際は、首都圏で515万人の帰宅困難者が発生しましたが、震度七を想定する首都直下地震では、東京都だけで帰宅困難者は415万人に上るとの推計が内閣府から出されています。このことから、都内へ移動する1日当たり約93万人の県民と本県へ通勤通学する約26万人が、公共交通機関の運行停止による移動手段が断たれた場合の対策をすぐにでも確立しておく必要があります。
本県の地域防災計画における帰宅困難者の定義は、「平日の24時までに徒歩による帰宅が容易にできない者」とされています。また、昼12時に首都直下地震が発生した場合は、県外からの通勤通学者も含めて、約67万人が帰宅困難になると予想しています。
東京都の地域防災計画(震災編)を見ると、帰宅困難者の代替輸送として、交通局によるバスの確保が盛り込まれています。また、バスの運行に当たっては、限りがあるため要配慮者を優先し、鉄道折り返し駅まで短距離区間でのピストン輸送など、効率的な形態によって実施するとの記載があります。
しかし、残念ながら、東京都と埼玉県双方の計画には、どこからどこまで輸送するといった具体的な区間の明記はありません。これでは、県民どころか、要配慮者の優先輸送も困難になると思われます。東京都への移動は、本県からのほか、神奈川県から106万人、千葉県から71万人であり、発災時間によってはバスの確保が難しくなることが予想されるため、まずは、東京都と本県で具体的なバス輸送区間を定めておくべきだと考えますがいかがでしょうか、知事の見解を伺います。
A 大野元裕 知事
大規模地震発生直後に多くの方々が一斉に帰宅をしようとすると、各地において混雑が発生をし、集団転倒に巻き込まれたり、火災や沿道建物からの落下物で負傷したりと、大変危険な状態になることが想定されます。
また、一刻を争う救出・救助活動や消火活動、救援物資輸送などの応急対策活動の妨げにもなります。
そのため、内閣府が平成27年3月に策定した「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」に基づき、「むやみに移動を開始しない」という、一斉帰宅の抑制を原則としております。
救出・救助活動が落ち着き、発災後おおむね4日目以降から、安全を確認した上で、順次帰宅を始めていただくこととなります。
議員からお話しがありました帰宅困難者対策は、県域を越えて広域的に取り組む必要があることから、これまで、徒歩帰宅者に対する災害時帰宅支援ステーションの確保などについて九都県市で連携して取り組んでまいりました。
特に、東京都とは個別に、妊婦や高齢者、障害者など徒歩での帰宅が困難な避難行動要支援者を対象に、県内へバス輸送する訓練を、平成26年度から毎年実施をしております。
具体的なバス輸送区間をあらかじめ定めておくべきとの御提案ではありますが、避難行動要支援者の住所地や県内の被災状況、公共交通機関の運行状況によって、輸送手段や輸送できる地域も異なります。
したがって、具体的な輸送区間を想定することが困難であります。
東京都、埼玉県に共通する課題でもありますので、まずは、「東京・埼玉連携会議」でバス輸送を含めた被災時の交通の在り方について提案し、検討したいと考えています。
再Q 並木正年 議員(県民)
知事、災害の被災状況ですとかそういうのは分かるんですけれども、東京都とやっぱり具体的な輸送区間がないことには、なかなか帰宅困難者の輸送ができないと思うんですね。やっぱりこれは、ある程度幾つかの路線、ルートを想定しておくのも必要かと思うんです。
11年前の東日本大震災の際を思い出してほしいんですけれども、物すごい数の帰宅困難者で、この帰宅困難に関しては、自助とか共助じゃもうどうにもできない世界で、こういうときこそ公助の役割をしっかり認識して力を発揮するべきだと思うんですね。この場合だと、なかなか輸送区間が示せないということでしたので、もう震災はいつ起こるか本当に分かりません。今日かもしれないし、明日かもしれません。東京都との連絡会議をやっていると、時間がまた2年後とか3年後とかになってしまいます。なるべく早く帰宅支援策、強力に進めるために、今できることは例えばどういうことなのか、知事のお考えをお示しください。
再A 大野元裕 知事
大規模な災害が発生した際には、先ほどお話をさせていただきましたとおり県内の被災状況、公共交通機関の運行状況、更には地域ごとの被災状況、被害の程度等により、具体的な輸送手段や輸送できる地域も異なってくるため、なかなか想定は困難であります。
しかしながらその一方で、議員御指摘のとおり、これまで想定ができないという中でも大きな災害の際には大混乱が生じましたので、できることからやるべきだというのは、全くその通りだという風に私も考えております。
そのためには、自ずと限界はあるものの、2点、私どもはあると考えています。
まず、第1点目には、具体的な輸送区間を想定することは困難ではありますが、先ほど申し上げたとおり、平成26年度から毎年バス事業者と連携し、例えば池袋駅周辺と南越谷駅、品川駅周辺と航空公園駅周辺を発着所とした訓練を重ねてまいりましたので、このような訓練を重ねることにより、災害の場所の想定というわけではございませんが、地域の自治体と課題を洗い直すことによって柔軟で迅速な対応を可能にする、これが一つであろうかと思っております。
そして、もう1点は、災害が起きますと大きな混乱が必ず生じることとなります。
これらの大きな混乱を前提として、被災地であればこそ早急に、例えば開通している公共交通、あるいはバス路線を始めとした様々な災害時特有の交通手段、これらのものを迅速にお伝えするシステムの構築、この2点についてはすぐにでも取り組めることでございますので、もちろん、東京都との会議等も重視しておりますが、その一方で議員御指摘のとおり、できるところから解消させていただきたいと思います。
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