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掲載日:2026年10月23日
Q 権守幸男 議員(公明)
7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で最大震度7を観測しました。改めて認識すべきは、大規模地震は季節を選びません。特に今回は真夏の発災となり、熊本県では10年前の熊本地震の教訓も踏まえ、熱中症やエコノミークラス症候群への対策、車中泊避難者への健康支援など、避難した後の命を守り、災害関連死を防ぐ取組が進められています。
今回の地震では、死者38人のうち、災害関連死の可能性がある死亡は2人です。10年前の平成28年熊本地震では、死者275人のうち225人、約82パーセントが災害関連死で、長期化する避難生活や車中避難が大きな課題となりました。
こうした課題を受け、私は、平成29年2月定例会で車中泊避難者への健康支援を、令和6年9月定例会では、能登半島地震を踏まえ、ホテルなどの二次避難先の確保と移送体制の整備を求めました。
本県でも、避難所環境の改善や福祉支援を担うDMAT、リハビリ支援を担うJRATなどの取組が進んでいます。知事は先日の会見で、公立小・中学校体育館等の空調設置率は46.1パーセントと説明し、空調復旧や移動式発電機貸与の協定、埼玉版FEMAを活用して必要な施策を検討すると述べました。また、政府も今回の熊本地震を受け、来年度から全国の備蓄拠点に冷暖房器具を配備し、プッシュ型支援を強化する方針です。
先日の名古屋豪雨で激しい雨が降る中、同僚議員と愛知県庁を視察しました。愛知県では、あいち防災アクションプランの第2の柱に、災害関連死を最大限防ぐことを掲げ、300のアクション項目と125の進捗管理指標を設定し、医療、福祉、避難生活、物資、在宅、車中泊支援などを体系化しています。さらに計画期間中も有識者の意見を踏まえ、取組の見直しを進めています。
担当者から説明を伺い、避難所という場所に加え、在宅避難や車中泊、二次避難を含む人への支援を災害関連死防止という共通の目標の下で、体系的に進める重要性を認識しました。真夏の大規模地震では、空調設備があっても停電すれば熱中症の危険が高まります。非常用電源の確保、生活用水やトイレ、在宅・車中泊避難者や要配慮者への支援も欠かせません。避難所運営は市町村が中心ですが、命を守る避難環境が市町村の人員体制や財政力に左右されてはなりません。県が共通の方向性を示し、広域的に支援すべきです。
そこで、愛知県の取組も参考に、本県の施策を災害関連死防止という一本の軸で体系化し、防ぎ得る災害関連死を1人でも減らすため、計画に反映するなど、具体的に示してはいかがでしょうか。
あわせて、指定避難所の非常用電源の確保状況までを把握し、猛暑時に一定の基準を超えた場合には、空調確保、クーリングシェルター等への移動、要配慮者への二次避難、給水、健康観察の強化など、県と市町村共通の行動基準を示し、市町村へ促していくべきと考えます。
避難所を開ける防災から、避難した後の命を守る防災へつなげるため、第1に、防ぎ得る災害関連死を減らすための計画への反映について、第2に、猛暑時の避難所運営について、命を守る環境確保の市町村への働き掛けについて、それぞれ知事の見解を伺います。
A 大野元裕 知事
「避難後の命を守る災害関連死防止対策について」のお尋ねのうち、防ぎ得る災害関連死を減らすための計画への反映についてでございます。
私は、本県が直面する歴史的課題の一つとして「激甚化・頻発化する自然災害など危機への対応」を挙げており、厳しい避難所環境により救うことができた命が失われることがあってはならないと考えております。
そこで、埼玉県地域防災計画の中で、災害関連死の防止を位置付けており、暑さ対策など避難所の生活環境への配慮についても記載をしております。
県では、全ての県立学校の体育館に空調設備の整備を進めており、そのうち防災拠点校36校の体育館につきましては、令和8年度に整備が完了する見込みであります。
また、大規模自然災害等に備え、県民の生命と暮らしを守り、迅速な復旧・復興を実現するため、埼玉県地域強靭化計画を策定しておりますが、今後、改定に向けた見直しを進めることとしております。
達成すべき行動目標に、災害関連死を最大限防ぐことを新たに追加し、その目標の下に、議員御提案の、個別の取組を体系的に関連付けた上で、進捗管理の実施を検討してまいります。
引き続き、埼玉版FEMAを活用し、検証を繰り返すことで、県の災害対応力をより強化する計画となるよう、ブラッシュアップを図ってまいります。
次に、猛暑時の避難所運営における市町村への働き掛けについてであります。
令和8年熊本地震では、猛暑の中での対応となることから、避難所における熱中症対策が課題となりました。
埼玉県地域防災計画では、市町村の役割として、指定避難所に非常用電源を整備するよう努めることや、避難所の生活環境等を踏まえ、避難者に対しホテル等への移動を促すなどの対策を示し、市町村による避難所環境の改善を働き掛けております。
指定避難所の非常用電源の確保状況は、令和6年11月1日時点で約72パーセントと全国平均の約61パーセントを上回っておりますが、引き続き、市町村に対し整備を促してまいります。
また、私が参加いたしました8月の九都県市合同防災訓練では、避難所の空調設備が使用できない場合に活用が期待できる移動式クーリングシェルターや、エアコン付きの熱中症対策トレーラーハウスを会場内に設置し、市町村に猛暑時の避難所運営を御案内させていただいたところであります。
加えて、県では、一般社団法人埼玉県冷凍空調工業会と災害時応援協定を締結し、避難所の空調設備の復旧や、空調機器及び移動式発電機の貸与が受けられるような体制を整え、避難所運営を行う市町村への支援に努めております。
今後、令和8年熊本地震の検証を踏まえ、埼玉県地域防災計画の見直しを行うなど、引き続き、市町村と協力しながら、猛暑時であっても避難者の命と健康を守る体制づくりに全力で取り組んでまいります。