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掲載日:2024年3月25日

令和3年2月定例会 「予算特別委員長報告」

委員長   宮崎   栄治郎

予算特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、第77号議案の1件であります。
以下、この議案に関して行われた主な論議について申し上げます。
まず、「埼玉県感染防止対策協力金支給事業については、第6期以降、営業時間短縮の要請期間が短くなっているため、協力金の申請期間が重複する部分がある。第7期の10日分と第8期分をまとめて申請するなどの対応はできないか」との質疑に対し、「申請をまとめて受け付ける場合、システム改修に費用と時間がかかるという課題がある。また、申請をまとめることで、第7期分の支給が、第8期分の支給時期まで遅れることとなる。迅速な支給を行っていくことが、事業者のニーズに応えられると判断し、期間ごとの申請としている」との答弁がありました。
また、「高齢者入所施設におけるPCR検査について、県内全施設のうち、検査を希望する施設は56パーセントしかない。ワクチンが行きわたるまでは、PCR検査数を上げることが感染拡大を防ぐのに有効だが、そのためにどのように取り組んでいくのか」との質疑に対し、「これまでも、関係団体に直接協力を働き掛け、各施設に検査の受検を促してきた。また、感染が判明した場合の職員のバックアップ体制を整えることで、受検に関する不安の解消に努めている。さらに、受検するインセンティブとなるよう、施設の同意が得られた場合に県のホームページで受検した施設名を公表することを考えている。こういった取組により、受検率の向上に努めていきたい」との答弁がありました。
続いて、賛成の立場から討論がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、本議案について採決いたしましたところ、総員をもって、原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。

委員長   宮崎 栄治郎

予算特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、議案21件であります。
初めに、部局別質疑を3月11日から17日までに5日間行い、集中的に審査を行いました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「先日の新型コロナウイルス感染症対策特別委員会において、感染症対策課職員の昨年4月から今年1月末までの時間外勤務が1,724時間であったことが明らかになり、新聞等でも取り上げられた。また、時間外勤務を各部局別で比較すると保健医療部が突出して多い。こうした状況を是正するには、プッシュ型の支援が必要であり、業務を部局間で平準化することが重要と考えるがどうか」との質疑に対し、「部局により時間外勤務の差があることは認識している。効率的な行政運営のため、可能な限り平準化を図ることが必要である。繁忙期を見通せる場合は、計画的な人員配置を行っているが、災害などで予期せず業務が集中する場合は、業務委託や部局をまたいだ応援要員の配置により対応している。コロナ禍が1年経過し、どのような業務が増大するか分かってきたので、今後急激に業務が増大したときに備え、速やかに応援職員を送り込む体制づくりなどを指示している」との答弁がありました。
次に、「埼玉農産物輸出総合サポート事業については、輸出額などの目標を定めているのか。目標を定めていないとすると、当該事業に対する予算額の妥当性が分からないと思うがどうか」との質疑に対し、「当該事業の目標は、具体的には定めていない。御指摘のとおり、目標を踏まえた上で事業を実施し、効果を検証することが必要であるので、どのような目標が適切か検討していきたい」との答弁がありました。
次に、「多子世帯応援クーポン事業については、登録店でサービスを利用する直接利用と商品購入後に現金が振り込まれる換金利用が、2対8の割合で不均衡が生じていることから、昨年の予算特別委員会の附帯決議で、この比率の改善等に努めることを求めた。しかし、現在もなお、換金利用の比率が高く、是正が必要な状況である。利用者の利便性の観点から、現金の直接給付に改めてはどうか」との質疑に対し、「多子世帯応援クーポン事業の目的の一つには、育児に係る負担の軽減がある。現金の直接給付では、子育てのために使われなくなる懸念があり、事業目的に符合しなくなる」との答弁がありました。
次に、「『渋沢栄一創業プロジェクトの推進』では、ベンチャー企業などに対する創業支援を更に進めるとのことだが、県内のベンチャー企業は近隣都県と比べて少ない印象である。その原因をどのように考えるか。また、今後の事業検証のためには、このプロジェクトが目指すものを明確にしておく必要があるのではないか」との質疑に対し、「全国には約1万2千社のベンチャー企業があり、その6割が東京都にあるとの民間調査会社のデータがある。東京都には有益な情報が集まりやすい上、様々な企業とのコラボレーションや取引がしやすいなどの理由が考えられる。また、本プロジェクトの取組の一つとして、先輩起業家が後輩起業家を指導する伴走型支援を進めている。その支援に加えて、来年度は、多種多様な形で企業等がコラボレーションできる『(仮称)渋沢栄一起業家サロン』という場づくりについて、有識者の意見を聞きながら検討することとしている。こうした取組により、ベンチャー企業が集積するシリコンバレーのようなものを目指していきたい」との答弁がありました。
次に、「本県の高齢者に対する新型コロナワクチンの市町村への分配については、高齢者の人口規模だけでなく、高齢者人口に占める陽性者の割合の高い市町村に配分する算定方法を取っている。しかし、クラスターが発生した高齢者施設では感染症対策がしっかりと取られていることや陽性者は抗体を獲得している可能性があることを踏まえると、純粋に、高齢者の人口規模のみを優先して分配するといった考え方もあると思うがどうか」との質疑に対し、「県内の陽性者は大都市だけでなく、規模の小さな市町でも発生している状況だが、人口規模のみで算定すると、さいたま市などの大都市部を中心に分配することになる。また、今回分配するワクチンは非常に量が少ないため、高齢者へのワクチン接種が本格化する前の、いわば、パイロット的な接種という趣旨もある。そこで、規模の大きい市だけでなく、規模の小さなところにも分配し、様々なケースで試行的に接種をしていきたいという考えから、陽性者の割合も勘案した」との答弁がありました。
次に、「市町村の立地適正化計画と防災指針の作成に対する支援の具体的な内容は何か。また、近年は台風や想定を超える大雨被害などにより浸水エリアが複数の市町村に及んでいることから、近隣市町村と連携して計画等を作成する必要があると考える。まずは県が全体の基本的な考え方やガイドラインを提示すべきと考えるがどうか」との質疑に対し、「来年度から、県がまとめ役となり、三つから四つの市町村を一つのグループとする勉強会を開催する。県が持つ災害リスク情報などを示しながら、作成に当たっての課題や対策について分析・整理や意見交換を行う新たな取組を進める。また、広域的調整の役割を担う立場として、市町村が実効性の高い防災指針を策定できるように、国が改訂を予定している『立地適正化計画作成の手引き』を補完する形で、県としての考え方や方針を示すため検討していく」との答弁がありました。
次に、「伊奈学園は、関東近県で先駆けて設置された公立の中高一貫校であったことから、設置に当たり文教委員会において、『試行的、モデル的に限定して設置すべきであり、今後については、効果や成果を十分に検証するなど、慎重な対応が求められる』といった附帯決議がなされた。同校に関して、今までにどのような検証を行ったのか。また、今後、改めて効果検証を行い議会へ報告すべきだと思うがどうか」との質疑に対し、「伊奈学園における中高一貫教育については、第1期生の高校卒業に合わせて、成果と課題の検証を行った。その際、高校卒業までの6年間を見通した計画的、継続的な教育指導が展開でき、卒業後の進路実績にも一定の成果を得ることができたとされた。一方で、抽選による入学者選考について課題が示され、その後、抽選を行わない選考に改善するなど、中高一貫教育の充実に努めてきた。公立の中高一貫校は、関東近県でも設置が進んでおり、児童生徒等からも高い人気がある。魅力ある県立学校づくりを進めていく上で、有力な選択肢の一つであることから、今後、伊奈学園における中高一貫教育について十分に検証を行い、改めて議会に報告をしたい」との答弁がありました。
このほか、主な質疑事項として、埼玉版SDGsの推進、屋内50メートル水泳場及びスポーツ科学拠点施設の整備、若者の消防団への加入促進、スマート農業の推進、少子化対策の推進、中小企業のデジタル化支援、県立病院の独法化による地域医療への貢献、流域下水道維持管理負担金の設定、国際バカロレア等の特色ある教育課程の研究・検討、災害対応力の強化などについて質疑がありました。
次に、総括質疑を3月19日に行い、更に慎重な審査を重ねました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「特別養護老人ホーム等整備事業費について、令和3年度から始まる第8期高齢者支援計画案では、既存の施設の改修に当たり、個室化やユニット化をすることが盛り込まれている。第7期計画策定の議論の際、議会の決議を受け、個室化やユニット型への政策誘導は行わないこととなっていたが、その方針を変更するのか」との質疑に対し、「市町村や設置者の意向など地域の実情を十分踏まえた上で整備するという基本的な考え方は、第7期策定時と変更ない。第8期計画の策定に当たっては、議会での決議を踏まえ、検討していく」との答弁がありました。
次に、「現在の県庁舎は、執務室環境、優秀な人材確保及び働き方の変化や行政のデジタル化への対応などに課題がある。こうしたことを踏まえると、目標使用年数の築80年にこだわることなく建替えを検討するべきではないか」との質疑に対し、「県庁舎の在り方の検討に当たっては、これまでの県庁舎の機能に加え、テレワークなどの働き方の変化への対応が重要な観点となってくる。また、仮に建て替える場合は、短期間ではなく数十年単位で使用することになるため、デジタルトランスフォーメーションが行政に与える影響など数十年スパンで考えていく必要がある。県庁舎の再整備については、80年は一つの目安であり、時期や機能、県庁舎の今後の在り方を含め、検討していきたい」との答弁がありました。
次に、「農大跡地周辺地域の整備について、これから策定される基本構想や基本計画の具体的な内容はどのようなものか。また、事業を進めていく上で、用地を早期に購入することが重要であるが、その見通しはどうか」との質疑に対し、「基本構想では、生産年齢人口減少等の社会的課題の解決につながるロボット開発を行う中小企業への支援策や、実証フィールドのコンセプトなどについて定めていきたい。また、基本計画では、構想を踏まえ、ロボット開発を促進する拠点の規模や機能、フィールドの用途や形状などを盛り込んだ内容としていく。策定に当たっては、企業のニーズを把握した上で、整備の目的を明確にし、慎重に検討を進めていく。また、用地の購入については、今年度から、用地交渉に関して専門的知見がある埼玉県土地開発公社へ委託をすることで用地交渉が進んだ。令和3年度は用地購入のスピードを加速化させ、早期の整備を目指したい」との答弁がありました。
このほか、主な質疑項目として、埼玉県コバトン健康マイレージ事業、多子世帯応援クーポン事業、シニアの活躍を進めるための環境づくり、埼玉ブランド農産物の推進、JR川越線の複線化などについて質疑がありました。
次に、討論及び採決を3月23日に行いました。討論では、第2号議案、第8号議案、第18号議案及び第20号議案に賛成の立場から、「新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、流域治水対策や家畜伝染病の防疫体制強化などの予算が計上されており、県民に寄り添った県政を更に進める観点から賛成する」などの討論がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、本委員会に付託されました議案21件について採決いたしましたところ、いずれも総員をもって、原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
その後、附帯決議が提案されました。「『第2号議案令和3年度埼玉県一般会計予算』については、基金残高の復元が図られていないだけでなく、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済・税収への影響が顕在化しており、財政運営にはこれまで以上に大きな懸念がある。コロナ禍において、アナログ行政がもたらした各種申請手続の遅延という課題や社会経済生活の維持に欠かすことのできない事業なども明らかになった。ついては、予算編成において選択と集中の視点をより一層明確に示すとともに、事業の執行方法においてもサンセットルールを取り入れるなど十分検討し、適切な対応を求めるものである。
第一に、令和3年度歳出予算については、各種事業の実績や効果検証に必要とされる定量的なデータが存在せず予算化されている事業が散見される。予算編成に当たっては、EBPMを推進し、各種事業の原資となる税金・公金が効果的に充てられるよう努めること。
第二に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に当たっては、ペーパーレス化など県庁内の業務効率化にとどまることなく、『社会全体がデジタル技術等を活用し、組織やビジネスモデルを変革し続け、価値提供手段の抜本的な変革をもたらす』という本来の目的に向け、より広範な視点からDXを推進すること。また、知事をトップとした組織体制を構築するとともに社会実装へのロードマップを明確に示すこと。
第三に、特別養護老人ホーム等の整備・改修に当たっては、平成30年度第7期埼玉県高齢者支援計画への決議に基づき、施設整備に係る適否の基準、補助対象の要件などについて、利用者の需要や市町村の意向などの地域の実情を十分に勘案して事業者との事前協議に臨むこと。また、第7期計画策定時よりも大幅に増加し、944床に至った特別養護老人ホームの空床の解消に向け取組を強化すること。
第四に、コバトン健康マイレージについては、事業開始当初の目標を大きく下回っており、かつ下方修正した目標参加者数にも達していない状況である。これまでアプリの活用や様々な取組を行っているものの、登録参加者数や県民参加の機運の向上につながっておらず、事業効果に懸念がある。ランニングコストと事業効果を含め、事業の在り方について再度検討すること。
第五に、先端産業創造プロジェクトについては、これまで支援した案件の製品化、事業化など一定の成果が上げられたものと評価をするが、民間などの技術開発力も向上してきている中、行政の役割として今後は、更なるステージでの最先端の技術支援とこれまで手の届かなかった小規模事業者にも支援の輪を広げるなど、行政にしかできない支援策を再考すること。
第六に、『農大跡地の周辺地域12ヘクタールの土地』を近未来技術の実証フィールドとして整備するに当たり、ロボット実証実験の具体的な基本計画を早期に立案し、その拠点となる産業支援施設の早期整備に取り組むこと。また、これまでの3年間、進展のなかった用地取得を早急に進め、産業労働部のみならず、関連する他部局との横断的な体制で取り組み、整備地の有効活用を図ること」
以上の内容であります。続いて、質疑並びに附帯決議に反対の立場から討論があり、採決いたしましたところ、多数をもって附帯決議を付すことに決した次第であります。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。

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