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掲載日:2020年3月31日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
国では、農業政策の基本方針である食料・農業・農村基本計画の改定に向け動き始めたところであります。埼玉県農業は県民の食生活を支えるだけでなく、埼玉経済を支える重要な産業でもあります。平成30年の農業産出額は1,758億円となっており、気候の関係もありますので一概に比較はできませんが、ここ10年で一番良かった平成28年の2,046億円から比べると、約300億円減少しています。また、農家戸数は5年に1回の調査ということですので数字は少し古いですが、平成22年の7万2,957戸から平成27年では6万4,178戸と、8,779戸も減ってしまいました。さらに、基幹的農業従事者の平均年齢は67.7歳と高齢となっており、これらのことを考えると埼玉農業の将来が少し不安になります。
反面、県立農業大学校には毎年農業を目指す若い子たちが入学しています。話を聞くと「そんなに高い年収でなくても、年収400万円くらいになれば、是非就農したい」という子が多かったです。年収が幾らが良いのかという議論は置いておきまして、要は食べていける農業を目指せば、これからも若い子たちが就農してくれるのではないかと期待しております。
県でも農業を守り、未来へ残すために様々な政策や埼玉ブランドを作り出してきました。個人的には最近開発されたイチゴの「あまりん」「かおりん」は、「とちおとめ」や「あまおう」よりもおいしいと思いますし、周りにもうまい、うまいと宣伝しているところです。
話がそれましたが、令和2年度当初予算でもスマート農業の推進予算が計上されています。とうとう農業にもAIなどのICT技術が投入される時代になったのかなというふうに思います。10歳のとき、隣の田んぼの田植えを経験させてもらったことがありましたが、まだ田植機の「早苗」が出る前だった頃なので手植えでした。しかし、ここ4、50年の技術の進歩はすごいものだと感じます。
先月も特別委員会の視察で静岡県農業技術産学連携研究開発センターに伺いました。農業情報科学や光量子制御技術等、ここでは書き切れないほどの最先端技術を投入し、人手をかけずに効率よく収穫できるように、要は利益を出せる農業技術の研究なのかなと思います。
現在各地でいろいろな取組がなされています。それは是非これからも続けるべきですし、埼玉県でも更に技術開発を進めていただきたいと思います。ただ、入り口の政策は多いのですが、出口、要は流通の政策が入り口の政策よりやや少ないのではないかと感じます。新しい技術やそのための設備を導入すれば、今よりはるかに効率よく収穫できるようになると期待しております。しかし、その設備費が農業収入を圧迫し、結局、決算で考えれば、純利益は微々たるものになってしまうのではないでしょうか。
先ほども述べましたように「食べていければ就農したい」という若者も結構います。ですから、就農させる政策も必要ですが、農業で食べていける政策も、今もないわけではありませんが、今後もっと力を入れる必要があるのではないでしょうか。その一つとして考えられるのは流通、すなわち売り方ではないでしょうか。地元にも自分たちで組織を作り、流通経路を開発し、利益を出している農家があります。ほかにも県内でイチゴやサツマイモ、鶏卵などで6次産業化し、自社直営で販売し、成功している例もあります。
そこで、お伺いいたします。県の大事な産業である農業を魅力あるものにするためには、生活できる農業を目指す6次産業化の推進、さらには流通の工夫等の出口の政策を更に充実させることが必要と考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
また、県では海外販路拡大に力を入れてくださっています。シンガポールにイチゴ、EUにはこの間も大変おいしく飲まさせていただきましたけれども、狭山茶。これらの取組で、埼玉の安全でおいしい農産物の需要が増えるよう期待をしております。
今後、更にASEAN諸国や、そして知事のつながりの深い中東など、海外販路の拡大に更に力を入れることが必要と考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
出口の政策の充実についてであります。
農業者の所得を向上させるためには、生産対策に加え、流通販売など出口に関する対策を充実していく必要があるとの議員のお話しは、誠に的を射た御指摘と受け止めます。
私も、公約で県産農作物を使った6次産業化による新しい商品開発や販路の拡大を掲げさせていただきました。
6次産業化の取組を農業経営の収益向上につなげていくためには、特徴のある売れる商品を開発することが重要と考えています。
例えば、深谷市の農業法人では、深谷ねぎを使った「ねぎドレッシング」を開発し、道の駅などで販売しており、売上げを伸ばしていると伺っております。
本県の食料品製造出荷額が全国第2位と盛んであることを生かし、農業者と食料品製造業者が連携して新商品を開発する6次産業化の推進に引き続き努めてまいります。
また、本県は農産物の産地と消費地が近く、新鮮な農産物を消費地にすぐ届けられるという立地条件を生かさない手はないと考えます。
そこで、今年度から県内に本拠のある2つの量販店の物流センターに産地から直接納品する流通の仕組みの構築に取り組んでいます。
今後は、県内に立地する他の量販店の物流センターにもこうした直接納品の仕組みを広げていきたいと考えています。
さらに、私が自ら先頭に立ち、県内だけでなく、大消費地東京に向けたトップセールスを行い、儲かる農業を推進してまいります。
次に、海外販路の拡大についてでございます。
日本では人口減少が始まっています。
当然、それに伴って農産物・食品の国内マーケットは縮小していくことが予想されます。
一方で、世界の人口は増加し続け、2050年には、現在の77億人から約3割増の97億人にまで増えるとの予測があります。
このように今後拡大する世界の農産物・食品マーケットに本県の農産物を売り込んでいける可能性は高まっていると考えています。
一方で農業者は輸出の経験がなく、信頼できる流通パートナーの確保、国ごとに異なる検疫や残留農薬基準に対応していくことが難しいなどの課題があります。
このため、昨年11月に開所したジェトロ埼玉貿易情報センターのネットワークを活用して、私にとってもゆかりのある中東地域も含めて海外進出の可能性を探るなど、輸出の拡大に向けてしっかりと取り組んでまいります。
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