トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和2年2月定例会 > 令和2年2月定例会 代表質問・一般質問 質疑質問・答弁全文 > 2月27日(木曜日) > 田並尚明(民主フォーラム) > 令和2年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)
ここから本文です。
ページ番号:174225
掲載日:2020年3月31日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
令和2年度予算では、県立4病院の地方独立行政法人化の準備として7億6,000万円の予算が計上され、いよいよ独法化に向けた本格的な準備が始まる見込みです。これまで県立病院は、県民の命を守るため高度な専門医療を提供していただいてきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
私は、最初は勉強不足のために独法化には反対でした。医師数は4病院合計で平成31年度4月1日現在303人で、5年間で59人増、特に小児医療センターはこの5年間で44人も増えました。医師の診療科による偏在で特に産科や小児科を選ぶ医師が減っている中、44人増えるというのはすごいことだと思います。また、延べ入院患者数も平成30年度は36万5,886人で、この5年間で1万8,901人増えております。病院ですので患者さんが増えて喜ぶのも何なんですが、要はこれだけ頑張っているのだし、特に高度医療は不採算な部分が多いので、公的な県立病院が担うべきだとずっと思っていました。
独法化にしたほうがよいと思い始めたのは、やはり医師の派遣ができるということです。現在、県立病院の医師の身分は地方公務員であるため、地方公務員法で規定される職務専念義務、営利企業の従事制限が適用され、県立病院の医師が他の医療機関で診療を行うことは大変難しくなっています。一方、独法化になると地方公務員ではないので、これらの制限は受けなくなります。本来の診療に支障がないことが前提となりますが、県北部など医師が不足している地域や小児科など、特定の診療科への医師の派遣など柔軟な対応が期待できます。
特に北部の医療圏では医師を集めるのが大変です。医師が集まりやすいのは、1に、医師の子供の教育環境が良い地域、2に、学会に行きやすい交通網が整った都心の地域、3に、技術的スキルが上がる高度医療の病院などが要因になるといわれています。実際、私が病院に勤務していたときも、新しく着任される医師の住居を探すこともしていましたが、どうせオンコールで呼ばれるから、古くてもよいから病院の近くでいいよといわれる医師が多いのですが、医師が気に入ったとしても最後は奥さんの反対で遠くから通われる医師も多かったですし、また中には子供の教育環境が悪いと奥さんに反対され、申し訳ないと着任を断ってこられた医師も実際に何人かいらっしゃいました。
そういった中、県立病院では循環器・呼吸器病センターでは、ハイブリッド手術を整備したことでカテーテルによる大動脈人工弁置換術が可能となり、高齢者や合併症を持つハイリスクな患者さんも救命・治癒することが可能になりました。また、昨年からは脳神経センターを開設し、高度な脳卒中緊急治療を行っています。がんセンターではがんゲノム医療拠点病院に指定され、希少がん、難治性がん患者に対し、高度で先進的ながん医療の提供が可能となりました。小児医療センターではPICUの設置やハイリスク出産に対応する医療体制の充実、県内で初めての生体肝移植を行うなど、小児肝移植医療の進展が図られました。このように県立病院が高度医療を進めてきたことによって、医師も増えてきているのだと思います。特に小児医療センターでは、ここで働きたいと全国から医師が集まっていると伺いました。
独法化によって、その医師が派遣できるようになれば、地域や診療科による医師不足が全て解消されるわけではありませんが、緩和されるのではないかと期待しているところですが、独法化後の医師の派遣についてはどのように考えておられるのか、病院事業管理者にお伺いいたします。
ただ、不安もあります。先ほども述べましたが、高度医療はややもすると不採算な部分もあるということです。今までは県立ですから、そういった部分も率先して担ってこられたと思いますが、独法化になるとある程度医業収益を上げ、組織を運営していくことが求められるのではないでしょうか。
そうすると、今まで担ってきた不採算だけど患者さんのためにやらなければならない医療というのは担保されるのか、その1点だけが不安なのですが、その点はどうなるのでしょうか。病院事業管理者のお考えをお聞かせください。
A 岩中 督 病院事業管理者
まず、独法化後の医師の派遣についてどのように考えているのかについてでございます。
地域で必要とされる公益性の高い医療を行うために、県立病院が医師を派遣することは非常に重要であると考えております。
例えば、現在、深谷赤十字病院などに小児救急医療の支援のために小児医療センターの非常勤医師を派遣しておりますが、十分ではありません。
医師が不足している診療領域へ専門医の派遣を拡充していくためには、多くの医師を確保する必要があります。
一方、医師が勤務先の病院を選択する要件は良い指導医がいること、症例数が多いこと、高度医療に携われること、そして専門性に見合う処遇が挙げられます。
県立病院は専門性の高い医師によって積み重ねられた多くの症例があり、また、手術支援ロボットなど最新の医療機器も整えています。
今年度から、がんセンターはがんゲノム医療拠点病院の指定を受け、難治性の高いがん治療を進めています。
小児医療センターではさいたま赤十字病院と共同で移植センターを立ち上げ、小児生体肝移植を開始しています。
独法化後には、東日本の小児肝移植の拠点病院を目指し、医師にとっての魅力を高めていきます。
地方独立行政法人は専門性に見合う処遇を定めることができ、議員御指摘のとおり医師の派遣も柔軟に対応できるようになります。
医師から選ばれる病院づくりを進め、県立病院から県内の医療機関に積極的に医師を派遣し、地域医療に貢献してまいります。
次に、不採算だが患者さんのためにやらなければならない医療は担保されるのかについてでございます。
県立病院は、これまでも民間病院では提供できない不採算な小児、救急などの高度専門・政策医療を提供してまいりました。
例えば、小児医療センターはさいたま赤十字病院と共同で総合周産期母子医療センターを開設しました。
ハイリスクの母体患者の都内への搬送件数は、平成28年度の50件から平成30年度は6件へと大幅に減少し、安心して子供を産み育てる環境づくりに貢献しております。
また、循環器・呼吸器病センターでは昨年4月に脳神経センターを開設して脳血管のカテーテル治療が可能となり、対応できる脳梗塞患者が拡大しました。
脳神経センター開設以来、令和2年1月までの10カ月間の救急搬送患者数は、前年度同期間と比較しておよそ5倍に増加し、北部・比企地域の救急医療を支えております。
独法化に向けて今議会に議案として提出しております定款には、高度専門・政策医療の提供を法人の目的として明記しております。
法人を設立するのは埼玉県であり、独法化後も県立病院としての使命にしっかりと取り組み、県民の生命と健康を支えてまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください