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掲載日:2020年3月31日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
昨年12月に中国湖北省武漢市で新たに発生が確認された新型コロナウイルスは、1月9日に最初の死者が出て、中国で爆発的に感染者が増加しています。また、アジア各国、北米や欧州でも感染者が確認されています。2月25日時点で、中国での感染者数が約7万7,658人、日本ではクルーズ船を除いて156人、全世界の36の国と地域で7万9,000人の感染者が出ています。死亡者は中国で2,663人、日本ではクルーズ船を除いて1件、全世界で2,693人の方が亡くなっています。世界保健機構(WHO)は、1月31日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言をいたしました。
我が国においては、政府を中心に水際対策をはじめ、感染拡大防止に向けて取り組んでいます。しかし、収束の見込みはついておらず、国立感染症研究所所長は「SARS、MERSに比べると無症状や潜伏期の患者からの感染があり、感染を止めるのが難しい」としています。既に国内でもヒト・ヒト感染や感染経路不明の感染が確認されています。WHOのテドロス事務局長によれば、「ワクチンの開発には1年半かかる」とも言われております。
埼玉県でも新型コロナウイルス対策会議を開催するなど、県庁を挙げて医療機関にも協力を仰ぎながら対策を進めていただいております。県内では武漢市からチャーター機第2便で帰国し一旦帰宅した方が、その後、2月10日に県民の感染者が確認されました。
我が会派はこうした事態を受けて、県民の安心・安全を最優先に守る立場から、2月12日に大野知事に新型コロナウイルス対策について感染拡大防止など5項目にわたる緊急要望を行いました。
そこで、大野知事にお伺いいたします。
1点目、県内で新型コロナウイルスの感染が広がらないよう万全の体制をとる必要がありますが、感染拡大防止に向けてのこれまでの取組と、今後の対応についてお伺いいたします。
2点目、今月10日に県内で感染者が確認された際には、この方が武漢市からチャーター機第2便で帰国して2月1日に帰宅した時点で、「帰宅した」という国からの情報提供がありませんでした。こうした新型の感染症対策には国や東京都など近隣都県、県内市町村、医療機関、各種関係機関と連携を密にするべきですが、御所見をお伺いいたします。
3点目、今後国内において感染が広がる場合も想定されます。その場合、県内医療機関でどのくらい対応できるのか、また、感染していることに気付かないまま慢性の病気を持っているなどで地域の病院やクリニックに通われる患者さんが出てきた場合、そこから他の患者さんや医療スタッフなど更なる感染が広がることも考えられます。そこで、医師会も含め関係機関のとるべき行動のシミュレーションを行っておくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
4点目、SNSなどインターネット環境の進展により、既に様々なデマが拡散されています。例えば「熱と咳があった中国人観光客が関西空港から病院に搬送され、検査前に逃げた」などです。また、新型コロナウイルスに便乗した詐欺も発生しています。重要なことはデマに惑わされず、知事がよくおっしゃる「正しい知識で、正しく怖がること」であり、県には正確、的確な情報提供体制の確立が求められますが、御所見をお伺いいたします。
5点目、感染症の広がりが外国人観光客の減少や中国国内の生産活動の停滞により、物品の納品不能や減少など経済活動にも影響を与えつつあります。さらには、今夏のオリンピック・パラリンピックへの影響も懸念されます。県内事業者に与える影響について情報収集に努め、国への要望や県にできる支援の検討など適切な対応に努めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
これまでの取組と今後の対応についてでございます。
県ではまず、県民の不安解消のため、保健所に設置した「帰国者・接触者相談センター」や#7119などを活用した24時間対応の電話相談体制を他の都道府県に先駆けて設置をいたしました。
相談件数は1月24日の開設から現在までに1万件を超え、多くの県民の皆様が新型のコロナウイルスに対し、大きな不安を感じている状況であると受け止めるにいたっております。
専用外来である「帰国者・接触者外来」を県内24医療機関に依頼し、「帰国者・接触者相談センター」から紹介された新型コロナウイルス感染者の疑い患者に対応する医療体制を整えています。
さらに、予備費を活用し緊急に体制強化を図っております。
これまでは、時間帯や曜日により相談先が異なっておりましたが、3月からは一つの窓口で24時間県民からの様々な相談に一元的に対応する「県民サポートセンター」を開設いたします。
また、PCR検査機器を2台から3台体制に増強して検査体制の強化を図るとともに、帰国者・接触者外来を設置する医療機関に対する陰圧設備や防護服の整備など、医療提供体制の強化も図ります。
このほか、感染者の退院後や濃厚接触者の健康観察を行う看護師を各保健所に配置するなどのフォローアップ体制も整備することとしています。
更なる拡大の防止に向け、令和2年度当初予算案の補正予算案の提案も準備をさせていただいているところでございます。
次に、国や近隣都県、県内市町村、医療機関、各種関係機関と連携を密にすることについてでございます。
危機管理対応で重要なことは、関係機関との信頼関係の構築、緊密な情報提供や情報共有であると考えております。
感染症法にも「国及び地方公共団体は、感染症の予防に関する施策が総合的かつ迅速に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない」と規定されております。
しかしながら、2月11日に県が発表いたしました武漢市からの帰国者については、10日に県の検査で陽性と確認されるまで、県内の自宅に戻っていた事実を国から知らされておりませんでした。
県では、それまで準備を行うことができなかったため、国に対して改めて緊密な情報提供を行うようお願いをしたところであります。
また、県民の行き来が最も多い東京都とは、2月14日に小池都知事と会談をし、情報共有などで協力し合うことを確認いたしました。
このほか、近隣県、県内市町村、医療機関、消防などの関係機関との信頼関係を築きながら、連携を密にしっかりと対応をしてまいります。
次に、感染が広がる場合を想定して関係機関のとるべき行動のシミュレーションを行うことについてでございます。
県内の11ある感染症指定医療機関では最大70床の受入れが可能です。
現在は、緊急の場合を除き、原則は軽症の方を含め全ての患者を、この感染症指定医療機関の感染症病床に入院させることとしています。
国が一昨日発表した新型コロナウイルス感染症対策の基本方針において、患者数が大幅に増えた地域では、一般の医療機関で患者を受け入れることなどが決められました。
実際に今後、感染が拡大した場合の軽症者の取り扱いや、一般医療機関での受入れなどのルールの明確化を国に求めるとともに、医師会などの関係機関と感染拡大を見据えた対応について協議を進めてまいります。
次に、正確・的確な情報提供体制の確立についてでございます。
私は、行政が正確な情報を届ける体制をしっかり整え、県民の皆様が正しく恐れていただくことが最も効果的な蔓延防止策であると考えております。
このため記者会見や記者発表に加え、県ホームページやユーチューブの活用により、一人ひとりが感染しないことが拡大防止につながること、「うつらない」「うつさない」ための手洗いや消毒、咳エチケットの徹底の必要など、正確な情報の効果的な発信に努めています。
さらに患者が発生した場合には、保健所が感染経路や濃厚接触者をしっかりと把握し、必要に応じて行動履歴を含めて公表してまいります。
次に、県内事業者に与える影響についての情報収集と、国への要望や県にできる支援の検討についてでございます。
まず、情報収集についてでございます。
県では、新型コロナウイルス感染症が企業に与える影響について、中小企業の相談対応の窓口になっている商工会、商工会議所、公益財団法人埼玉県産業振興公社などを通じて、随時情報を収集しています。
また、市町村の協力を得て事業者に対する聞き取り調査も行っております。
その結果、製造業、運輸業及び飲食業などを中心に、新型コロナウイルスの影響により、ここ1カ月の売上が減少し、今後も減少が見込まれるとの声が上がっています。
影響を受けている企業の状況を正確に把握するため、引き続き、市町村、商工会、商工会議所などと連携をしながら、情報収集に努めてまいります。
次に、国への要望についてでございます。
2月21日に中小企業者の資金繰り支援について、より低利な融資が受けられ保証枠も拡大するセーフティネット保証の指定について要請をいたしました。現在、国において早期の指定に向けて検討をしていると聞いております。
今後とも、情報収集した事業者の声をしっかりと受け止め、県内中小企業への支援について積極的に国へ要望してまいります。
次に、県にできる支援の検討についてでございます。
県制度融資の経営あんしん資金について、2月19日から「新型コロナウイルス特例」を設け、これまでの3カ月の売上の減少などを要件としていたものを、1カ月に緩和し、より迅速な支援ができるよう見直しを行ったところであります。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化することも懸念されているところから、企業が求める必要な支援策の更なる検討に努めてまいりますところ、議会の皆様の御協力も是非とも宜しくお願い申し上げます。
今後も引き続き、日々変化する状況を的確に把握しながら、県内中小企業に寄り添った対応を進めてまいります。
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