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掲載日:2020年3月31日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
今後の人口減少、少子高齢化を見据えて拡散した住居地域を一定範囲に集中させ、交通機関や生活インフラ、公共サービスを効率化、更にはまちを活性化させようとするいわゆる「コンパクトシティ」という考え方は、全国各地で取り組まれてきました。私も一期目のときに富山市に視察に行きましたし、先月は地方創生・行財政改革特別委員会の視察で藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウンに伺ってまいりました。
富山市は廃線になるJR線を利用したライトレールで、徒歩で生活できる生活圏、要はコンパクトシティを公共交通でつなぐ取組でした。ちなみに富山市は日本有数の自動車依存地域だったそうですが、この取組でCO2の排出が減ったことで、環境モデル都市に指定されるまでになったそうです。また、藤沢市ではエネルギーの地産地消、カーシェアリング、セキュリティ、それにウェルネス、健康も加え、さらには町の中にサ高住や特養もあり、100年持続可能なまちづくりを目指していました。ほかにもそれぞれの町に即した様々なまちづくり、コンパクトシティに取り組んでいる都市があります。
大野知事の公約である埼玉版スーパー・シティプロジェクトでは、コンパクトシティに加え、エネルギーの地産地消をはじめ様々な特徴を持たせたプロジェクトとなっております。本年度予算では3,900万円が計上されており、いよいよ知事が県民に示した将来に向けたまちづくりのビジョンを実現するために、より現実的なプロジェクトに落とし込む作業が進んでいくことと考えております。全国各地で取り組まれたコンパクトシティですが、成功例、失敗例を参考に、どうせやるなら全国から参考にされるまちづくりを目指していただきたいと思います。
現在、具体的な協議はまだ先のことになると思いますのでしようがないと理解はしておりますが、まだ何となく漠然として実像が見えにくいと感じます。このプロジェクトの一番のポイントは何でしょうか。今までの各地で取り組まれたコンパクトシティとの差は何でしょうか。そして、プロジェクトで今までのまちづくりと何が一番変わるのか、知事のお考えをお聞かせください。
また、これから協議が始まるところですから、ここでは細かいことは申し上げませんが、ただ一つ心配なのが、藤沢市もすばらしい町でした。平均年齢も30代と大変若い町でした。ただ、40年後は高齢者の町なんです。県内でもそういう住宅地が数多く見受けられます。高齢者の方も便利に生き生きと暮らせるためにも、持続可能なまちづくりのためにも、町の中での世代の循環が必要ではないでしょうか。以前、視察に行ったところで郊外に住まわれていた高齢者を町中の集合住宅に住むように誘導し、それまでその方たちが住んでいた郊外の住宅をリフォームして若い夫婦に住まわせるという、実験的な取組をしているところがありました。
コンパクトシティの概念からは少し外れてしまいますが、何か町の中で世代が循環できる仕組みを協議の中で議論していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
また、知事は今回の予算編成でプリズム効果、一石三鳥、四鳥にもなる取組に力を入れられました。これもまた気の早い話にはなりますが、埼玉版スーパー・シティという新しいまちづくりを行うならば、埼玉高速鉄道の延伸と絡めて考えてはいかがでしょうか。延伸に当たり、課題になっているまちづくりにも応えられるプリズム効果を踏まえた候補地としてどうか、知事のお考えをお伺いたします。
A 大野元裕 知事
一番のポイント、各地のコンパクトシティとの差、今までの街づくりと何が一番変わるのかについてでございます。
「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」は、超少子高齢社会の様々な課題に対応するため、市町村の地域特性に応じたまちづくりを支援するものです。
具体的には、コンパクトシティの取組を核とし、エネルギーなどをインセンティブとしながら、AI、IоT、5Gなどの新技術を活用した超スマートで、強靭性の高いまちづくりを進めてまいります。
これまでもコンパクトシティについては、全国各地域で様々な取組がなされてきましたが、未だに課題が多い状況にあります。これを県から強く働き掛けることで何とか突破したいというのが私の思いであります。
埼玉版スーパー・シティプロジェクトの一番のポイントは、街のコンパクト化に意欲的な市町村が行うまちづくりを、県が全面的に支援することであり、これがインセンティブとなります。
具体的には、まちづくりの構想段階から市町村と課題を共有させていただき、それぞれの地域特性に沿ったコンパクトなまちづくりができるようにいたします。
このため、昨年11月に「知事直轄プロジェクト」に指定し、私自ら指揮を執り、全庁を挙げてこの課題に取り組むことといたしました。
今後、庁内に部局横断で検討チームを組織し、市町村が行うまちづくりに役立つメニューを洗い出し、組み合わせるなどし、効果的に支援してまいります。
まちづくりでインセンティブの一つになり得るエネルギーについても、再生可能エネルギーの更なる導入やエネルギーの効率的な利用を意識して、それぞれの地域ごとの与件に応じ取り組んでいくことが必要だと考えています。
例えば大容量蓄電池の活用など、災害時でもエネルギーが途絶えず、安心に暮らせる街を目指すことも一つの案です。
また、未来のまちづくりを行っていくに当たっては、エネルギー分野を含め、民間企業が有するノウハウやアイディアを最大限活用していくことも重要です。
そこで、民間企業が市町村のまちづくりに投資しやすくなるようマッチングなどの仕組みの構築を検討してまいります。
このように県の全庁横断的な支援や民間が投資しやすい仕組みづくりがこれまでのコンパクトシティとの差であり、今までのまちづくりと一番変わる点であると考えております。
次に、街の中で世代が循環できる仕組みを協議の中で議論することについてでございます。
様々な世代が街の中で定住していくためには、就業の場やライフスタイルに合った多様な住宅などが長年にわたり確保されなければならないという難しい課題があります。
一方で、コンパクトシティでは、街の中に子育て中の世帯や高齢者の世帯など様々な世代が暮らすことになり、多様な世代が高齢者や子供たちへの見守りや共助を行い、交通難民や買い物難民が生じない世代の循環を促し、街の活気や持続性の確保が期待できる環境を提供することとなります。
このように将来の少子高齢化社会にまで目を向けた諸課題の解答となり得るスーパー・シティプロジェクトにおける、御指摘の街の中での世代の循環については、プロジェクトを進める中で更に議論をしてまいります。
次に、埼玉高速鉄道線の延伸と絡めて考え、「プリズム効果」を踏まえた候補地とすることについてでございます。
埼玉高速鉄道線の延伸に関して、取り組むべき検討課題の一つに、まちづくりの実施が示されております。
まちづくりについては地元市が主体的に取り組むものであり、必要な需要創出のため、さいたま市にはしっかりと取組を進めていただきたいと考えております。
さいたま市では、浦和美園・岩槻地域成長発展プランを策定しており、岩槻駅周辺地区、中間駅周辺地区などのまちづくりが行われる予定と聞いております。
このプランでは、「持続可能なまちづくり」が掲げられており、その検討に資するよう、県のスーパー・シティプロジェクトの構想についても、しっかりと情報提供・説明をしてまいります。
埼玉版スーパー・シティプロジェクトなどまちづくりは一朝一夕でできるものではありませんが、現在から検討し、一歩でも踏み出して進めていくのとそうしないのとでは、10年後、20年後に大きな差が出てくるものと考えております。
長く、厳しい挑戦ではありますが、私自ら先頭に立ち、埼玉版スーパー・シティプロジェクトの実現に向け取り組んでまいります。
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