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掲載日:2020年3月31日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
国語教育についてお伺いします。
最近、何か数字的な根拠があるわけではありませんが、体感的に日本人の国語力が低下しているように感じます。こうして下手な文章を書いている私自身も例外ではありませんが、いろいろな場面で「相手はそういうこと言っているんじゃないよな」「うまくコミュニケーションがとれていれば、このトラブルは起こらなかったんじゃないのかな」などなど、そういう場面に出くわすことが多くなってきたような感じがします。
そういった中、国際化に向けて英語教育が叫ばれておりますが、とうとう小学校でも英語教育が導入されるとのことです。もちろんこれからのことを考えれば英語教育の重要性は理解できますし、是非進めていただきたいと思います。しかし、併せて国語力も更に高めていただきたいと思います。理科も、数学も、社会の教科書も、教科書は全て日本語で書かれています。日本語が理解できなければ、英語も理解できるはずがないと思います。
文部科学省でも国語力の向上を目指す理由として、ここでは文章を引用させていただきます。「国語の果たす役割は極めて広範囲にわたり、文化の基盤である国語の重要性はいつの時代においても変わるものではない。国語力の向上に不断の努力を重ねることは、時代を超えて大切なことである」とあります。さらに「国際化や異なった世代に情報機器を介してなど、多様で円滑なコミュニケーションを実現するためにも、国語力が求められる。さらに、近年の日本社会に見られる人心などの荒廃が、人間として持つべき感性・情緒を理解する力の欠如に起因する部分が大きいと考えられることも問題で、この力は自然に身に付くものではなく、主に国語教育を通して体得されるものである」とあります。
そこで、教育長にお伺いたします。今まで述べさせていただいたように、これからの社会で子供たちが力強く生きていくためには、英語もそうですが、国語力を高めることが必要と思いますが、県ではどのように取り組むのか、お教えください。
続きまして、高校における性教育についてお伺いいたします。
厚生労働省のまとめによりますと、自宅をはじめ病院以外で出産したいわゆる「孤立出産」で遺棄され死亡した乳幼児は、平成15年から平成28年で112人に及ぶそうです。このニュースを聞き、私は愕然といたしました。亡くなった112人の赤ちゃんにも、普通の環境で生まれてきたなら、きっと幸せな人生が待っていたはずだと思うと、胸が痛くてたまりません。こういった孤立出産を防ぐために韓国では民間の母子支援センターが22カ所あり、健診、出産、その後の母親の学業や就労など自立支援までフォローしており、その運営費は8割国が負担しています。
埼玉県でも平成30年度7月から予期せぬ妊娠救出プロジェクトを始めており、電話やメールでの相談をはじめ、一人で病院や行政に行くことが困難な方、病院や行政で相談、交渉が必要な方に対し同行支援を行うなど、きめ細かい対応をされているところです。電話やメールの相談は始めた月は35件でしたが、令和元年度12月では174件と約5倍に増えています。その中では「相手が避妊をしてくれない」など、女子高生の相談もあるそうです。
望まない妊娠は本人の人生にとっても辛いことですが、一番かわいそうなのは、ここでは堕胎の良し悪しには触れませんが、何の罪もなく、せっかく命を授かったにもかかわらず、その人生を閉ざされてしまう胎児ではないでしょうか。未成年の子供たちや本来幸せな人生を送るために授かった命を守るためにも、今まで以上に性教育を徹底すべきと思います。
令和元年度12月議会でも我が会派の井上将勝議員が「時代に合わせ、性教育のアップデートを」と質問し、教育長からは「性に関する指導課題解決検討委員会というものを設置し、発達の段階に応じた効果的な授業が行えるよう授業改善に取り組んでいます」と答弁がありました。
以前、私は研修の内容は忘れましたが、その中で堕胎のエコー画像を見たことがあります。まだ妊娠3カ月までいかない小さな命だったと記憶しています。手術のため器具を入れると、まだ人間の形にもなっていない小さな命ですが、自分の命を守ろうと一生懸命に防御するのです。その映像を見て、私は涙が出ました。私は高校生にもこういう映像を見せるべきだと思いますが、もちろんそれは私の考えなので押し付ける気はありません。高校生に見せることが正しいのかどうかも判断できません。
ただ、学習指導要領に沿った通り一遍の授業ではなく、望まない妊娠は本人の人生への影響はもちろんのこと、本来なら元気に生まれて、みんなと同じように楽しい高校生活を送ったであろう人一人の人生を閉ざすことだということを感じることのできる感性を、自分の傷みのように感じることのできる感性を持てる教育をしていただきたいと強く思います。そうして育まれた感性は、正しい性の知識だけでなく、相手を思いやる気持ちや、いじめや差別はいけないことだという人権意識をも育んでいくのではないでしょうか。
そういう意味からも、高校において命の重さや人の痛みを感じられる感性を育む一歩踏み込んだ性教育を行っていただきたいが、教育長のお考えをお聞かせください。
A 小松弥生 教育長
まず、国語力を高めることについて、県ではどの様に取り組むのかについてでございます。
言葉は、学校における学習活動はもとより、社会生活を送るために重要な役割を果たすものです。
また、国語の授業は言葉そのものを学習の対象としておりますので、国語教育を充実させることは大変重要であると考えております。
新学習指導要領における国語では、子供の語彙を量・質ともに深める指導や、読書指導の充実を図ることとなっておりますので、県が資料等を発行し、指導の強化を図ってまいりました。
一方、全国学力・学習状況調査から、本県の子供には「話合いの話題や方向を捉えて的確に話したり、話し手の意図を捉えて聞き、自分の意見と比べるなどして考えをまとめたりすること」に課題があると分かりました。
そこで、その課題に対する取組として、国語において、対話やグループでの協議など、少人数で話し合う活動を通して、自分の考えと比較する授業を行うよう指導しております。
また、国語以外の教科についても、各教科の特質に応じた話合いや説明の機会を設けるなど、言葉を用いた活動を充実させることも大切です。
これまでも、県が主催する研修会等で、国語と他教科の授業を関連付けた授業を行うよう指導してまいりました。
例えば、社会や理科の授業では、表やグラフなどを用いて互いに考えを伝え合うなどの学習活動を積極的に取り入れるなどの工夫を行っております。
県といたしましては、今後も引き続き、国語だけでなく教育活動全体を通して、国語力の向上に努めてまいります。
次に、高校において、命の重さや人の痛みを感じられる感性を育む一歩踏み込んだ性教育を行うことについてでございます。
高等学校における「性に関する指導」としては、「受精、妊娠、出産とそれに伴う健康課題」や、「家族計画の意義や人工妊娠中絶の心身への影響」などを2年生で行っております。
保健体育の授業は、学習指導要領に基づき行っているため、妊娠の過程や性交といった具体的な内容を取り扱うことは行っておりません。
そのため、議員お話しのような指導につきましては、保健室における個別の指導や、日常の学校生活における指導等で、それぞれの学校や生徒の実態に応じて対応しております。
また、保健医療部と連携を図り、助産師等を派遣して、各学校の要望に応じた「妊娠・出産・不妊に関する出前講座」を実施しております。
先月には、性に関する指導の先進県である秋田県に職員を派遣し、医師会と連携した外部講師による性教育講座を見学してまいりました。
秋田県では、各学校で外部講師を積極的に活用し、学校や生徒の実態に合わせて、性に関する指導の充実を図っており、生徒に自分自身を大切にすることを気付かせていることが確認できました。
今後、本県におきましても、秋田県の取組なども参考にしながら、命の重さや人の痛みを感じられる感性を育めるよう、性に関する指導の充実に努めてまいります。
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