トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成15年度情報公開審査会答申 > 答申第25号 「旅費概算請求書(国費)(平成12年12月19日請求 狭山警察署の地域、交通第一及び交通第二各課員に係る分)」外13件の部分開示決定(平成15年11月10日)
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掲載日:2024年3月26日
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答申第25号(諮問第32号)
答申
1 審査会の結論
次の文書について、埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成14年3月29日付けで行った部分開示決定のうち、警部補及び同相当職以下の職員の氏名を不開示とした決定は不当であるとまではいえない。
1 旅費概算請求書(国費)(平成12年12月19日請求 狭山警察署の地域、交通第一及び交通第二各課員に係る分)外9件(以下「本件対象文書1」という。)
2 普通旅費請求書(県費)(平成13年2月分 狭山警察署の地域、交通第一及び交通第二各課員に係る分)外2件(以下「本件対象文書2」という。)
3 赴任旅費請求書(県費)(平成13年3月分 狭山警察署の地域、交通第一及び交通第二各課員に係る分)(以下「本件対象文書3」という。)
2 審査請求及び審査の経緯
(1) 本件審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成13年11月30日に、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し本件対象文書1ないし3の開示請求を行った。
(2) 実施機関は、本件対象文書1について、職員の氏名及び債主コードを、条例第10条第1号に該当するため不開示とするのが適当であると判断し、平成14年3月29日付けの公文書部分開示決定通知書により、請求人にその旨を通知した。
また、本件対象文書2について、職員の氏名及び職員番号を、条例第10条第1号に該当するため不開示とするのが適当であると判断し、平成14年3月29日付けの公文書部分開示決定通知書により、請求人にその旨を通知した。
さらに、本件対象文書3について、1職員の氏名 2職員の職員番号 3駐在所勤務員の旧居住地、新居住地、早見表番号、移転料、扶養親族移転料及び合計金額4住民票の記載のうち、証明の内容に係る記載部分 5駐在所勤務員の住民票を、条例第10条第1号に該当するため不開示とするのが適当であると判断し、平成14年3月29日付けの公文書部分開示決定通知書により、請求人にその旨を通知した。
(3) 請求人は、平成14年4月22日付けの審査請求書により、実施機関の上級庁である埼玉県公安委員会(以下「審査庁」という。)に対し、部分開示決定により不開示とされた部分のうち、職員の氏名を開示すべきであるとして審査請求を行った。
(4) 当審査会は、本件審査請求について平成14年7月24日付けで審査庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会は、審査庁から平成15年8月19日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受けた。
なお、請求人は、反論書の提出を行わなかった。
(6) 当審査会は、平成15年10月2日に、実施機関の職員から事情聴取を行った。
なお、請求人は、当審査会に対する口頭による意見陳述を求めていない。
3 請求人の主張の要旨
請求人は、本件対象文書1ないし3のうち不開示とされた「氏名」(警部補及び同相当職以下の職員の氏名)を開示するよう求めるものであるが、その理由は、おおむね次のとおりである。
1 請求人は当該旅費請求書と対をなす旅行命令簿の開示を求め、その照合を実験してみた。旅費請求書ならびに旅行命令簿との照合は、一般的には何十部対何十部の照合である。それに対し、開示されているのは職名と旅行期間及び金額のみである。
2 確実に本人であるかどうかの疑問が残り、また開示請求者が容易に照合することができない。よって当該旅費請求書上の氏名を開示すべきである。
4 実施機関の主張の要旨
審査請求に対する実施機関の主張の要旨は、以下のとおりである。
公務員の氏名については、一般私人の場合と公務員の場合とを区別することなく、個人に関する情報として保護に値すると位置づけた上で、条例第10条第1号ただし書イ(法令若しくは他の条例により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報)に該当する場合には、例外的に開示するものである。
公務員の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員の氏名については、法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている場合には、職務の遂行に係る情報について、条例第10条第1号ただし書ハとともに、同号ただし書イが重畳的に適用され判断することになる。慣行として公にされているかどうかの判断に当たっては、人事異動の公示その他実施機関により「職名と氏名とを公表する慣行がある場合」、実施機関により作成され、又は実施機関が「公にする意思をもって(あるいは公にすることを前提に)提供した情報を基に作成され、現に一般に販売されている職員録に職と氏名とが掲載されている場合」などの場合に限り、その職にある者の氏名を一般に明らかにしようとする趣旨であると考えられ、慣行として公にされ、又は公にされることが予定されていると解される。
埼玉県においては、県庁内において一般に有償頒布されている「埼玉県職員録」が該当するが、「埼玉県職員録」に掲載されている情報は、警察本部の次席(警視級又は警部級。一般職員にあっては同相当職)以上及び警察署の副署長(警視級)以上の職員の氏名である。また、人事異動情報として報道機関に提供されているのは、警部級(一般職員にあっては同相当職)以上の職員の氏名である。
また、通常埼玉県警察で行われる春と秋の定期人事異動に関する情報では、警部級(一般職員にあっては、同相当職)以上の職員氏名の情報を報道機関に提供している。
つまり、今回争点となっている警部補及び同相当職以下の職員の氏名は、実施機関において「職名及び氏名とを公表する慣行がある場合」にも該当しないし、「公にする意思をもって、(あるいは公にされることを前提に)提供した情報をもとに作成され、現に一般に販売されている職員録に職と氏名が掲載されている場合」にも該当しない。
したがって、警部補及び同相当職以下の職員の氏名については、条例第10条第1号の規定により不開示とするものである。
5 審査会の判断
(1) 本件対象文書について
本件対象文書1は、狭山警察署が作成した旅費概算請求書であり、出張した職員の所属部局課、官職、職務の級、氏名、概算額、精算額、追給額、返納額、年月日、出発地、到着地、宿泊地、所要時間、旅費の内訳及び備考の各欄から成っている。
本件対象文書2は、狭山警察署が作成した普通旅費請求書であり、出張した職員の職名・職員番号、氏名、出発地、用務、用務先、旅行月日、早見表番号・金額及び備考の各欄から成っている。
本件対象文書3は、狭山警察署が作成した赴任旅費請求書であり、用務先、旅行月日、職名・職員番号・氏名、出発地、早見表番号・金額、旧居住地・新居住地・早見表番号、移転料、扶養親族移転料、合計金額、備考の各欄から成っている。
本件対象文書1について、実施機関が不開示としたのは「職員の氏名及び債主コード」である。
本件対象文書2について、実施機関が不開示としたのは「職員の氏名及び職員番号」である。
本件対象文書3について、実施機関が不開示としたのは、1職員の氏名 2職員の職員番号 3駐在所勤務員の旧居住地、新居住地、早見表番号、移転料、扶養親族移転料及び合計金額 4住民票の記載のうち、証明の内容に係る記載部分 5駐在所勤務員の住民票 である。
(2) 条例第10条第1号について
請求人が開示を求めているのは、上記の不開示情報のうち「氏名」欄に記載された警部補及び同相当職以下の職員の氏名である。
埼玉県職員録ないし新聞の人事異動情報で氏名が公表されているのは、警部級(一般職員にあっては同相当職)以上の職員であり、「警部補及び同相当職以下の職員の氏名」は公にされていない。これをもって実施機関は、「警部補及び同相当職以下の職員の氏名」は個人情報であり、それは一般私人の場合と同様保護に値するものとして、条例第10条第1号により不開示とする旨主張する。よって、以下この点について検討する。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成14年7月24日 |
諮問を受ける(諮問第32号) |
平成15年8月21日 |
審査庁より開示決定等理由説明書を受理 |
平成15年10月2日(第28回審査会) |
実施機関より意見聴取及び審議 |
平成15年11月4日(第29回審査会) |
審議 |
平成15年11月10日 |
答申 |
氏名 |
現職 |
備考 |
---|---|---|
礒野 弥生 |
東京経済大学教授 |
|
遠藤 順子 |
弁護士 |
会長職務代理者 |
田村 泰俊 |
明治学院大学教授 |
|
野村 武司 |
獨協大学助教授 |
|
馬橋 隆紀 |
弁護士 |
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