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掲載日:2024年4月2日

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答申第21号 「平成13年4月から8月の所沢警察署及び狭山警察署の支払に関する電子情報」の不開示決定(平成15年9月19日)

答申第21号(諮問第30号)

答申

1 審査会の結論

「平成13年4月から8月の所沢警察署並びに狭山警察署の支払に関する電子情報」について埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が不開示とした決定は妥当である。

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 異議申立人は、平成14年2月26日、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づいて、実施機関に対し、「平成13年(4月から8月)所沢警察署並びに狭山警察署の支払に関する電子情報」(以下「本件情報」という。)の開示を請求した。

(2) これに対し、実施機関は、当該警察署の当該期間に係る「歳出予算差引簿」を請求対象公文書として特定し、「支払に関する電子情報を専用機器により再生、又は用紙に出力するには、新たなプログラムの作成が必要となるため」開示しないこととし、平成14年3月12日付けで不開示決定を行った。

(3) 異議申立人は、平成14年4月17日付けの異議申立書により、実施機関に対し、「新たなプログラムを必要とする理由が全く不明である」として異議申立てを行った。

(4) 当審査会は、本件異議申立てについて平成14年5月13日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(5) 当審査会の本件審査に際し、実施機関から平成15年3月3日付けの開示決定等理由説明書の提出を受け、申立人から平成15年6月27日付けの反論書の提出を受けた。

(6) 当審査会は、平成15年7月25日に、実施機関である出納局財務管理課の職員から事情聴取を行った。

なお、異議申立人は、当審査会に対する口頭による意見の陳述を求めていない。

3 異議申立人の主張の要旨

異議申立人が主張している要旨は、おおむね次のとおりである。

(1) 出納局財務管理課は平成13年4月から8月までの電子情報を出力できる状態にあった。

(2) 実施機関は、平成14年2月26日付けの公文書開示請求に対し、「新たなプログラムが必要になった」という理由で非公開とした。そのプログラムが必要な理由が全く不明である。

(3) 実施機関はデータの存在は肯定しているのであって、データは文書の形で存在しなければならない。不服申立人は公文書の公開を請求しているのであるから、実施機関はその文書を公開すべきである。

4 実施機関の主張の要旨

異議申立てに対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。

(1) 実施機関は、財務会計事務について平成4年度から財務オンラインシステムにより処理を行っているが、同システムでは、課所別の支出状況がわかる書類は、歳出予算差引簿以外に作成していない。

(2) 歳出予算差引簿は月初に、前月分の差引簿を各予算執行課所の端末から、一斉に打ち出すように設計されている。

  • 1 出力されるのは、常に当該課所の直前月分の歳出予算差引簿のみで、月の指定はできない。
  • 2 一度出力した歳出予算差引簿は再出力できない。ただし、印字不鮮明、印字中の用紙破損等に対応するため、初出力から4日間は再出力が可能である。
  • 3 1年度分の歳出予算差引簿は、毎月端末から出力される歳出予算差引簿を簿冊に追加して綴じることによって完成するようになっている。
  • 4 直前月以外の月分の歳出予算差引簿を再出力することは、経理事務上からはシステムに要求されていないので、任意の月の歳出予算差引簿を再出力するプログラムは、稼働当初から用意されていない。

(3) したがって、所沢警察署と狭山警察署の個別支出状況に係るデータは存在するが、「平成13年(4月から8月)所沢警察署並びに狭山警察署の支払に関する電子情報」を既存のプログラムで再出力することはできない。

なお、不服申立人は、本件開示請求を行う前に、所沢警察署及び狭山警察署においてそれぞれの端末から紙に出力された歳出予算差引簿の開示を受け、本件開示請求においては、財務管理課が管理している財務オンラインシステムの元の電子データから新たに出力されたものを請求している。

5 審査会の判断

(1)財務オンラインシステムの電子データについて

実施機関の説明によると、本件対象文書である歳出予算差引簿は、埼玉県の財務オンラインシステムにより作成される文書で、汎用ホストコンピュータにより、毎月、直前月分の対象各課所の財務データを一括処理し、各課所のデータを当該課所へ送信することによって、各課所にて端末から紙で出力されるものである。

出力される歳出予算差引簿は、各課所において作成する個別の支出伝票等に基づくもので、各支出科目ごとに、各支出伝票の入力年月日、摘要、予算額、支出負担行為額、支出額、支払年月日、支出負担行為未済額等の項目がそれぞれ記載されている。

一度出力されると、印字不鮮明などの諸障害に対応するため、出力された日を含め4日間は再出力が可能であるが、その期間が過ぎると、ホストコンピュータに電子データは残るが、出力は不可能となる。ホストコンピュータの容量が限られていることから、当該年度及びその前年度より前のデータは、磁気テープに保存される。また、当該電子データの情報内容を人が知覚によって認識できる形で提示するための再生等のプログラムや設備は、備えられていない。

(2)電子データの開示について

電磁的記録の開示について、条例第18条第1項は、「公文書の開示は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付により、電磁的記録については視聴、閲覧、写しの交付等その種別、情報化の進展状況等を勘案して実施機関の定める方法により行う。」と定め、また、知事が行う公文書の開示等に関する規則第5条は電磁的記録の開示方法として、第1号において「電磁的記録を印刷物として出力したものの閲覧又は交付」、第2号において「電磁的記録を専用機器により再生したものの閲覧、聴取若しくは視聴又は電磁的記録媒体に複写したものの交付が容易であるときは、当該電磁的記録の閲覧、聴取若しくは視聴又は複写したものの交付」と規定されている。

電磁的記録の開示方法としては種々の形態が考えられるところであるが、条例においては、原則として印刷物として出力したものの閲覧又は交付によることとし、フロッピーディスクや光ディスク等の電磁的記録媒体に複写したものの交付が容易であるときはその方法によることができるとしている。

異議申立人は、本件開示請求において、電磁的記録である本件情報の「用紙に出力したものの閲覧」を求めているが、請求対象文書である歳出予算差引簿は、実施機関の説明によれば、汎用コンピュータにより、月初めに各予算執行課所の端末から前月分が打ち出され、各課所では、1年度分これを簿冊に綴じていくことによって正規の歳出予算差引簿としている。

上述のとおり、出力後一定期間を経過すると再出力できない仕組みになっており、それ以降、任意の月の歳出予算差引簿を再出力するプログラムは当初から用意されていない。したがって、汎用コンピュータのデータの一部を開示するためには、新たなプログラムを作成せざるを得ない。本件電磁的記録の開示については、技術的制約やコストの問題もあり、汎用コンピュータのデータの一部開示のために新たなプログラムを作成することまで条例が求めているものと解することはできない。

以上のことから、実施機関の主張は妥当といえる。

よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

審議の経過

年月日

内容

平成14年5月13日

諮問を受ける(諮問第30号)

平成15年3月3日

実施機関より開示決定等理由説明書を受理

平成15年6月27日

異議申立人より反論書を受理

平成15年7月25日(第26回審査会)

実施機関より意見聴取及び審議

平成15年8月26日(第27回審査会)

審議

平成15年9月19日

答申

埼玉県情報公開審査会委員名簿(平成15年8月26現在)

氏名

現職

備考

礒野 弥生

東京経済大学教授

 

遠藤 順子

弁護士

会長職務代理者

大森 彌

千葉大学教授

会長

田村 泰俊

明治学院大学教授

 

野村 武司

獨協大学教授

 

馬橋 隆紀

弁護士

 

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