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掲載日:2024年3月26日
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答申第22号(諮問第31号)
答申
1 審査会の結論
本件異議申立ての対象となった次の公文書(以下「本件対象文書」という。)について、埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が、開示の実施の方法を「文書又は図画の閲覧及び写しの交付」と「電磁的記録の用紙に出力したものの閲覧及び写しの交付」として開示を実施したことは、妥当である。
(1)平成13・14年度競争入札参加資格者名簿(建設工事請負~県内業者)平成13年6月埼玉県
(2)平成13・14年度競争入札参加資格者名簿(建設工事請負~県外業者)埼玉県
(3)平成13・14年度競争入札参加資格者名簿(設計・調査・測量、土木施設維持管理、建設資材納入)埼玉県
2 異議申立て及び審査の経緯
(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成14年4月17日、埼玉県情報公開条例(平成12年埼玉県条例第77号。以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「建設業課所管にかかる建築物入札資格者名簿の登録事項すべて」という内容の開示請求を行った。
なお、申立人は、本件開示請求を行うに当たり、求める開示の実施方法として「文書又は図画の場合の閲覧」及び「電磁的記録の場合の電磁的記録媒体に複写したものの交付」を希望した。
(2) 実施機関は、本件開示請求に係る公文書を本件対象文書と特定した上で、平成14年5月1日付けで開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、開示決定通知書の「求めることができる開示の実施の方法」欄には「文書又は図画の『1閲覧』及び『2写しの交付』と、電磁的記録の『1用紙に出力したものの閲覧』、『2用紙に出力したものの交付』が求めることができる開示の実施方法となります。」と記載し、「備考」欄には「電磁的記録の『電磁的記録媒体に複写したものの交付』については、データが大型汎用電子計算機で保存されているため、汎用機用フォーマットのデータを一般のパーソナルコンピュータで扱うデータに変換するためには、新たにプログラムを開発する必要があります。」と記載のうえ、申立人に通知した。
(3) 実施機関は申立人に対し、平成14年5月8日、総務部県政情報センターにおいて、開示請求書の「求めることができる開示の実施の方法」欄に記載した方法により、開示の実施を行った。
(4) 申立人は、平成14年5月8日付けの異議申立書により、実施機関に対し、「開示の実施の方法として申立人が求めた電磁的記録媒体に複写したものの交付を実施しないのは規則違反である。」として、異議申立てを行った。
(5) 当審査会は、本件異議申立てについて平成14年5月22日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(6) 当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成15年2月12日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受け、申立人から平成15年3月7日付けの反論書の提出を受けた。
(7) 当審査会は、平成15年8月26日に実施機関の職員から事情聴取を行った。
なお、申立人は、当審査会に対する口頭による意見の陳述を求めていない。
3 申立人の主張の要旨
申立人が、異議申立書及び反論書において主張している内容は、おおむね次のとおりである。
(1) 知事が行う公文書の開示等に関する規則(以下「規則」という)第5条第2号に定める「電磁的記録媒体に複写したものの交付が容易である」にもかかわらず、また、新たなプログラムの開発が不要または簡易な作業であるにもかかわらず、新たなプログラムの開発が必要と断定して請求人の求めに対応しない不作為であり、規則に違反するものである。
(2) 他の自治体では、同種のデータを既に電磁的記録媒体で情報提供しており、県の建設業課でその対応を一切しないというのは、単に職務放棄、サボタージュという以外の何物でもない。
また、県の他課(物品管理課)でも、既に同種の情報を電磁的記録で提供しており、建設業課でその対応を一切しないのは、自己の存在意義を否定するものといっても過言ではない。
さらに、建設業課内でも、建設業登録担当部門では、既に電磁的記録での情報提供を実施済みである。
したがって、入札関係データの提供を行わないということは、意図的な意思があることは明らかであり、担当者に法律に触れる行為があるのではないかとさえ想像せざるを得ない。
(3) 本件異議申立てに対し、その審査対応がかくのごとき長期にわたるということは、審査委員の能力を疑わせるものであり、現委員は審査会機能の遂行・実現に明らかに能力不足であることを証明するものであり、審査会委員及び会長の辞職を求めるものである。
4 実施機関の主張の要旨
実施機関が、説明書及び審査会における意見陳述で、主張している内容はおおむね次のとおりである。
(1) 建設業課が保管する当該情報に係る電磁的記録は、大型の汎用電子計算機(以下「大型汎用機」という。)で処理しているため、データ自体が入札参加資格者の申請データを記録したもので、名簿の形式で記録されているものではない。
(2) 建建設業課の大型汎用機のシステムは、紙媒体の資格者名簿を打ち出すためのプログラムで構成されている。
したがって、申請データの記録をそのまま大型汎用機用の電磁的記録媒体に複写しても、それを見るためには、大型汎用機を使用しなければならず、一般に普及するパーソナルコンピュータで扱える形式にするには、大型汎用機からパーソナルコンピュータにデータを変換するための新たなプログラムを作成しなければならない。
なお、当該変更プログラムの作成費用について見積を行ったところ、概ね150万程度であった。
(3) 規則第5条第2号で規定する「電磁的記録媒体に複写したものの交付が容易であるとき」とは、既存のプログラムにより対応できる場合をいい、交付のために新たなプログラムを開発することまで求めているものではないと考えている。
(4) 以上のことから、県が保有する既存のプログラムで出力できない場合に該当し、規則第5条第2号で規定する「電磁的記録媒体に複写したものの交付が容易であるとき」には当たらないと考える。
5 審査会の判断
(1) 本件対象文書について
本件対象文書は、平成13年6月1日から平成15年5月31日までの2年間有効の建設工事等における競争入札参加資格者の県内及び県外業者の名簿であり、当該業者の商号又は名称、代表者役職名(代理人役職名)、代表者氏名(代理人氏名)、所在地、資本金、職員数、営業年数、営業所の有無、許可区分、業種、格付、資格審査数値、1級相当技術者数、業種別年間平均完成工事高等の情報が記載されている。
なお、本件対象文書は、平成13・14年度埼玉県建設工事請負等競争入札参加資格者格付要領の規定に基づき、これらの情報を用紙に出力したもの(冊子)を建設業課や県内の各県土整備事務所等において、一般県民等の閲覧に供している。
(2) 電磁的記録の開示方法について
申立人は、本件対象文書の開示の実施の方法について、「電磁的記録媒体に複写したものの交付が容易であり、新たなプログラムの開発が不要または簡易な作業であるにもかかわらず、新たなプログラムの開発が必要と断定して申立人の求めに応じないのは、規則に違反する。」と主張しているので、以下この点について検討する。
したがって、本件対象文書の開示を実施するに当たり、電磁的記録の開示については、規則第5条第2号で規定する「電磁的記録媒体に複写したものの交付が容易であるとき」に該当するものと認めることはできない。
(3) 申立人のその他の主張について
申立人は、他の自治体では、同種のデータを既に電磁的記録媒体で情報提供しており、県の他課(物品管理課)でも既に同種の情報を電磁的記録で提供しているにもかかわらず、建設業課でその対応を一切しないのは、自己の存在意義を否定するものである等主張しているが、いずれも、当審査会の判断を左右するものとは認められない。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成14年5月22日 |
諮問を受ける(諮問第31号) |
平成15年2月12日 |
実施機関より開示決定等理由説明書を受理 |
平成15年3月9日 |
異議申立人より反論書を受理 |
平成15年8月26日(第27回審査会) |
実施機関より意見聴取及び審議 |
平成15年10月2日(第28回審査会) |
審議 |
平成15年10月15日 |
実施機関に答申 |
氏名 |
現職 |
備考 |
---|---|---|
礒野 弥生 |
東京経済大学教授 |
|
遠藤 順子 |
弁護士 |
会長職務代理者 |
田村 泰俊 |
明治学院大学教授 |
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野村 武司 |
獨協大学助教授 |
|
馬橋 隆紀 |
弁護士 |
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