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掲載日:2024年3月26日
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答申第19号(諮問第24号)
答申
1 審査会の結論
次の文書について、埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成14年2月13日付けで不存在を理由に不開示とした決定は、妥当である。
「雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導を下水道課で行って居られない根拠となる通達等の資料」
2 異議申立て及び審査の経緯
(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成14年2月1日、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づいて、実施機関に対し、「雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導を下水道課で行って居られない根拠となる通達等の資料」の開示請求を行った。
(2) 実施機関は、平成14年2月13日付けで、文書不存在を理由に不開示決定(以下「不開示決定」という。)を行った。
(3) 申立人は、平成14年2月22日付けの異議申立書により、実施機関に対し、文書不存在の決定は納得できないとして、不開示決定の取消しを求める異議申立てを行った。
(4) 当審査会は、本件異議申立てについて平成14年3月26日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会の本件審査に際し、実施機関から平成14年9月20日付けの開示決定等理由説明書の提出を受け、申立人から平成14年10月3日付けの反論書の提出を受けた。
(6) 当審査会は、平成15年3月17日に、実施機関である下水道課の職員から事情聴取を行った。
(7) 申立人は、平成15年4月24日に、口頭による意見陳述を行った。(以下「意見陳述」という。)
3 申立人の主張の要旨
(1) 申立人の文書不存在に関する主張は、おおむね次のとおりである。
(2) さらに、申立人は意見陳述の場に、資料として、「新世代下水道支援事業制度実施要綱について(平成11年3月19日都下公発第8号)」(国土交通省都市・地域整備局下水道部下水道事業課監修「下水道事業の手引」(平成14年版)(財団法人全国建設研修センター発行)205頁~215頁)(以下「本件資料1」という。)及び「参考資料 浸透型流出抑制施設の現地浸透能力調査マニュアル試案」(「防災調節池等技術基準(案)解説と設計実例(増補改訂)」(社団法人日本河川協会発行)305頁~338頁)(以下「本件資料2」という。)を持参し、本件資料1及び2が請求対象文書の一部に該当し、これらを下水道課が保有していないはずはない旨を主張した。
一方、申立人は意見陳述の場で、本件異議申立ては情報公開審査会による調査審議になじむ内容のものではないとの陳述もしている。
4 実施機関の主張の要旨
(1) 異議申立てに対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
下水道課では、雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導についての方針等を作成した事実はない。また、下水道課では、国等から雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導についての通達等を受理していない。以上のことから対象文書を不存在としたものである。
(2) また、申立人が意見陳述に持参し、下水道課が保有しているはずであると主張した資料1及び2についての実施機関の説明は、おおむね次のとおりである。
本件資料1は、建設省都市局下水道部公共下水道課より都道府県あてに出された通達であり、下水道課で収受し、保有している文書である。しかし、その出典となっている「下水道事業の手引」は、下水道課の職員が申立人への対応の中で示してきているものであり、本件資料1が請求対象文書であるとは考えられない。本件資料2は、河川砂防課で保有している文書であるが、それが請求対象文書であるとは考えられない。また、本件資料1及び2は、いずれも市販されている書籍に記載されているものである。
なお、本件開示請求を受ける際に、開示請求書への請求内容の記載の仕方に関して、その記載内容では対象文書不存在により不開示決定となる旨の説明を行っている。
5 審査会の判断
(1) 本件の争点は、申立人の開示請求につき、その対象文書が存在するか否かという点である。
(2) 申立人による公文書開示請求書及び下水道課の職員からの事情聴取によれば、申立人が開示を求める対象文書は、雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導を下水道課で行っていない根拠となる通達等の資料である。申立人は、意見陳述において本件資料1及び2が請求対象文書に該当する旨を主張している。そこで、まず本件資料1及び2が請求対象文書に該当するか否かを検討する。
(3) 本件資料1は、建設省都市局下水道部公共下水道課(当時)より都道府県あてに出された通達であり、新世代下水道支援事業制度の創設に伴い定めた実施要綱が記載されている。当該実施要綱は、近年下水道の役割として新たに求められている良好な水循環の維持・回復、リサイクル社会構築への貢献、情報化社会への対応等、下水道に求められている新たな役割を積極的に果たしていくため、下水道事業として実施する補助対象範囲を明確にするとともに、同制度の採択基準、事業の実施方法等を定めており、本文と別表-1(採択要件)、別表-2(事業実施主体)、別表-3(国の補助)及び別表-4(留意事項等)から構成されている。
(4) このような記載内容である本件資料1をもって、申立人の開示請求に係る「雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導を下水道課で行っていない根拠となる通達等の資料」に該当するということは困難である。したがって、本件資料1が請求対象文書に該当するとは認められない。
(5) 本件資料2は、社団法人日本河川協会が発行した「防水調節池等技術基準(案)解説と設計実例(増補改訂)」所収の参考資料であり、総合治水対策における流域対策として設置される浸透施設を対象として建設省土木研究所が作成した「浸透型流出抑制施設の現地浸透能力調査マニュアル試案」が紹介されている。内容は、自然流域における保水遊水機能を保全し、開発に伴う流出増を抑制するために有効な手段として位置付けられる流出抑制施設のうち、雨水浸透型施設について、その計画・設計にあたり基本的要素となる、現地での浸透能力の把握手法及び設計浸透量の設定手法が記載されている。
(6) このような記載内容である本件資料2をもって、「雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導を下水道課で行っていない根拠となる通達等の資料」に該当するとみることは、前記(4)と同様に困難である。したがって、本件資料2が請求対象文書に該当するとは認められない。
(7) さらに、実施機関が当該開示請求を受理する際に、申立人に対し、申立人が開示請求書に記載した請求内容に見合う対象文書は存在しない旨の説明を行っていること、また、実施機関は本件資料1が掲載されている「下水道事業の手引」を申立人に示していること、当該書籍及び本件資料2が掲載されている書籍はいずれも市販されているものであることが認められる。条例第2条第2項第1号では、「新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの」については、条例による開示請求の対象となる「公文書」からは除くものとしており、このことからも、本件資料2は請求対象文書に該当しないといえる。また、申立人は、本件資料1及び2のほかにも、開示請求に係る対象文書が存在しているかのように主張している。しかし、以上のこと並びに、開示請求が「雨水浸透施設を各戸に設ける場合の技術指導を下水道課で行って居られない根拠となる通達等の資料」という形でなされているため、そもそも実施機関による対象文書の特定になじみにくいことを考え合わせれば、開示請求に係る対象文書が存在しないとの実施機関の主張に特段不合理な点があるとは認められない。なお、申立人は、下水道行政の中で雨水浸透技術の調査研究や技術指導が行われるべきである等下水道行政のあり方についても言及しているが、これらは条例に基づく公文書開示制度とは別の問題であり、当審査会の判断事項ではない。
よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成14年3月26日 |
諮問を受ける(諮問第24号) |
平成14年9月24日 |
実施機関より開示決定等理由説明書を受理 |
平成14年10月3日 |
異議申立人より反論書を受理 |
平成15年3月17日(第22回審査会) |
実施機関より意見聴取及び審議 |
平成15年4月24日(第23回審査会) |
異議申立人より意見聴取及び審議 |
平成15年5月19日(第24回審査会) |
審議 |
平成15年6月19日(第25回審査会) |
審議 |
平成15年7月2日 |
答申 |
氏名 |
現職 |
備考 |
---|---|---|
礒野 弥生 |
東京経済大学教授 |
|
遠藤 順子 |
弁護士 |
会長職務代理者 |
大森 彌 |
千葉大学教授 |
会長 |
田村 泰俊 |
明治学院大学教授 |
|
野村 武司 |
獨協大学助教授 |
|
馬橋 隆紀 |
弁護士 |
|
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