トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成15年度情報公開審査会答申 > 答申第17号 「文書課座席配置図(平成13年10月1日現在)、総務部文書課職員名簿(同)及び総務部文書課事務分掌表(同)」の部分開示決定(平成15年4月24日)
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掲載日:2024年3月26日
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答申第17号(諮問第19号)
答申
1 審査会の結論
次の文書について、埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成13年10月18日付けで行った部分開示決定のうち、係長以下の職員の氏名を不開示とした決定は不当であるとまではいえない。
(1) 文書課座席配置図(平成13年10月1日現在)(以下「本件対象文書1」という。)
(2) 総務部文書課職員名簿(平成13年10月1日現在)(以下「本件対象文書2」という。)
(3) 総務部文書課事務分掌表(平成13年10月1日現在)(以下「本件対象文書3」という。)
2 審査請求及び審査の経緯
(1) 本件審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成13年10月4日、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し本件対象文書1ないし3の開示請求を行った。
(2) 実施機関は、本件対象文書1については係長以下の職員の氏名及び個人に割り振られた内線電話の番号を、本件対象文書2については係長以下の職員の氏名、職員の住所、生年月日及び電話番号を、本件対象文書3については係長以下の職員の氏名及び職員の性別が分かる部分を、いずれも条例第10条第1号に該当するため不開示とするのが適当であると判断し、平成13年10月18日付けの公文書部分開示決定通知書により、請求人にその旨を通知した。
(3) 請求人は、平成13年12月18日付けの審査請求書により、実施機関の上級庁である埼玉県公安委員会(以下「審査庁」という。)に対し、部分開示決定により不開示とされた部分のうち、本件対象文書1については係長以下の職員の氏名を、本件対象文書2については係長以下の職員の氏名、職員の住所のうちの自治体名及び生年月日のうちの生年を、また、対象文書3については係長以下の職員の氏名及び職員の性別が分かる部分を、それぞれ開示すべきであるとして審査請求を行った。
(4) 当審査会は、本件審査請求について平成14年1月30日付けで審査庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会は、審査庁から平成14年7月3日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受け、請求人に通知した。
(6) 当審査会は、平成14年8月2日に実施機関の職員から事情聴取を行った。
(7) 請求人は、平成14年9月2日に、口頭による意見陳述を行った。
(8) 請求人は、平成14年9月4日に、本件対象文書2のうち職員の住所のうちの自治体名及び生年月日のうちの生年に係る審査請求を取り下げた。
(9) 請求人は、当審査会に対し、平成14年9月5日付け「口頭意見陳述申立書」(第2回目)及び「審査会に提出された意見書または資料の閲覧請求書」を提出した。
(10) 請求人は、当審査会に対し、平成14年9月6日付け「審査手続きに関する要請事項について」を提出した。
(11) 請求人は、平成14年9月10日に、本件対象文書3のうち職員の性別が分かる部分に係る審査請求を取り下げた。
(12) 審査庁は、当審査会に対し平成14年10月2日付けで、実施機関から徴取した「意見書」を提出した。
(13) 当審査会は、平成14年10月11日、請求人に上記「意見書」を閲覧させた。
(14) 審査庁は、請求人の審査請求の一部取り下げを受けて、当審査会に対し平成14年10月29日付けで諮問を一部取り下げた。
(15) 請求人は、当審査会に対し、平成14年11月8日付け「県警『係長以下の職員氏名』非公開決定に係る意見書」を提出した。
(16) 請求人は、当審査会に対し、平成14年11月15日付け「県警『係長以下の職員氏名』非公開決定に係る補充意見書」を提出した。
(17) 審査庁は、当審査会に対し、平成14年12月17日付け「審査請求人の主張に対する意見書」を提出した。
(18) 請求人は、当審査会に対し、平成15年1月21日に「2002 埼玉県警察官募集ガイド」及び「2002 埼玉県警察事務職員募集ガイド」を資料として提出した。
3 請求人の主張の要旨
請求人は、本件対象文書1ないし3のうち不開示とされた「係長以下の職員の氏名」を開示するよう求めるものであるが、その主な理由は以下のとおりである。
(1) 係長以下の職員の氏名が公開されても当該職員のプライバシーの不当な侵害になるとは到底考えられず、条例第10条第1号に該当するとは認められない。処分は条例の解釈・運用を誤った違法なものである。
(2) 一般職員・教育行政の職員の氏名は、埼玉県職員録によりすべて公表されている。警察行政の職員のみ、一定の職以下の職員の氏名を公表しないとすることの合理的理由が明らかにされていない。
(3) けいさつ情報公開センターの窓口担当者は胸に名札を付けていた。
4 実施機関の主張の要旨
審査請求に対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
(1) 条例第10条第1号ただし書ハにおいて開示すべきとされているのは、公務員の「職」及び「職務遂行の内容に係る部分」である。すなわち、公務員の「氏名」についてはもともと不開示であり、それが「慣行として公にされている」場合において開示するものである(条例第10条第1号ただし書イ)。
ところで、埼玉県職員録に記載されているのは警察本部の次席(警視級又は警部級)以上及び警察署の副署長(警視)以上の職員の氏名である。また、人事異動情報として一般に公表されているのは警部級(一般職員にあっては、同相当職)以上の職員の氏名である。すなわち、「慣行として公にされている」のは警部級以上の職員の氏名である。
したがって、公にされていない係長(警部補級。一般職員にあっては同相当職)以下の職員の氏名は個人情報であり、条例第10条第1号に該当し不開示とするものである。
(2) 警部級以上の職員については、業務推進上の責任をより重く担っているとの理由から、新聞の人事異動情報により氏名が公表されている。したがって、「慣行として公にされている」情報としてこれを開示している。
これに対し、係長以下の職員については、犯罪捜査等の警察業務の特殊性から、これを公にすることにより職員個人、家族等の私生活に影響を及ぼすおそれがあるとの理由で氏名を公表していない。一般行政・教育行政とは区別されるべき合理的な理由がある。
5 審査会の判断
(1) 本件対象文書について
本件対象文書1は、総務部文書課が、主に総務部内での業務上の必要から作成した座席配置図であり、文書課職員の氏名、職名及び内線電話番号が記載されている。
本件対象文書2は、総務部文書課が、主として警察本部内での緊急連絡用に作成した職員名簿であり、文書課職員の職名、階級、氏名、住所、生年月日及び電話番号が記載されている。
本件対象文書3は、総務部文書課が、組織管理及び人事管理を目的として作成した事務分掌表であり、文書課職員の職名、階級、氏名、内線電話番号及び分掌事務の内容が記載されている。
(2) 総務部文書課の業務について
総務部文書課は、文書管理、文書の接受、発送、編集及び集中印刷や、公文書類の審査、並びに警察の情報公開・個人情報保護に関する事務等を担っており、職員は直接、犯罪の捜査・逮捕業務には従事していない。
(3) 条例第10条第1号について
請求人が開示を求めているのは、総務部文書課の「係長以下の職員の氏名」である。埼玉県職員録ないし新聞の人事異動情報で氏名が公表されているのは、警部級(一般職においては同相当職)以上の職員であり、「係長以下の職員の氏名」は、公にされていない。これをもって実施機関は、「係長以下の職員の氏名」は個人情報であり、条例第10条第1号に該当し不開示とする旨主張する。よって、以下この点について検討する。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
6 附帯意見
当審査会は、本件の調査審議を行う過程で、警察のあり方についても議論が及んだことを踏まえ、次のとおり意見を附する。
現時点においては、係長以下の警察職員の氏名について、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報であるとまでは言い難いことから、実施機関の開示しないとの決定もやむを得ないものと、当審査会は判断したものである。
しかしながら、警察を除く他の実施機関においては、県民に対する説明責任が全うされるよう、職務の遂行に係る情報に含まれる職員の氏名は原則開示とされている現状に鑑みれば、情報公開開始後いまだ日が浅いとはいえ、警察だけが今後とも特例的扱いを一律に受け続けることがはたして妥当と言えるのか、疑問の余地なしとしない。
県民の生命と財産を守り、公共の安全と秩序を維持することを本務とする警察にとって、すべての県民の負託に応え、公正で透明な開かれた警察として県民の信頼とその民主的運営を真に確保するためにも、現状に甘んずることなく、常に進取の気概を持って、従来の慣行を検証、見直しし、積極的に改革を進めることは、今や時代の要請でもある。
したがって、実施機関が職員の氏名の開示請求に対し、今後も本件処分時と変わらぬ取り扱いをしていくことが妥当かどうかを含め、実施機関自らが検討する必要があると考える。
以上を踏まえ、当審査会は、実施機関に対し、警察職員の氏名の開示についても、警察改革の一環として積極的に取り組まれるよう、切に望むものである。
年月日 |
内容 |
---|---|
平成14年1月30日 |
諮問を受ける(諮問第19号) |
平成14年7月3日 |
審査庁より開示決定等理由説明書を受理 |
平成14年8月2日(第15回審査会) |
実施機関より意見聴取及び審議 |
平成14年9月2日(第16回審査会) |
不服申立人より意見聴取及び審議 |
平成14年10月4日(第17回審査会) |
審議 |
平成14年10月29日 |
審査庁より諮問内容の一部変更を受理 |
平成14年11月8日 |
不服申立人より意見書を受理 |
平成14年11月11日(第18回審査会) |
審議 |
平成14年11月18日 |
不服申立人より補充意見書を受理 |
平成14年12月18日 |
審査庁より意見書を受理 |
平成14年12月19日(第19回審査会) |
審議 |
平成15年1月30日(第20回審査会) |
審議 |
平成15年2月17日(第21回審査会) |
審議 |
平成15年3月17日(第22回審査会) |
審議 |
平成15年4月24日 |
答申 |
氏名 |
現職 |
備考 |
---|---|---|
礒野 弥生 |
東京経済大学教授 |
|
遠藤 順子 |
弁護士 |
会長職務代理者 |
大森 彌 |
千葉大学教授 |
会長 |
田村 泰俊 |
東京国際大学教授 |
|
馬橋 隆紀 |
弁護士 |
|
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