答申第23号 「平成13年1月分の捜査費の個別の執行に係る書類(県費)(所沢警察署)」外31件の不開示決定(平成15年10月16日)
答申第23号(諮問第22号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、本件審査請求の対象となった次の公文書について不開示とした決定は、妥当である。
(1) 「平成13年1月分の捜査費の個別の執行に係る書類(県費)(狭山警察署)外15件(別紙のとおり)」(以下「本件対象文書1」という。)
(2) 「平成13年1月分の捜査費の個別の執行に係る書類(県費)(所沢警察署)外15件(別紙のとおり)」(以下「本件対象文書2」という。)
2 審査請求及び審査の経緯
(1) 本件審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成13年10月1日及び2日、埼玉県情報公開条例(平成12年埼玉県条例第77号。以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し次の内容に関する公文書の開示請求を行った。
- ア 平成13年1月から8月分の狭山警察署の捜査費の支出証拠書(国費及び県費)
- イ 平成13年1月から8月分の狭山警察署の支出負担行為兼支出命令書、領収書(食糧費、交際費、負担金)
- ウ 平成13年1月から8月分の所沢警察署の捜査費の支出証拠書(国費及び県費)
(2) 実施機関は、本件開示請求の対象となった公文書が大量であり、条例第15条第1項に定める期間内に開示・不開示の決定を行うことが事務処理上困難であるとして、本件対象文書1については平成13年11月29日、本件対象文書2については同月30日まで、開示決定等の期間を延長する旨、平成13年10月15日付け「公文書開示決定等期間延長通知書」により、請求人あて通知した。
(3) 実施機関は、上記(1)のア及びウの開示請求に対応する公文書として特定した本件対象文書1及び2は、条例第10条第3号(公共の安全等に関する情報)に該当し不開示とするのが適当であると判断し、本件対象文書1については平成13年11月29日、本件対象文書2については同月30日付けで不開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、請求人に通知した。
(4) 請求人は、平成13年12月12日及び平成14年1月4日付けの審査請求書により、「不開示とした本件対象文書のどの部分を開示すると条例第10条第3号に該当するかについて具体的に説明すべきである。」等を理由として、実施機関の上級庁である埼玉県公安委員会(以下「審査庁」という。)に対し、審査請求を行った。
(5) 当審査会は、本件審査請求について平成14年2月13日付けで審査庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(6) 当審査会は、本件審査に際し、審査庁から平成14年8月28日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受け、請求人から平成14年9月9日付けの「非公開等理由説明書に対する審査請求人の反論書」(以下「反論書」という。)の提出を受けた。
(7) 当審査会は、平成14年12月19日に実施機関の職員から事情聴取を行った。
なお、請求人は、当審査会に対する口頭による意見の陳述を求めていない。
3 請求人の主張の要旨
請求人が、審査請求書及び反論書において主張している内容は、おおむね次のとおりである。
(1) 本件処分は、部分開示決定でなく不開示決定であり、各公文書の様式すら見ることができない。
これでは、文書上開示すべき部分を指定して意見を言うこともできない。また、文書の様式等を明らかにしても捜査に支障を生じる訳ではない。
(2) 不開示決定通知書には、概括的な文書名が記載されているだけであり、各月分の個別の捜査費用と条例第10条第3号との関連を具体的に説明していない本件処分は妥当でない。
(3) 警察は、「理由説明書」の中で、ようやく捜査費用を説明する公文書を具体的に明らかにしてきたが、本来は、不開示決定通知書の中で、不開示理由との関係も含め明らかにすべきものである。このやり方は文書不存在と同じ状態であり、捜査費用の情報隠しといえる。
(4) 不開示としたどの部分を開示すると条例第10条第3号に該当するのかを具体的に説明すべきであり、理由付記が不十分である。
(5) 公費で賄われている捜査費用と称されるものの開示を請求しているのであって、捜査内容の開示を請求しているものではない。
4 実施機関の主張の要旨
実施機関が、説明書及び審査会における意見陳述で、主張している内容はおおむね次のとおりである。
(1) 本件対象文書について
本件対象文書1及び2は、捜査費の個別の執行の過程において作成、取得された文書である。
具体的な公文書名は、「捜査費支出伺」、「捜査費交付書兼支払精算書」、「支払伝票」、「支払精算書」、「立替払報告書」、「領収書」及び「支払報告書」であり、次のような個別執行情報が記載されている。
- ア 捜査費の支払いをした捜査員の所属課(係)・官職・氏名
- イ 捜査費の支払年月日
- ウ 捜査費の支払いの相手方及び支払金額
- エ 捜査費の支払事由(捜査対象事件名、捜査目的、捜査活動場所等)
(2) 条例第10条第3号該当性について
- ア 捜査中の事件に係る捜査費の個別執行情報は、捜査活動を費用面から表すものであり、一の執行に関する情報それ自体が捜査に関する情報であるばかりでなく、これを事件ごとに一連のものとして捉えれば、事件ごとの捜査体制、捜査方針、捜査手法、捜査の進展状況といった各種捜査情報を反映する情報と見ることができる。
これらの情報を公にすれば、当該事件捜査に係る種々の情報が明らかとなり、被疑者等の事件関係者が逃走、証拠隠滅、更なる犯罪等を図るおそれがあるといわざるを得ず、犯罪捜査等に支障を及ぼすおそれがあることは明らかである。
- イ 捜査中事件以外の事件に係る捜査費の個別執行情報は、捜査が終了していることから、これらを公にしても事件関係者による逃走等のおそれはない。
しかしながら、個別執行情報は、一連のものと捉えると事件ごとの捜査体制、捜査方針、捜査手法、捜査の進展状況等の各種捜査情報を反映する情報であることから、どのような事件に対して警察がどのような方針をとり、どのように捜査を進めていったのかといった分析が可能となる。
- ウ この分析がどの程度可能であるかはケース・バイ・ケースであるが、新聞・雑誌等他の情報との照合により、かなりの精度で行うことができるケースも否定できない。
以上により、これらの情報を公にすることにより、過去の警察の捜査手法等の分析が可能となり、ひいては、将来においてこれらの捜査手法等に応じた犯罪を敢行するなどの対抗措置が講じられるおそれがある。
- エ 本件対象文書に記録された情報のうち、情報提供者等に係るものについても、これらを公にすると、情報提供者等が特定または推測され、これらの者が被疑者等の事件関係者から報復を受けるおそれがある。
さらには、このことから、以降の協力を得ることができなくなるおそれがあることから、犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれがあることは明らかである。
- オ 本件対象文書は、実施機関の内部でも厳重に管理されており、警察本部長、署長、捜査に直接かかわった者以外、その内容について知ることはできない。
(3) 部分開示の可否について
- ア 個別執行情報のうち、実質的に開示しても支障のないと思われる部分があるのであれば、条例の立法趣旨にかんがみ、実施機関として当該部分を開示とする判断もあり得るところである。
しかしながら、実施機関が、何ら問題ない程度に個別執行情報から開示可能と思慮される部分を切り分け、当該部分のみを開示したとしても、被疑者等の事件関係者は調査活動等によって当該事件に関する独自の情報を有している可能性があり、それがどの程度かわからない以上、当該情報との照合・分析により、事件関係者等による逃走、証拠隠滅のおそれや捜査手法等に応じた対抗措置を講じられるおそれが絶対に生じないとまで断定できない。
- イ 情報提供者等に係る情報については、そもそも情報提供者等は、警察に対する情報提供や捜査協力等が危険を伴うものであることから、自らに関する情報が完全に秘匿されるものであるという期待と信頼を大前提として情報提供等に及ぶものであるため、仮に部分的であれ情報提供者等に関する情報が開示されたことが情報提供者等の知るところとなれば、情報提供者等との信頼関係に支障を来し、以後の協力を受けることができなくなるおそれがある。
- ウ 本件対象文書に記載されている情報のうち、警察署名、決裁欄の印影等の情報についてまで、一の執行に関する一の情報に含まれると捉えることが適当でないとの考え方はあろうが、そうだとしても、これらの情報を公にすることにより、捜査費の執行件数が推認されるため、その変動状況と、事件発生や事件の伏在している可能性のある事案の報道等の情報及び自らが知りうる情報と照合・分析することにより、捜査の進展状況等を推察して、被疑者等の事件関係者が逃走や証拠隠滅を図るおそれや、犯罪を企図する者が捜査の網をかいくぐって犯罪を敢行するおそれがある。
(4) その他
警察本部としても、実施機関の一員として条例の趣旨を重く受け止めているが、他方、いかなるものであっても利用できるものはすべて利用してまで、警察の手の内を探り、その裏をかこうとする犯罪者集団のごときものがあるとすれば、それらに対して無防備でいることは職務怠慢のそしりを免れない。
万が一にも警察の手の内を犯罪者集団にまでさらすようなことがあれば、長年の警察活動により培ってきた捜査手法や情報提供者との信頼関係等が根底から揺るぐ事態を招きかねず、ひいては県民の生命、身体、財産等の安全に対する脅威をもたらすなど治安の著しい悪化を招き、県民に対して回復し難い不利益を課す結果となる。
5 審査会の判断
(1) 本件対象文書について
本件対象文書1及び2は、それぞれ狭山警察署、所沢警察署において、平成13年1月から同年8月までの間に執行された捜査費の個別の執行に係る書類であり、具体的には、「捜査費支出伺」、「捜査費交付書兼支払精算書」、「支払伝票」、「支払精算書」、「立替払報告書」、「領収書」及び「支払報告書」の各文書である。
なお、これらの文書には、次の個別執行情報が記載されている。
- ア 捜査費支出伺
決裁欄(課(署)長、次席(副署長)、課(係)長、出納簿登記)の印影、発議年月日、支出額、捜査員の勤務課所名・官職・氏名及び印影、交付人数、交付額、支出の事由、領収年月日、交付年月日
- イ 捜査費交付書兼支払精算書
決裁欄(取扱者、補助者、出納簿登記)の印影、発議年月日、勤務課所名、課(係)長の官職・氏名及び印影、交付及び精算月、交付額、支払額、返納額、保留分又は未交付分の額、交付月日、捜査員の官職・氏名及び印影
- ウ 支払伝票
発議年月日、捜査員の官職・氏名及び印影、支払年月日、支払額、支払先、支払事由
- エ 支払精算書
発議年月日、勤務課所名、捜査員の官職・氏名及び印影、受領年月日、既受領額、支払額、差引過不足(△)額、支払年月日、支払額、債主名、支払事由、決裁欄(課(署)長、次席(副署長)、課(係)長、出納簿登記)の印影、返納額又は不足額の別、返納又は支出の別、返納又は領収の別、返納又は領収年月日、領収印、課(署)長の官職・氏名及び印影
- オ 立替払報告書
発議年月日、勤務課所名、捜査員の官職・氏名及び印影、支払合計額、支払年月日、支払額、債主名、支払事由、確認年月日、決裁欄(課(署)長、次席(副署長)、課(係)長)の印影
- カ 領収書
領収額、領収年月日、債主の住所(所在地)・氏名及び印影、支払年月日、捜査員の官職・氏名及び印影、課(署)長の官職・氏名及び印影
- キ 支払報告書
発議年月日、捜査員の官職・氏名及び印影、支払年月日、支払場所、支払金額、情報提供者の氏名、拒否理由、(中間)取扱者の印影
(2) 捜査費について
捜査費は、経費の性質上、特に緊急を要し、正規の支出手続を経ては事務に支障を来し、又は秘密を要するため、通常の支出手続きを経ることができない場合に使用できる経費であり、現金で管理することが認められている。
また、その使途は、聞き込み、張込み、追尾等に際し必要となる交通費、飲食費、物品費などの犯罪の捜査等に従事する職員の活動のための経費及び捜査等に関する情報提供者等との接触や謝礼に要する経費であり、その執行手続の概要は、次のとおりである。
- ア 取扱者(警察本部においては担当課長等、警察署においては警察署長)が、継続中の捜査の進展状況や今後予想される事案等を踏まえて、翌月の所要額を取扱責任者である警察本部長に申請する。
- イ 取扱責任者である警察本部長は、県内の犯罪情勢等を総合的に勘案して交付額を決定し、各取扱者に交付する。
- ウ その後、取扱者は、捜査費の執行の必要が生じた場合に、捜査員に対し捜査費を交付し、捜査員は債主(情報提供者等)に対して所要の支払をした後、取扱者に支払精算書、領収書等を提出して精算を行う。
(3) 条例第10条第3号(公共の安全等に関する情報)該当性について
実施機関は、本件対象文書1及び2に記載されている情報は、条例第10条第3号で規定する不開示情報に該当する旨主張しているので、まず、この点について検討する。
- ア 条例第10条第3号は、「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」を不開示情報とし、これらの情報が記載されている公文書については、公文書開示原則の例外とする旨を規定している。
本号の趣旨は、地方公共団体の責務として、社会生活の基盤となる公共の安全と秩序を維持し、県民全体の利益を擁護するという観点から、公文書の開示による犯罪の誘発その他の社会的障害の発生を防止することにある。
本号に該当する情報については、その性質上、開示又は不開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められることから、実施機関の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つものとして許容される限度内のものであるか否か、すなわち相当な理由があるか否かについて審理・判断するのが適当であるとしたものである。
なお、当該判断については、実施機関の裁量を無制限に認めるものではなく、合理性を持つものとして許容される限度内のものでなければならないのは当然である。
- イ 本件対象文書1及び2は、狭山及び所沢の両警察署において、捜査費の個別の執行過程において作成・取得されたものであり、特定の捜査費の支払等をした捜査員の氏名、支払年月日、支払の相手方、支払金額、支払事由など、5の(1)で述べた情報が記載されている。
- ウ 実施機関は、これらの情報は、事件ごとの捜査体制、捜査方針、捜査手法、捜査の進展状況等の各種捜査情報を反映していると主張しているが、実施機関が、当審査会における意見陳述の際に、具体的事件を引き合いに当該事件の捜査活動の進展状況と捜査費の執行状況との間に相関関係があるとして行った説明は、この主張を裏付けるものであることが認められる。
また、仮に被疑者等の事件関係者や犯罪を企図する者がこれらの情報を入手した場合、事件関係者等のみが知り得る特殊な情報等と当該情報を照合・分析することにより、正確かつ具体的に捜査等の進展状況を推察することが可能となり、実施機関が主張するように、逃走や証拠隠滅等を図るおそれや、犯罪捜査の網をかいくぐって更なる犯罪を敢行するおそれがあるなど、犯罪の予防、捜査に支障を及ぼすおそれがあると認めることができる。
また、既に捜査が終了した事件に関する情報についてみても、これらの情報を公にすることにより、過去の警察の捜査手法等の分析が可能となり、ひいては、将来においてこれらの捜査手法等に応じた犯罪を敢行するなどの対抗措置が講じられるおそれがあるとする実施機関の主張が失当であるということはできない。
さらに、情報提供者等の捜査協力者に係る情報に関していえば、公にされることにより、これらの者が被疑者等の事件関係者から報復を受けたり、以降の協力を得ることができなくなり、結果として犯罪捜査における捜査力が低下するなど、犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれがあることが認められる。
万が一にも、このような事態が発生すれば、警察に対する県民の信頼は揺るぎ、結果として県民の生命、身体、財産等の安全に対する脅威が増大し、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすこととなると実施機関は主張しているが、その主張は、合理性を有するものと認めることができる。
- エ ところで、本件対象文書に記載されている情報のうち、警察署名及び決裁欄の印影等の情報については、他の情報と異なり、条例第10条第3号に該当しないとする考えもあり得る。
しかしながら、これらの情報を公にすることにより、捜査費支出伺をはじめとする対象公文書の枚数が明らかとなり、そこから捜査費の執行件数が推認され、総体的な捜査状況の活発さを推測することが可能となる。
さらに、前述したように、仮に被疑者等の事件関係者や犯罪を企図する者がこれらの情報を入手した場合、報道等により既に公にされている情報やその他の情報と当該情報とを照合・分析することにより、捜査活動の状況が推察される可能性が格段に高まることが考えられることから、これらの情報の条例第10条第3号該当性を否定することはできない。
- オ 以上のことから、本件対象文書1及び2に記載された情報は、条例第10条第3号で規定する「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」に該当するものと認めることができる。
(4) 公文書の名称の特定について
なお、請求人は、公文書不開示決定通知書には概括的な文書名が記載されているだけであり、各個別の捜査費用と条例第10条第3号との関連性を具体的に説明しない本件処分は妥当でない旨主張しているので、この点についても検討する。
- ア 実施機関は、本件処分を行うに当たり、不開示決定通知書の「開示しない公文書の名称」欄に次のように記載し、請求人あて通知している。
- 平成13年1月分の捜査費の個別の執行に係る書類(県費)(狭山警察署)外15件(別紙のとおり)
- 平成13年1月分の捜査費の個別の執行に係る書類(県費)(所沢警察署)外15件(別紙のとおり)
- なお、別紙には、それぞれ、1月から8月までの各月別、県費・国費の別に上記と同様に記載されている。
- イ 確かに、請求人が主張するように、このような公文書名の記載は具体的なものであるとはいえず、概括的な記載であるといわざるを得ない。
これについては、実際に実施機関が当審査会に提示した公文書が、「捜査費支出伺」、「捜査費交付書兼支払精算書」、「支払伝票」、「支払精算書」、「立替払報告書」、「領収書」及び「支払報告書」という名称の書類であったこと、さらに、実施機関自ら説明書の中で、開示請求に係る公文書の名称について「平成13年1月から8月分の狭山警察署における捜査費の個別の執行に係る書類(国費及び県費)(「捜査費支出伺」、「捜査費交付書兼支払精算書」、「支払伝票」、「支払精算書」、「立替払報告書」、「領収書」及び「支払報告書」)」等と記載していることからも明らかである。
- ウ ところで、条例における開示の請求や開示等の決定については、原則として、公文書、つまり文書単位で行われることを予定しているものと認めることができる。
このことは、条例が第2条第2項で公文書の定義を規定していることや、第8条第1項第3号で、公文書の開示請求に当たっては、「公文書の名称その他の開示請求に係る公文書を特定するために必要な事項」を記載するよう求めていることなどからもうかがわれる。
一方、特定の情報については不開示とできること(第10条各号)、公文書から不開示情報が記録されている部分を容易にかつ開示請求の趣旨が損なわれない程度に区分して除くことができるときは、当該部分以外の部分を開示しなければならないと規定していること(第11条)及び条例の目的(第1条)などからすると、文書単位のほか情報単位による請求、開示等の決定も行うことができると考えるのが相当である。
- エ 以上のことを踏まえると、公文書不開示決定通知書の「開示しない公文書の名称」欄には、具体的な公文書の名称を記載することが望ましく、今回実施機関が記載した公文書の名称は、概括的に過ぎ、適切な記載であったとはいえないが、本件開示請求に対応した公文書であることは特定できる程度の記載であることから、本件処分を取り消すまでに不当なものであるとはいえない。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
審議の経過
年月日
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内容
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平成14年2月13日
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諮問を受ける(諮問第22号)
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平成14年8月28日
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諮問庁より開示決定等理由説明書を受理
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平成14年9月10日
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審査請求人より反論書を受理
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平成14年12月19日(第19回審査会)
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実施機関より意見聴取及び審議
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平成15年6月19日(第25回審査会)
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審議
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平成15年7月25日(第26回審査会)
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審議
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平成15年8月26日(第27回審査会)
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審議
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平成15年10月2日(第28回審査会)
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審議
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平成15年10月16日
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諮問庁に答申
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埼玉県情報公開審査会委員名簿(平成15年10月16日現在)
氏名
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現職
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備考
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礒野 弥生
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東京経済大学教授
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遠藤 順子
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弁護士
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会長職務代理者
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田村 泰俊
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明治学院大学教授
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野村 武司
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獨協大学助教授
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馬橋 隆紀
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弁護士
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(五十音順)