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掲載日:2020年3月31日

令和2年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(村岡正嗣議員)

文化・芸術活動の持つ力と障害者アートについて

Q   村岡正嗣  議員(共産党

昨年12月、さいたま芸術劇場での近藤良平と障害者ダンスチーム「ハンドルズ」の公演を観劇しました。知事も御覧になったと思います。県立芸術総合高校ダンス部が共演し、障害のある人も、ない人も、それぞれの個性を生かし、踊り、演じ、全員が輝いていました。幸福な時間と空間を共有させていただきました。改めて、演劇・舞踊・音楽・美術などの表現活動には、多様性を尊重し、人と人の相互理解を深める力、可能性があると思いました。
今、SDGsの実現が世界中で求められていますが、私はSDGsの実現には、こうした文化・芸術活動が不可欠と考えます。知事の御所見を伺います。
さいたま芸術劇場は「創造する劇場」として、世界トップレベルの芸術作品を創造、発信、提供し、故蜷川幸雄監督も称賛した芸術劇場です。吉田鋼太郎監督による彩の国シェイクスピア・シリーズの公演も大好評で、若手演劇集団「さいたまネクスト・シアター」も注目されています。「舞台は時代を映す鏡」と言われますが、蜷川レガシーの継承の意義は大きいものがあります。
芸術監督が不在の中で、今後、どう継承を図っていくおつもりか、知事の決意を伺います。
次に、学校での演劇鑑賞教室について、今、その数は減少の一途です。しかし、鑑賞した生徒からは、「私自身、夢もなく、やりたいこともない。今は介護福祉士の資格を取って人の役に立ちたいと思っているけれども、それが本当にやりたいことなのか分かりません。でも、演劇を見て、これから自分と向き合っていきたいと思いました。引き込まれ、とても考えさせられた演劇でした」との感動の声もあります。
そこで、学校での演劇鑑賞の果たす役割について、教育長の所見を伺います。
本県議会では、2018年12月、高等学校における演劇鑑賞教室実施に関する請願が採択されました。この間の高校における演劇鑑賞への支援、今後の取組についても併せてお答えください。
ところで、県立近代美術館での絵画を視覚障害者の方に見てもらう視覚障害者向けガイドを知り驚きました。学芸員の皆さんが展示されている絵画を真似た立体絵画を作り、それを視覚障害者の方に実際の絵画の前で指先で触ってもらいながら脇で解説する、絵の形や空間の広がりなどをイメージしてもらうという、すばらしい取組です。美術館から遠い位置にいる人々へ感動を提供することは、公立美術館の重要な使命です。是非そのための環境整備を進めていただきたい。教育長に伺います。
先日、川口にある社会福祉法人みぬま福祉会の工房集を視察しました。障害者福祉施設ですが、アトリエやギャラリーが併設され、重度障害の人たちが絵を描いたり、機織りをしたり、創作活動を仕事として取り組んでいます。職員さんは、「彼ら本人が新しい価値を社会に投げかけていく主役として位置づけて、対等・平等な関係を作る機会になると思います」と語っていました。
支援者の一人、アートディレクターの中津川浩章さんは、「アートは才能やクオリティ、希少性に意味と価値を見出していく部分があり、一方、福祉は公平性や平等性、そして日々の暮らしや思いに価値を置いている。しかし、福祉とアートにはもう一歩、内側の深い場所での出会いがある」と語っています。
そこで、知事の障害者アートに対する所見をお聞かせください。
さて、昨年の第10回埼玉県障害者アート企画展は、135名の作家、約500点の作品で、多くの来場者に感動を与えました。関係者からは、「埼玉の良さは、みんなが主体的なこと。施設職員や美術の先生、行政の人たちも、一緒になって協働で作り上げていく。それを埼玉方式と呼んでいます」と誇らしげです。
県主催で始まったこの企画展は、今は埼玉県障害者アートネットワークが主体となり、県の障害者芸術文化活動普及支援事業となっています。厚労省補助金と県補助金が主な財源です。本県での障害者アートを更に発展させるためには、県として更なる積極的な財政支援が不可欠です。知事の答弁を求めます。

A   大野元裕   知事

SDGsの実現には文化・芸術活動が不可欠であることについてでございます。
私も障害者によるダンスチーム「ハンドルズ」の公演を鑑賞し、愉快な表現に笑い、躍動感あふれるパフォーマンスに心惹かれました。
公演を鑑賞した方からは、「自分の心にある偏見に気が付いた」「表現することに障害の有無は関係ないと思った」こういった多くの声が寄せられています。
その活動が評価され、今年度は文化庁やNHKなどからお招きいただき、県外でも公演をしています。
多くの人々の心をとらえるハンドルズの活動は、障害の有無に関わらず多様性を認め合う共生社会の理念を体現するものであります。
私は、誰一人取り残さない社会を目指すSDGsを実現していく上で、こうした文化・芸術の力は大きいと実感しているところです。
次に、「蜷川レガシー」をどう継承していくのかについてでございます。
故蜷川幸雄芸術監督は、「彩の国シェイクスピア・シリーズ」や高齢者演劇の「さいたまゴールド・シアター」、若手演劇の「さいたまネクスト・シアター」など特色ある取組を国内外に発信し高い評価を得てまいりました。
「ゴールド・シアター」は、国内各地はもとより、フランス、ルーマニア、香港など海外からも招へいされて公演を行い、彩の国さいたま芸術劇場の知名度を世界的に広めていただきました。
こうした蜷川監督が残されたレガシーは、県にとって大変重要な財産であると考えています。
平成28年に、残念ながら蜷川監督が亡くなられた後も、蜷川監督の薫陶を受け共に作品を作ってきたスタッフを中心に、蜷川レガシーをしっかりと守りながら、劇場運営に当たっています。
世界でも類を見ないシェイクスピア全37作品を上演する「彩の国シェイクスピア・シリーズ」は、吉田鋼太郎さんが引き継ぎ、33作品目から精力的に作品づくりを行っています。
「ゴールド・シアター」、「ネクスト・シアター」などの取組でも、若手の新進演出家を迎え新作を発表するなど、活発に活動を続けています。
現在、空席となっている芸術監督につきましても、蜷川監督が残されたレガシーを引き継ぎつつ新たな展開が図れるような方を前提に、芸術文化振興財団とともに、今、慎重に検討をしているところでございます。
今後とも、芸術劇場において、蜷川レガシーをしっかりと継承するとともに、新たな展開も加えて発展させ、優れた舞台芸術を積極的に発信してまいります。
次に、障害者アートについてでございます。
障害者が創作する作品には、作者の内面や生きるエネルギーをストレートに表現したすばらしい作品が数多くあり、人々の共感を呼び起こします。
私も、障害者アートは、自己表現や社会参加という福祉的な意義とともに芸術的な価値を持っており、障害者への理解を深め、心のバリアフリーを社会に浸透させていく力があると考えています。
次に、県としての積極的な財政支援についてであります。
県では、障害者アートが持つ可能性に早くから着目し、その振興に取り組んでまいりました。
「障害者アート企画展」は、福祉施設や大学など民間団体の協力をいただき、平成21年度に始まりました。
当初は県が中心となっておりましたが、現在は、民間のネットワークが主催し、県と連携して展覧会を運営しており、他県のモデルともなっています。
経費面についても、平成30年度から、展覧会の開催や、障害者アートに取り組むための相談・人材育成などの活動に助成を行っています。
今後とも、障害者アートの振興のため、効果的な支援を検討・実施してまいります。

A   小松弥生   教育長

まず、「学校での演劇鑑賞の果たす役割について」でございます。
演劇鑑賞等の体験は、子供の豊かな情操を養うとともに、生涯にわたり文化や芸術に親しむ態度や、思考力・判断力・表現力等を育成する上で大きな役割を果たしていると考えております。
次に、「高校における演劇鑑賞への支援、今後の取組について」でございます。
県立高校では、各学校の実情に応じて芸術鑑賞会を実施し、生徒が演劇や伝統芸能、音楽などの文化芸術に親しむ機会を設けております。
県では、平成30年12月定例県議会での請願採択を受け、各県立高校に対し、演劇鑑賞等の文化芸術に触れる機会を確保するよう通知するとともに、校長会議等において働き掛けを行ってまいりました。
その結果、平成30年度に演劇鑑賞を実施した県立高校は29校でしたが、令和元年度は40校が実施いたしました。
引き続き、校長会議等において、請願の趣旨や演劇鑑賞の果たす役割について周知するとともに、実践事例を情報提供するなど、高校生が演劇鑑賞等の文化芸術に触れる機会の確保に努めてまいります。
次に、「美術館から遠い位置にいる人々へ感動を提供するための環境整備」についてでございます。
公立美術館は、全ての方と文化芸術をつなぐ重要な役割を担っております。
近代美術館では、障害のある方が芸術に触れ、楽しんでいただくために、議員お話の「視覚障害者向けガイド」など様々な取組を実施しております。
「視覚障害者向けガイド」の参加者からは「遠近感や筆遣いが分かって良かった」などの感想をいただいております。
このほかにも、近代美術館では、特別支援学校等にアーティストと共に職員が訪問して創作体験などを行う「ミュージアム・キャラバン」や出前授業など、来館が難しい方へのアウトリーチ活動も進めております。
障害のある方が文化芸術への理解を深め、楽しんでいただくためには、様々な御意見を踏まえ、障害の程度や種別などに応じた展示や解説について工夫していくことが求められます。
今後、近代美術館において、一つ一つの取組を丁寧に積み重ねていくことにより、障害のある方へ、文化芸術による感動をより一層提供できるよう努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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