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掲載日:2020年3月31日
Q 村岡正嗣 議員(共産党)
昨年の台風19号は、死亡4名、住家被害全壊134棟、半壊541棟という甚大な被害をもたらしました。特に4名という痛ましい犠牲を出してしまったことに、胸が痛む思いです。改めて御冥福をお祈りするものです。
日本災害情報学会会長の片田敏孝東大特任教授は、「災害ごときで人が死んではならない」と訴え、全国を回っておられます。特に台風19号は、気象庁も3日前から特別警戒警報を発令していました。豪雨災害は事前に予知できる災害です。私は、豪雨災害において「死亡者ゼロ」を目指すべきと考えます。
しかし、県防災計画には、地震については「減災目標4,000人」などと明記していますが、豪雨災害には具体的な目標は書いてありません。県防災計画を見直して、豪雨災害の減災目標「死亡者ゼロ」と宣言すべきです。知事の決意をお示しください。
知事は、新年度予算案として思い切った河川整備を打ち出しておられます。今回決壊した流域など、積極的に進めるべきです。しかし、豪雨災害はハード対策に全面的に依存すべきではありません。危険な地域は避難する。そのための施策を徹底すべきです。その際に必要なのは、空振りを恐れないことです。
台風19号の際、県がいち早く40市町村の災害救助法の適用を決断したことは評価できます。国と県の財政的裏付けが明確になってこそ、市町村は安心して避難指示ができます。しかし、残り8市町が1週間後の指定となったことは残念です。今後の災害の際、県は適用に当たっては、同法施行令第1条第1項第4号規定を積極的に活用し、「1日でも避難が発生するおそれのある地域は広く適用する」という、空振りを恐れない姿勢を市町村に示していただきたい。知事の答弁を求めます。
また、台風19号の際に、指定避難所が浸水したことは重大です。県地域防災計画には「豪雨災害の指定避難所は、震災対策編を準用する」とあります。風水害対策編の「指定避難所」の記述を、豪雨を想定し訂正すべきと考えます。危機管理防災部長の答弁を求めます。
避難指示に従わない、避難をためらわせる理由の一つに、避難所の待遇の問題があります。避難所について一人当たりの面積基準など、具体的な数字は書かれていません。
徳島県の避難所運営マニュアル作成指針には、国連難民高等弁務官事務所が定める難民キャンプ設置の最低基準である「1人当たり3.5平米を確保する」と明記されています。また、「落ち着いてきたら段ボールや仕切り板を用いて、個人の空間を確保する」ともあります。指定避難所について少なくともこのぐらいの基準は明記すべきではないでしょうか。危機管理防災部長の答弁を求めます。
しかし、世界の水準はこのようなものではありません。イタリアの避難所は、ベッドと清潔なトイレユニット、一時間で1,000食準備可能なキッチンカーで温かな食事に、イタリアなのでワインが付くのが当たり前です。災害で生き延びた命を、その後の悪環境によって失ってはなりません。知事、こうした世界の先進に学び、人権を守れる避難所の基準づくりを急ぐべきと考えますが、知事の見解をお答えください。
知事は、災害の時代に、新たに埼玉版FEMAとして災害対策本部の強化を実施するとのことです。消防防災課が二つに分かれ、消防課と災害対策課となることは大いに評価します。しかし、増員は課長1名とのこと、少な過ぎます。人員増を求めますが、どうか。
また、県土整備事務所はこの10年間で26人も激減しています。これでは県土は守れません。早急に増員し、せめて10年前に戻すように求めます。知事よりお答えください。
A 大野元裕 知事
豪雨災害の減災目標を「死亡者ゼロ」と宣言することについてでございます。
豪雨については事前に発生を予想しやすく、災害が発生するまで一定時間ありますので、宣言をするまでもなく、死亡者ゼロを目指すべきものと考えております。
このため、自分の命は自分で守るという意識を県民の皆様に持っていただき、早めに避難行動を取っていただくことが重要です。
県では、事前の注意喚起や防災情報をタイムリーに提供するなど、県民一人ひとりが自らの判断で適切な行動を取れるよう、市町村とともに取り組んでまいります。
また、関係機関との連携をより強固なものとして、実効性のある防災体制を整えてまいります。
次に、災害救助法施行令第1条第1項第4号の規定を積極的に活用し、広く法を適用する姿勢を市町村に示すことについてでございます。
台風第19号では、県内40市町村に大雨特別警報が発令されるなど大規模な災害の発生が予見されました。
避難所に多くの方が避難すると見込まれたため、救助費の半分を負担する内閣府と協議を重ね、災害救助法施行令の4号基準を活用し、災害救助法を適用したところであります。
今後も市町村の被害情報を的確に収集し、空振りを恐れることなく4号基準を積極的に活用してまいります。
次に、人権を守れる避難所の基準作りについてでございます。
県では、市町村の避難所運営に関する基準作りを支援するため、平成27年度に「避難所の運営に関する指針」を定めたところでございます。
この指針では、女性のための着替えや授乳場所を確保することや、高齢者にも利用しやすい洋式トイレを用意することなど、配慮すべきポイントをまとめております。
現在台風第19号の対応について、避難所の運営も含め検証作業を進めています。
検証結果を踏まえて「避難所の運営に関する指針」を改訂し、避難所の環境改善が図られるよう、県としてもしっかりと市町村を支援してまいります。
次に、災害対策課と県土整備事務所の人員増についてでございます。
令和2年度から、危機管理防災部に災害対策課を新設し、全庁体制の中心として災害対応をリードさせることといたしました。
また、埼玉版FEMAの手法を取り入れた関係機関との連携強化やBCPの抜本的な見直しに取り組むため、危機管理課に3人増員いたしました。
災害対応の企画立案から実際の対応までの機能を、組織、人員の両面から総合的に強化したところであります。
議員御指摘のとおり、県土整備事務所には、この10年間で26人の定数が減らされております。
その中身を見ますと、用地補償業務の一部を民間委託に切り替えたことによるものが15人、公園事務を都市整備部に移管したことによるものが9人などとなっています。
一方で、橋りょうの耐震補強や水辺再生事業を進めるために増員するなど、執行方法の見直しや業務量の増減に応じて毎年度適切に定数を措置してきたものと理解をしております。
令和2年度についても、連続立体交差事業を新たに設置する鉄道高架建設事務所に移管するなどの見直しを行いました。
同時に、台風第19号の災害からの復旧と復興を進めるため6人増員することとしております。
引き続き必要な見直しを行った上で、災害に強い埼玉を早急に構築をしてまいります。
A 森尾博之 危機管理防災部長
まず、地域防災計画風水害対策編の指定避難所の記述についてでございます。
台風第19号をはじめこれまでの災害で得られた教訓や課題を踏まえ、現在、地域防災計画の改訂に向けて準備を進めているところでございます。
一つの避難所がすべての災害に対して安全な場所であるとは限りませんので、豪雨災害の場合に活用する避難所を明確にしておくことについて、風水害対策編の中に記述していきたいと考えております。
次に、指定避難所の基準についてでございます。
地域防災計画では、指定避難所の指定基準として十分な面積を有する施設であることを示しておりますが、災害の種類や規模によって避難者の数が大きく異なることや、避難施設の広さも様々でありますので、避難所における1人当たりの面積の基準を県として一律に示すことは難しいものと考えております。
一方、個人や世帯のプライバシーを保護するため、県が策定している「避難所の運営に関する指針」の中で、間仕切りの設置について市町村に働き掛けております。
また、東日本段ボール工業組合の御協力をいただき、段ボール製の間仕切りを市町村の避難所に提供する体制を整えております。
被災者の方々が安心して避難できるよう、居住スペースの確保を含め市町村とともに避難所の環境整備に取り組んでまいります。
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