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掲載日:2020年3月31日

令和2年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(村岡正嗣議員)

肢体不自由児の負担軽減と川口に特別支援学校を

Q   村岡正嗣  議員(共産党

越谷特別支援学校は肢体不自由児の学校です。その元保護者の方のお話を聞きました。
お子さんは4歳のとき、低酸素脳症で気管切開を行い、肢体不自由・知的障害を負いました。小学入学直前には24時間呼吸器、経鼻経管栄養となり、1年生の終わりに亡くなったそうです。川口市の方で、学区は越谷特別支援学校でした。
埼玉県では、重症の気管切開の子供はスクールバスに乗せてもらえません。お母さんは、自宅から学校まで自動車を運転し、1時間半かけて送迎しなければなりません。お子さんは衝動的に呼吸器や気管のチューブを抜く危険があり、抜かれると1分から2分で意識を失うそうです。「夜、子供が眠るとき、足に酸素モニターを付ける。呼吸器が外れたり、毎日、睡眠時間は4時間程度だったと思います。居眠り運転の危険もあり、子供を後ろに乗せて運転していくのは、死のドライブでした」と語っています。
緊張と恐怖で保護者自身がメンタル疾患となり、運転もできなくなるケースもあります。保護者が送迎できなければ、訪問教育しか道はなく、その方のお子さんも訪問教育となりました。お子さんは月1回だけ学校に行けるスクーリングが楽しみだったそうです。学校でよその子供たちと羽根つきをして、「勝った」と喜び、「負けた」と悔しがり、コミュニケーションが生まれたと言います。お母さんは「やはり子供は子供の中で育つ。もっと学校に通わせてあげたかった」と語っておられました。
こうした医療的ケアを必要とする子供たちの学校に行くことの困難な実態、過酷な保護者の負担の現状について、知事はどうお考えか、お聞かせください。
東京都は、看護師がスクールバスに同乗し、医療的ケアを必要とする子供がバスに乗れるようにする事業を始めました。当初、看護師確保に苦労していたようですが、訪問看護ステーションと連携を取って派遣してもらうなどをはじめ、看護師確保を増やしているとのことです。埼玉でも同じように始めていただきたい。教育長の答弁を求めます。
埼玉県には、県立の肢体不自由特別支援学校が9校しかなく、学区が広域化しています。越谷特別支援学校は、今年の1月23日時点で245名が在籍するマンモス校で、過密化は大問題です。通学区域は松伏町や川口市など7市1町に及び、川口市の生徒児童は77名と最大です。スクールバスは13便のうち7便が川口市からの通学バスで、リボンシティを起点とするコースは学校まで所要時間は1時間半です。家からバス停までの時間を考えれば2時間近く、往復4時間の通学です。体が痛くなっても、自分で姿勢を直せません。首の角度が変わると呼吸が苦しくなったりします。そんな子供たちが、毎日命を懸けて学校に通っているのです。
この過酷な通学時間を短縮し、保護者と子供の負担軽減のためには、川口に肢体不自由のための特別支援学校を作ることです。川口市内には、廃校となり運動場など代替利用されている旧学校用地が5カ所あります。それらの活用も含め、川口での肢体不自由の学校整備について、県の側から川口市との協議を行っていただきたい。どこに解決の方策を見いだせるのか、保護者や関係者との協議の場を作っていただきたい。教育長の答弁を求めます。

A   大野元裕   知事

障害のある子供たちが安心して学校に通える環境を整えることは大変重要であると考えております。
私も、肢体不自由特別支援学校に通う子供の保護者から、通学負担の現状についてお話を伺う機会がありました。児童生徒や保護者の通学負担が大きいことは、課題として認識をしております。
とりわけ、医療的ケアを必要とする児童生徒の負担や、学校までの送迎をする保護者の苦労は、より一層大きいものと感じています。
この課題については、対応を検討するよう、既に教育委員会に伝えており、調査研究を進めているというふうに聞いております。
今後、期限を区切って、肢体不自由特別支援学校の通学負担の緩和に関する調査研究の進捗状況について、フォローアップをさせていただきます。

A   小松弥生   教育長

まず、医療的ケアが必要な児童生徒がスクールバスに乗車できるよう看護師を確保すべきについてでございます。
現在、医療的ケアが必要な児童生徒も、主治医の指導助言などを踏まえ、バス乗車中に医療的ケアが必要ないと判断される場合は乗車しております。
一方、乗車中に医療的ケアを実施しなければならない児童生徒がバスに乗車するためには、器具の消毒や、安全に実施するための停車の必要性、さらには看護師の確保など課題がございます。
医療的ケアが必要な児童生徒の通学手段の確保につきましては、ケアの内容や、保護者の負担軽減といった観点も踏まえ、どのようなことができるのか、東京都などの先進事例を参考に引き続き研究してまいります。
次に、川口市への肢体不自由特別支援学校の整備に向けて、市及び保護者等と協議の場をつくるべきについてでございます。
県立肢体不自由特別支援学校の通学区域が広域となっており、地域によっては通学の負担が大きいことは、課題として認識しております。
越谷特別支援学校の通学負担の緩和については、これまでも川口市教育委員会と意見交換を重ねており、川口市内に学校の設置を求める声があることも承知しております。
また、県特別支援学校PTA連合会からも、通学負担の緩和について要望をいただいております。
引き続き、喫緊の課題である知的障害特別支援学校の過密対策を進めるとともに、越谷特別支援学校の通学負担の緩和に向けた手法について、川口市などと協議をしてまいります。

再Q   村岡正嗣  議員(共産党

先ほど知事のほうからも、肢体不自由の解消については、期限を切って教育委員会のほうにお話が行っているということもありました。そして、「川口市との協議はしている」という先ほどの教育長の答弁だったと思います。そのこと自体は結構なんですけれども、実はしばらく前の埼玉新聞に「川口に特別支援学校」という記事がありまして、その中に保護者の方の声が掲載されているんですが、どういうことを言っているかというと、「市は」、この場合は川口ですけれども、「市は県にこの特支開設を要望しているが、取り合ってもらえないようだ」と、こういう記事なんです。
教育長の先ほどの答弁を聞きまして、実際は話合いは持っているんだなということが分かったんですけれども、この関係する保護者・御家族には、そういう今、教育長が答弁したようなメッセージとして届いていないわけですよ。それで教育長も、「声は聞いていく」というふうにお答えになったと思います。ですから、その聞き方の問題、もう少し幅広い保護者の皆さん、家族の皆さんとの協議の場をもっと持っていただきたいと思うんですが、「幅広く持っていただく」ということの意味でいいのかどうなのか、その点を確認させていただきたいと思います。

再A   小松弥生   教育長

越谷特別支援学校へ川口市内から通う児童生徒の通学負担が非常に大きいということについては、かねがね、教育委員会としても憂慮しております。
叶うことであれば、川口市内に肢体不自由特別支援学校を予算も認めていただいた上で作ることができればと思い、川口市ともこれまで公的な施設の活用が可能ではないかなどについて相談をしてきているところでございます。
保護者等の御意見もこれまでも伺っておりますけれども、今後も幅広く保護者を含め、御意見を伺ってまいりたいと思っております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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