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掲載日:2019年6月26日
Q 村岡正嗣議員(共産党)
東京・上野の国立西洋美術館の世界文化遺産登録がほぼ確実となりました。設計は近代建築の世界三大巨匠の一人、ル・コルビュジェです。弟子であった前川國男は、その実施設計に協力した一人で、東京文化会館の設計をはじめ戦後日本の建築界をリードした建築家です。今、コルビュジェとともに弟子たちの名建築の再評価が叫ばれています。
本県には、前川國男作品として埼玉会館、埼玉県立歴史と民俗の博物館、埼玉県立自然の博物館があります。埼玉会館の外観は、黄褐色の陶磁器風タイルが特徴で、打ち込みタイル工法で造られています。コンクリートを流し込む木の型枠の内側にあらかじめタイルを固定し、そこに生コンクリートを流し込んでタイルとコンクリートを一体化しています。後張りタイル工法と比べ、耐久性が格段に高くなるのです。前川國男は、当時の大量生産・大量消費の潮流を厳しく批判し、建築は丈夫で長持ちさせるべきと考え、打ち込みタイル工法を採用したのです。また、建物主要部を敷地の高低差を利用して地中に沈め、その上にエスプラナードと呼ばれる開かれた中庭を巡らせました。市街地の中にゆったりとした憩いの空間を生み出したのです。埼玉県立歴史と民俗の博物館も名建築と言われ、1974年には日本芸術院賞を受賞しています。名建築は、地域の歴史や記憶と向き合い、その景観とともに人々の生活に潤いをもたらす存在です。公共施設の保存と今後の在り方にもヒントを与えるものとなるはずです。
そこで伺いますが、本県に所在する前川國男による建築作品について、文化財としての再評価を行っていただきたいが、教育長の答弁を求めます。
また、埼玉会館では現在大規模改修工事が行われており、来年のリニューアルオープンの待たれるところですが、広く県民に前川國男作品としての魅力と価値を伝える企画等を実施していただきたい。県民生活部長よりお答えください。
A 関根郁夫 教育長
御質問の、前川國男氏による「埼玉会館」、「埼玉県立歴史と民俗の博物館」、「埼玉県立自然の博物館」の3つの公共建築は、現在も多くの県民に御利用をいただいております。
特に「歴史と民俗の博物館」につきましては、平成10年に国の公共建築百選にも選定されるなど、高く評価されております。
「文化財としての再評価を」という御質問ですが、建造物を県指定の有形文化財に指定する場合には、まず同じ年代の建造物について、総合的な調査を行うことが必要となります。
本県にある前川國男氏による3つの建築は昭和40年代から50年代に建てられたものです。
これらの建築は、年代的に新しく同年代の建造物の数は膨大であるため、現状では総合的な調査を行うことは大変困難です。
そのため、現時点において県指定有形文化財に指定することは難しいと考えております。
県といたしましては、公共建築として高く評価されておりますので、将来に向けて、どのような方法でその文化財としての価値を評価するかについて、研究してまいります。
A 稲葉尚子 県民生活部長
前川國男氏の設計により昭和41年に開館した現在の埼玉会館は、前川建築の特徴が際立つ建築物として知られています。
現在、老朽化に伴い改修工事中でございますが、外観は外壁の補修を行うにとどめ、開館当時と変わらぬ姿を保つこととしています。
これまでも、前川建築の魅力を紹介するパネルの展示や前川建築設計事務所の協力を得た「建築セミナー」などを実施してまいりました。
来年4月のリニューアルオープン後におきましても、前川建築の設計思想や特徴をテーマにした「建築セミナー」や「建物見学ツアー」を実施することとしています。
実施に当たっては、一般の方に加えて建築を志す若い方々にもお越しいただくなど、前川建築の魅力と価値を広く発信してまいります。
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