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掲載日:2019年6月26日
Q 村岡正嗣議員(共産党)
甚大な被害をもたらした熊本地震発生から約2か月となりました。まず、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。2日間で震度7が2回、余震は1,000回を超え、多くの家屋や事業所が破壊されました。いまだに体育館などへ避難を余儀なくされる方がおります。罹災証明書の発行の遅れが指摘されていますが、埼玉県が罹災担当職員など250人以上の職員の派遣を行うなど、被災者支援を行ったことに敬意を表します。今後も、全力で支援要請に応えていただきたいと強く要望しておきます。
今回の熊本地震の特徴の一つは、建物被害にあり、想定外の避難者が生まれたことにあります。このことを教訓として、本県においても被害想定の避難者数の検証が求められます。また、防災拠点の耐震化について、公共施設の未耐震建築物はあとわずかとなっており、今年度何としても耐震化を完了すべきです。ライフラインでは、特に浄水場の耐震化と水道管耐震化は長期計画とされておりますが、一刻も早く耐震化を完了すべきと指摘をしておきます。その上で、知事にお伺いします。
熊本地震では、5市町が庁舎使用不能となるなど、深刻な事態が起こりました。その教訓からも、本県として県及び市町村庁舎の耐震化を急ぐことは当然ですが、耐震化の完了を待つことなく、まずBCP(事業継続計画)の策定が必要です。現在、17市町村が未策定とのことですが、早急に策定すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
また、熊本地震では車中泊に象徴された避難生活や障害者、高齢者など社会的弱者の避難が大きな問題となりました。小学校は避難所と聞いたが、周囲に迷惑がかかるといけないと思ったと知人宅を転々とした精神障害の方がいました。埼玉県の障害を持つ女性からは、いざというときは夫婦二人、家で震えているしかない、動けないからとの声もお聞きしました。
災害対策基本法は、避難行動要支援者名簿の策定を市町村に義務付けていますが、本県では未策定が残り9市町です。ここで名簿と一体として重要なことは、どの要支援者を誰がどう避難させるかという避難支援に関わる個別計画ですが、策定している自治体は27市町に過ぎません。
そこで、福祉部長に伺います。全市町村での要支援者名簿の策定は当然として、個別計画についても県内全ての市町村で早期に策定すべきと考えますが、御答弁ください。
さらに、熊本地震では避難所の在り方も問題となりました。特に、要支援者の方にとっては学校や体育館という一次避難所の生活は耐えがたいものがあります。二次避難所、福祉避難所への移行が求められます。本県では、福祉避難所は769か所が指定されておりますが、実際指定施設とされた特養などにお話を伺うと、うちは15人お願いと言われていますが、もともとの利用者がいるので15人もどうやって介護すればいいのかと当惑しておられます。とりあえず指定はされているが、その先は曖昧というのが埼玉県の現状です。福祉避難所の指定とともに、障害者、高齢者介護の応援体制まで明確にすべきです。県として市町村の福祉避難所運営マニュアルの状況をつかみ、実効性あるものにすること及び福祉避難所職員の研修や備蓄などが必要と考えます。以上、お答えください。
最後に、熊本地震では当初、支援物資が届かない避難所があると分配の不備も起こりました。そのことは、災害時における県職員、市町村職員の役割の重さを改めて浮き彫りにしました。また、東日本大震災時の本県職員の過重労働は記憶に新しいところです。
私は、本県が職員定数を一貫して減らし続け、今や全国で最低割合にあることに改めて防災の観点からも危機感を抱かざるを得ません。知事、危機管理部門は言うまでもなく、各部局の職員定数を減らすのではなく拡充すべきです。答弁を求めます。
A 上田清司 知事
まず、事業継続計画についての御質問ですが、熊本地震では一部の市町村において庁舎が被災し、罹災証明書の発行など被災者への対応が遅れたと聞いております。
役所はいついかなる時も住民生活に欠かせない重要な業務を継続しなければならないと思います。
例えば、市民会館で役所機能を果たすと宣言した瞬間から、その場所で対応できる体制を整えることが重要です。
そのため事業継続計画を策定し、代替庁舎の指定や住民台帳など重要なデータのバックアップなどを行うことが必要です。
本県では、平成21年3月に業務継続計画を策定いたしました。
一方、市町村では、必要性は認識していたものの他の業務を優先することなどから計画の策定が進んでおりませんでした。
そこで全市町村を対象に、セミナーを繰り返し開催するなど様々な取組を実施して、後押しをしてまいりました。
その結果平成28年3月末現在で、計画策定済の市町村数が46まで増えております。
御案内のとおり、まだ17の市町村が未策定となっております。
ただ、今年度担当部局において4月と6月の2回にわたり市町村に対し、早期に策定するように改めて依頼しました。
熊本地震のこともあり、今年度全ての市町村で計画の策定に着手しております。
本県は業務継続計画の早期策定に向けて、個別に助言を行うなど引き続き支援をしてまいりますので、この部分については、何とか今年度中に片がつくものでないかと思っているところでございます。
次に、各部局の職員定数の拡充についてでございます。
厳しい財政状況に加え、今後の高齢化の進展や人口減少時代の到来を踏まえると、簡素で効率的な組織体制を考えなければならないと思っております。
これまでにITの活用や民間委託の導入など業務のやり方を見直すことで行政サービスを低下させることなく定数削減を行ってまいりました。
定数を削減しても時間外勤務は増えておりません。平成16年度は職員一人当たりの月平均で11.6時間でしたが、震災関連業務が多かった平成23年度ですらも11.3時間にとどまっております。
その一方で、震災対策や児童虐待防止対策など県民生活の安心・安全につながる重要課題には、その都度増員もしております。
例えば、増加する児童虐待に対応するため、平成28年度に児童相談所に5人増員をいたしました。
また、震災対策では、東日本大震災時に復興支援や放射線・帰宅困難者対策のため、危機管理防災部をはじめ環境部や農林部に19人増員をいたしました。
加えて、平成28年度には首都直下型地震や近年頻発する集中豪雨対策など、大規模災害への備えに対して6人増員をしたところでございます。
引き続き、組織や業務の合理化に努めながらも、震災対策をはじめとした県政の重要課題については、しっかりと増員も含めた組織体制としてまいります。
A 田島 浩 福祉部長
まず、個別計画の策定についてでございます。
計画の策定には、避難を誘導する者として計画に位置づけられることへの抵抗感や高齢化などに伴う成り手不足などの課題がございます。
そこで、市町村担当者への研修会において、支援者の確保に当たり複数の近隣住民や地域ぐるみで対応している具体的な事例を紹介しております。
また、未策定の市町村には職員が個別に訪問して早期の策定を要請したところ、本年度中に37の市町村が策定を終える見込です。
県といたしましては、すべての市町村において個別計画が策定されるよう引き続き働き掛けてまいります。
次に、福祉避難所運営マニュアルの状況についてでございます。
県では、福祉避難所運営マニュアルのひな形を示すとともに職員が市町村を訪問し、作成を促してまいりましたが、作成した市町村は本年4月1日現在19にとどまっております。
今後、未作成の市町村には早期の作成を促すとともに、作成済みの市町村には内容を実効性のあるものに見直すよう働き掛けてまいります。
次に、福祉避難所職員の研修や備蓄についてでございます。
県では市町村に対し会議の場などで、実践的な研修である開設訓練を福祉避難所の職員とともに実施し、訓練の中で備蓄状況等の確認も行うよう要請してまいりました。
本年4月1日現在、開設訓練実施済み市町村は18となっておりますが、すべての市町村が実施するよう引き続き働き掛けてまいります。
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