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掲載日:2019年12月19日

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平成30年度研究報告Vol.17

平成30年度に当センターで実施した研究(15テーマ)等に関する成果を公表します。
各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。

産業支援研究(6テーマ)

産業支援研究は、産業界が求めるニーズを把握し、社会情勢を踏まえ、センター内で保有する技術シーズや新技術創出調査の成果を活用し、県内企業の製品化・実用化を支援することを目的として行っています。

No テーマ名・抄録 キーワード 技術区分 期間 PDF
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1

溶剤による炭素繊維強化ナイロン複合材料のリサイクル

熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とし、炭素繊維(CF)と複合化した炭素繊維強化複合材料(CFRTP)から炭素繊維と樹脂を分離回収することを目的として、溶剤によるCFRTPの溶解-分離方法について検討した。CFRTPには、ナイロン6をマトリックス樹脂とした廃材(廃CFRTP)を使用した。前報1)の結果をふまえ、Hansen溶解度パラメータ(HSP)を利用して選択したHCl-Benzyl Alcohol溶剤を用いて、常温常圧下で超音波処理により廃CFRTP中のナイロン6を溶解させ、損傷のないCFを分離回収した。さらに、廃CFRTPの溶解液から蒸留により92.3%の溶剤を回収することができた。回収した溶剤は、HClを再添加することで、CFRTPの溶剤として再利用可能であることが確認できた。

炭素繊維強化複合材料、ナイロン6、リサイクル、廃材 先端ものづくり/環境・エネルギー関連技術分野 29~30 研究報告(PDF:371KB)
2 β-鉄フタロシアニン燃料電池用触媒の実用化
燃料電池は、水素を燃料とし水のみを排出する非常にクリーンな電源装置として期待されるが、触媒に白金を用いるなど、高コストが課題の1つに挙げられる。そのため、白金を代替する材料の開発が望まれる。我々は鉄フタロシアニン(FePc)を用いた触媒の検討を進めてきた。そこで減圧下で加熱する手法を用いてFePcをβ構造化して炭素材料に担持させた触媒(FePc/CN-600)をつくり、その触媒が酸素還元活性を有することを見出した。本研究では、FePc/CN-600を電極化してその出力特性と耐久性を評価した。出力特性では0.05mA cm-2時に0.56Vが得られた。また、アルカリ環境では高い耐久性を示した。これらの結果から実用化の可能性がみえてきた。
酸素還元触媒、鉄フタロシアニン、減圧下加熱、炭素担体 環境・エネルギー関連技術分野 29~30 研究報告(PDF:675KB)
3 新規アルカリ燃料電池の開発
固体高分子形燃料電池(PEFC)はクリーンエネルギーであり、CO2削減効果が高く、家庭用コージェネレーションシステムおよび燃料電池車で利用されている。アニオン交換型のPEFCは、アルカリ環境であるため白金担持カーボン触媒の代替材料として非貴金属触媒が利用でき、低コスト化が期待できる。しかし、電解質膜のアニオン伝導性が不十分である。本研究では、アニオン交換型PEFC用にキトサンとポリビニルアルコールを複合化した電解質膜の開発を行った。キトサン-PVA膜のアニオン伝導度は1.25×10-2 S/cmであった。出力特性は2.5 mW/cm2が得られた。
キトサン、アニオン交換膜、電解質膜 環境・エネルギー関連技術分野 29~30 研究報告(PDF:396KB)
4 炭素繊維強化樹脂(CFRP/CFRTP)へのめっき技術の開発
エポキシCFRPの表面に密着強度の高いめっきを施すことを目的に、CFRP内部を構成する炭素繊維とCFRP外表面の間に導電性を付与する前処理方法について検討した。オゾン処理、電気ニッケルめっき、電解エッチングの各操作により前処理を行い、接触角の値で比較したところ、それら前処理操作すべてを組み合わせた時に表面改質の効果が最も大きいことが判明した。この処理の結果、テープ引きはがし試験に耐える密着強度のニッケルめっきをエポキシCFRP上に施すことができた。
エポキシCFRP、ニッケルめっき、導電性付与 先端ものづくり関連技術分野 30~31 研究報告(PDF:491KB)
5

排煙管内清掃ロボットの開発

焼肉店等に設置された無煙ロースターの清掃不良による火災件数の増加や、その排気ダクトの清掃が容易ではないという背景を受けて、本研究ではドライアイス洗浄方法を用いた排気ダクト内の清掃を行うロボットの設計・試作を行った。結果、90度エルボを走行でき、360度回転可能なドライアイス噴射口を搭載した、シンプルな機構のロボットの試作機を開発した。

ロボット、排管清掃、ドライアイス洗浄 先端ものづくり関連技術分野 30 研究報告(PDF:427KB)
6

麺製品の高付加価値化に向けた味・香り向上技術の開発

埼玉県産小麦を使用した麺製品の高付加価値化を目指して、小麦粉内在酵素により味・香りを向上させる生地熟成条件の検討を行った。ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)により測定した揮発性成分では、生地のpHが5.0以下でゆで麺の風味に大きな影響を与える不飽和アルデヒドの寄与が大きくなることが確認された。また、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)により測定した麺生地中の味成分では、28℃で4時間、18℃では8時間の生地熟成により、遊離糖含量の増加が大きくなることが確認された。

埼玉県産小麦、麺製品、高付加価値、香り成分、味成分

農林水産・食品関連技術分野 30~31 研究報告(PDF:522KB)

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新技術創出調査研究(3テーマ)

独創的技術形成研究(1テーマ)

独創的技術形成研究とは、若手研究者等の独創性を活かした新たな技術シーズの創出・芽出とともに、 研究遂行能力の育成・強化を目的とした調査研究です。

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車椅子の強度基準の検討と提案

車椅子の強度はISO等により規定され使用者の安全が図られているが、一部の試験規定の試験条件については、車椅子の使用実態を反映していないのではないかという意見もある。そこで本研究では、車椅子で実際に段差を乗り越えた際の、車椅子フレームのひずみ値の検証をおこなった。その結果、ひずみ方向によって検出されるひずみ量に違いがあることが明らかとなった。このことより計測条件の更なる検証が必要であると考える。

車椅子、負荷計測、ひずみゲージ 30 研究報告(PDF:644KB)

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技術支援高度化研究(2テーマ)

技術の進展に対応し、センターにおける依頼試験、解析評価技術等の技術支援高度化を図る調査研究であり、 県内企業の問題解決に役立つ評価解析技術の開発・蓄積を目指しています。

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酒造原料米の溶解性予測システムの確立に関する研究

清酒の品質に影響を及ぼす酒造原料米の溶解性を迅速かつ簡便に予測するシステムの確立を目指した。本研究では溶解性に関連する酒造原料米の「吸水性」及び「消化性」の予測を試みた。尿素崩壊性試験、ラピッドビスコアナライザー及び近赤外分析で得た迅速分析値を説明変数、酒造用原料米全国統一分析値を目的変数とした重回帰分析により予測式を作成した。さらにパス解析によって吸水性及び消化性の因果関係を見える化した。

米、清酒、溶解性、消化性、吸水性、重回帰分析、パス解析 30 研究報告(PDF:728KB)
2

埼玉酵母へのチアミンの応用

清酒酵母である埼玉G酵母は、吟醸香であるカプロン酸エチル生成量が多いという特徴を持つが、発酵力が弱く、日本酒度が切れにくい傾向がある。そこで酵母発酵助成剤であるチアミンを用いて、埼玉G酵母の発酵性の改善を試みた。その結果、もろみ初期におけるチアミン添加は、埼玉G酵母の発酵性改善と、酒質改善及び製造の安定化に有効であることが確認された。

清酒、酵母、チアミン 30 研究報告(PDF:383KB)

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(公財)JKA共同研究(1テーマ)

平成30年度に、公益財団法人JKAの「公設工業試験研究所等における共同研究補助事業」(オートレースの補助金)を利用して実施した研究です。
⇒JKA補助事業の概要はこちら

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普及型水蒸気透過度測定装置の開発
水蒸気透過度測定のカップ秤量作業を自動化した測定装置を開発した。カップ法の測定下限値といわれる1 g/(m2・24h)のポリテトラフルオロエチレンフィルムを測定したところ、従来の手作業による測定値とおおむね一致した値が得られ、さらに従来法では測定に24日を要したが本装置はこれを4日で測定可能とした。

水蒸気透過度、透湿度、カップ法、JIS Z 0208、JIS K 7129

30 研究報告(PDF:818KB)

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(独)日本学術振興会 科学研究費助成事業(2テーマ)

平成28~30年度に、独立行政法人日本学術振興会の「科学研究費助成事業」を利用して実施した研究です。

No テーマ名・抄録 キーワード 期間 PDF
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1

大腸菌群フローラ解析による食品汚染源推定技術の開発
紙上で迅速に大腸菌群を検出できるイムノクロマト試験紙を開発し、食肉を対象に実用性を検証した。1種類の試験紙では、食肉から分離された大腸菌群の検出率は38%~76%に過ぎなかったが、7種類の試験紙を組み合わせることにより、検出率は100%に達した。菌の分離工程を省略し、直接食肉の大腸菌群を検出できるか調べたところ、10万/g以上の大腸菌群に汚染されていた食肉で検出できた。1枚の紙に4種類の抗体を固定し、食肉と菓子の大腸菌群フローラを調べたところ、両者の明確な相違が明らかになった。

大腸菌群、試験紙、食品汚染

28~30 研究報告(PDF:241KB)
2

配管外面を移動可能な蠕動運動型ロボットの開発・検証

ミミズは蠕動運動により移動を行う生物である。本研究では、配管上を移動可能なロボットの実現を目指し、ミミズの移動方法を模した蠕動運動型移動ロボットの開発を行うことを目的とした。開発するにあたり、動作シミュレーション環境を構築し、移動について評価を行った。また、吸着動作を実現するための電磁石を搭載したロボットの実機を作製し、配管上にて動作実験を行った。結果、ロボットが安定動作し、移動速度が得られた。

制御、シミュレーション、組み込み 28 研究報告(PDF:646KB)

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(公財)飯島藤十郎記念食品科学振興財団 学術研究助成事業(2テーマ)

平成28~29年度に、公益財団法人飯島藤十郎記念食品科学振興財団の「学術研究助成事業」を利用して実施した研究です。

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1

国内産小麦を使用した麺の風味形成要因の解明
農林61号などの国内産小麦の麺がもつ独特な風味を形成する要因は未解明な点が多かった。そこで、小麦粉、生地、ゆで麺の揮発性成分を分析するほか、その前駆体と考えられた脂肪酸組成の分析、および酸化酵素活性を測定することにより、ゆで麺の風味形成要因の解明を試みた。小麦粉、生地、ゆで麺の揮発性成分をGC/MSにより測定し、主成分分析に供したところ、各加工工程がクラスターとして分かれ、加水後の生地、およびゆで麺ではアルデヒド類の寄与が大きいことが確認された。また、農林61号のLOX活性が他の品種と比較して高く、このLOX活性がゆで麺の風味に対して影響を与えることが示唆された。

揮発性成分、GC/MS、LOX、麺

28 研究報告(PDF:493KB)
2

うどん中の呈味成分の製造工程における変化とその品種間差の解明

国産小麦を使用したうどんの呈味成分が製造工程中でどのように形成されるか、またその品種間差が何を要因として生じているのかを明らかにすることを目的に、LC/MSを用いて小麦粉、生地、ゆで麺の有機酸、アミノ酸、糖の分析をし、呈味成分の生成に関与すると考えられた酵素について活性測定を行った。多くのアミノ酸類や糖類は生地熟成時間が長くなることに寄与が大きくなり、この変化は国内産小麦の2等粉において顕著であった。また、ゆで工程において呈味成分の寄与の減少が確認されたが、生地熟成中に増加した呈味成分が最終製品であるゆで麺へ影響していることが確認された。

呈味成分、LC/MS、小麦、麺 29 研究報告(PDF:597KB)

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先端産業創造プロジェクト 新エネルギープロジェクト推進事業(1テーマ)

埼玉県先端産業創造プロジェクトの一環で、今後の成長が見込まれる新エネルギー分野の研究開発に取り組む新エネルギープロジェクト推進事業における、次世代型蓄電池研究開発推進事業として実施した研究です。

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次世代型蓄電池研究開発推進事業
次世代蓄電池の1つであるマグネシウム蓄電池の開発を行った。マグネシウム蓄電池の要素技術として、正極活物質、電解液、マグネシウム合金を開発した。これらの要素を組み合わせてマグネシウム蓄電池を構築した。蓄電池として動作することが確認された。

バナジン酸アンモニウム、無水コハク酸、マグネシウム銅合金

25~30 研究報告(PDF:369KB)

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平成30年度研究報告 全収録版

平成30年度研究を1冊にまとめて収録した、「平成30年度研究報告(PDF:8,344KB)」です。

 

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