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掲載日:2020年12月10日

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令和元年度研究報告Vol.18

令和元年度に当センターで実施した研究(16テーマ)等に関する成果を公表します。
各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。

産業支援研究(6テーマ)

産業支援研究は、産業界が求めるニーズを把握し、社会情勢を踏まえ、センター内で保有する技術シーズや新技術創出調査の成果を活用し、県内企業の製品化・実用化を支援することを目的として行っています。

No テーマ名・抄録 キーワード 技術区分 期間 PDF
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1

炭素繊維強化樹脂(CFRP/CFRTP)へのめっき技術の開発

エポキシ樹脂をマトリックスとするCFRPに対し、クロム酸などの環境負荷の高い物質を用いることなく、実用可能な強度のめっきを施すことを目指している。溶媒浸漬やオゾン処理でのクラック形成、電解ニッケルめっきでの埋め戻し、オゾン促進酸化処理や電解エッチングでのアンカー効果付与の組み合わせによる前処理手法を伴うめっきプロセスを検討した。溶媒浸漬やオゾン促進酸化処理等の工程を新規に導入したことにより密着強度は向上し、90度剥離試験による評価では最大で6.8N/cmの値を得た。

エポキシCFRP、導電性付与、溶媒浸漬、電解エッチング 先端ものづくり関連技術分野 H30~R1 研究報告(PDF:883KB)
2 麺製品の高付加価値化に向けた味・香り向上技術の開発(第2報)
埼玉県産小麦を使用した麺製品の高付加価値化のため、埼玉県産さとのそら、農林61号及びハナマンテンの単品粉およびブレンド粉を使用した麺について、pH調整生地の熟成による味・香り成分の変化を確認するとともに、その風味増強効果を官能評価により確認した。農林61号の5割以上のブレンドにより、農林61号の持つ地粉風味を強めた麺が得られることが確認された。また、これまで風味が弱いとされていたさとのそらにおいても、pH調整生地の熟成により、従来製法の農林61号と同程度の地粉風味を持った麺の製造が可能であることが確認された。

埼玉県産小麦、麺製品、高付加価値、香り成分、味成分

農林水産・食品関連技術分野 H30~R1 研究報告(PDF:735KB)
3

表面改質によるFRPの高機能化

繊維強化樹脂(FRP)に紫外線等に対する長期耐候性を付与することを目的として、イオンプレーティング法を用いてFRP表面にチタン(Ti)皮膜をコーティングした。このTi皮膜の密着性をテープ試験により評価したところ、はく離等は観察されなかった。また、キセノンランプ式耐候性試験機を用いて半年分、1年分の太陽光露光量を照射したFRP試験片で曲げ試験を行い、試験時に発生するアコースティックエミッション(AE)を測定した結果、TiをコーティングしたFRPは皮膜のないFRPと比較してAEの発生が抑制され、耐候性の向上が明らかとなった。

FRP、イオンプレーティング、チタン、アコースティックエミッション 先端ものづくり関連技術分野 R1~2 研究報告(PDF:804KB)
4

車椅子バスケットボールの競技成績向上に資する車椅子の開発

本研究では、車椅子バスケットボールトップ選手の競技成績向上に貢献することを目的とした。そして、女子エリート選手を対象とした人間計測の分析を実施したところ、座面設定によってパフォーマンスを強化させることができることが示された。また、共同研究先の埼玉大学が、動画像から対象選手の前傾姿勢角度、肘の角度、車輪の角度を推定可能なシステムを開発した。さらには、動画像を基にクラシファイヤーのクラス分けを支援するシステムの開発に着手した。得られた結果を基に、次年度も本研究を継続実施する。

車椅子バスケットボール、人間計測、画像解析、クラス分け支援システム ヘルスケア関連技術分野 R1~2 研究報告(PDF:425KB)
5

アニオン交換固体高分子形燃料電池の開発
― キトサン電解質膜のアニオン伝導性向上 ―

CO2削減効果が高い固体高分子形燃料電池(PEFC)はクリーンエネルギーとして家庭用コージェネレーションシステムおよび燃料電池車で利用されている。アニオン交換型のPEFCはアルカリ環境であるため、白金担持カーボン触媒の代替材料として非貴金属触媒が利用でき、低コスト化が期待できる。しかし、十分なアニオン伝導性を有する電解質膜がない。本研究では、アニオン交換型のPEFC用にキトサンとポリビニルアルコール(PVA)を複合化した電解質膜の開発を行ってきた。キトサン-PVA膜は膜厚50μm程度で再現良く製膜でき、アニオン伝導度は5.012×10-2 S/cm、出力特性は16.5 mW/cm2であった。

キトサン、アニオン交換膜、電解質膜、PEFC 環境・エネルギー関連技術分野 R1 研究報告(PDF:526KB)
6

電池評価セルの開発

電池構成要素が確立していない新奇電池に用いる材料の性能を評価するには、電池の充放電試験により評価することができないため、3極式ビーカーセルを用いて、電極の酸化還元挙動による評価が行われている。しかし、従来の電池セルには、電極を近接して平行に配置できず、電極材料の性能を正確に評価することが困難であった。本研究では、これを可能とする電池評価セルの開発を行った。開発したセルを用いると、既存のコバルト酸リチウム電極の容量(150mAhg-1)が正確に評価できた。

電池評価セル、3極式セル、新奇電池

先端ものづくり/環境・エネルギー関連技術分野 R1 研究報告(PDF:266KB)

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新技術創出調査研究(4テーマ)

独創的技術形成研究(2テーマ)

独創的技術形成研究とは、若手研究者等の独創性を活かした新たな技術シーズの創出・芽出とともに、 研究遂行能力の育成・強化を目的とした調査研究です。

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1

埼玉酵母を用いたビールの醸造に関する研究

味や香りに特徴のある埼玉酵母を用いることにより風味に特徴のあるビールの醸造を目指し、発酵試験や香気成分測定を行った。発酵試験ではBK2、E、F、Gの4種の酵母が麦汁を良く発酵した。4種の酵母を用いて麦汁を発酵させ香気成分の測定を行った。吟醸酒の代表的な香り成分である酢酸イソアミルとカプロン酸エチルが含まれていた。10 Lの麦汁にG酵母を添加してビール醸造を行いアルコール分、香気成分の測定を行った結果、市販のビールとは異なるビールを製造することができた。

埼玉酵母、クラフトビール R1 研究報告(PDF:540KB)
2

溶液含浸法による連続炭素繊維強化ポリカーボネートの高強度化

炭素繊維束に対するポリカーボネート(PC)の含浸性を向上させるため、PCを溶媒に溶かして繊維束に含浸させる溶液含浸法を用いて炭素繊維強化ポリカーボネートを成形した。曲げ試験により評価したところ、従来のフィルムスタッキング法で成形した試料と比較して曲げ強さが50%以上向上した。試料を光学顕微鏡およびX線CTで観察したところ、溶液含浸処理を行った試料は空洞(ボイド)の発生が抑制されていることが確認された。これらのことから曲げ強さが向上した理由は、溶液含浸処理により含浸性が向上し、破壊の起点となるボイドの発生が抑制されたためと考えられる。また、溶媒を用いることにより試料から炭素繊維とPCを分離・回収できることが明らかとなった。

溶液含浸法、ポリカーボネート、CFRTP、含浸性向上 R1 研究報告(PDF:743KB)

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技術支援高度化研究(2テーマ)

技術の進展に対応し、センターにおける依頼試験、解析評価技術等の技術支援高度化を図る調査研究であり、 県内企業の問題解決に役立つ評価解析技術の開発・蓄積を目指しています。

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1

酒造原料米の溶解性予測システムの確立に関する研究

―酒造原料米の消化性Brix予測値の活用―

清酒の酒質に影響を及ぼす酒造原料米の溶解性を、迅速に予測するシステムの確立を目指した。その溶解性に関連する酒造原料米の消化性Brix予測値を得るため、メッシュ農業気象データ及び近赤外分析で得た迅速分析値などを入力変数とした部分的最小二乗回帰分析を行い、精度の高い予測が可能となった。得られた予測値を基に原料処理を変えるなどした清酒製造試験を行い、本システムの有用性を検証した。

米、清酒、溶解性、消化性、PLS回帰分析 R1 研究報告(PDF:474KB)
2

積層造形物の樹脂特性情報の整備

当センターはインクジェット式カラー積層造形装置を保有している。本研究では、この装置による技術支援の高度化を図るため、機械的及び熱的特性の観点から、積層方向の依存性(異方性)や樹脂特性を調べた。
異方性の検討では、高さ方向に長く積層した造形物の機械的強度が低くなる傾向にあり、樹脂特性の検討では、機械的特性においては透明樹脂、熱的特性においてはABSライク樹脂に優位性があることがわかった。この結果より、機能試作を視野に入れた造形では、積層面の向きと力が加わる向きを意識し、適切な樹脂を選択することで、造形物を破損しにくくする工夫ができると考える。

インクジェット式3Dプリンタ、異方性、機械的特性、熱的特性、粘弾性 R1 研究報告(PDF:858KB)

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(独)日本学術振興会 科学研究費助成事業(1テーマ)

平成28~令和元年度に、独立行政法人日本学術振興会の「科学研究費助成事業」を利用して実施した研究です。

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1

座位姿勢が、除圧動作に与える影響の解明
本研究では、車椅子使用者の褥瘡を予防するための「除圧動作」について、その効果的な実施のために、座位姿勢の違いが除圧動作の効果に与える影響を明らかにすることを目的とした。はじめに、座位姿勢の計測方法の確立を目指した。次に、健常成人を対象として、普通型車椅子に乗った際の座位姿勢と座圧を計測した。その結果、車椅子との適合性に問題がある被験者ほど、その座位姿勢の基準座位姿勢からの乖離が生じることがわかった。そして、その乖離が大きいほど「除圧動作実施時の座圧のピーク値」は高いままである(十分には除圧ができていない)ことが明らかとなった。

座位姿勢、除圧動作、座圧

H28~R1 研究報告(PDF:331KB)

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経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業(2テーマ)

平成30~令和元年度に、経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」を利用して実施した研究です。

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1

ドライ・ウエット複合めっきプロセスによるIoT制御用小型RFIDタグの開発

離れた場所から広範囲で個体情報の通信を行う特長を持つ「UHF帯RFID」の活用は、過去に困難とされていた個体識別システムの開発や国内電波規制が緩和されるに従い、様々なシーンでの利用が始まっている。様々な応用に求められるUHF帯RFIDタグには小型化が強く求められているが、そのためにはRFIDタグへの磁性膜の搭載が必要であるものの、現状の磁気シート等では十分は性能特性が得られず、実現に至っていない。本研究開発では、めっきプロセスの高度化を図り、RFIDタグを構成する高性能磁性めっき膜とめっき小型アンテナパターンを形成する「ドライ・ウエット複合めっきプロセス」として組み立て、小型UHF帯RFIDタグ(パッシブ型)の開発を支援した。

UHF帯、RFIDタグ、高性能磁性めっき膜、ドライ・ウエット複合めっき

H30~R1 研究報告(PDF:524KB)
2

差圧を用いた無電源で吊るさず携帯性・操作性に優れ移動制限のないポータブル補液ポンプの開発

本研究では、差圧を用いることで無電源で吊るさず携帯性・操作性に優れ移動制限のな
いポータブル補液ポンプの開発を目的とした、高齢者の増加傾向が進む在宅・介護施設や
医療現場の調査を行い、医療事者による試作品のユーザビリティ評価試験を実施した。評
価試験等で得られた結果を基に安全性・信頼性・使い勝手共に優れたデザインを構築し、
使用者に対して、優しさや親しみやすさを有する補液ポンプを開発することができた。

在宅介護、医療現場、ユーザビリティ評価、差圧、補液ポンプ H30~R1 研究報告(PDF:757KB)

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(公財)飯島藤十郎記念食品科学振興財団 学術研究助成事業(1テーマ)

令和元年度に、公益財団法人飯島藤十郎記念食品科学振興財団の「学術研究助成事業」を利用して実施した研究です。

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1

麺の風味形成における抗酸化物質の影響およびESRによるその迅速評価

国内産小麦の麺の風味を形成する要因として、これまでに酸化酵素の関与が示唆されている。しかし、小麦粉中にはこの酵素の作用を阻害する抗酸化物質も存在しているため、生地熟成中におけるその影響を検討した。抗酸化物質であるルテインの含有量は農林61号において最も少なく、生地の4時間熟成後の残存量も農林61号が最少であった。相関分析の結果、揮発性成分生成において小麦粉中のルテインが関与していることが示唆された。また、ラジカル生成の迅速評価手法としてESR測定を行った結果、小麦粉をESR測定に供することにより麺製品の揮発性成分の生成を予測できることが示唆された。

揮発性成分、GC/MS、熟成、ESR

R1 研究報告(PDF:685KB)

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先端産業創造プロジェクト 新エネルギープロジェクト推進事業(2テーマ)

埼玉県先端産業創造プロジェクトの一環で、今後の成長が見込まれる新エネルギー分野の研究開発に取り組む新エネルギープロジェクト推進事業における、次世代型蓄電池研究開発推進事業として実施した研究です。

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次世代蓄電池技術研究開発

―マグネシウム蓄電池の開発―
マグネシウム蓄電池の製品化を図るにあたり、Mg合金負極の研摩工程が支障となることが見出された。その解決方法として無水マレイン酸溶液による処理を検討した。酸化被膜を形成したマグネシウム合金に対して、この溶液処理を行い、これを負極に、活性炭を正極に用いて電池を構成し、充放電試験を行った。無水マレイン酸溶液処理により充放電サイクル特性が向上する結果が得られた。この結果から、この溶液処理は工業化しにくい不活性雰囲気での研摩処理の代替となる可能性が見出された。

マグネシウム蓄電池、マグネシウム合金、酸化被膜、無水マレイン酸

H25~R1 研究報告(PDF:253KB)
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次世代蓄電池技術研究開発

―リチウム硫黄電池の開発―

硫黄正極は高容量で安価であるため、リチウム硫黄電池は高性能次世代電池として検討されている。しかし、硫黄正極は充放電によりポリスルフィドアニオンが溶解し、負極と反応してサイクルが劣化する課題がある。本研究では、負極にバナジウム酸化物被膜を形成することにより課題解決を試みた。容量は理論容量の1/3程度であるが、安定してサイクルする結果が得られた。負極被膜形成により硫黄正極の課題が解決できる可能性を見出した。

リチウム硫黄電池、硫黄正極、シャトル効果、バナジウム酸化物 H25~R1 研究報告(PDF:312KB)

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令和元年度研究報告 全収録版

令和元年度研究を1冊にまとめて収録した、「令和元年度研究報告(PDF:9,197KB)」です。

 

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