埼玉農産物ポータルサイト SAITAMAわっしょい! > 知る > プロが惚れた 埼玉食材 > Vol.7 さといも
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掲載日:2025年11月21日
地域食材を繋ぐ、滑らかな根菜。埼玉の豊かな土壌で育った味を創作フレンチで味わう

入間市にある「Veronica persica(ウェロニカ・ペルシカ)」は、地域の食材にこだわり、季節のうつろいに合わせた料理を提供するフランス料理レストランです。シェフの横田哲也さんは、国内外のホテルで経験を積み、平成20年にこの店を開きました。
「オープン当初は、東京や名古屋のホテル時代と同じ感覚で食材選びをしていましたが、地域に目を向けると、こだわりを持つ生産者が多いことに気づきました」と横田さんは話します。
常連客の紹介や生産者同士のつながりから仕入れ先が広がり、半径30キロ圏内の食材を使ったメニューに変化していきました。そのひとつが、秋から冬にかけて旬を迎えるさといもです。三富地域や、狭山市内の農家が育てたものを選んでいます。
「さといもは土の中で育つ作物です。長年続けられてきた落ち葉堆肥農法による豊かな土壌が、味を育ててくれます」


横田さんは、独特のねっとりとした食感となめらかな味わいを生かした料理を提供しています。
その一皿が「さといもとアワビのタルト」です。さといもと、東京都日の出町で人工海水により蓄養(※)されたアワビを秩父の鹿の骨から取ったコンソメで煮て、タルトにしました。タルトの底部には岩槻で作られているロロンカボチャを敷きました。さといもと地元の卵を合わせたラビゴットソースを添えています。 アワビのむちっとした食感と、見た目や食感が似たさといもが楽しめます。
(※)水産動植物を短期間一定の場所に保存すること

2品目は「さといもとフォアグラのコロネ」です。
アイスクリームのコーンのようなコロネの中に、粗く潰したさといものエクラゼとフォアグラのテリーヌを入れ、収穫期を迎えた秩父のリンゴを合わせました。さらに清瀬のペンタスの花と近所の胡椒専門店「HITOSAJIYA」の胡椒で仕上げました。

3品目は「さといもをのせた、スッポンときのこのテリーヌ」です。
スッポンと、入間の原木シイタケや飯能の黒マイタケなどの地元産のきのこをテリーヌにし、その上にオーブンで焼いたさといもをのせ、地元で採れた銀杏、イチジク、オクラ、潰したさといもなどを並べました。真ん中にスッポンの出汁とバターミルクを合わせたソースを流し、周りにはさといもの皮を焼いてパウダーにした「さといも皮の塩パウダー」を振りました。
「さといもは味にクセがなく淡泊なので、素材同士をけんかさせない範囲で香りと食感を加え、バランスを取ることが大切です」と、横田さん。
また、横田さんに家庭で手軽に楽しめる料理も教えていただきました。
「さといもは茹でると水っぽくなり、ぬめりが出て扱いづらくなるため、さといもを適当な厚さに切りオーブントースターで皮ごと焼くことをお勧めします。仕上げにオリーブオイルと塩をかけるだけでもおいしく食べられます。さらに、モッツァレラチーズなどなめらかな舌触りの食材と合わせることで、味わいが深まります。」
近年は、「デスティネーションレストラン」と呼ばれるその土地ならではの食文化や地元の食材を活用した料理を提供し、訪れる人に特別な体験を提供するレストランが注目を集めています。「食、ガストロノミー」を通じて地域の魅力を発信し、国内外から人を呼び込もうという動きも広がっています。
「こうした時代の流れは、私の取組とも重なる部分が多くあります。秩父の自然と水の恵みを生かし、埼玉に足を運んで食べていただける店をつくっていきたいと思っています」

店舗名:Veronica persica(ウェロニカ・ペルシカ)
所在地:入間市野田653
営業時間:11時30分~15時、18時~22時
定休日:水曜日・第3木曜日
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