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掲載日:2023年12月28日

令和5年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(杉田茂実議員)

教職員による児童生徒に対するわいせつ行為等の防止について

Q 杉田茂実 議員(自民)

OECDが3年に一度調査する「PISA」で、日本は3分野全てで世界トップレベルに。先日の報道は実に嬉しい限りでした。こんなにすばらしいことが実現できる、大多数の教員各位に感謝いたします。
しかしながら、反面、昨今における教職員の不祥事、特に児童生徒に対するわいせつ行為等のニュースを耳にするとき、誠に心の痛むことも事実です。教職員による児童生徒に対するわいせつ行為に係る事件は後を絶たない状況にあります。学校内での職員教育や研修等が機能していないのではないでしょうか。今年度だけを見ても、児童生徒に対するわいせつ行為で6件もの懲戒免職処分が出されている状況です。
このような現状を踏まえ、児童生徒が信頼を寄せている教職員による、弱い立場にあり、誰にも相談することもできないでいる児童生徒に対するわいせつ行為は、将来のある児童生徒の心に深い傷を残す断じて許されない行為として、特に重要課題として取り上げる必要があると考えます。
ついては、児童生徒に対するわいせつ行為の防止に関し、5点にわたり教育長にお伺いいたします。
1、平成30年7月に不祥事根絶アクションプログラムを制定されていますが、これはどのような経緯で制定されたのか、お伺いいたします。
2として、このアクションプログラムは、本年、令和5年5月に改訂されましたが、改訂の必要に至った経緯についてお伺いいたします。また、改訂版における主な改訂事項について、これまでどのような取組がなされたのか、具体例を教えてください。
3として、児童生徒が信頼を寄せている教職員からわいせつな行為などを受けた場合、誰にも相談することもできないということがないようにしなければと考えます。教育局には、児童生徒性暴力など教職員のコンプライアンス違反について相談を受け付けている教職員コンプライアンス相談ホットラインがありますが、令和3年度から現時点までの相談件数とその内容、また、そのうち児童生徒に対するわいせつ事案の相談件数と相談を受けた場合の対応についてお伺いいたします。
4、最近の報道でも取り上げられていましたが、児童や生徒へのわいせつ事案で懲戒免職となる小・中学校の教員が後を絶たないとして、県教育委員会は教員の選考後に実施される面接でわいせつにつながる行為をチェックシート6項目で確認し、予防につなげる取組を始めましたと聞いています。この点について、このチェックシートはどのように活用されるのか、お伺いいたします。
5として、最後に、現在、法制化に向けて検討されている日本版DBSについてお伺いいたします。
こども家庭庁の報告書によれば、日本版DBSは子供に関わる仕事につく際、雇用主側に政府管理の性犯罪歴システムで性犯罪歴の確認を求める制度であり、特に学校などの公的機関には、確認が義務付けられるとの趣旨です。これも、教職員の採用段階におけるわいせつ行為防止策の1つと考えられるため、法制化には途中段階ながら質問いたしますが、これは犯罪歴という全く新たな視点からの試みのため、教育長はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

A 日吉亨 教育長

まず、不祥事根絶アクションプログラム制定の経緯でございます。
平成30年度の制定当時の状況ですが、県内公立学校教職員の懲戒処分件数が増大し、不祥事の内容も多岐にわたっておりました。
具体的には、平成28年度末現在における処分件数が、直近5年間で最多の35件となっており、平成29年度においても、引き続き、わいせつ行為をはじめ、体罰、盗撮、違法薬物使用などの不祥事が発生しました。
県では、この事態を県民の信頼を著しく失墜する事態であると重く受け止め、不祥事に関する相談窓口の新設、教職員研修の拡充などを内容として、いつまでに、誰が何をするのか、を明確にしたうえで、総合的・体系的なアクションプログラムを制定したものでございます。
次に、不祥事根絶アクションプログラムの改訂に至った経緯でございます。
県では、その後、プログラムに基づいた取組を進めたものの、処分件数が減少傾向に転じず、また、新規に採用された教職員も増加するなど、学校を取り巻く環境も変化し、改めて、不祥事根絶に向けた新たな課題も見えてまいりました。
また、令和4年には、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行されたこともあり、この内容も取り入れ、令和5年5月にプログラムを改訂したところでございます。
次に、主な改訂事項についてのこれまでの具体的な取組についてでございます。
改訂したプログラムを踏まえて、例えば、議員お話しのチェックシートのほか、これまでの過去の不祥事の分析や、教職員に対する研修の一層の充実などについて、重点的に取り組むこととし、現在、分析作業を進めるとともに、研修の在り方について検討を進めているところです。
また、分析作業については、国のさいたま法務少年支援センターの心理専門職員から、本県の過去の事例を踏まえて、発生までの経過や、関係者の当時の心理状態や背景、さらには周囲の教職員の意識などについて、助言をいただいているところです。
令和5年度中には分析結果をとりまとめ、研修資料に反映させるなど不祥事根絶に向けて、強力に取り組んでまいります。
次に、教職員コンプライアンス相談ホットラインについてでございます。
ホットラインにおける相談件数は、令和3年度が246件、令和4年度が547件、令和5年度は、これまで345件でございます。
主な相談内容ですが、教職員の児童生徒への指導の在り方や、教師による保護者への対応の在り方、職場内におけるハラスメントなどであり、相談者は、保護者や児童生徒、教職員等からとなっております。
このうち、児童生徒に対するわいせつ行為に関する相談は、相談時に、わいせつである可能性があったものを含めて、令和3年度が8件、令和4年度が18件、令和5年度は、これまで2件でございます。
相談があった場合、当該学校の校長などから事実確認を行い、わいせつ行為の事実が確認された場合、厳正に対処しております。
次に、チェックシートはどのように活用されているのかについてでございます。
わいせつ行為に至る不祥事では、20歳から30歳台の比較的若い教職員や、採用された年数の短い教員が、児童生徒と、本来禁じられているSNSを用いた私的な連絡を交わすことをきっかけとして発生した事例が多く見られます。
そのため、県では、今回新たに教職員が児童生徒と接するときのルールや法律に基づく性暴力の定義を明記した上で、こうしたルール等を確認させるとともに、自身の行動を振り返るためのチェックシート等を掲載したリーフレットを作成いたしました。
このリーフレットは、採用前からの意識付けが重要であることから、教員採用選考試験合格者を対象とした意向聴取の機会や臨時的任用教職員の申し込み時などに、配布し、児童生徒と接するときのルールやわいせつ行為につながる禁止事項をチェックシートで確認させることとしております。
また、採用後においても、このチェックシートを校内研修などで活用し、教職員が繰り返し、ルール等の再確認や自身の行動の振り返りを行うことを通じて、わいせつ行為等の防止を図ってまいります。
次に、日本版DBSについてでございます。
教員に信頼を寄せている児童生徒に対し、教員自らが、わいせつ等の卑劣な行為を行うことは言語道断であり、児童生徒が性犯罪の被害者になることはなんとしても防ぐ必要があります。
議員お話しの日本版DBSについては、現在、国において様々な観点から議論がなされておりますが、児童生徒に対するわいせつ行為等の防止に向けた方策の1つとして検討がなされることは重要であると考えます。
引き続き、国の動向を注視するとともに、この制度が成立した場合には、この制度を含め、あらゆる取組を通じてわいせつ行為等の根絶を図ってまいります。

再Q 杉田茂実 議員(自民)

チェックシートの件でございますけれども、これはもう少し具体的に、校内研修などで活用しているということでしたけれども、具体的にどんなふうにそのチェックシートを使って研修等をしている中でのその活用ですかね。具体的にその活用に関して、教育長にお伺いしたいと思います。お願いいたします。

再A 日吉亨 教育長

具体的にチェックシートを校内研修などでどのように活用しているのかということについてでございます。
各学校では、不祥事防止をテーマとした校内研修を年間を通して、繰り返し行っております。
校内研修の中では、チェックシートを活用して、教職員一人一人が自身の行動を振り返ったうえで、その内容を踏まえて、グループでの話し合いやルールについての確認を行っております。
また、管理職は教職員との面談等で、一人一人がチェックシートで振り返った内容を確認し、児童生徒と接するときのルールなどについて、一人一人の状況に応じて具体的な指導を行っております。
県では、チェックシートを採用前から、繰り返し活用することで、教職員に、自らの行動を振り返らせ、教育公務員としての自覚をもたせることで、わいせつ行為等の防止に努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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