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掲載日:2023年12月28日
Q 杉田茂実 議員(自民)
農業と食料を守ることは、農業地域で生まれ育った私の役割と心得ております。去る6月、政府は、食料・農業・農村基本法の見直しの指針となる新たな展開方法を示しました。食料安全保障の確立へ、平時からの国内生産増大や不足時の体制整備を進めるために、法制度の見直しや予算、税制を含む施策を具体化し、年度内に工程表をまとめるようです。
今回の見直しの目玉の1つに、適正な価格形成があります。旧来の価格政策から脱却し、価格を市場に委ねた現行基本法から価格形成の在り方に踏み込み、適正化に向けた法制化を進めるようです。生産や流通、販売など各段階の関係者が、適正な価格転嫁を進めるための仕組みを創設するようです。要するに、生産者が価格形成に関われなかったという課題解決に向かうわけです。
基本法の見直しの本丸は、スマート農業の推進のようです。当然の政策と思慮します。スマート農業を推進するには、最優先されるのがほ場の大区画化、二毛作等に向けた土壌改良を含む基盤整備です。この2法だけでも、現状の農業問題の多くが解決に向かうのではないでしょうか。とにかくスピード感を持って推進し、額縁に入った絵からほ場に飛び出してほしいのです。就農者に残された時間は長くはありません。
去る11月25日に、熊谷スポーツ文化公園において、彩の国食と農林業ドリームフェスタが4年ぶりに開催されました。寒い寒い中での開会式でしたが、私には大量のエネルギーと勇気を頂いた充実のひとときでした。何となれば、来賓祝辞として、信夫関東農政局長の御挨拶で「埼玉の農業はもっと発展できる。埼玉県の農業は本格的な農業県と言われるのも夢ではない」。何とも熱い激励を頂きました。崖っ縁に立たされている農業、それも埼玉県農業を熱く評価されたわけですから、改正基本法の先取りをするくらいの準備に取り組んでください。
生命の根幹である食を安定的に支えることは行政の役割であり、このために地域農業の維持・活性化を図ることは、県の重要な使命です。埼玉農業は産地イコール大消費地という好立地下にあり、何にも勝るビジネスチャンスが展開できます。また、災害時には大都市住民の食糧を支える役割も果たし得るという重要な意味があります。農業の振興は依然として難しい課題ですが、決して諦めてはいけないと考えます。
県として、どのような農業の姿を目指し、そのために特に何に力を入れていくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
食のニーズが多様化していく中で、このように大消費地近接の地理的条件を生かして、出口を見据えた生産を拡大していき、それにより生産基盤の維持につなげていき、食料安全保障にも貢献することができれば、正に全国を引っ張る姿となるのではないかとも期待をするところです。このためには、販売支援のほか、担い手、農地、生産資材の安定確保や新技術・新品種の開発・導入、生産基盤整備などの施策を組み合わせ、こうした取組を積極的に後押ししていくことが重要です。
そして、埼玉での農業にやりがいと期待を持って参入してもらう人を増やしていくためには、こうした取組や県の支援策をもっと積極的に見える形にしていくことが重要であると思慮いたしますが、農林部長の見解をお伺いいたします。
最後に、農業予算について伺います。
埼玉県が本格的な農業県に向けて農業の振興を力強く進めていくためには、その裏付けとして県が予算を安定的に確保して支えていくことが重要です。近年の厳しい財政状況もあり、平成20年頃、15年ほど前と比べると農業予算も減少し続けております。
正に生命の根幹である食を支えるためには、今後、是非しっかり予算を確保していってほしいと思いますが、知事のお考えをお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
本県農業は、恵まれた自然条件の下、生産現場の近くに大消費地があるという地の利を背景に、多彩な農産物が生産されており、産出額が全国有数の農産物も数多くあります。
本県農業を持続的に発展させていくためには、これらの強みを最大限に生かし収益性を向上させ、儲かる農業の実現を目指していくことが重要であります。
そこで、生産面では、規模拡大やコストの低減に向け、スマート農業技術の普及や農地の集約・集積、農業生産基盤の整備などに加え、収益性の高い作物への転換に力を入れてまいりたいと考えています。
特にスマート農業については、令和5年度に設置したプラットフォームを活用し、農業者と機械メーカーなどとも情報を交換しながら、官民が一体となって技術の導入を推進します。
また、主食用米からねぎやブロッコリーへの作付転換など食品関連事業者が求める農産物を安定的に供給し、高収益を確保できる産地を育成してまいります。
他方で、販売面では、地産地消による需要拡大と大都市圏への販路拡大、そして輸出の促進に力を入れていきたいと考えます。
本県が全国に誇るねぎやさといも、全国的なコンテストで賞を獲得したいちごや梨、武蔵野の落ち葉堆肥農法で栽培されたさつまいもなどは、私が先頭に立ち、美味しさや品質といった魅力をPRし販売拡大につなげていきます。
また、糖度が高く食味に優れた「あまりん」などのいちご、三大銘茶の一つに数えられる狭山茶、特Aを取得した「彩のきずな」をはじめとする米などは、世界に誇る農産物として輸出にも積極的に取り組みます。
こうした生産・販売の両面からの取組を更に推進することで一層の収益力向上を図り、儲かる農業を推進してまいります。
次に、農業予算の確保についてでございます。
平成20年頃と比べると農業予算が減少しているとの御指摘がございましたが、いわゆる農業予算の主な減少要因は、職員給与費と農業生産基盤の整備に関する国庫事業減少によるものであります。
時代背景の中で予算規模の変化が生じておりますが、平成20年度以降は当初予算ベースで200億円台を上下して推移しており、令和5年度、今年度は、前年度と比較し約18億円の増とさせていただいております。
各年度の予算については、限られた財源の中、ただ金額が多ければよいというものでもなく、その中身が重要であり、その時々の政策課題に適切に対応できるよう必要な額を措置をしております。
令和5年度当初予算では、農業の持続的な発展に向け、儲かる農業を更に推進するため、県産農産物の販売促進やスマート農業の推進などに重点的に取り組んでまいります。
また、地域の農業を支える多様な担い手の育成・確保、農地の集積・集約化、農業生産基盤の整備などの施策も講じています。
さらに、今議会では、水稲の高温障害などの被害を受けた農業者や配合飼料価格の高騰の影響を受けた畜産農家に対する支援、施設園芸における省エネ型設備の導入支援などの補正予算をお願いをしているところでございます。
厳しい財政状況ではありますが、本県農業を更に振興し持続的発展を図るため、農業者の声を伺いながら生産現場の課題を的確に把握し、必要な予算を措置してまいります。
A 横塚正一 農林部長
本県は、新鮮なまま農産物を大消費地へ届けられること、直売所や食品関連事業者が多く販売先に恵まれていることなど、新規就農しやすい環境にあります。
このような状況の中、本県では、生産から販売までの実践的な研修を行う明日の農業担い手育成塾の設置をはじめ、栽培技術の習得や農地の取得、資金確保などの様々な新規就農支援策を講じています。
こうした支援を受けた新規就農者の中には、就農後7年程度で露地野菜の生産を15haまで拡大し、県内や都内の量販店における直売コーナー等に販路を拡大するなど、儲かる農業を実践している方もいます。
本県の恵まれた環境や就農支援策、優れた青年農業者の活動事例は、県内での就農の動機付けとなるものであり、広く情報発信することが重要です。
これまでも新規就農支援策をまとめた就農支援ガイドや優良事例のホームページでの紹介、就農相談時での情報提供を行ってきました。
今後は、就農を希望する方が必要な情報を得られるよう、例えば県の女性キャリアセンターと連携した女性の就農希望者への情報提供、SNSを活用した新規就農者の事例の情報発信を検討するなど、支援策や優良事例の一層の見える化に取り組んでまいります。
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