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掲載日:2023年7月14日
Q 武田和浩 議員(民主フォーラム)
本県の隠れた地域資源の中には、磨き方次第で新たに輝きを放ち、観光客をはじめ多くの方々の関心を集める可能性のあるものがあります。そのうちの1つが日本刀剣だと思います。
日本刀剣の魅力、見どころといえば、まず刀の反りなど全体的な形である姿や、焼入れの過程でつくられる刃の紋様である刃文、そしてその過程でできる波紋状の沸や匂、日本刀の平面上の表面に現れる地鉄の肌模様などが挙げられます。
つかに隠れている、なかごと呼ばれる茎の形状やさびの付き方なども魅力の1つとされ、作られた時代や背景、そして代表的な五箇伝などの諸流派、そして帽子と呼ばれる切先の特徴などから、刀工の個性や技量がうかがえます。
長い時代でついたさびでさえ見どころになる刀剣は、刀を題材としたゲームやアニメにより若い世代に人気を博し、最近では「刀剣女子」という流行語も生み出しました。そして、「刀剣女子」という言葉が定着しているように、現在では女性を中心に、日本刀が再び脚光を浴びている時代です。刀剣の人気は、今や一部の方にとどまらず、多くの世代に浸透してきています。
埼玉県は、国宝「景光」をはじめ、同田貫や虎徹とされる作品など、多くの刀剣ファンを魅了してやまない超有名刀剣を所蔵しております。特に同田貫は、九州肥後菊池の同田貫を本拠地として、永禄頃から活躍した肥後熊本の刀工集団の一派でありますが、それらの中でも、加藤清正から一字を授かったと伝えられている同田貫「正国」が知られており、正にこの「正国」銘の同田貫が埼玉県立歴史と民俗の博物館の収蔵庫に眠っております。
さらには、徳川将軍家のお抱え刀匠として、刀の茎に三つ葉葵の御紋の刻印が許された有名刀匠の康継銘の刀剣も眠っております
博物館が所蔵する康継は、赤羽刀と思われます。太平洋戦争、第二次世界大戦後の昭和20年、連合国軍最高司令官総司令部GHQにより、膨大な刀剣類が接収されました。接収された刀剣類は、東京都北区赤羽の米第八軍兵器補給廠に保管されていたことから赤羽刀と呼ばれるようになり、廃棄処理を免れて、美的価値が認められた昭和22年、日本側に引き渡された約5500口の刀の総称であります。
戦後の混乱期において武器として廃棄されるはずだったこれらの刀剣は、先人の多くの努力で美術刀として生き残り、正に歴史を代弁する資料として貴重であります。
神奈川県立歴史博物館や千葉県立博物館など、赤羽刀に焦点を当てた展示が各地で行われ、注目を集めました。埼玉県は、いまだに公開や展示がされていない秘蔵の日本刀剣を所蔵すると伺っております。赤羽刀を含め、これらの日本刀剣を研ぎ直して、企画展又は特別展を開催し、公開をしてはどうかと考えます。また、単なる鑑賞型の展示だけではなく、実際にその物に触れるなどの体験型の展示も検討すべきではないでしょうか。教育長の御見解を伺います。
A 日吉亨 教育長
まず、日本刀剣を研ぎ直して、企画展又は特別展を開催し、公開してはどうか、についてでございます。
県立歴史と民俗の博物館では、国宝に指定されている「短刀銘備州長船住景光」のほか、県民の方から御寄贈いただいた刀剣や、議員お話しのいわゆる「赤羽刀」など、97点の刀剣を所蔵しております。
これらの刀剣の中には、経年の変化に伴う錆びの深さや状態によって、研ぎ直しの効果が十分に得られないことや、刀身の厚さが薄くなるなど刀剣の姿が変わって価値を損ねてしまう可能性があるものもございます。
そのため、刀剣の研ぎ直しにつきましては、個々の刀剣の状況を詳細に調査し、専門家の指導を受けて実施するかどうかを判断しており、今後とも適切に対応してまいります。
また、県では、国宝の短刀などを公開する展示を平成18年度から毎年実施しておりますが、議員お話しのとおりこれまで公開していない刀剣も所蔵しております。
そこで、より多くの県民に刀剣の魅力を感じ、あわせて日本の歴史や文化への理解を深めていただけるよう、これまで公開や展示をしていない刀剣の展示について検討してまいります。
次に、体験型の展示も検討すべきではないか、についてでございます。
議員御提案の実際の刀剣に触れるなどの体験型の展示につきましては、刀剣の刃の部分を加工するなど、来館者の事故防止対策を万全にする必要があります。
県で所蔵する刀剣については、将来にわたり本来の姿で保存していくことが求められることも踏まえ、どのような方法で安全を確保することが可能か、検討が必要と考えております。
他県では、安全性を確保したうえで、実際に刀に触れられるような体験型の展示を行っている博物館もございます。
他県の事例も参考にしながら、県民全体の財産である刀剣の展示について、より刀剣の魅力を感じていただけるよう、体験型も含め幅広く検討してまいります。
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