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掲載日:2024年10月17日

令和3年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(諸井真英議員)

賞味期限を迎える埼玉スタジアムの今後のあり方について

Q   諸井真英 議員(自民)

7月に行われた東京オリンピックにおいて、埼玉スタジアムではサッカー競技が男女合わせて11試合、男子準決勝の日本対スペイン戦、3位決定戦の日本対メキシコ戦など、無観客ではありましたけれども重要な試合が行われました。埼玉スタジアムでは、これまでLED照明の整備やシートの張り替え、洋式トイレやWi-Fiの整備など、東京オリンピック開催に向けて様々な整備を行ってきました。無観客開催となったのは大変残念なことだったと思っております。
先日、あるサッカー専門誌上でジャーナリストの大住良之氏の記事が目に止まりました。そこには埼玉スタジアム建設時のエピソードが幾つか取り上げられており、当時の埼玉県の担当者の感覚が、スタジアム使用者の感覚、スタジアムを運営する側の感覚から見て、いかにずれているかについてかが書かれており、埼玉県に対する筆者の憤りが読み取れました。完成からちょうど20年を迎えた埼玉スタジアムですが、管理運営する埼玉県の姿勢は基本的に20年間変わっていないと、私はこの記事を読んで再認識いたしました。
用地買収を含めた公園整備総額766億円という巨額の県費を投入して完成したサッカー専用スタジアムである埼玉スタジアムは、Jリーグを代表する人気チームである浦和レッズのホームスタジアムであり、日本代表戦や高校サッカー選手権などが年数試合行われているものの、収益の柱はレッズのホームゲームであります。それにもかかわらず、県は一貫して埼玉スタジアムは浦和レッズという一企業のためのものではないという態度をとり続けてきました。
私は、今まで何度も県に対してホームチームが使いやすいスタジアムづくりが必要、ホームチームをサポートとするのが県の役目だということで働き掛けてきましたけれども、県の態度は20年前同様、代表戦もあるのでレッズ色は出せないということで、聞く耳を持たないで今まで来ました。これはガンバ大阪のホームの市立吹田スタジアム、あるいはオランダの名門アヤックスのホーム、ヨハン・クライフ・アレナなど、国内外の自治体所有スタジアム、ファンと自治体が一体となってサポートするスタジアムと比べると、この感覚は時代錯誤そのものと言わざるを得ません。
ここで都市整備部長にお伺いしますけれども、大住氏の記事にあるとおり、県はいまだに一企業のためのものではないというふうに考えているのでしょうか。また、埼玉スタジアムの総収入のうち、浦和レッズ戦の収入が占める割合と、仮に浦和レッズが駒場スタジアムなどにホームを移転した場合、埼玉スタジアムでの試合数はどのくらいになるのか、収支はどのくらい赤字になるのか、併せてお伺いいたします。
また、大住氏の記事で強調されていたのは、スタジアムの賞味期限は30年ということであります。2006年のドイツワールドカップの開催意義について当時招致委員長だったベッケンバウアー氏は、「1974年ワールドカップのスタジアムが時代遅れになったため、リニューアルしたいので開催を誘致した」と発言をされています。1974年のワールドカップではトラックを併設した競技場ばかりだったのが、2006年では全てサッカー専用スタジアムに生まれ変わりました。
また、1993年Jリーグ開幕時に完成した県立カシマスタジアムをホームに持つ鹿島アントラーズは、先週の10月1日に2026年をめどに新スタジアムの概要を決定、10年以内に建設をする方針を発表いたしました。賞味期限30年を理解した上で先手を打ち、時代の流れに遅れまいとする姿勢が感じられますが、現状、埼玉県にはその意識があるとは到底思えません。
さて、我が埼玉スタジアムは完成20年を迎えます。時代の変化に対応していくには、これからの10年の改修スケジュール、ホームチームと一体となってビジョンを定め実行していかなければ時代に取り残され、使用頻度が減れば赤字を垂れ流すお荷物となってしまうことも避けられません。
その上で4点、都市整備部長にお伺いします。
1点目、県としてスタジアムの賞味期限30年をどのように捉え、今後10年でどのような改修、リニューアルを考えているのか。また、ホームチームをどのように位置付け、ホームチームの要望にどのように具体的に対応していくのか、お伺いいたします。
2点目、スタジアム内に存在する広大なデッドスペースの活用について今まで法規制を理由に何もしていませんが、スポーツジムや美容サロン、サッカーミュージーアムなどの整備に向けて動き出すべきときだと思いますが、どう対応するのか、お伺いいたします。
3点目、コロナ禍が収束した後のスタジアム利用、特にサッカー以外のイベント利用については、県は推進していく旨の約束をしていますけれども、具体的にどのようなものをどのくらいの頻度で行うことを想定しているのか、お伺いいたします。
4点目、芝張り替えと地温コントロールシステム改修工事が今年のJリーグ閉幕後に予定されていますが、工事終了が当初の説明どおり来年のJリーグ開幕前ではなく、ゴールデンウイーク前までずれ込むような状況だと、今になって急にそういう説明がありました。また、この間、3月下旬開催予定のワールドカップ予選の日本代表戦を埼玉スタジアムで行いたい旨のJFA(日本サッカー協会)の申出にも、県は協力する姿勢を示されなかったというふうに聞いております。
工事が遅れることは浦和レッズのホームゲームがその間できず、コロナ禍で大きなダメージを受けているチームやスタジアムの収入に大きな影響を及ぼします。また、代表戦開催を断るということになれば、日本代表のホームグラウンドとしての埼玉スタジアムの地位を揺るがすことになり、埼玉スタジアム、ひいては埼玉県の信用を損ねることになります。
県は、全力で工期を圧縮して浦和レッズホームゲーム及び日本代表戦を早く円滑に行えるよう対応すべきと考えますが、都市整備部長に御所見をお伺いいたします。

A 村田暁俊 都市整備部長

県は未だに「埼玉スタジアムは一企業のためのものではない」と考えているのかについてでございます。
埼玉スタジアム2002は、Jリーグの試合を始め、オリンピックなどの国際試合から高校サッカー選手権などのアマチュアの試合まで幅広く使用されています。
多様な主体に御利用いただく施設であることは御理解を賜りたいと存じます。
一方で、埼玉スタジアムを本拠地に活躍する浦和レッズは県民のサッカーへの愛着意識を高めており、本県にとってかけがえのない財産だと考えております。
また、現在、浦和レッズは埼玉スタジアムの指定管理者の一員でもあり、県と埼玉スタジアムにとってまさに最高のパートナーであります。
次に、浦和レッズ戦の収入などについてでございます。
令和元年度の場合、埼玉スタジアムの総収入のうち浦和レッズ戦の収入が占める割合は42.5%でございます。
仮に浦和レッズが他のスタジアムにホームを移転した場合、試合の回数は23回の減少となり、4億2,700万円程度の減収が見込まれます。
次に、「スタジアム賞味期限30年」をどのように捉え、どのように対応していくのかについてでございます。
時代の変遷と社会ニーズの多様化に伴い、新たな機能を備えたサッカースタジアムも登場しています。
議員お話の賞味期限については、その期限が来ないよう不断の努力を重ねることが大切であると考えます。
埼玉スタジアムでは、国際試合に対応した機能を充実させるためビューレストランやWi-Fi設備などを整備してまいりました。
今後は電光掲示板の更新やトイレのリニューアルなど、大規模改修を予定しているところでございます。
引き続き、時代のトレンドや最新設備の動向を注視し、スタジアムの魅力向上のため計画的な改修に取り組んでまいります。
次に、ホームチームをどのように位置づけ、要望に対してどのように対応していくのかについてでございます。
Jリーグのホームチームには、経済への波及効果なども含め、地域活性化に貢献する推進力があります。
この推進力を発揮していただくためにも、地元自治体はホームチームの知恵やアイデアを大切に受け止め、一体となってサッカーを通じた地域づくりに取り組むべきだと考えております。
県としましては、浦和レッズと丁寧に協議し、コミュニケーションをつみ重ね、信頼関係を深めてまいります。
次に、スタジアム内のデッドスペースの活用に、どう対応していくのかについてでございます。
デッドスペースを便益施設などに活用できればスタジアムの魅力アップにつながると考えます。
このため、現在、建築基準法など法令上の課題の整理のため調査に着手をしております。
今後、調査結果を踏まえ必要な手続きや費用などを精査してまいります。
次に、コロナ禍収束後のサッカー以外のイベントについてでございます。
地域の賑わいある公園にするためには、サッカーの試合のみならず多様なイベントを開催することが必要であると考えています。
県では、埼玉県公園緑地協会や浦和レッズなど指定管理者を構成員に埼玉スタジアム利活用協議会を立ち上げ、新たな利活用について若手職員を中心に検討を始めました。
令和2年度はコロナ禍の厳しい状況でしたが、「みんなの埼スタクリスマス」を開催し、フットゴルフなどの体験イベントやパブリックビューイングなどを実施しました。
今後、コロナ禍収束後を見据え、浦和レッズが持つ民間企業とのネットワークやサッカーを通じて培ったイベント企画力を十分発揮していただき、年間を通じたイベントを実施したいと存じます。
次に、芝生張替等の改修工事の工期を圧縮し、日本代表戦などに早く対応すべきについてでございます。
令和元年度に委員会を設け芝生の種類を決定した時点では、養生期間が定まっていなかったため、令和3年12月から着工し、令和4年3月から5月までの間の完成を見込んでおりました。
その後、詳細設計を行った結果、芝生養生に適した暖かい時期に合わせて3月まで芝の張替を行い、その後1か月の養生を経て5月のスタジアム再開を見込んだところでございます。
芝生が十分に根付く前に利用を再開してコンディション不良となり、浦和レッズや日本代表などの選手、チーム、Jリーグや日本サッカー協会に迷惑をかけることは避けなければなりません。
現在、工事の契約に向けて手続きを行っておりますが、契約相手が決まり次第、芝生の適切な養生を図りつつ、工期について施工者と協議してまいります。
なお、養生の期間など工期について、議員に適時適切な説明が足らなかったことにつきまして、反省しお詫びを申し上げるところでございます。

再Q   諸井真英 議員(自民)

賞味期限を迎える埼玉スタジアムの今後のあり方についてのうち、芝の張り替え工事、4点目なんですけれども、それの工期圧縮についてお尋ねをしたんですけれども、部長から情報がうまく伝達できていなかったというおわびの言葉もあったんですけれども、やはり当初、都市整備部は試合に迷惑をかけないというようなことを言っておりました。その上で、芝生の選定についても都市整備のほうで何にするか、暖地型にするか、寒地型にするかというような議論もある中で、より時間のかかる寒地型芝がいいんだというようなことで、それを選ぶようにやっていたのが都市整備部ですね。ですから、自分で時間がかかるほうを選んでいながら間に合わないというようなこと、これも非常に矛盾することなのかなというふうに思います。
それから、質問の中でも触れましたけれども、とにかく日本代表戦が大事なんだというようなことを都市整備部としてずっとこれは言ってきたことでありますけれども、片や日本代表の試合をやりたいと。これは日本代表の監督の強い希望で、埼玉スタジアムでやりたいという希望があるようでありますけれども、そのときに都市整備部としてはできないと、県としてはできませんというようなことになりますと、代表戦が大事だと言って今まできたのに、代表戦をやりたいと言ったらできませんと。それもちょっと県の姿勢としてはおかしいのではないかなというふうに思っております。スタジアムは何のためにあるのかと言えば、芝生を栽培するためにスタジアムがあるのではなくて、試合をするために試合で使って何ぼと、そういうものがスタジアムだというふうに認識をしております。
そして、さらに芝の張り替えなんですけれども、これビックロール工法という工法を今回採用してやるということになっておりますけれども、私は芝の専門ではないので、これがどういうものなのかというのはよく分かりませんけれども、しかし、いろんな業者のホームページ等で調べてみますと、このビックロール工法というのは普通の工法よりもコストが高いというようなことだそうです。なぜなのかというと、いろんなホームページを見ましたけれども、必ず書いてあるのは施工の簡便化、省力化、そして工期の大幅短縮ができる工法だというふうにうたっております。
そして、いろんなところからお話を聞きましたけれども、ビックロール工法を使っていて養生が長くかかるというようなことであるならば、このビックロール工法を採用する意味がないというようなことも、いろんな関係者からお話は伺いました。業者によってはホームページに、最短で即日使用可能だと、そういうことはオーバーだと思うんですけれども、うたっている業者もあるというようなことであります。
もちろん都市整備部として、埼玉スタジアムの完成時のこけら落としの日本対イタリア戦で芝がめくれ上がるというような状況がありまして、それが世界中に配信をされて世界の笑い者になったと、その二の舞は避けたいというようなお話もあったので、そのことも分かるんですけれども、20年前にはビックロール工法というのはなくて、埼玉スタジアムは直まき工法、要するに種を直にまいて、それを養生するとそういうやり方でやっておりましたので、20年前と状況が違うと思います。
このような状況を勘案しますと、やる気があれば間に合うんじゃないのかなというふうに思いますけれども、もう一度、都市整備部長の御答弁を求めます。

再A 村田暁俊 都市整備部長

日本代表戦を実施するこの重要性につきましては、諸井議員と同じく十分認識をしているところでございます。
それと同時に、10年後、20年後も、日本選手だけでなく世界のサッカー選手から選ばれ続けるスタジアムとするための中長期的な視点が不可欠と存じます。
埼玉スタジアムの賞味期限を30年で終わらせないための方策の一つとして、工事施工者と慎重に協議を重ね、最良のグラウンドコンディションづくりに取り組んでまいりたいと存じます。
併せまして、今後の国際試合、国内カップ戦の決勝などの誘致に向けて、日本サッカー協会やJリーグに対し、指定管理者とともにこれまで以上に働きかけてまいりたいと存じます。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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