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掲載日:2020年3月31日
Q 木下博信 議員(自民)
市町村との役割分担の基本的考え方について伺います。
県は、市でできることも行う組織なのか、単独市町村では行えないことをやる組織なのか、どちらでしょうか。私は、単独の市町村だけで実施することが困難だけれども、県民のために必要なことを行うのが、県の役割だと考えます。最低限行わなければならないのは、教育、警察、道路、河川、医療、福祉の一部、これらのものは単独の市町村で行うのが困難か、非効率的なものばかりです。これらを外すことはできません。そこに市町村の規模や地域特性によって加えるもの、広範囲で環境を整えるものを加えていって、県の仕事ができ上がると考えます。
しかし、現状の県の仕事を見ていると、それだけじゃなく、市町村に任せておいてよいことまで行っていると感じます。
一方で、本来積極的に取り組む分野で積極性が低かったりします。今ある事業の可否で考えると、市町村と重複していても、それは全部一定の意味はあることですので、整理は進んでいきません。整理が進まないということは、新たな事業、本来やるべき事業を評価するための財源が生まれてこないことになります。せっかくフレッシュな視点で就任されたわけですから、現状の事業が当たり前の感覚がしみ込んでしまう前に、県でなければできない仕事だけを抽出してみる。そして、そこにどれだけ県が取り組まなくても大丈夫なもの、できればやっておきたいものが加わっているのかを確認してみると、大きな発見があるはずです。いかがでしょうか。
健康マイレージをやるよりも、災害時の病院間情報共有の通信インフラを整備するほうが、県の仕事のような気がします。がん検診受診率の向上は市町村に任せて、適用する抗がん剤を効果的に判別するための新たな手法を県立がんセンターで試行してみるということのほうが、県にしかできない役割だと考えます。既存事業の精査から入るのではなく、ゼロからやるべき仕事や役割を積み上げていくという試行方式を取り入れていくことで、見えなかったものが見えてくるはずです。「すぐ実践しろ」とは言いませんが、そういう事業整理の考え方は、大野県政を確立していく中での選択肢として考えてみる価値があると思われるか、ないと思われるか、お考えをお聞かせください。
そして、その視点を持つ必要性が今定例会の答弁の中でも明確に出ていた部分があるので、県の仕事と市町村の仕事の整理されていない例の一つとして加えて質問させていただきます。
それは、スーパー・シティプロジェクトです。この公約について、あれこれ問われ続け、「私が先頭になって責任を持って実現します」と、ますます意志を強くされているように見えます。でも、そのことが余計に疑問と質問を呼んでいることに、知事はお気づきでしょうか。
当初の質問は、シンプルに「スーパー・シティって何ですか」と説明してもらうための質問でした。そして、何度か聞いて分かったのは、コンパクトシティに自給できるエネルギーを加え、仕事と暮らしの永続性を持ったイメージであること、そしてその進め方については、知事が先頭に立って責任を持ってという一方で、取り組む市町村を支援するというねじれを感じます。ねじれが強まった状態です。お気づきいただけましたでしょうか。
県が土地を購入して、県の事業として地域開発、新たなまちを創出するなら、知事がトップでのリーダーシップでの進行はあり得ます。しかし、答弁の後半は「市町村を支援」「民間資本のマッチング」と答えられているので、市町村の事業を支援するということで、事業主体は市町村となっています。この状態は、市町村から求められていない中で、県が率先して「こんな持ち出し、誰かやってくれませんか」という状態です。県と市町村の仕事が整理されていない混線状態を新たに生み出そうとしています。
あと数マイルの鉄道であれば、これは市町村だけではできない、県が関わるべき事業ですから、これまでの質問と答弁で徐々に双方の理解が深まっている感じがあります。が、スーパー・シティで全く平行線感があるのは、ここに原因があると思います。
国会議員として外から見たら、地方の活性化として取り組む未来のまちづくりと考えられたのでしょう。しかし、現場では市町村が主体となって進めるまちづくりなので、県が先頭になって行くぞと思って公約して、先頭に立って実現しようというのであれば、県が広大な用地を取得してやるしかなくなります。そう思っていたところ、先日の平松議員への答弁で、間違いなく「市町村が主体で、それを県が支援していく政策」だと明確になりました。
そこで、お願いです。外から見て必要だと思って公約したが、中から見たら違う手法のほうが良い可能性があるのではないかということ、またそれは県が率先してやるべき仕事なのかということで、一度立ち止まって再確認していただいたほうが良いのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
A 大野元裕 知事
ゼロからやるべき仕事や役割を市町村との役割分担の観点から考えてみる価値があると思うか否かについてでございます。
先ほども申し上げましたとおり、県は広域自治体として単独市町村では実施することが困難な事務を担い、市町村は基礎的自治体として住民に身近な事務を主体的に行うことが基本的な役割であると認識しています。
議員御指摘のとおり、県は福祉や医療など法令に基づき実施すべき事務があり、まずはこれらの事務にしっかりと取り組むことが重要であると考えています。
こうした法令に基づく事務とは別に、地域振興や観光振興など、県と市町村が異なる立場からそれぞれに取り組んでいる施策もございます。
例えば観光振興では、市町村が区域内の地域資源を生かして施策に取り組む一方、県では複数の市町村にわたる観光資源を組み合わせた施策を展開し、県と市町村とが連携して取り組むことで相乗効果を生み出しております。
このように、これまでも県と市町村の役割分担を常に意識して施策を展開してきたものと認識をしております。
私は新たに県行政を担う立場になったことから、真に県がやるべき必要性があるのか、県が関わることでより大きな効果が見込まれるのかなどをしっかりと見極めることは大変重要なことと考えています。
議員お話しの視点も踏まえ、私としても先入観に捉われることなく自分の目で常に点検をし、施策の効果を最大限発揮できるよう努めてまいりたいと思います。
次に、埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、市町村が主体で県が支援していく政策であると明確になったが、中から見たら違う手法の方が良い可能性があるのではないか、県が率先してやるべき仕事なのか、一度立ち止まって再確認すべきについてでございます。
超少子高齢社会における高齢者の孤立や空き家問題などは、県と市町村が共に取り組まなければならない課題であります。
これらの様々な課題に対応するため、まちをコンパクト化し、多様な世代が高齢者や子供たちへの見守りを行うなど共助が育まれる街をつくっていく、埼玉版スーパー・シティープロジェクトは正にともに取り組む課題に対する答えであります。
しかしながら、コンパクトシティは全国各地域で様々な取組がなされているものの、未だに課題が多く、その実現には多くの時間を要しているのが現状であります。
基礎的自治体である市町村の中には将来を先取りし、意欲的に取り組んでいるところもあれば、意欲がありながらも人材面、技術面などから取り組めていないところもあります。
このような現状もあり、埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、広域自治体である県がコンパクト化に取り組む意欲のある市町村に対し、その要望に応じ人材面、技術面などで不足する点を補える取組と考えます。
しかしながらその一方で、例えば、工業団地の中で生まれたエネルギーを地域全体で活用し、市町村と協働して強靭性の高いまちをつくるなど、県が事業の実施に関わるケースも考えられます。
また、県はこれまで、県営住宅の建て替えに併せて、高齢者や子育て世帯から要望のある特別養護老人ホームや保育園など施設の誘致に取り組んでまいりました。
埼玉版スーパー・シティプロジェクトでは、このような取組で得たノウハウをまちづくりに生かしていくことも考えられます。
県と市町村の役割分担については、必ずしも頑なにいずれか一方の枠に押し込むだけではなく県議会の御理解をいただききながら、県と市町村が互いにスクラムを組み、民間の活力も生かしつつ、このプロジェクトを推進してまいります。
再Q 木下博信 議員(自民)
「会議だけでは十分でない」と御理解いただいていてありがとうございます。そして、「ふれあい訪問等で市町村長とも話しています」ということだったんですが、そこからもう一歩踏み込む必要があるのではないかということで提案させていただきました。
というのは、ふれあい訪問でも知事から行くと分からないかもしれませんが、振興センター等の現場からすると、ここでこのタイミングで知事が来て、こうなって、こう並んで、こういう会話しましょうみたいに、実はかなりセレモニー的というか、形がしっかりでき上がっていまして、その中で本音で会話ができるかというと、会話できにくいんですね。しかも、実は本当にみんな大人なので、知事のほうがもう新任ということで、「知事という立場だけれども対等である」というのであれば、もう着任してずっと4年、8年、十何年、首長としての責任を持って判断して仕事している市町村長に対して、「いや、私は新任で来たばかりだから、何か分からないこと、現場の問題点があったら教えてください」という、「何でも聞きます」というウェルカムの視点で行くのか、それとも「私は知事だから」ということで言うのかによって差がありますので、是非その辺の認識をお聞かせください。そういう気持ちでやることがあるかどうか。
再A 大野元裕 知事
各市町村長に対して、もう一歩踏み込んでいく必要があるのではないかという御指摘をいただきました。
その御指摘をしっかりと受け止めさせていただいた上で、私といたしてもそれぞれの市町村の長に対し、新任の知事でありますので、教えていただきたい、このような謙虚な姿勢で臨みたいと考えております。
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