第6回技術検討委員会の概要
開催日時
平成25年9月9日(月曜日)15時00分~17時00分
開催場所
埼玉県朝霞県土整備事務所
出席者
【委員】(敬称省略)
元上智大学教授:中杉修身(専門:廃棄物工学・土壌汚染)
東京農工大学教授:細見正明(専門:環境化学・土壌汚染)
日本工業大学教授:小野雄策(専門:廃棄物処理処分工学)
国立環境研究所主任研究員:遠藤和人(専門:環境地盤、廃棄物工学)
欠席
国立環境研究所研究室長:山田正人(専門:廃棄物管理)
【オブザーバー】
埼玉県環境部水環境課
埼玉県環境部産業廃棄物指導課
埼玉県西部環境管理事務所
埼玉県環境科学国際センター
【傍聴者】5名
(事務局)
埼玉県県土整備部河川砂防課
埼玉県朝霞県土整備事務所
議事次第
(1)開会
(2)議事
- 1)平成24年度技術公募結果について(報告事項)
- 2)PCB廃棄物処理の現状について(報告事項)
- 3)外部処理施設における試験処理について(審議事項)
- 4)平成24年度事業の結果について(報告事項)
- 5)濃度低下対策について(審議事項)
- 6)その他
開会
議事の概要
- (1)挨拶
朝霞県土整備事務所長
中杉座長
- (2)委員会についての説明
事務局より、委員会の趣旨、委員会の公開非公開等について説明があり、すべて公開で行いたい旨を説明し、委員会の了解を得た。
議事
1)平成24年度技術公募結果について(報告事項)
平成24年度技術公募結果について、資料及びスライドにて説明を行なった。
≪事務局の説明内容≫
応募のあった3者3技術のうち、2者2技術が無害化処理可能な技術として選定され、平成25年3月29日付けで3者に技術提案審査結果を通知した。
2)PCB廃棄物処理の現状について(報告事項)
PCB廃棄物処理の現状について、資料及びスライドにて説明を行なった。
≪事務局の説明内容≫
PCB廃棄物処理の現状について
- 平成24年12月、PCB特措法施行令の一部改正があった。これにより平成28年7月までとされていたPCB廃棄物の処理期間が平成39年3月までに延長された。
- 平成24年8月、無害化処理に係る大臣認定の対象廃棄物に、廃電気機器由来以外のPCB廃棄物(以下「低濃度PCB廃棄物」という。)が加えられた。
- これまで新河岸川産業廃棄物を処理可能な施設が国内にはなかったが、平成25年2月以降、複数の処理施設に対して低濃度PCB廃棄物の大臣認定が行われ、原位置処理以外に外部処理の選択肢が出てきた。
県の処理方針について
- PCB廃棄物処理の情勢変化を踏まえて処理方針について説明した。
- 今年度は外部の大臣認定処理施設で新河岸川産業廃棄物が安全、確実に処理可能か、試験処理を行うことにする。
3)外部処理施設における試験処理について(審議事項)
外部処理施設における試験処理について、資料及びスライドにて説明を行なった。
≪事務局の説明内容≫
試験処理の目的、対象業者について
- 本格処理を見据えて、他者の廃棄物と同時に処理したとき、PCB、VOC及びダイオキシン類が確実に処理されることを確認しておく必要がある。
- 対象業者は低濃度PCB廃棄物及び特別管理産業廃棄物の基準を超えるVOC、ダイオキシン類を処理可能な者とする。
試料の選定について
- 試験試料は、分析済である130缶の中から各区分1缶ずつ基本として、計10試料を選定した。
- 具体的な選定にあたっては分析結果でトリクロロエチレン等の濃度が高いものを優先的に選定した。
- 粗大可燃廃棄物及び粗大不燃廃棄物については、廃棄物の大きさも加味して選定を行なった。
処理フロー等について
- 試験処理廃棄物は低濃度PCB収集運搬ガイドラインに則り、委託した収集運搬業者が試験処理事業者の事業地に運び込む。
- 処理事業者の展開検査場において廃棄物の性状を確認した後、処理施設である焼却施設に投入する。
- 廃棄物の展開検査は適正処理、処理施設の損傷防止の観点から非常に重要である。
- 展開検査場における環境保全対策としては、PCB等の地下浸透、漏洩飛散の防止が講じられた場所とする。
- 焼却時の条件は、1日6時間以上とし、新河岸川産業廃棄物を分割して投入、処理する。
- 処理量としては、今後の本格処理を見据えて試験処理事業者と協議のうえ決定する。
試験処理時の確認項目について
- 検査項目は、環境省による実証試験時の確認項目に新河岸川産業廃棄物特徴であるVOC、臭気を加えた形である。
- 評価基準は、処理後物(燃え殼、処理後のドラム缶)と副生成物(排ガス、集じんされたばいじん、排水)が敷地外、システムの系外に排出されるときの法令等の規定されている基準を採用した。
- 法令による基準がないものについては、技術公募における基準や排出形態を踏まえた類似施設等の基準を準用することとした。
≪委員からの主な意見≫
(処理フロー等について)
- 新河岸川産業廃棄物のみの単独処理は非常に困難と想定される。同時に処理した廃棄物を事業者から報告してもらうことでよいと考える。
- 県が展開検査、処理条件を細かく指定するのは不適切と考える。事業者側で処理条件を設定させて県で確認する方式とするべきである。
(試験処理時の確認項目について)
- VOCとPCBいずれも無害化できるか、作業者を含め外の環境に対して問題なく処理できるかを確認する必要がある。
- VOCはすべての物質に基準値があるという訳ではない。基本的に廃棄物処理法、水質汚濁防止法等の規制物質の項目を分析することで致し方ないと考える。
- 多くのかたに適正処理されたと理解してもらうためには、試料採取や分析を行う者は試験処理事業者やそのグループ会社では問題が残る。
- 1缶ごとの保管廃棄物と個々に分析結果を突き合わせることは難しい。所定時間に試験処理廃棄物を投入し、分析をして基準が達成できていれば、適正に処理ができたと判断する。
- 廃棄物の投入の仕方によっては、排ガスのサンプリングをし損なう可能性があるので注意が必要である。
4)平成24年度事業の結果について(報告事項)
平成24年度事業の結果について、資料及びスライドにて説明を行なった。
平成24年度のモニタリング調査結果について
- 地下水は、平成22年度と同じく1,4-ジオキサンと塩化ビニルモノマーについて環境基準を超過した。
- 超過した3箇所の観測井戸より下流のJ-s観測井戸では超過しておらず、現在のところ、当該現場下流への汚染は生じていないと考えている。
平成24年度脱有機溶剤試験工事結果について
- 全体をいくつかのエリアに分けて検討したところ、2つのエリアがまだ目標値を上回っていた。
- 脱有機溶剤試験工事時のガス吸引・揚水を確認したところ、特に下流側の吸引井について閉塞が生じていることが分かった。
5)濃度低下対策について(審議事項)
濃度低下対策について、資料及びスライドにて説明を行なった。
- 下流側の追加対策として、中口径(φ280)のボーリングを考えている。
- 効果としては、現在の吸引孔より表面積を広く確保し吸引効果を上げること、及び高濃度部分をピンポイントで取り除くことの2点である。
- φ280のボーリングの場合、ボーリング費用は2倍であるが、φ86のボーリングより表面積約3.3倍で費用対効果が高くなる。
- 過去の調査でトルエンとベンゼンが高濃度であった区画を対象に実施する。
≪委員からの主な意見≫
- ボーリングで掘削して得られた廃棄物を用いて、前処理の試験、検討も価値があると考える。
- ガス吸引とボーリングのコスト比較は設置費のみならず、ランニングコストも含めた検討が必要となる。
その他
事務局から、次回(第7回)の技術検討委員会の開催時期については未定であると説明があった。