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掲載日:2025年6月4日
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梅毒の報告数は、2010年以降ゆるやかに増加しており、2021年及び2022年に大きく増加しました。2022年以降の報告数は高い水準で推移しています。
2024年の報告数を2023年と比較すると、男性では主に30歳代後半~40歳代前半、50歳代後半、女性では20歳代後半で増加しました。
梅毒は適切な治療を受けなければ、心臓や血管、脳などの複数臓器に病変が生じるなどの深刻な健康上の影響が起こり、場合によっては死に至ります(晩期顕症梅毒)。
埼玉県では2014年~2024年に晩期顕症梅毒は男性38人、女性12人の報告がありました。男性では40歳代が最も多くなっています。
晩期顕症梅毒の性別・年齢別報告数(2014年~2024年)
性別 | 30歳未満 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳以上 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 0人 | 7人 | 15人 | 6人 | 4人 | 6人 | 38人 |
女性 | 0人 | 0人 | 4人 | 1人 | 2人 | 5人 | 12人 |
妊娠している人が梅毒に感染すると胎児にも感染し、死産、早産、新生児死亡、先天異常が起こることがあります(先天梅毒)。
2024年の埼玉県における先天梅毒の報告は2例であり、2014年~2024年で計16例の報告となりました(出生時に生存している症例に限る)。
また、2024年における妊婦の梅毒の報告は16例で、前年の15例を上回りました。2019年~2024年で妊婦の梅毒は計61例の報告となり、2024年は過去6年の中で最多となりました。
梅毒には以下のような症状があります。疑わしい症状がある場合は検査を受けましょう。また、感染のリスクがある性行為をした場合も検査を受けましょう。
感染後、3週間~3か月程度の状態。感染部位(主に口の中、性器、肛門)にしこりや潰瘍(かいよう)が生じます。また、股の付け根のリンパ節が腫れることもあります。痛みを伴わないことが多く、症状は自然に軽くなりますが、ひそかに病気が進行します。また、女性では気付きにくい時期です。
感染後、3か月程度経過すると、バラ疹(バラしん)とよばれる発疹が、手足の裏や体幹、顔面に発生することがあります。Ⅰ期と同じく、治療しなくても消えますが、治ったわけではありません。
感染後、数年程度経過すると、ゴムのような腫瘤(ゴム腫)が皮膚や筋肉、骨などに出現することがあります。また、大動脈瘤などが生じる心血管梅毒や、精神症状や認知機能の低下などを伴う進行麻痺、歩行障がいなどを伴う脊髄癆が見られることがあります。
現在では、このような症例をみることは稀ですが、Ⅰ期やⅡ期の後、症状が消えたからと治療をせずにいると、晩期顕症梅毒や死に至ることもあります。
眼や耳の症状や神経症状は感染後、どの時期でも起こりえます。
妊娠している人が梅毒にかかると、胎盤をとおして胎児にも感染し、死産、早産、新生児死亡、先天異常が起こる場合があります。また、早期先天梅毒では、生後数か月以内に皮膚症状や骨軟骨炎、鼻閉などがみられます。晩期先天梅毒では、生後2年以降にHutchinson 3兆候(角膜実質炎、内耳性難聴、Hutchinson歯)などがみられます。
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