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ページ番号:280063
掲載日:2026年3月18日
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令和6年度に当センターで実施した研究(16テーマ)等に関する成果を公表します。
各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。
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産業支援研究は、産業界が求めるニーズを把握し、社会情勢を踏まえ、センター内で保有する技術シーズや新技術創出調査の成果を活用し、県内企業の製品化・実用化を支援することを目的として行っています。
| No | テーマ名・抄録 | キーワード | 技術区分 | 期間 | PDF リンク |
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セルロース担持メラミンセパレータの開発 電動車両の課題の1つに大電流での急速な充放電への対応がある。セルロース担持発泡メラミン樹脂からなるセパレータによりこの対応を図った。このセパレータはセルロースがメラミン繊維間を平面上に覆うように形成され、高い電解液保持性能を有することが推測された。このセパレータを用いたリチウムイオン電池の10C充放電における容量維持率は82%/200サイクルであった。このことから、セルロース担持発泡メラミンセパレータにより大電流での急速な充放電が可能となることが明らかとなった。 |
発泡メラミン樹脂、セルロース、セパレータ、リチウムイオン電池 |
環境・エネルギー関連技術分野 | R5~R6 | 研究報告(PDF:389KB) |
| 2 |
人工膝関節置換術支援システムの開発(第2報) 本研究では、「理想的な角度」で人工膝関節を埋入することを可能にする、「安価・簡便な人工膝関節置換術支援システム」の開発を目的とした。このうち、昨年度は、「大腿骨側骨切り支援システム」を開発したが、本研究では、術中に動的に靭帯に張力を加えられるバランサーと、3軸慣性センサーをアセンブリすることで、患者の靭帯の左右張力差も考慮して適切に脛骨側を骨切りできる「脛骨側骨切り支援システム」を開発した。このシステムの精度評価を実施したところ、誤差は概ね1度以下であり、十分な精度を有していることが分かった。 |
人工膝関節全置換術、ナビゲーション、慣性センサー、バランサー |
ヘルスケア関連技術分野 | R5~R6 | 研究報告(PDF:618KB) |
| 3 |
IoTデバイス電源とした太陽電池の発電量予測モデルの開発(2) 太陽電池及びバッテリーを搭載した屋外用IoTデバイスにおいて、バッテリー容量を抑えながらも、電源喪失を起こすことなく運用が可能な、AIを用いた太陽電池の発電量予測モデルの開発を令和5年度に引き続き試みた。学習データは、前日の天気予報、5分間隔で測定・保存した日時、太陽電池(南向き、仰角30度)の発電電力、日射量とした。太陽電池の1日の発電量の平均実測値と予測値の差は、「晴れ」が-7%、「晴れのち曇り/曇りのち晴れ」が-4%、「曇り」が-9%、「雨」が+4%であった。さらに太陽電池の設置方向を南西向きに変更した場合においての発電量の補正を試みた。 |
太陽電池、発電量予測、AI、IoTデバイス |
環境・エネルギー関連技術分野 | R5~R6 | 研究報告(PDF:656KB) |
| 4 |
酒造原料米の消化性Brixの機械学習による予測に関する研究 酒造原料米の溶解性は日本酒の品質に影響を及ぼす。その指標となる消化性Brixを迅速に予測するモデルの構築を目指した。精米歩合35~80%かつ水分7.2~14.2%と対象範囲を拡大し、説明変数として吸水率及びメッシュ農業気象データを用いた機械学習による回帰分析を行い、最適な解析手法を検討した。さらに予測精度の高い解析手法における説明変数の重要度を明らかにした。本法を活用することで、仕込みに使用する酒造原料米の溶解性が迅速に把握でき、最適な原料処理が可能となると期待される。 |
米、日本酒、溶解性、消化性、機械学習 | 農林水産・食品関連技術分野 | R5~R6 | 研究報告(PDF:477KB) |
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そば末粉が有する機能性成分の有効利用に関する研究(第2報) そばの製粉時に生成する末粉の有効活用のため、そばの持つ機能性成分の一つであるレジスタントプロテインに注目し、その胆汁酸吸着能を評価した。3種類の胆汁酸に対する吸着能を確認したところ、ケノデオキシコール酸及びデオキシコール酸への高い吸着能が認められた。そば末粉はこれまでに同様の手法で測定された食品素材と比較して高い吸着能を示しており、体内コレステロール低減を目的とした機能性素材としても有効であると考えられた。 |
そば末粉、レジスタントプロテイン、コレステロール、機能性食品 | 農林水産・食品関連技術分野 | R5~R6 | 研究報告(PDF:401KB) |
| 6 |
高灰分ストリーム粉の応用による麺製品の高付加価値化の検討(第2報) 麺製品の風味向上を目的とした高灰分ストリーム粉(高灰分粉)の利用技術確立のため、高灰分粉及び全粒粉置換によるゆで麺の官能特性の比較を官能評価により行い、さらに揮発性成分生成への効果をガスクロマトグラフ質量分析装置により確認した。官能評価において、高灰分粉と全粒粉では異なる官能評価特性を示し、高灰分粉では「くすみ」「ざらつき」「ふすま臭」を抑えて風味強化が可能であることが示された。揮発性成分特性でも高灰分粉と全粒粉は異なる特性を示した。このことから、高灰分粉及び全粒粉を使い分けることで地粉風味を増強した様々な麺製品へのニーズに対応が可能となることが示唆された。 |
国内産小麦、麺、官能評価、香り成分、高灰分ストリーム粉 | 農林水産・食品関連技術分野 | R5~R6 | 研究報告(PDF:765KB) |
| 7 |
フレーム構造の最適設計に関する研究(第1報) 本研究では、実製品への適用を見据えた最適設計手法を構築するために、手動車椅子のフレーム構造を対象に断面寸法の最適化を行った。3Dスキャナにより実機の形状を計測し、1次元ビーム要素を用いた有限要素解析モデルを構築した。JIS T 9201:2016(手動車椅子)を参考にした解析条件のもと、OptiStructを用いて質量最小化を目的とした寸法最適化を実施した。さらに、生産性への配慮として、接合位置を考慮した現実的なフレーム構造の最適設計の適用手順を体系化した。 |
フレーム構造、寸法最適化、有限要素法 | 先端ものづくり関連技術分野 | R6~R7 | 研究報告(PDF:245KB) |
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少数色覚者のための色覚補正ツールの開発と検証 ― 個々人の錐体分光感度分布の推定と推定誤差の評価 ― |
色覚多様性、少数色覚、画像変換、配色、高色域ディスプレイ | ヘルスケア関連技術分野 | R6~R7 | 研究報告(PDF:614KB) |
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芸術作品では色の知覚が作品の印象に大きく影響するため、少数色覚者の作品が標準色覚者に十分に意図どおり伝わらない可能性がある。また、その逆の状況も生じ得る。本研究では、任意の2者間で錐体刺激値を一致させる画像変換手法に必要となる、個人ごとの錐体分光感度パラメータを高精度に推定する測定法を検討した。数値シミュレーションの結果、提案手法は従来手法と比較して測定精度が向上することを確認した。 |
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埼玉県乳酸菌ライブラリーの構築 |
乳酸菌、牛乳凝固、豆乳凝固、耐塩性 | 農林水産・食品関連技術分野 | R6~R7 | 研究報告(PDF:290KB) |
| 北部研究所では過去に乳酸菌に関する研究が多数実施され、様々な食品・環境から分離された約200株の乳酸菌が保存されている。本研究では埼玉県乳酸菌ライブラリー構築を目的として、基盤情報となる乳酸菌の特徴や食品への適性を調査した。未同定菌株の同定試験及び食品への適性試験を実施した結果、120株の菌種同定に成功し、77株の優良乳酸菌株候補を選抜した。食品適性試験として実施した項目は牛乳凝固性、豆乳凝固性、耐塩性であり、各特徴を有する菌株はそれぞれヨーグルトやチーズ等の乳製品や、プラントベース発酵食品、醤油・味噌・漬物等の発酵食品への利用が期待される。 |
県内企業の中長期的な事業の継続性と競争力の確保のため、企業のサーキュラーエコノミーへの取組を支援する県の事業の一環で、センターが保有するプラスチック関連技術を活用し、県内企業によるバイオプラスチックの利用拡大を図ることを目的とした研究を行っています。
| No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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| 1 |
バイオプラスチック実用化研究(第1報) 日本の農業では人手不足解消に向けた作業効率向上と、ごみ排出抑制や脱炭素など環境負荷低減が求められており、生分解性資材の需要が増加している。土壌や海洋中で水と二酸化炭素に分解されるプラスチック(PHA:P3HB-co-3HHx)を農業資材に活用することができれば、使用後に土壌へ還元され、その廃棄処分費用や作業負荷も低減させることができるため、サーキュラーエコノミーへとつながる製品となる。本研究では農業資材として必要なPHAの耐久性と分解性を調査した結果、夏季の農地で2ヵ月まで形状を維持する耐久性を有し、その後崩壊することが分かった。 |
PHA、分解・耐久性、農業資材、フィールドテスト、サーキュラーエコノミー |
R6~ | 研究報告(PDF:655KB) |
独創的技術形成研究とは、若手研究者等の独創性を活かした新たな技術シーズの創出・芽出とともに、 研究遂行能力の育成・強化を目的とした調査研究です。
| No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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| 1 |
競技用車椅子へのマルチボディダイナミクス解析の適用に関する基礎的検討 競技用車椅子は、選手のパフォーマンスを向上させるため高い運動性能が求められる。車椅子バスケットボールでは、旋回動作の機動性が競技パフォーマンスに直結し、フレーム剛性等の構造特性がその性能に影響を与える。本研究では、マルチボディダイナミクス(MBD)解析を用いて、旋回中のフレームひずみを算出し、実験結果と比較することで解析手法の妥当性を検討した。結果として、解析により得られたひずみ値は実験値よりも小さく、解析の精度に課題があることが分かった。 |
マルチボディダイナミクス解析、競技用車椅子、旋回性能 | R5~R6 | 研究報告(PDF:385KB) |
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ビール醸造に適した酵母の探索 秩父地域からマルトース発酵性のある酵母の分離を試み、得られた酵母のビール醸造適性を評価した。その結果、リンドウとミズキの二つの花から酵母を分離することができた。これらの酵母は26S rRNA遺伝子のD1/D2領域の塩基配列解析から、Lachancea thermotoleransとLachancea meyersiiと同定された。麦汁発酵試験を行ったところ、いずれの酵母も市販ビール酵母と比較して、炭酸ガスの減少は緩やかに推移したものの最終アルコール濃度は同程度となった。また、製成酒の糖や有機酸の組成は市販ビールのものと異なっていた。今後、これらの酵母の特性を活かした新規ビール開発が期待される。 |
酵母、花、ビール、有機酸、地域資源 | R5~R6 | 研究報告(PDF:507KB) |
| 3 |
酸味に特徴のある新規埼玉酵母による清酒製造試験 清酒において多様化する消費者ニーズに対応するため、多様な県オリジナル清酒酵母を開発し、県内企業に提供することは重要な課題である。本研究では、酸味に特徴のあるリンゴ酸高生産性の酵母の開発を目指した。既存埼玉酵母からシクロヘキシミド耐性株を得て、リンゴ酸を親株の2倍程度生成する株を選抜し、これを用いた小仕込み試験を行った。その結果、爽やかな酸味を持つ製成酒が得られた。 |
清酒、酵母、酸味、リンゴ酸 |
R6 | 研究報告(PDF:451KB) |
技術の進展に対応し、センターにおける依頼試験、解析評価技術等の技術支援高度化を図る調査研究であり、 県内企業の問題解決に役立つ評価解析技術の開発・蓄積を目指しています。
| No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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| 1 |
金属3Dプリンタにより造形したSUS630(17-4PHステンレス鋼)の力学的特性評価 金属3DプリンタによるSUS 630造形部品の実用化支援のため、当センター所有の材料押出(Material Extrusion: MEX)方式の金属3Dプリンタで引張試験片を造形し、この方式による機械的強度に与える影響の検証を行った。さらに、粉末床溶融結合(Powder Bed Fusion: PBF)方式の3Dプリンタによる造形品及び圧延材との機械的強度の比較を行った。その結果、3Dプリンタによる造形品は、MEX方式ではPBF方式及び圧延材と比較して引張強さは同等の値を得られたが、気孔の影響により伸び・耐力は下回る結果となった。 |
金属3Dプリンタ、SUS 630、造形方式、材料押出 | R5~R6 | 研究報告(PDF:640KB) |
令和4~6年度に、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構の「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」を利用して実施した研究です。
| No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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100 ℃を超える高温下での水蒸気透過度測定 |
水蒸気透過度、透湿度、カップ法、燃料電池 | R4~R6 | 研究報告(PDF:799KB) |
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カップ法による110~138 ℃での水蒸気透過度測定を試みた。カップをHASTチャンバー内に入れて、カップに固定した試料フィルムへ水蒸気を透過させ、2秤量間のカップ質量増加量から水蒸気透過度を求めた。測定中の試料損傷を避けるために調圧機構付きカップを用いた。吸湿剤は無水塩化カルシウムの代わりに担体入り十酸化四リンを用い、高温下での吸湿力を維持した。 |
令和5~6年度に、公益財団法人エリザベス・アーノルド富士財団の学術研究助成事業を利用して実施した研究です。
| No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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米麹を使用したグルテンフリー米粉パンの製パン機構の解明 |
米粉パン、米麹、乳酸菌、米タンパク | R5~R6 | 研究報告(PDF:428KB) |
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米麹を使用した米粉パンの生地形成プロセスを解明するため、米粉パン製造の最初の工程である米粉生地の米麹処理中の微生物解析を行うとともに、生地中の遊離アミノ酸含量、有機酸含量及び米タンパク分解物の解析を行った。米粉生地の分解処理中の乳酸菌の増加による生地pHの低下が、米粉パンの膨らみに必要となる粘性付与タンパク質の生成を促進していると考えられた。米麹及び米粉中に存在する乳酸菌がグルテンフリー米粉パンの形成に重要な役割を担っていることが強く示唆された。 |
令和6年度研究を1冊にまとめて収録した、「令和6年度研究報告(PDF:7,955KB)」です。