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掲載日:2024年4月3日

令和6年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(小川直志議員)

SDGsの推進と脱炭素社会の構築に向けた有価物の有効活用について

Q 小川直志 議員(自民)

食品加工工場から商品を製造することなどに伴い、野菜くずなどが廃棄されます。このような野菜くずは、商品を製造する事業活動に伴い排出された産業廃棄物として、これまで処分されてきました。
しかし、最近ではこのような野菜くずを有価物として食品加工工場から受け入れ、鶏ふんや牛ふんなどと混合して分解・発酵させることで有機肥料の一つである堆肥を生成し、有効活用する農家が散見されています。農家のこうした動きは、資源を有効活用し、持続可能な社会の構築を目指すSDGsの考え方に合致するとともに、産業廃棄物の処分に必要なエネルギーを削減するため、脱炭素社会の構築にもつながります。さらに、豊かな有機肥料として農業経営にもメリットがあると考えます。
SDGsの推進と脱炭素社会の構築は、我が国はもちろん世界の潮流であり、食品廃棄物などの削減に向けて国連や各国の政府は具体的な数値目標を掲げ、効果的な方法を探っています。こうした流れを受け、日本でも自治体や企業での積極的な取組が全国規模で広がりつつありますが、この潮流に取り残されないためにも、野菜くずなどを有効活用とする農家の前向きな姿勢を大切にし、SDGsの推進と脱炭素社会の構築を更に促進する方策がないかと思うところです。
そこで、知事にお伺いいたします。こうした前向きな姿勢の農家の方々と私も数多く接しております。野菜くずなどの有効活用をより一層促進していく上で、廃棄物処理法が今の潮流に追いついていないかと感じますが、知事の御所見をお伺いいたします。
一例ですが、食品加工工場から受け入れた野菜くずが有価物ではなく産業廃棄物とされた場合は、堆肥を生成する際に廃棄物処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法において許可が必要となります。その際、許可のハードルが高いと感じた農家は、様々なメリットがあるにもかかわらず、野菜くずの有効活用をちゅうちょするケースもあるのではないでしょうか。
水戸地裁で平成16年に木くず事件という判例があり、野積みした木くずに対して廃棄物として訴えがありましたが、地裁は木くずは有価物であり無罪という判決を出しています。しかし、一般的には廃棄物の中で再利用を目的とする古紙、金属くず、空き瓶類、古繊維は、専ら物といって廃棄物法の規則が一部免除されますが、それ以外に例外規定が見当たりません。
一方、有価物とは他人に有償で売却できるもので、そもそも廃棄物には該当しません。廃棄物か有価物かを判断する基準としては、総合判断説に基づく5つの要素があり、これらの要素を総合的に勘案して判断するとなっているとのことですが、その上でお尋ねいたします。
農家が野菜くずなどの有効活用を少しでも進められるよう有価物として取り扱うためには、どのような対応が考えられるのでしょうか。環境部長の御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

次に、「SDGsの推進と脱炭素社会の構築に向けた有価物の有効活用について」のお尋ねのうち、廃棄物処理法が今の潮流に追いついていないことについてであります。
議員お話しのとおり、食品廃棄物の削減と循環利用を推進していくことは、持続可能な社会の構築に向けて大変重要なことであります。
県では、食品廃棄物の削減に向けて、県民への啓発を継続的に行っているほか、様々な補助事業を設け事業者の取組を支援しております。
令和6年度予算案には、県環境整備センター埋立処分場跡地の一部を、食品の循環利用などサーキュラーエコノミーを体験いただける農場として整備するための事業費を計上いたしました。
生ごみなどの食品廃棄物を、彩の国資源循環工場等で肥料に加工し、農場での野菜育成に利用するなど、資源循環に係る先端技術を活用した循環農場をモデルとして広く発信し、普及を図ってまいりたいと考えております。
こうした取組により、食品廃棄物の削減と循環利用をより一層推進してまいります。
他方、廃棄物については、不適正に取り扱われると悪臭や、あるいは汚水など県民の生活環境に重大な支障を及ぼすことになります。
そのため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法により厳格な許可制度が設けられているほか、排出から処分までの全ての関係者に対し遵守事項を求めており、県では、同法に基づく適切な運用を行い、県民の生活環境の保全を図っております。
例えば、野菜くずの有効活用を目的として堆肥化を行うとしても、法令遵守を逸脱した形で廃棄物を不適正に処理することでは、周辺の生活環境の保全に悪影響を及ぼすこととなり、本末転倒となります。
食品廃棄物の削減・循環利用と廃棄物の適正処理では、それぞれの目的が異なっていることから、どちらか一方のみを実現するのではなく、その両立を図るべきと考えます。
県としては、高いレベルでの両立が図られるよう事業者等の御意見を伺いながらも、廃棄物処理法を適切に運用し、循環型社会の構築と県民の生活環境の保全にしっかりと取り組んでまいりたいと考えます。

A 細野正 環境部長

議員お話しのとおり、食品を廃棄物とするのではなく、資源として再利用することは、持続可能な社会の構築と地球温暖化の防止につながる大変重要なことです。
ある「モノ」が、廃棄物か有価物かは、最高裁判例や国の通知において、「物の性質・状態」、「排出の状況」、「通常の取扱い形態」、「取引価値の有無」、「占有者の意思」の5項目を総合的に勘案して判断することとされています。
例えば、一般的に有価物とされるためには「物の性質・状態」としては、悪臭などの生活環境保全上の支障が発生するおそれがないこと、「排出の状況」としては、排出までに適切な保管や品質管理がなされていること、「通常の取扱い形態」としては、通常は廃棄物として処理されていないこと、「取引価値の有無」としては、有償譲渡がされており、取引の合理性があること、「占有者の意思」としては、他人に有償譲渡する意思があり、放置・処分する意思がないことなどがあげられます。
こうした点を総合的に勘案し、有価物か廃棄物かを判断することとなります。
有価物か廃棄物かの判断に当たり、大変難しい事案もあり、そうした場合などは、個別事案ごとにその内容を現場で確認したり、当事者のお話を丁寧にお聞きするなどして判断することになります。
SDGsの広がりなどを背景に、野菜くずなどを有効活用しようとする前向きな農家が増えていくことは大変ありがたいことであり、資源循環の促進と県民の生活環境の保全の両方が実現できるよう、しっかり取り組んでまいります。

再Q 小川直志 議員(自民)

部長の答弁にありました資源循環の促進と生活環境の保全の両立を実現していくということは、そのとおりだと思います。私も一面では相反するような2つですが、実現しなければならないと考えております。
しかし、私が聞いた限りでは、現場では農家の資源循環という前向きな思いに寄り添った対応というよりも、どちらかというと生活環境の保全を前面に出した結論ありきの対応がなされているように聞こえてきます。
先ほども申し上げましたが、野菜くずの活用をちゅうちょするようなハードルもある中、前向きな農家が野菜くずの有効活用を進められるようにしていただきたいのです。SDGsの推進と脱炭素社会の構築に向け、農家も行政も一緒になって進んでいくためにも、現場の環境管理事務所において農家の有効活用への思いを受け止めて対応してほしいと考えます。
再度、環境部長の答弁を求めます。

再A 細野正 環境部長

議員からは農家の前向きな思いを受け止めてほしいというお話がありました。
いただいたお話については、謙虚に受け止めさせていただきたいと思います。
先ほどご答弁でも申し上げましたけれども、資源の循環利用をしようとする方が増えることは、これは大変ありがたいことで環境行政の推進に本当に役立つことだと思っています。
従いまして、有効活用に前向きな農家の方々の思いを大切にしまして、農林部とも連携をして、しっかり相談に対応するとともに、丁寧な説明、助言を行ってまいりたいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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