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掲載日:2023年10月20日

令和5年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(松下昌代議員)

インクルーシブ社会の実現を目指して-一人ひとりが尊重しあえるインクルーシブ教育の推進について-

Q 松下昌代 議員(無所属)

アメリカにはIDEAという0歳から21歳までの障害がある人を対象とする個別障害者教育法があります。この法律に基づいて一人ひとりにチームが編成されます。メンバーは、行政、教育、福祉の各担当者、必要があれば医療担当者、そして両親です。チームは定期的に集まり、子供を多面的かつ包括的に見て、きめ細かな支援計画を立てていきます。また、原則として子供にとって可能な限り最大限インクルーシブな環境で育つべきであるということが定められています。
インクルーシブな環境で育つことで、子供は自らの特性を理解し、周りに助けを求めることができるようになり、どうしたらみんなと一緒に活動できるのかということも学んでいきます。また、健常児といわれる子供にとっても、学習面で良い影響を与えるということがアメリカの研究で分かっています。子供の頃から共に育つことで、共に参画するインクルーシブな社会が実現されていきます。
日本でも厚生労働省の児童発達支援ガイドラインで地域社会への参加、インクルージョンの推進と合理的配慮が障害児支援の基本理念として位置付けられています。インクルーシブ社会の実現には、人を育てていく必要があり、その点において学校の在り方は非常に重要です。
県では、特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童生徒も含めて、障害のある子供のインクルージョンを保障していく必要があると考えます。全ての学びの場において、埼玉ならではのインクルーシブな教育を進めていくべきだと考えますが、教育長の見解を伺います。
通常の学級の中に障害のある子供がいれば即インクルーシブということではなく、個々の教育ニーズに合った支援が必要です。埼玉県では、市町村と連携した県独自の取組として、支援籍学習があります。障害のある児童生徒が必要な学習活動を行うために在籍する学校、又は学級以外に置く学籍です。特別支援学校の児童生徒が地域の小・中学校に行き、交流による相互理解や支援籍校で学んだことを在籍する学級に戻って生かせるような経験値を高めるという点において、非常に有効であると考えます。
また、小・中学校等の特別支援学級や通常の学級の子供たちが特別支援学校に行き、学習等に取り組み、授業の中で共に学ぶことを進めていることも評価します。しかしながら、年に数回参加するのみであれば、ゲストでしかありません。保護者向け支援籍リーフレットには、支援籍を通しての保護者の願いは「子供たちや先生に障害を理解してもらいたい」「地域で生活するための基盤をつくっていきたい」「子供の経験の幅を広げていきたい」の主に3点であると記載されています。
オンラインなど多様な手法を用いることを含め、支援籍学習に参加できる回数を増やし交流を促進するなど、それぞれの学びの場において子供の状況に応じた教育を更に推進していただきたいと思いますが、今後の見解についても併せて教育長に伺います。

A 日吉亨 教育長

障害のある子供とない子供が共に学ぶ、インクルーシブ教育の推進は、共生社会の実現に向けて目指すべき大変重要な理念と考えます。
県では、通常の学級、特別支援学級、特別支援学校といったそれぞれの学びの場において、障害のある子供とない子供が共に学ぶ埼玉ならではのインクルーシブな教育を行っております。
具体的には、議員お話しの特別支援学校に在籍する児童生徒が地域の小中学校にも籍を置いて学習する「支援籍学習」を平成16年度から全国に先駆けて、実施してまいりました。
また、高校内に特別支援学校の高等部分校を設置し、合同で体育祭等の学校行事を行うなど「交流及び共同学習」の取組も進めているところです。
今後とも、全ての学びの場において障害のある子供とない子供が共に学ぶ取組を進め、一人ひとりが尊重しあえるインクルーシブ教育を推進してまいります。
次に、「オンラインなど多様な手法を用いることを含め、支援籍学習に参加できる回数を増やすなど子供の状況に応じた教育を更に推進すること」についてでございます。
支援籍学習の実施回数につきましては、児童生徒の実態に応じて、特別支援学校と児童生徒が在住する地域の小中学校で調整の上、決定しております。
実施に当たっては、児童生徒の安全面に配慮して在籍校の教員が引率して対面交流としたり、オンライン交流も取り入れるなどの工夫も行っています。
こうした支援籍学習の実施回数が増えることで、相互理解の深まりや互いに尊重する意識の高まりが期待できます。
支援籍学習の実施回数を増やしていくためには、教員が引率のために不在の間、支援の一部を担っていただく学校支援ボランティアの協力や議員お話しのオンラインなどの手法を活用することが必要です。
県では、こうした学校支援ボランティアの養成を更に図っていくとともに、特別支援学校と地域の小中学校でオンライン等を活用した支援籍学習の実施を広く働き掛けるなど、障害のある子供とない子供が共に学ぶ機会の拡大を図ってまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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