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掲載日:2023年10月20日

令和5年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(松下昌代議員)

多様化する女性の働き方支援について

Q 松下昌代 議員(無所属)

社会全体で女性活躍の機運を醸成し多様性を確保していくことは、男女共に自らの個性と能力を最大限に発揮できる社会の実現のために不可欠であるとともに、イノベーションの創出と事業変革の革新を通じて企業の持続的な成長、ひいては日本経済の発展に資するものであります。新しい資本主義の中核に位置付けられた女性の経済的自立の実現が重要との認識の下、企業における女性登用の加速化や女性起業家の育成支援、地方中小企業における女性活躍の促進等の様々な施策を通じて、女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けて取り組んでいく必要があります。
令和4年11月にスタートアップ育成5か年計画が作成され、国を挙げてスタートアップ育成に取り組む機運が高まる中、女性にとっても起業がキャリア形成上の有望かつ現実的な選択肢となり、女性起業家によるイノベーション創出が進むよう女性の視点に立った有機的な起業支援を行うと同時に、起業のために様々な機関が連携して支援することが必要です。
起業のスタートアップとして、子育てと仕事を両立したい女性や子育て後に仕事を始めたい女性にとって、個人で始められるプチ起業は、自らの経験や趣味などを生かすことができるため適しています。例えば、手作りのアクセサリーやお菓子、パンなどを地元のイベントやネットショップで販売することでも、個人事業主として起業が成立します。小さな始まりでも自らのアイデアで対価を得るということが自信につながり、自立を促します。女性の自立のための起業支援においても、まずは起業のノウハウを教え、アイデアを具体化させる。そして、資金調達の道筋をつけ、更に起業後も必要であればフォローアップをしていくという、一気通貫の伴走型ワンストップサービスの充実が求められています。
特に、女性の起業予定者がビジネスプランを作成してから創業に至るまでには、資金調達が必要となります。無理なく始められるプチ起業の場合は自己資金で可能な場合もありますが、女性の起業予定者が金融機関などへ融資の相談に行くことは大変ハードルが高いです。現在、起業が軌道に乗っている女性経営者も、融資を受けることは大変難しいというのが実態です。
県では、女性起業家を生み出すためにどのような支援や連携を行っているか。また、資金調達が必要な女性に対してどのような支援をしているのかを産業労働部長に伺います。
また、コロナ禍では、非正規雇用で働く女性の占める割合が高い飲食や宿泊などのサービス業を中心に解雇や雇い止めが数多く発生し、女性が困難な状況に直面しました。現在も非正規雇用で継続して働いている女性の給与や福利厚生などの処遇の改善を図る取組が必要であり、有期労働契約が5年超えで更新された場合の無期転換ルールの啓発も重要であります。
働き方改革関連法の施行により、企業には計画的な休暇の取得、長時間労働の是正、同一労働・同一賃金への対応が順次求められています。令和3年4月からは、同一労働・同一賃金の制度が中小企業にも適用されました。非正規雇用労働者に女性の占める割合は大変多く、同一労働・同一賃金などへの対応を進めることは、多くの働く女性にとって給与や賞与、福利厚生の改善、そして研修機会の確保を通じたスキルの向上につながるものと考えます。
国も、同一労働・同一賃金の施行調査を図るため労働基準監督署も活用して調査を行い、都道府県労働局に問題となり得る企業を報告する枠組みを整備したところであり、令和5年3月から本格実施された同取組の賃金格差縮小等への効果を年内にフォローアップし、その後の進め方を検討するとしています。
そこで、産業労働部長に質問です。
女性が多い非正規雇用労働者の処遇を改善するためには、同一労働・同一賃金制度の推進についての中小企業への支援が必要だと考えますが、県の取組を伺います。
また、非正規雇用で働く女性に対する処遇改善につながる支援についても、併せて伺います。

A 目良聡 産業労働部長

まず、女性起業家を生み出すためにどのような支援や連携を行っているかについてでございます。
本県は、平成20年5月に女性キャリアセンターを開設し、国に先駆けて女性活躍の推進、とりわけ就業支援に力を入れてまいりました。
同センターでは、多様な働き方の一つとして、「起業入門セミナー」を実施しており、起業のための基礎知識や県の支援制度について案内しております。
また、創業・ベンチャー支援センター埼玉では、女性からの相談に特化して対応する女性創業支援アドバイザーを3名配置し、アイデアのブラッシュアップや事業計画作成から起業後のフォローアップまで、ワンストップで支援しております。
令和4年度の女性からの起業相談は1,804件で、男女ほぼ同じ割合となっており、実際に起業した女性は106名で、全体の約4割を占めています。
また、「気軽に相談できる相手が少ない」という悩みに応え、女性起業家同士がともに働きながら交流できるインキュベーション施設「COCOオフィス」を運営するとともに、先輩起業家との交流会なども行っています。
こうした支援に加え、女性経営者の会や商工団体等によるネットワーク会議を設置して、女性起業家輩出のための連携体制を構築しています。
次に、資金調達が必要な女性に対して、どのような支援をしているのかについてでございます。
女性に限らず、多くの起業家にとって資金調達は大きな課題です。
県では、制度融資のメニューに起業家育成資金を設け、通常の資金よりも融資利率を引き下げ、手厚く損失補償を行い、起業家が融資を受けやすい仕組みとしています。
また、創業・ベンチャー支援センター埼玉において税理士などの専門家が資金面でのアドバイスを行っており、令和4年度は女性からの資金調達に関する相談341件に対応いたしました。
このほか、今年度からは日本政策金融公庫と連携した相談会を開催するとともに、女性を対象としたビジネスプランコンテスト「サイタマ スマイル ウーマンピッチ」の受賞者と県内金融機関等との交流の場を設けています。
次に、同一労働同一賃金制度の推進についての中小企業への支援についてでございます。
国では、「埼玉働き方改革推進支援センター」を設置して同一労働同一賃金に関する企業からの相談に応じているほか、不適切な事案に対する助言や指導を行っています。
県では、国と連携して、制度に関する情報発信に努めるほか、中小企業などを対象にセミナーを開催するとともに、企業からの相談に対して、社会保険労務士や中小企業診断士などをアドバイザーとして派遣しています。
助言を受けた中小企業からは、「パート社員にも人事評価制度を導入して賃金に反映することができた」などの報告をいただいております。
10月に開催する労働セミナーにおいても同一労働同一賃金について取り上げ、制度の趣旨の徹底を図ってまいります。
最後に、非正規雇用で働く女性に対する、処遇改善につながる支援についてでございます。
パート等の非正規雇用には様々な働き方があり、家庭との両立のしやすさなどから、自ら希望して選択される方もいらっしゃいます。
一方で、賃金が低い、雇用が不安定、能力開発の機会が乏しいといった側面もございます。
現在、国において税制や年金といった制度の見直しについて検討が進められておりますが、処遇改善につながる取組として、自身の価値を高めるスキルアップも重要と考えます。
女性キャリアセンターでは、データ分析やWebデザインなどのデジタルスキルを学べる講座の対象に、今年度から非正規雇用の女性を追加しました。
リスキリングにより企業に求められる人材になることは、処遇改善にもつながるものと考えます。
県では、働くことを希望する全ての方が、自ら望む個々の事情に応じた働き方ができ、適正に処遇されるよう支援してまいりたいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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