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掲載日:2022年10月19日

令和4年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(神尾高善議員)

農地の有効活用について

Q   神尾高善 議員(自民)

農林水産省の作物統計の面積調査によれば、令和3年の全国の耕地利用率は、田が93%、畑が90%となっています。一方で、埼玉県の耕地利用率は、田が99%であるのに対して、畑は71%となっており、埼玉県では水田は利用されているが、畑の利用が十分でないと考えます。これは水田に対して、経営所得安定対策など国の政策で面積払いの補助金が手厚いのに対し、畑については補助の水準が低いからではないかと考えています。
せっかく基盤整備をした農地であっても、作物を作付せず空けておくのはいかがなものでしょうか。特に畑はトラクターなどで保全管理だけをしているところが多い。近年は野菜栽培においても、ネギやタマネギなどは、種まきから収穫後の調整作業まで機械化が進んでおり、一経営体で何ヘクタールも耕作している例が出てきています。
こうした農業者は畑を借りて耕作しています。空いている畑には作物を作付け、農地を有効活用すれば、耕作利用率も向上してまいると思います。しかし、空いている農地があっても、所有者が貸したいのか、自ら使うのかなど農地の利用意向が見えにくくなっており、貸手と借手とのマッチングが進まない一つの原因となっています。
これでは、地域の運用者や関係者の話合いに基づき、地域の将来の担い手と農地利用の在り方を定めた人・農地プランを策定し、農業委員会が中心となり農地の貸借りや売買など農地の利用調整を行ってきたところでもあります。
水田地帯では農地中間管理事業による集積、集約のメリットを受けやすく、担い手への集積が進んできましたが、畑については十分とは言えません。貸手と借手のマッチングをより一層進めていくためには、畑を含めた農地の利用方法を地域全体で考えていくべきです。農地の有効活用を図る上でどのような施策を進めていくのか、農林部長の見解を伺います。
また、現在、家畜の餌となる輸入飼料の高騰が続いています。例えば、肉用牛出荷までにかかる飼料代は、今般の高騰前には25万円だったのが、現在では1.8倍の45万円にまで上がっていると聞いております。
本県の畜産農家は、都市近郊にあるため十分な飼料作物作付面積の確保が難しく、その多くを輸入に依存しています。加えて、畜産は生産コストの上昇を販売価格に転嫁するのが難しく、酪農では生乳の販売価格と生産コストがほぼ同じ、大規模なサイダン系農家では、生産コストより販売価格が安いといった声も聞こえてきております。畜産農家の経営は、これまでにない危機に直面しています。
このような中で、畜産農家の今後の経営安定を少しでも図るために、空いている農地の活用を含め自給飼料の安定的な供給にどのように対応していくのか、農林部長の見解を伺います。

A 小畑幹 農林部長

農地の有効活用を図る上でどのような施策を進めていくのかについてお答えを申しあげます。
議員御指摘のように、畑での野菜の経営規模は拡大が進みつつありますが、水田作と比べると、規模を拡大するよりも様々な品目を組み合わせて面積当りの収益を高めようとする傾向がみられてきました。
このため、人・農地プランの策定が水田と比べ進んでおらず、規模拡大を志向する畑作経営者にとって、地域の農地の利用意向が見えにくい状況があります。
こうした中、今般、農業経営基盤強化促進法の改正により人・農地プランが法定化され、今後市町村が地域計画を策定することとされました。
地域計画では、従来のプランとは異なり10年後に目指す農地利用の姿を地図に示すことになるため、策定の過程で農地一筆ごとに農業者の利用意向などの情報を地図上で見える化します。
この情報を計画の協議の場で農業者、行政機関、農業団体などで共有することで、利用意向が見えにくかった畑を含め農地一筆ごとに借り手を決めやすくなると考えます。
また、地域計画では、農地の借り手について、副業的な経営体など従来の人・農地プランよりも幅広く位置付けられるため、小さい農地も含め活用の可能性が広がると考えています。
こうした新制度の特徴をうまく活用しながら、計画策定をしっかりと支援し、農地の有効活用を図ってまいります。
次に、自給飼料の安定的な供給にどのように対応していくのかについてでございます。
これまで本県では、畜産農家が自ら飼料を作るための農地を探すことや、飼料を作るために労働力を割くことのハードルが高く、安価であった輸入飼料に依存してきました。
県では、耕種農家が生産する飼料の地域内流通にも取り組んできましたが、流通施設の不足や取引価格に係る調整の難しさなどから、自給飼料の利用は広がっていない状況にあります。
こうした中、議員お話しのように、輸入飼料の価格が高騰して畜産経営に大きな影響が生じており、経営安定を図る上で自給飼料の生産・利用を拡大する必要性が大きく高まっています。
畜産農家からは、自ら飼料を生産拡大したいという声も上がっており、飼料生産に適した畑を借りられるよう、県では先ほど述べました地域計画の協議へ畜産農家の参加を促し、農地の確保を支援してまいります。
また、飼料の地域内流通について、これまでは市町村域を目安とした相対取引を後押ししてきましたが、今後、畜産団体や農協などと連携して県全域でマッチングを支援する体制の構築に取り組んでまいります。
こうした施策を通じて自給飼料の生産・利用の拡大に取り組み、畜産農家の経営安定を図ってまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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