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掲載日:2022年3月30日

令和4年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

農業分野での脱炭素に向けた取組について

Q  田並尚明 議員(民主フォーラム)

ここ数年、地球温暖化による異常気象が原因と考えられる様々な自然災害が国内外を問わず多く発生しています。このような地球温暖化による環境を、負の遺産として将来世代に残すわけにはいきません。
こうした環境問題は、1980年代後半から本格的に議論され始めました。世界的には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立され、国内においては1990年から環境庁に地球環境部が設置され、温暖化対策が本格的に取り組まれてきました。
最近の温暖化対策の一つである脱炭素社会に向けた取組を見ますと、海外ではカーボンクレジット市場が第二のゴールドラッシュとして注目され始め、世界で発行されたカーボンクレジットの市場が2015年から2020年までに3.8倍に増えています。また、投資においてはESG投資が注目され始め、投資先として今までのように目先の利益至上主義ではなく、SDGsの考えにのっとり働き方や環境にも配慮し、将来的にも持続して成長できるであろう企業を投資先として選ぶ傾向にシフトし始めていると聞きます。
我が国でも経済産業省において、今後、世界的にもカーボンクレジットの需給両面での拡大が見込まれる中、国際的なESG資金拡大の動きと合わせ、世界の脱炭素ビジネスの拠点となるようなカーボンクレジット市場の在り方について方向性を示すなどを目的とした検討会が進められており、日本においても今後カーボンクレジット市場の拡大などにより、脱炭素社会に向けた取組が更に加速されることが期待されるところです。
こうしたカーボンクレジットの取組は、企業間だけでなく、農林業分野でも取り組まれ始めています。報道によると、アメリカのある農家で、およそ1,200ヘクタールの広大な畑で、秋から春までの畑を使わない間、収穫用ではなく土壌改善用に植えていたライ麦がより多くの二酸化炭素を土の中にとどめ、大気中の二酸化炭素の削減につながる効果があるとして、その削減量を売ることによって、5年間で約1,900万の収入になったという、カーボンクレジットが大きな収入につながったという例があるそうです。また、国内でも、高知県の森林吸収クレジットの販売をはじめ、民間でも国内クレジット制度を利用した農林漁業者とのCO2削減事業が取り組まれています。
このように、脱炭素社会に向けた取組は、今までのように企業間だけではなく農林業にも深く浸透し始めてきています。国においても、脱炭素社会実現に向けた農林水産分野の取組として、みどりの食料システム戦略を進めているところです。
そこで、お伺いいたします。農業分野での脱炭素に向けた取組として、埼玉県においても、林業における排出権取引や地球温暖化防止等に効果の高いエコ農業の推進に取り組まれるようなことを聞いておりますが、脱炭素社会に向けた取組を更に加速させるため、もう一歩踏み込んで、農業分野においてもカーボンクレジットのような取組を進めていくことができないでしょうか。そのために、まず、今までの農業に利用する燃料を脱化石燃料にするなどの取組に加えて、例に挙げたアメリカの農家のように、農地によってより多くの二酸化炭素を土の中にとどめ、大気中の二酸化炭素を削減できる、いわゆる農地による炭素貯留などの新たな脱炭素の研究を始めることができないか、知事の御所見をお伺いいたします。

A   大野元裕   知事

私自身、地球温暖化対策にかかる脱炭素化の取組は非常に重要と考えており、今年度、庁内に部局横断のプロジェクトチームを設置し、農業に関わる取組も含め、幅広い検討を行っているところであります。
国においても、令和3年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」で、2050年までに農林水産業の二酸化炭素ゼロエミッション化を実現することを目指し、革新的な技術の開発・実装を進めることとしています。
議員御指摘の農地の炭素貯留やクレジット制度もこの戦略に位置付けられており、国や自治体、民間研究機関の連携の下、間伐材や竹などを炭化させたバイオ炭を農地に施用 せよう して炭素を貯留する研究などが進んでいます。
本県として行う研究においても、農業分野の脱炭素化は、今後更に研究を充実させ取り組んでいく分野と考えており、来年度から新たな研究に取り組みます。
具体的には、議員お話しのライ麦のように土壌にすき込む作物を、稲を収穫した後の農地で栽培し、有機質肥料として利用する効率的な栽培方法と、農地への炭素貯留効果について研究を行います。
また、施設園芸では、本県が新たに育成したいちご品種の「べにたま」が低い気温への適応性を持つことを生かし、冬場の暖房用の燃料消費を抑える栽培技術の研究にも取り組みます。
農業分野の脱炭素化を進める上では、県による研究のみならず、国や民間企業が行う研究も含め、全体として大きなイノベーションを引き出すことが不可欠です。
県としても、国などと連携しながら、カーボン・クレジットの活用にもつながる、本県農業に適した脱炭素化の取組を進めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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