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掲載日:2023年3月13日
Q 岡 重夫 議員(県民)
この夏のオリンピック・パラリンピックの開催まで約5カ月となり、先日行われた2020オリンピック・パラリンピック・ラグビーワールドカップ2019埼玉県推進委員会の第6回総会でも、大会成功に向けた様々な県独自の取組などの準備状況が報告されました。そして、これからも大会成功に向けて引き続きテロ対策や暑さ対策、さらには感染症対策など多くの課題の解決に向けて、しっかりと取り組んでほしいと思います。
ところで、今年1月に公安調査庁が出した報告書「内外情勢の回顧と展望」に、「東京オリンピック・パラリンピックでは、各競技場はもとより公共機関などのソフトターゲットのほか、都市部などでもテロに警戒する必要がある」と記載されています。また、先月就任された松本光弘警察庁長官はある新聞社の取材に対し、「東京五輪に向け、国際テロの脅威は引き続きある。必要な体制は整っており、詰めの作業を進める」とコメントされています。
一方、県は国民保護に関する埼玉県計画に基づき、毎年、警察や自衛隊、消防などの関係機関と訓練を行い、去る2月12日には坂戸市でオリンピック会場を想定した埼玉SMART合同訓練が行われ、関係機関の連携などが強化されました。
しかし、確かに対処訓練は大切ですが、現在、テロを未然に防ぐための情報収集の体制は十分なのでしょうか。それはテロ組織が何カ月も前から日本に入国し、さらには埼玉県内に潜入して情報収集をしている可能性があることは、今回の日産自動車の元会長のゴーン被告の国外逃亡事件でも明らかです。
また、COVID-19の感染拡大にマスコミや県民の目が奪われているときこそ、テロに関する情報収集に力を入れる必要があります。そのためには、県は警察関係機関や公安関係機関などとテロに関する情報収集を行うことや、情報の共有化が大切です。特に米国とイランとの関係など世界情勢を見ると、テロ組織などの一部が既に日本に侵入している、あるいは侵入する可能性があるという前提で、テロに関する情報の収集や対処要領などに力を入れるべきだと考えています。
そこで、今回のオリンピック・パラリンピックを機会に、これからの大型イベントでのテロ防止のために、警察公安関係機関などとの情報の共有の場、例えば(仮称)テロ対策埼玉県連絡会議などの場が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。
次に、テロ防止のためには、日頃の警察署のパトロールや、警備業界やホテル業界、さらには住民などからの不審者情報の収集が大切です。
そこで現在、警察本部としてテロを未然に防止するために情報収集や共有などどのような取組をしているのか、警察本部長に伺います。
続いて、テロ発生時の対処について伺います。
テロの対処は、本来警察の任務で、基本的には特殊急襲部隊SATや銃器対策部隊が対処しますが、もし警察力だけで治安の維持や対処が困難な場合には、内閣総理大臣が自衛隊法に基づき自衛隊に治安出動を下命し、自衛隊と共同で対処するようになっています。
そこで、これまで埼玉県警察本部が自衛隊と治安維持に関する協定を結んで実働訓練が行われています。先日も陸上自衛隊朝霞駐屯地で、千葉県警も加わり合同訓練を行ったわけですが、その訓練の成果について、警察本部長に伺います。
A 大野元裕 知事
これからの大型イベントでのテロ防止のための情報共有の場についてでございます。
議員お話しのとおり、国際情勢が不安定な中、世界各地で様々なテロが発生しており、残念ながら本県でもテロが生じる可能性は否定できません。
このため、必要な情報の共有や訓練を含めた事前の周到な準備が非常に重要でございます。
特に御指摘のように事前に潜入するスリーピングセルの把握やサイバーインシデントの背景を把握するアトリビューションなどには特に情報共有のあり方が問われることとなります。
現在、県警察本部が中心となって、国、県、関係市、公共交通機関、ライフライン事業者など60を超える関係団体からなる「2020オリンピック・パラリンピックテロ対策『彩の国』ネットワーク」が組織されております。
この枠組みを通じて、テロ対策への情報共有や図上訓練を行い、顔の見える関係の構築を図るとともに、2020オリンピック・パラリンピックの会場が、テロを起こしにくいターゲット、いわゆる「ハードターゲット」となるべく安全確保に努めてまいります。
オリンピック・パラリンピック後についても、こうした関係機関の緊密な連携体制が維持・継続できるよう取り組んでまいります。
A 高木紳一郎 警察本部長
埼玉県警察本部としてテロ未然防止のための情報収集や共有など、どのような取組をしているのかについてお答え致します。
テロは極めて秘匿性の高い行為であり、断片的なものであっても幅広い情報の収集と共有は、テロを未然に防止するために極めて重要であります。
そのため警察では、日頃実施しているパトロール、多数の者が集まる催事、ソフトターゲットの警戒等の警察活動を通じた情報収集に加えて、テロを企図する者の入国も視野に入れた官民一体となった情報収集体制を確立しております。
具体的にはテロリストが利用するおそれのあるホテル、旅館、民泊等の宿泊施設、インターネットカフェ、レンタカー事業者を個別に訪問し、例えば「スマートフォンを見ながら宿泊者名簿等を記載する。」など、具体的な不審動向を教示したうえで、そのような不審者が訪れた場合には直ちに警察に対して情報提供がなされるよう、協力体制を確立しております。
また、インターネット上には具体的な手製爆弾の製造方法が掲載されており、国内でも実際に学生が手製爆弾を製造した事件が発生している現状を踏まえ、爆発物の原料となり得る化学物質を販売している薬局やホームセンター等の事業者、同種化学物質を使用、保管している高校・大学等に対して、盗難防止等の指導・教養を実施しているところです。
なお、オリンピック・パラリンピックに向けた官民連携の枠組みであるテロ対策「彩の国」ネットワークには、埼玉県警備業協会や宿泊事業者にも参画いただいており、テロ対策や危機管理に関する講演等を通じて危機意識の醸成及び共有を図っているほか、参画事業者・団体と連携し、各種イベントにおける広報啓発活動を実施するなどテロの未然防止に向けた取組を推進しております。
次に、陸上自衛隊、千葉県警察との合同訓練の成果についてでございます。
万が一テロが発生した場合の対処は警察の任務であり、主として銃器対策部隊がその対処に当たることになります。
しかし、強力な殺傷力を有する武器を所持した武装勢力等によるテロが発生し、警察力を持って治安維持が困難と認められる場合は、内閣総理大臣の命令により治安出動した自衛隊と共同対処することとなります。
そのため、本県警察では、平成14年に陸上自衛隊第一師団と「治安出動の際における治安の維持に関する現地協定」を締結し、平素から自衛隊との緊密な連携を図っております。
また、平成19年からこれまでに11回の共同実動訓練を実施し、警察と自衛隊の情報共有や連携要領を確認することで、相互理解が深まっているものと考えております。
今後も、訓練を通して得られた教訓事項を元に更に訓練を積み重ねるなどし、オリンピック・パラリンピック時は勿論のこと、様々な事態に迅速かつ的確に対応できるよう、更なる連携の強化を図って参ります。
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