トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和元年9月定例会 > 令和元年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 10月2日(水曜日) > 細田善則(自) > 令和元年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(細田善則議員)
ここから本文です。
ページ番号:164748
掲載日:2022年10月13日
Q 細田善則 議員(自民)
知事は、政策集の前文で上田県政の成果を高く評価した上で、埼玉県は最少のコストで最大の効果を上げる経営体であるべきと書かれております。それでは、大きな経営指針の一つである県債、これまでの上田県政を継承し、臨財債を除く県債残高については、これまでの方針を堅持するというお考えでよろしいでしょうか、まず初めに確認をいたします。
その後の政策集を読み進めていくと、新たな取組がたくさん記載されており、これをきちんと実行していくと、おのずと投資的財政支出が増えてきて、予算編成をする上でかなりの県債残高新規発行をせざるを得ない状況があるというふうに思います。
一方で、政策集の後半のほうには財政確保を意識したと思われる県の業務の棚卸を行うこと、働き方改革を進める、行政の無駄をなくしてまいりますとあります。しかし、これが事業仕分けや行政改革をすれば、埋蔵金がたくさん出てくるはずだというような、どこかで聞いたことがあるような甘い財政論ではないかという私の心配を払拭するような、大野知事の財政確保についてのお考えをお伺いいたします。
続いて、埼玉県スーパーシティプロジェクトについてですが、その前に先ほどの宇田川県議の質問の中で、公約の中にはすぐに実現することが難しいビジョンも入っているという旨の答弁があり、ビジョンという言葉で、具体性や期限を考えなくてもいいというような免罪符として使われていないかということを私は心配をいたしまして、大野知事のビジョンの定義と実現性の担保についてお伺いをいたします。
次に、政策集の目玉であるスーパーシティプロジェクト、これまでのエコタウンプロジェクトの展開が成功しなかった理由として、知事は、既存の住宅を対象にしたことを挙げて、スーパーシティではこれらの反省点を踏まえると述べられました。内閣府の作成をした国のスーパーシティ構想の資料を見ると、新たなまちをつくって、新たな住民を集めてまちをつくり出していくグリーンフィールド型と、既存のまちをベースに住民の合意を得ながら開発を行っていくブラウンフィールド型と二つの大きな分類がございます。知事は、ほかの答弁の中でも再開発に合わせてということも述べられておりますが、本県のスーパーシティ構想はどちらの型をイメージされているのでしょうか。
言うまでもなく、候補地の選定はプロジェクトの成功を握る大きなファクターだと考えます。1期4年間でスーパーシティが完成するものではないということは理解をいたしましたが、10年や20年たっても存在しない空想上の都市、ムー大陸のようになってしまったということにならないように、今期の4年間で少なくとも候補地が絞られ、選定作業が進んでいるという段階までは確実に道筋をつけていただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
続いて、知事は過去のコンパクトシティに対する評価として、期待された効果が上がっていない、その原因は企業や人を呼び込むインセンティブを欠いていたと答弁され、埼玉版スーパーシティではエネルギーをインセンティブの一つにすると述べられております。それでは、エネルギーをインセンティブにするということは具体的にどのようなことなのでしょうか。
企業や人がエネルギーに求める観点、いろいろあるでしょう。安定的な品質、価格、環境負荷、様々ございます。細かな数字は、これからの工程の中で出てくるということであるかもしれませんが、目玉事業のキーワードですから、検討されていることと思います。知事の考える埼玉県版のスーパーシティの提供するインセンティブについてお伺いをいたします。
恐らく、知事は更なるエネルギーの効率化などで捻出して、それをインセンティブとして提供すると答弁されるかもしれません。しかし、それはそういった新技術は、本県だけで独占できる新技術ということにはなりませんので、当然ほかの都道府県のまちでも同様の効率化が進んでいくと思います。現実的な案とは言えないと思います。となると、埼玉県版スーパーシティにおいてインセンティブを生み出すためには、県が一定の財政負担をし続けなければならなくなると考えますが、先ほど伺った財源論を踏まえてどのようにお考えか伺います。
A 大野元裕 知事
県債残高についてでございます。
臨時財政対策債などを除く、県で発行をコントロールできる県債残高は、平成30年度末までの15年間で6,186億円減少いたしました。
財政調整のための基金残高の減少や、増大し続ける社会保障関連経費など、引き続き厳しい財政状況が見込まれる中、県債残高の減少は県財政の健全化に一定の効果があったものと考えております。
一方で、本県の発展のために必要な施策については、しっかりと進めなければなりません。
そのため、財政状況を勘案しながら、具体的な事業ごとに個別に検討を行い、必要な事業には県債を活用するものと考えております。
私としては、引き続き県財政の健全化に取り組んでまいりますが、単に、県債残高の削減、それ自体を目的にする考えはございません。
次に、財源の確保方法でございます。
財源の確保については、歳入と歳出の両面においてしっかり取り組むことが必要と考えております。
歳入面においては、徴収対策の充実・強化により、県税収の一層の確保を進めるとともに、産業振興や企業誘致などにより、更に税収を増やす努力をしてまいります。
歳出面については、経済的に波及効果の高い事業を優先して推進するほか、民間の投資を促し、民間活力を利用した施策を推進してまいります。
加えて、既存事業のPDCAサイクルをきちんと回していくことや、事務事業の見直しなど、無駄を排除する行財政改革を不断に行い、歳出の削減に努めてまいりたいと思います。
こうした様々な取組を通して、財源確保にしっかり取り組んでまいります。
次に、知事の言うビジョンの定義のお尋ねでございます。
ビジョンとは、将来のあるべき姿や展望であると理解をしております。
時代の変化を先取りし、あるべき社会へと導くことができるリーダーの資質として、目の前の課題を解決する能力の他、将来に向けた大きなビジョンを掲げ進むべき方向性を示す力が必要であると考えています。
世界に目を向ければ、将来に向けた大きなビジョンを見据え、その将来像に近づけるために各々のステークホルダーができることを担うSDGsの考え方が主流となっています。
私の掲げた公約は、この信念に基づき、「誰ひとり取り残さない、持続可能な発展・成長をする埼玉県づくり」を目指し、今後本県が取り組むべき事項を示したものでございます。
次に、ビジョンの実現性の担保についてのお尋ねでございます。
本県は全国で一番高齢化のスピードが速い県となるなど、誰も経験したことのない変化に向き合うことになります。
このように先行きが不透明な時代には、これまでの政策を検証しながら良いものについて継承していくこと、新たに個別の政策で対処することに加え、大きく舵を切る必要がある場合には、10年、30年先を見据えた大きなビジョンを県民にお示しすることも必要であると考えます。
従って知事選の公約は、比較的短期間で実現できるもの、継承をするもの、将来に向けて道筋を付けるものとを掲げさせていただきました。
誰も経験したことがない超少子高齢化社会など山積する問題に対応するためには、大きな舵取りが必要となり、県民の皆様にビジョンという形で将来像をお示しし、それに向けて道筋を付けることをお約束することは、公約として成立するものと考えています。
とりわけ、ビジョンなき政治への批判も聞かれる中、舵を切って道筋を付けるのが必要である以上、新たな時代に対応すべく、県議会の皆様とも共に取り組まさせていただきたいとお願いをする次第であります。
次に、埼玉版スーパーシティは、「グリーンフィールド型」と「ブラウンフィールド型」のどちらの型をイメージしているのか、についてでございます。
埼玉版スーパーシティは、地域の条件により「グリーンフィールド型」と、「ブラウンフィールド型」の、どちらの型も考えられます。
基本的には、既存の都市インフラの更新や再開発に合わせて進めていく方が、経済的かつ効率的であると考えます。
その一方で、地元の合意形成を図ることができるのであれば、既存街区での取組も可能であり、今後、地域の実情に合わせて検討をしてまいります。
次に、今期4年間で道筋を付けることについてでございます。
埼玉版スーパーシティは、来る超少子高齢化社会に対する課題解決を、コンパクトでスマートなまちづくりの中で進めていこうというものです。
今後、5G、AI・IoT技術の進展により、それらを活用した新たなまちの形やエネルギー利用の在り方が生まれてくるものと考えています。
これらの技術を活用したまちづくりを、県民、市町村、民間企業などあらゆるステークホルダーの理解と協力の下、手戻りがないように進めていかなければなりません。
候補地の選定などについては、超スマート社会におけるエネルギーの在り方や地域毎に異なる条件などを見極めながら丁寧に進めてまいります。
次に、埼玉版スーパーシティのインセンティブについてお尋ねがありました。
エネルギー政策では、エネルギーの安定供給、コスト経済性、環境負荷低減と安心安全、いわゆる3E+Sが重要であります。
先日の台風15号を見ても、大規模災害などの際、最低限のエネルギーが確保されることは、県民や企業にとって大きな安心安全につながります。
企業においても、事業継続計画、すなわちBCPの観点から、例えば工業団地にガスエンジンやコジェネレーションシステムなどの分散型電源を導入し、エネルギーを確保しておく事例が増えてきております。
多くのものづくり産業の工場で消費するエネルギーの約80%は熱であり、例えば、地域内コジェネや発電所などで発生した熱を捨てることなく、工場を始めとする地域内で最大限有効活用することにより、電力消費に要するコストを削減する効果も期待ができます。
一方、地域内で発電した電力は、固定価格買取制度、いわゆるFIT、フィード イン タリフを介すことなく、地産地消することで自立した電源として活用でき、経済性向上にも貢献をいたします。
エネルギーの管理に活用する5GやAI・IoTなどの技術は、将来的には、高齢者の見守りやインターネットを介した医療・介護サービスの提供、災害情報等の即時共有にもつながることとなります。
県民や企業の意見を丁寧に伺いながら、インセンティブを示してまいります。
次に、インセンティブを生み出すための財政負担の考え方についてでございます。
埼玉版スーパーシティは、民間企業の投資を促す仕組みを取り入れることで、財政負担を軽減していくことを考えています。
また、県や市町村にとって、将来的には子供や単身高齢者の見守りなどといった社会的コストの低減と、インフラ投資の選択と集中によるコスト縮減が図られるといったメリットがございます。
このような公共性や財政負担の軽減効果に鑑み、県として負担が最小限となるよう総合的に検討してまいります。
再Q 細田善則 議員(自民)
先ほど知事は、県債の取扱いについて、必ずしも減少することを目的化しないという旨の答弁がございました。今、上田知事が16年間の成果というふうにまとめた冊子でも、この県債残高の減少は大きな成果として記載をされております。重要に捉えられて、しっかり結果としてそういうことに、減少になったことが、たまたま続いたのではなくて、減らそうという意思を持ってされてきたというふうに私は認識をしております。
となると、先ほど大野知事は予算を編成した結果、県債残高が増えることもあるかもしれないというような御答弁に私は捉えましたが、それは大きな上田県政との転換というか、方針の転換というふうに捉えてよろしいのでしょうか。
ビジョンについて、先ほどあるべき姿、展望ということでビジョンを定義をされました。私も大野知事の政策、結構読み込みましたが、私にとっては大野知事の政策におけるビジョンに当たる部分というものは2ページというか、表紙を開いたところにある日本一暮らしやすい埼玉を実現するという文章の部分が未来像、目的、ビジョンという像であるというふうに思っておりまして、それのさらに次が5大プロジェクトというふうに進んでいきますので、5大プロジェクトは私は手法とか政策に当たる分野だというふうに捉えておりました。それを先ほど知事は、そこにもビジョンが含まれているということがございましたが、私の認識とそこがちょっと違うんですけれども、もう一度再答弁をお願いいたします。
スーパーシティについては、市町村等々と丁寧に検討を進めるということで、時期について明言されませんでした。私としては、候補地を選ぶところまでが道筋と言えるのではないかと、割とハードルを下げて聞いたつもりだったんですけれども、それでもお答えにならなかったので非常に残念だったんですが、丁寧に進めた結果、候補地が4年間で見つかりませんでしたという結論もあり得るのか、ちょっと確認をさせていただければと思います。
再A 大野元裕 知事
県債残高の削減につきまして、大きな方針の転換があるのかという御質問につきましては、県債残高そのものの縮減を目標とすることはないというふうに申し上げたところでございます。
引き続き、県財政の健全化に取り組んでいくことを目的とさせていただいております。
他方で、先ほど申し上げたとおり、県債残高の削減が目的ではございませんので、それぞれの事業についての有効性、さらには財源の在りようを含めて検討をさせていただきたいと述べたところでございます。
二つ目、ビジョンについてでございますが、公約の書面のページあるいは順番に関わらず、私の方から申し上げたところでは、先行きが不透明な時代にはこれまでの政策を検証しながら良いものについて継承していくこと、新たな個別な政策で対処をすることに加えて、大きく舵を切る必要がある場合には、10年後、30年先を見据えた大きなビジョンを県民の皆様にお示しする、この三つが含まれてるというふうに公約について申し上げたところでございます。
埼玉版スーパーシティについて、丁寧に進めていく結果、候補地選定についても道筋に含めるべきではないかという御質問でございました。
私の方から申し上げさせていただきましたとおり、埼玉版スーパーシティにつきましては、候補地の選定作業については超スマート社会におけるエネルギーの在り方や地域ごとに異なる要件がございますので、地域の声を聴きながら、見極めながら、丁寧に進め、候補地の選定に向けた取組み方については、しっかりとお示しをさせていただきたいと思います。
再々Q 細田善則 議員(自民)
最後の三つ目のスーパーシティの候補地に、先ほどの再質問の趣旨というのは、丁寧に候補地を選定する作業を進めた結果、地域の事情等々で受けられない、うちはいいというようなことで候補地がないというケースも予見がされます。そういったときには、候補地がないということでスーパーシティはできないというか、進められないということがあり得るのかということを再々質問で確認をさせていただきたいと思います。
再々A 大野元裕 知事
埼玉版スーパーシティにつきましては、既存の都市インフラの更新や再開発に合わせて進めていくもの、そして、地元の合意形成が図られた場合には既存の街区での取組も可能なものであり、この1期4年の間に候補地を含めてその選定について、道筋が付けられるよう努めていく所存でございます。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください